インテリアグリーンとして人気のフィカス・ウンベラータ。ハート形の大きな葉が魅力です。
購入時の樹形がまっすぐのウンベラータの場合、「もっとおしゃれに、自分で幹を曲げてみたい」と思う方も多いのではないでしょうか。
ウンベラータの幹の曲げ方は、一見難しそうですが、手順とコツを知っていると初心者の方でもかっこいい形に曲げることができます。そこで、今回はウンベラータの曲げ方を詳しく紹介します。
「ウンベラータを折ってしまいそうで怖い」「綺麗に曲がらない」といった悩みを解決して、より個性的なウンベラータに仕立ててみてください。
[https://andplants.jp/collections/umbellata]ウンベラータを曲げる時期は「5月~9月」
ウンベラータの幹を曲げる作業は、負担が大きく株が傷みやすいので、成長が活発な生育期の5月~9月に行います。生育旺盛な時期であるため、多少の傷みやストレスがあっても、すぐに調子を取り戻しやすいです。
生育旺盛ということは、ウンベラータの細胞が活発な証拠。日々、新しい細胞を作って伸びているので、若い枝ほど柔らかく曲げやすいです。
反対に、生育が緩慢な秋~冬の10月~4月は枝や幹は硬いため、曲げる作業を行うと折れたり枯れたりする可能性があります。そのため、ウンベラータは5月~9月の生育期に曲げるようにしてください。
準備する道具
ウンベラータの幹や枝を曲げるには、以下の道具を準備しましょう。
- アルミワイヤー(太さ1.0~3.0㎜)
- 支柱
- 園芸用ビニールタイ
- ペンチ
- ニッパー
ワイヤーはスチールでも構いませんが、スチールワイヤーは強度がある分、硬く曲げにくい性質があります。女性の方は曲げやすいアルミワイヤーが扱いやすいでしょう。
ペンチやニッパーはワイヤーを切ったり曲げたりするのに使用します。ニッパー付きのペンチだと作業を効率的に行えます。
ウンベラータの曲げ方

ウンベラータの幹や枝の曲げ方は、以下の手順で行いましょう。無理な力をかけずに、優しく、かつ大胆に作業してください。
- ワイヤーで株元の幹を倒して固定する
- 反対方向へ幹を曲げてワイヤーで固定する
- 幹の先端を支柱に固定して形を整える
- 螺旋に曲げるには支柱を3本使う
ウンベラータではありませんが、同じフィカスであるベンガレンシスを使った曲げ方を詳しく紹介している動画があります。実演動画で確認したい方は、ぜひチェックしてみてください。
手順①ワイヤーで株元の幹を倒して固定する

まずは、株元の幹をグッと横へ倒してください。倒しながら、ワイヤーを鉢の縁にひっかけて固定します。
この時に倒す角度が緩いと、完成した時の形が悪いので、思い切って倒すのがコツです。もし今植えているウンベラータの鉢に縁がない場合は、縁の付いた鉢に植えなおしておくと良いでしょう。
上の画像のようにワイヤーをフックにして引っかける場合は、スチール製がおすすめです。アルミワイヤーの場合は、プラ鉢にワイヤーが通るような穴をキリで開けておくと作業がしやすいでしょう。
手順②反対方向へ幹を曲げてワイヤーで固定する

最初のカーブがS字の始まりになるように、今度は反対側へ幹を曲げます。手順①で右に曲げていたら、左に曲げましょう。
手順①と同様に鉢の縁にワイヤーを引っかけて固定してください。幹が折れない程度にグッと思い切って倒します。
ワイヤーは、鉢の中心位置にある幹にひっかけるとS字の形が良くなります。
手順③幹の先端を支柱に固定して形を整える

まず、鉢の中心に支柱を挿します。手順②で曲げた幹を支柱に園芸用ビニールタイで固定してください。
次に幹の上部を手順②と逆向きに曲げて、S字の上部分を作ります。そのまま、株の先端を支柱に園芸用ビニールタイで固定しましょう。
支柱にうまく固定できない場合は、先端部分をワイヤーで引っ張って鉢の縁にも固定をしてみてください。安定して固定ができます。
螺旋に曲げるには支柱を3本使う

S字ではなく、よりダイナミックに螺旋状に幹を曲げたい場合は、支柱を3本使います。手順は以下の通りです。
- 鉢の周囲に3本の支柱を等間隔に挿す
- 3本の支柱の先端をワイヤーで固定する
- 円錐形になった支柱に沿って、幹を巻き付けるように園芸用ビニールタイで固定する
幹を螺旋状に巻き付けることで、3次元的な美しい曲線を作ることができます。行灯(あんどん)支柱を利用すると円柱に沿って螺旋を撒くことができるため、より美しい螺旋を描く幹に仕立てられるでしょう。
ウンベラータをかっこいい形にするコツ

ウンベラータの幹を曲げて、かっこいい形にするコツを6つ紹介します。
- 前もって70㎝以上に育てる
- 曲げる前に土を乾燥させる
- 若い幹や枝を選ぶ
- 折れない程度に力強く曲げる
- 1年間固定した状態を保つ
- 曲げた後の水やりは控えめにする
幹や枝を曲げる前~曲げた後の管理までのコツを、しっかりと押さえておきましょう。
前もって70㎝以上に育てる
カッコよくS字または螺旋状に曲げるためには、樹高を70㎝以上に育てる必要があります。樹高が低い状態で曲げても、不自然で窮屈な印象になるため注意してください。
まずは、しっかり大きく育てて、幹の長さを確保しましょう。成長期の5月~10月に日当たりと風通しの良い環境で育てれば、小さな株でも1年で十分に大きくなります。
70㎝以上の大きさになったら、翌年に植え替えと併せてウンベラータを曲げてください。
曲げる前に土を乾燥させる
ウンベラータの幹や枝を曲げる数日前から、水やりを控えて土を乾燥させておきましょう。水やりを控えることで、株の中の水分量が減少します。
株の中の水分量が減少すると、幹や枝は柔らかくなり、より曲げやすく折れにくいです。幹が硬くて曲げる際に折れそうな方は作業を中止して、まずは土を乾燥させてください。
若い幹や枝を選ぶ
ウンベラータに限らず、多くの樹木は年数が経過すると、幹や枝が木質化して硬くなります。緑色をした若い幹や枝の方が、圧倒的に曲げやすいです。
ウンベラータの大きさにもよりますが、目安として親指程度の太さを基準にして曲げる幹や枝を選ぶと良いでしょう。程よく柔軟性があり、安全に作業ができるはずです。
親指以上に太くて木質化した幹や枝は、無理に曲げると折れる可能性があります。ワイヤーで固定しても、曲がりクセが付かない場合もあるので、若い幹や枝を選んで曲げてください。
折れない程度に力強く曲げる
ウンベラータの幹や枝は、見た目以上に柔軟性があります。初めて曲げる方は「こんなに曲げても大丈夫?折れない?」と不安に思うかもしれませんが、思い切って曲げてみてください。
幹や枝にゆっくり力を加えながら、「メリッ」「ギシッ」と音が少し聞こえるくらいまで曲げます。音や感触が伝わったら、それ以上は曲げないようにしましょう。
中途半端な力加減で曲げると、元の形に戻ろうとする力が働いて、カーブが緩くなります。形の良い曲がりを作るためには、折れない程度に力強く曲げることが重要です。
1年間固定した状態を保つ
幹や枝を曲げた後は、1年間固定してください。春に曲げて夏に外す1シーズンの固定では不十分です。
幹や枝にしっかりと、曲がりクセを付けるためには、最低でも1年間は固定したままを保ちましょう。特に、生育期の5月~9月を固定したまま育て続けることで、曲がった状態で幹が太り、形が固定されます。
ただし、2~3年以上固定したままの場合は、ワイヤーが幹に食い込んでしまう恐れがあります。食い込み過ぎると取り外す際に幹を傷めるので、固定期間を長くし過ぎないようにしてください。
曲げた後の水やりは控えめにする
ウンベラータの幹や枝を曲げた後に、すぐに大量の水を与えると、細胞組織すべてが急に膨らみ、曲げた部分に負担がかかります。負担がかかった部分は、何も触っていないにもかかわらず、折れる場合も。
曲げ作業をした後は、1週間~2週間は通常よりも水やりは控えめにして様子を見てください。鉢底から水がたっぷり出るような水やりはせずに、土を少し湿らせるイメージです。
控えめな水やりの様子見で1~2週間が経過したら、土を手で触ってしっかり乾いていることを確認してください。その後は、鉢底から水が流れるような基本の水やりに切り替えましょう。
ウンベラータを曲げすぎて失敗した時の対処法

ウンベラータの曲げ作業中に幹を折ってしまったり、若い枝に傷や折り目、裂け目などを入れてしまったりした場合は、以下の対処法を試してみてください。
- 折れた部分は切り落とす
- 水挿しや挿し木に使用する
- 軽微な傷や裂け目には癒合剤を塗る
- 折り目が付いた場合は硬くなるまで触らない
- 幹を折った場合は新芽が出てくるのを待つ
ウンベラータは発芽力が強い植物です。幹を折っても、よほど太く木質化した幹でない限りは、残った幹の部分から新芽が出て来ます。
ただし、折れたり傷ついたりした幹や枝部分には、癒合剤を塗って雑菌が入らないように処置しておきましょう。折れた部分をそのままにしておくと、枯れ込むことがあります。
また、緑色の若い幹や枝にありがちですが、強く曲げるとグニッと折り目が付いてしまうことがあります。折り目の深さにもよりますが、あまり深く折り目が入っている場合は、曲げずに接ぎ木テープで固定しておくと自然修復で硬く元通りになりやすいです。
硬くなってから、また曲げに挑戦すると良いでしょう。
まとめ
ウンベラータの幹や枝を曲げる作業は生育期の5月~9月に行うことが重要です。初めて曲げる作業を行うときは、幹や枝が折れないか不安になりますが、思い切って曲げてください。
初めての曲げ作業に不安はつきものですが、ウンベラータは株元から折れない限り、そう簡単には枯れません。中途半端な力加減で緩いカーブを作るのは禁物です。
本記事で紹介した手順と「メリッ」「ギシッ」という音のサインを信じ、思い切って幹を曲げてください。
[https://andplants.jp/collections/umbellata]