波打つような細長い葉と、裏側の鮮やかな紫色。「パープル・ソード」の名を持つアロカシア・ラウテルバキアナは、その洗練された佇まいで部屋を一気にモダンな空間へと変えてくれます。
しかし、実際に育ててみると「葉がだらんと外側に垂れてしまった」「冬になったら葉がすべて落ちて茎だけになった」というトラブルに見舞われることも少なくありません。
せっかく迎えた美しい株が、日ごとに弱っていく姿を見るのは辛いものです。実は、ラウテルバキアナの失敗の多くは、一般的な観葉植物と同じ感覚で水やりをしていることに原因があります。
この記事では、原産地ニューギニアの環境に基づいた「枯らさないための光と水の管理術」や、最大の難所である「日本の冬」を乗り越えるコツを徹底解説します。正しい知識さえあれば、初心者でもあの凛とした「直立フォルム」を必ず維持・復活させることができますので、ぜひ最後までご覧ください。
| 項目 | 内容 |
| 植物名 | アロカシア・ラウテルバキアナ(別名:パープル・ソード) |
| 学名 | Alocasia lauterbachiana |
| 英名 | Purple Sword Alocasia |
| 科目/属性 | サトイモ科 / アロカシア属(クワズイモ属) |
| 原産地 | ニューギニア |
| 日当たり | 直射日光を避けた明るい日陰(レースカーテン越し推奨) |
| 温度 | 最低10℃以上をキープする |
| 耐寒性 | 弱い |
| 耐暑性 | 強い |
| 水やり | 春夏:土の表面が乾いたら鉢底から出るまでたっぷりと 秋冬:土が中まで完全に乾いてから3〜4日後に少量(乾燥気味に) |
| 肥料 | 5月〜9月の成長期に緩効性肥料または液肥を与える |
| 剪定時期 | 5月〜9月(成長期に古い下葉を処理) |
アロカシア・ラウテルバキアナとは?
アロカシア・ラウテルバキアナは、サトイモ科アロカシア属に分類される植物の中でも、ひときわシャープで洗練された印象を与える品種です。
その最大の特徴は、波打つように縁取られた細長い葉と、剣のように鋭く直立するシルエット。別名「パープル・ソード」とも呼ばれ、葉の裏側や茎が美しい紫色に染まる姿は、見る人を魅了してやみません。
一般的なアロカシア(クワズイモなど)が大きな葉を横に広げるのに対し、ラウテルバキアナは上へ上へとスマートに成長します。そのため、限られたスペースでも圧迫感なく飾ることができ、日本の住宅事情やモダンなインテリアにも非常に適しています。
原産地はニューギニアの熱帯雨林。高温多湿な環境で、木漏れ日を浴びて自生しています。
この独特な葉の形状と色は、薄暗いジャングルの中で効率よく光を取り込みながら、雨水を速やかに流すために進化した生存戦略の証です。
アロカシア・ラウテルバキアナの育て方

ラウテルバキアナを健康に育てるための鍵は、原産地である熱帯雨林の環境を、いかに日本の家庭内で再現できるかにあります。
一見難しそうに感じるかもしれませんが、「光・水・風」のバランスさえ掴めば、決して管理の難しい植物ではありません。ここでは、美しい葉を維持し、失敗を防ぐための具体的な管理ポイントを5つの要素に分けて解説します。
- 置き場所と日当たり
- 温度管理と冬越し
- 水やりの頻度
- 用土
- 肥料
置き場所と日当たり

年間を通して、室内の明るく風通しの良い場所に置くのが理想的です。直射日光は葉焼けの原因となり、美しい紫色の葉を変色させてしまうため厳禁です。レースカーテン越しのような、柔らかく遮光された光が当たる窓辺を定位置にしましょう。
また、光と同じくらい重要なのが「風の動き」です。空気が滞留すると、病害虫が発生しやすくなるだけでなく、株自体の呼吸も妨げられます。サーキュレーターなどを活用し、直接風を当てないように部屋の空気を循環させてください。
もし光量不足で茎が徒長して(ひょろ長く伸びて)垂れ下がってくる場合は、植物育成LEDライトを補助的に使用することで、引き締まった美しい草姿を取り戻すことができます。
温度管理と冬越し

熱帯性の植物であるラウテルバキアナは、寒さが大の苦手です。元気に成長するためには20℃〜30℃の気温が最適でしょう。気温が15℃を下回ると成長が緩やかになり、徐々に休眠の準備に入ります。
日本の冬を越すためには、最低でも10℃以上を保てるリビングなどの暖かい部屋へ移動させてください。窓際は夜間に急激に冷え込むため、夕方以降は窓から離れた部屋の中央付近に置くのが安全です。
寒さが厳しくなると、すべての葉を落として「芋(根茎)」だけの状態になることがありますが、これは枯れたわけではありません。
冬に葉を落とすのは、エネルギー消費を抑えて寒さを乗り切るための賢い「休眠戦略」ですので、捨てずに春の芽吹きを待ちましょう。
水やりの頻度

水やりは、土の表面の状態をよく観察して行います。成長期である春から秋にかけては、土の表面が乾いたら鉢底から流れ出るまでたっぷりと与えてください。この時期は水を欲しがるため、水切れを起こすと葉が垂れ下がる原因になります。
一方で、気温が下がる冬場は吸水力が極端に落ちます。休眠期に入ったら水やりを控え、土が中まで完全に乾いてから数日後に、湿らす程度に与える「断水気味」の管理に切り替えましょう。
季節ごとの目安は以下の通りです。
| 季節 | 水やりの頻度 |
| 春〜秋 | 土の表面が乾いたらたっぷりと与える |
| 冬(休眠期) | 土が完全に乾いてから3〜4日後に少量を与える |
最も多い枯死の原因は冬場の水のやりすぎによる「根腐れ」ですので、迷ったら「水を与えない」選択をする勇気も必要です。
用土
ラウテルバキアナの根は呼吸を必要とするため、水はけ(排水性)と通気性に優れた土を好みます。市販の「観葉植物の土」をそのまま使っても育ちますが、保水性が高すぎて根腐れを起こすケースも少なくありません。
理想は、市販の土に赤玉土(小粒)や軽石、ベラボン(ヤシ殻チップ)などを混ぜ込み、水がスッと抜ける環境を作ることです。自分で配合する場合は「赤玉土5:腐葉土3:軽石2」の割合が良いでしょう。
市販の土を使う場合でも、全体の3割ほど「軽石」や「ベラボン」を混ぜ込むだけで、土の中に空気の層ができ、根腐れリスクは激減します。
[https://andplants.jp/products/andplantssoil-25l]肥料

肥料は、植物が活発に成長する春から秋(5月〜9月頃)の間にのみ与えます。植え替えの際に、土の中にゆっくり効く「緩効性肥料」を混ぜ込んでおけば、基本的にはそれで十分です。
より大きく育てたい場合は、成長期に合わせて2週間に1回程度、既定の倍率に薄めた液体肥料を与えると効果的でしょう。葉の色艶が良くなり、新芽の展開も早くなります。
ただし、植物が弱っている時や成長が止まる冬場に肥料を与えると、根がダメージを受ける「肥料焼け」を起こすため、この時期の施肥は絶対に避けてください。
[https://andplants.jp/products/andplants_fertilizer]アロカシア・ラウテルバキアナの増やし方

大切に育てたラウテルバキアナが大きくなったら、株分けで増やしてみましょう。最適な時期は、成長期初期の5月〜7月頃です。植え替えと同時に行うのが最もスムーズでしょう。
鉢から株を抜き出し、古い土を優しく落とします。親株の根元から新しい子株が出てきている場合、根がついた状態で手や清潔なハサミを使って切り分け、それぞれ新しい鉢に植え付けます。
また、根の周りの土を整理していると、コロコロとした小さな球根のような「ムカゴ(芋)」が見つかることがあります。
このムカゴを取り出して湿らせた水苔を入れた密閉容器などで管理すると、やがて可愛らしい新芽が出てきますので、宝探しのような「芋増し」もぜひ楽しんでみてください。
アロカシア・ラウテルバキアナのよくあるトラブルと対処法

ラウテルバキアナを育てていると、葉の色や形が急に変わり、不安になることがあるかもしれません。
しかし、植物の変化は彼らからの「SOSサイン」です。早期に原因を特定し、適切な処置を行えば、多くの場合は回復させることができます。
- 葉が垂れる:光不足や水切れのサインを読み解く
- 下葉の変色:自然な老化か、病気の予兆かを見極める
- 害虫:最大の敵「ハダニ」の予防と駆除
葉が垂れる
ピンと立っていた葉がだらんと外側に垂れ下がってしまう現象は、ラウテルバキアナ栽培で最も多い悩みの一つです。主な原因は「光量不足」か「水切れ」のどちらかでしょう。
まず、茎を触ってみてください。茎にハリがなくフニャフニャしている場合は、水が足りていない証拠です。たっぷりと水を与えれば数時間で復活します。
一方、水やりをしているのに垂れる場合は、光を求めて茎が間延び(徒長)している可能性が高いです。
徒長してしまった茎は元には戻りませんが、植物育成ライトを導入したり、より明るい窓辺に移動させたりすることで、これから出る新芽を再び直立させることが可能です。
下葉の変色
葉が黄色くなる現象には、心配いらないケースと緊急対応が必要なケースの2種類があります。
もし、一番外側にある古い葉(下葉)が1枚だけ黄色くなり、他の新しい葉が元気であれば、それは「自然な老化現象」です。植物の新陳代謝ですので、黄色くなった葉は根元からカットしてしまいましょう。
しかし、内側の新しい葉まで黄色くなったり、複数の葉が同時に変色したりする場合は注意が必要です。これは「根腐れ」や「根詰まり」の危険信号かもしれません。
特に冬場に土が湿ったまま葉が黄色くなる場合は、根が窒息している可能性が高いため、水やりを完全にストップし、土を乾かすことに専念してください。
害虫
ラウテルバキアナの最大の敵は「ハダニ」です。高温で乾燥した環境を好むため、エアコンの風が当たる室内では特に発生しやすくなります。葉の色が白っぽく抜けたり、葉の裏に小さな赤い虫や蜘蛛の巣のようなものが付いていたりしたら、ハダニの仕業でしょう。
被害が小さいうちは、勢いのあるシャワーで葉の裏表を洗い流すだけで駆除できます。大量発生してしまった場合は、市販の殺ダニ剤を使用するのが確実です。
ハダニは水が苦手なので、予防策として毎朝霧吹きで葉の裏側まで濡らす「葉水(はみず)」を習慣にすると、美しい葉を長く保つことができます。
アロカシア・ラウテルバキアナのよくある質問

ここでは、日々の管理の中でふと疑問に思うことや、購入時・冬越し時の判断に迷うポイントについて回答します。正しい知識を持っていれば、些細な変化に動じることなく、長く付き合っていくことができるでしょう。
- 冬に葉がすべて落ちてしまった。これは枯れている?
- 購入後にすぐ植え替えするのはアリ?
- 水耕栽培(ハイドロカルチャー)で育てることは可能?
冬に葉がすべて落ちてしまった。これは枯れている?
寒さで葉がすべて落ちて茎だけになっても、すぐに枯れてしまったと判断して捨てるのは早計です。
アロカシアなどのサトイモ科植物は、寒さが厳しい環境下では地上部を枯らし、地中の「芋」だけでエネルギーを温存する「休眠」という生存戦略をとることがあります。
根元の芋を触ってみて、硬さが残っていればまだ生きています。春になり気温が上がれば、再び元気な新芽(ツノ)が顔を出してくれるでしょう。
休眠中は水を吸い上げる力がほとんどないため、月1回程度、土の表面を軽く湿らせるだけの「ほぼ断水」状態で、暖かい場所に置いて春を待ってください。
購入後にすぐ植え替えするのはアリ?
結論から言うと、購入直後の植え替えはおすすめしません。
お店から自宅へ移動したばかりの植物は、光や湿度などの急激な環境変化によって大きなストレスを受けています。その状態で根をいじる植え替えを行うと、ダメージが重なり、最悪の場合は枯れてしまうことがあります。
おしゃれな鉢に移し替えたい気持ちは分かりますが、まずは自宅の環境に慣れさせることが最優先です。
購入してから最低でも2週間、できれば1ヶ月ほどは購入時のプラスチック鉢のまま管理し、新しい環境に馴染んでから植え替えを行うのが、失敗しないための鉄則です。
水耕栽培(ハイドロカルチャー)で育てることは可能?
不可能ではありませんが、土で育てるよりも難易度は格段に上がります。ラウテルバキアナの根は多くの酸素を必要とするため、水に浸かりっぱなしの状態が続くと容易に根腐れを起こしてしまうからです。
もし挑戦する場合は、単に水に挿すだけでなく、根腐れ防止剤を使用したり、水位計で水の量を厳密に管理したりする必要があります。
初めて育てる方や、大きく健康的な「パープル・ソード」の姿を楽しみたい方は、通気性を確保しやすい「土(アロイドミックス)」での栽培から始めることを強くおすすめします。
まとめ
アロカシア・ラウテルバキアナは、ただ水を与えるだけでは美しく育たない、少し気難しい一面を持つ植物です。
しかし、今回ご紹介した「柔らかな光」と「風通し」、そして「水はけの良い用土」という3つの条件さえ整えてあげれば、驚くほど力強く、スタイリッシュな姿を見せてくれます。
特に冬場は、葉を落として休眠することもありますが、それは枯れたのではなく「生きるための戦略」です。焦らず春を待ち、じっくりと向き合う時間こそが、植物を育てる醍醐味と言えるでしょう。
手をかけた分だけ、春に新しい「紫の剣」が空に向かって伸びてきた時の喜びは格別です。ぜひ本記事を参考に、あなたの部屋で世界に一つだけのアートのようなラウテルバキアナを完成させてみてください。
[https://andplants.jp/collections/alocasialauterbachiana]