お盆の季節が近づくと、ご先祖や亡くなった大切な方々を偲んでお墓参りを計画する方も多いのではないでしょうか。その際に欠かせないのが仏花ですが、「仏花とは一体どのようなものなのか」「どのように選べば良いのか」「特別なマナーが存在するのか」など疑問を抱く方も少なくありません。
この記事では、お盆にお供えする仏花の選び方やおすすめの花、そして基本的なマナーについて詳しく解説します。これを読めば、自信を持ってお墓参りに行き、心を込めて仏花を供えられるでしょう。ぜひ最後まで目を通してもらえれば幸いです。
[https://andplants.jp/products/offering-arrangement-purple-large]お盆の期間は地域によって異なる
お盆は、日本の伝統的な行事で、亡くなったご先祖様の霊を供養するための期間です。一般的には、祖先の霊がこの世に戻ってくると信じられており、家族が集まって供養を行います。
お盆の一般的な期間は、8月13日〜16日までの4日間です。この期間にお墓参りをしたり、仏壇に供物をしたりします。そして、16日にご先祖様の霊を送り出します。
しかし、関東など一部の地域では、旧暦に基づいて7月13日〜16日にお盆を行います。また、沖縄や一部の離島などでは、旧暦の7月13日〜15日に当たる日をお盆とし、2024年は8月16日〜18日です。
地域によってお盆の期間に差がある理由は、新暦のお盆、旧暦のお盆で考えているからです。
実際のエピソードとして、お盆はどの地域でも変わらないと思っていたお客様が嫁がれて最初の年に、ご自分のお母様から「嫁ぎ際はお盆の時期が早いから、早めにお花を送りなさい」と教えてもらえて感謝したという話を聞いたことがあります。
伝統的な行事だからこそ、地域によってそれぞれの習慣などがあると考えられます。
仏花におすすめの花
お盆の供養に欠かせない仏花は、ご先祖さまへの感謝と敬意を表す重要な役割を果たします。しかし、どの花を選べば良いのか迷うこともあるでしょう。
この章では、仏花に適した花の種類を紹介します。
- 菊
- ユリ
- カーネーション
- リンドウ
- スターチス
- トルコギキョウ
- ケイトウ
- その他の花
それぞれ見ていきましょう。
菊
仏花におすすめの花として真っ先に挙げられるのが菊です。菊は日本では仏教の儀式や供養の場で多く使われてきました。
菊は他の花に比べて非常に長持ちします。お盆の期間中に備えた仏花が枯れてしまうことも多いため、菊のように長持ちする花は理想的です。また、菊は種類が豊富で、色や形もさまざまです。白や黄色、ピンクなどさまざまな色の菊を組み合わせることで、見た目も美しい仏花が出来上がります。
ぜひ好みの菊を選んでお供えしてみてくださ。
ユリ
ユリは華やかで高貴な見た目が特徴です。仏壇やお墓をより一層美しく飾ってくれます。色も、白やピンク、黄色など多彩な色があり、他の花と組み合わせることでより一層華やかにしてくれるでしょう。また、ユリ特有の優しい香りも好まれる理由のひとつです。
そのほか、開花している花と蕾をまぜることにより、長く美しさを保てるところも良いですね。
ただし、ユリ特有(特にカサブランカ)の香りを苦手とする人や、花粉が落ちることが嫌いと思われる方もいるため、それぞれの家庭に合わせることが最適かと思います。
カーネーション
カーネーションは、赤やピンク、白や黄色など多彩な色があり、好みの色を選んで仏壇やお墓に華やかさを添えられます。また、カーネーションは1本1本がしっかりして、ボリューム感があるため、少ない本数でも見栄えが良いです。
カーネーションに込められている「母の愛」や「感謝」という花言葉も選ばれる理由の一つです。「感謝」は、ご先祖さまへの気持ちを表現するのにぴったりですね。特に、白いカーネーションは「純粋」「無垢」を象徴しているので、供養の場にふさわしいです。
また、カーネーションは非常に長持ちする花なので、お盆の期間中も美しい状態を保ってくれるでしょう。
リンドウ
リンドウの深い青紫色の花はとても印象的で、仏壇やお墓に落ち着いた美しさを添えてくれます。他の花と組み合わせることによって、仏花全体の色合いを引き締めてくれるでしょう。
また、リンドウの花言葉「誠実」「悲しみに寄り添う」は、ご先祖さまへの気持ちを表現するのに非常に適しているといえます。
スターチス
スターチスは、仏花でよく選ばれます。紫やピンク、黄色や白など多彩な色がある中で、特に紫やピンクが人気です。
菊やカーネーションなど、他の花と組み合わせる時に下に位置する場所にスターチスを持ってくると、とても色が絞まり華やかさも合わさります。
また、非常に長持ちするスターチスは、ドライフラワーにも適しています。そのため、お盆の期間中に花が枯れてしまう心配も少なくて済みます。
トルコギキョウ
トルコギキョウは豪華な見た目で、バラなように華やかさがあります。白や紫、ピンクなどさまざまな色がありますが、花屋で販売していると、白に紫の縁取りのトルコギキョウが仏花として好まれる傾向が高く感じます。そのほか、白色のトルコを選ぶお客様が多いですね。
トルコギキョウの花言葉は「清々しい美しさ」「優美」です。故人が女性の場合は、花言葉の意味をとってもぴったりといえるでしょう。
ケイトウ
ケイトウは独特な見た目が特徴です。鶏のとさかに似た形状のものを仏花として選ばれる方が多いです。筆者も、ケイトウとリンドウを一緒に束ねると一気にお盆の気分になります。
一見、ケイトウは派手な見た目のため敬遠されそうですが、夏から秋にかけてがケイトウの時期なので、それも含め選ばれる理由かもしれません。
ケイトウの種が落ちることを嫌がるお客様がいたり、仏壇用の仏花としてはサイズが大きすぎたりする場合もあるため、仏花として用意する場合は少し注意が必要です。
その他の花
これまで紹介してきた花が、基本的に仏花としておすすめの花ですが、実際は故人が好きだったからという理由で、さまざまな花を選ぶ方がいらっしゃいます。
適さない花とされている「バラ」を選ぶ方もいらっしゃいます。何も知らない方から見たらマナー違反のようにも見えますが、故人との関係が深いからこそ、心を込めた花で供養ができるのです。
仏花に適さない花
仏花として不適切な花を供えてしまうと、ご先祖さまへの敬意を欠くことになりかねません。以下の特徴の花について、なぜ適さないのかをまとめていきます。
- トゲのある花
- 香りのきつい花
それぞれ見ていきましょう。
トゲのある花
バラのようなトゲのある花が、仏花として適さない理由は、トゲが痛みを伴うものであり、死後生まれ変わったご先祖さまに届く仏花として、相応しくないと考えられているからです。
バラの美しさや華やかさに惹かれて、仏花として選びたくなるかもしれませんが、トゲはご先祖さまへの敬意を欠くとされています。
仏花としての適切さを考慮して、トゲのない花を選びましょう。
香りのきつい花
ユリは仏花としての定番の花ですが、その中でもカサブランカのような特に香りが強い品種は適していません。供養の場にふさわしくないとされることがあります。
また、ユリの花粉が墓石につくと、落とすのがとても難しいです。白い墓石の場合は、特に注意が必要ですね。
ユリを仏花として使用する場合は、花粉を取り除いてから供えましょう。花屋さんでも仏花を束ねる段階で、見えている花粉は落としている場合がほとんどです。しかし、お盆のような暑い時期は、仏花を用意してお供えするまでにユリの花が開くことがあります。お供えする前に、自分で取り除くことも覚えておきましょう。
仏花の選び方のポイント
仏花を選ぶ際には、どのような花を選べば良いのか迷うことも多いでしょう。この章では選び方のポイントを以下の3つにまとめました。
- 白を基調にした花でまとめる
- 明るい色の花でまとめる
- 本数で決める
それぞれ見ていきましょう。
白を基調にした花でまとめる
お通夜、葬儀、初七日などの初期の供養の場では、白を基調にした花が適しています。白は清浄で純粋な色とされ、故人への敬意と追悼の気持ちを表現できるものです。
この時期には、白い菊やカーネーションを中心に、グリーンなどを少し加えてシンプルにまとめるのが一般的です。
明るい色の花でまとめる
四十九日以降の供養では、白を中心にピンクやブルー、黄色などの淡い色を加えることが増えます。故人を偲びつつも、少しずつ明るさを取り戻している意味合いがあり、色とりどりの花を供えることで、供養の場に温かみを添えられます。
ただし「明るい色」としての感じ方も人それぞれです。実際お客様と話をさせていただきながら仏花を作っていくと、派手にならないようにと言われながらも、すごく派手なものを選ばれる方もいらっしゃる反面、明るくまとめたいと言われながら、ほとんど色味を入れられないお客様もいらっしゃいます。
どのような花を好まれるのか、墓を普段から管理している人がいる場合、相談してみるのも良いかもしれませんね。
本数で決める
仏花の本数については3本、5本、7本などの奇数が良いとされているます。奇数は「半分に割れない」という意味で、完全性や不思議な力が宿ると古来から考えられてきました。しかし、厳密な決まりはありません。
奇数の方がバランスが取りやすく、見た目も美しく仕上がるため、筆者が仏花を作る際には、奇数になることが多かったです。
人それぞれ考えがあり、本数は全く意識せずバランスや美しさだけ見る方や、絶対に奇数でなければという考え方の方もいらっしゃいます。
奇数でというこだわりがある場合は、仏花を用意する際にはしっかり本数を確認しましょう。
仏花をお供えする時の基本的なマナー
仏壇やお墓に仏花を供えるときは、左右対称に飾ることが重要です。仏壇やお墓には、両端に一つずつ花立てがあります。そのため、仏花や墓花をお供えする際には、種類や色、本数を揃えた束を一対用意して飾ると、見栄えが良くなりますよ。
次に、故人の四十九日までは白を基調とした花を供えることを頭に入れておきましょう。四十九日が過ぎた後は、黄色や紫、赤、ピンクなどの鮮やかな色の花を加えて、華やかにすることが望ましいです。
ただし、仏花や墓花についての厳格なマナーはないため、それぞれの家庭でこだわりや違いがある場合が多いです。自分の家族以外の仏壇やお墓をお参りする際には配慮が必要になるでしょう。
地域別で仏花に違いがある
仏花の選び方には地域によってさまざまな違いがあります。これは、各地域の風習や文化、宗教的な背景によるものです。
関西の一部の地域では、仏花としてヒサカキが供えられます。ヒサカキはサカキに比べて葉が小さく、葉の周りが少しギザギザしているのが特徴です。
サカキは神棚に飾るイメージが強い方も多いかもしれませんが、この地域では、ヒサカキを背当てにして仏花を作ることが一般的です。ヒサカキとともに、菊やスプレー菊などを組み合わせてバランスの良い仏花を作ります。
また、お墓にはシキミのみを供える地域もあります。シキミは仏教の供花として古くから使われており、独特の香りが邪気を払うとされています。地域性関係なく、花と違いシキミなら鹿が食べないという理由で、仏花としてシキミをお供えされる方もいらっしゃいました。
このように、仏花の選び方や組み合わせには地域ごとの特色があり、地域の風習や文化を反映しています。仏花を選ぶ際には、その地域に特色に従いながら行いましょう。
仏花の購入方法
仏花を購入する際には、以下の方法があります。用途や状況に合わせて選びましょう。
- 花屋
- スーパーやホームセンター
- オンラインショップ
それぞれ説明します。
花屋
仏花を購入する最も一般的な方法は、花屋で購入することです。特にお盆の時期には、多くの花屋が仏花として用意している花の種類や量を増やしています。
この時期に訪れると、仏花に適した菊やカーネーション、リンドウなどが豊富に揃っていることが多いです。
特にお墓が近くにある花屋は、仏花を専門に取り扱っている場合が多く、地域の風習や習慣に詳しいため、適切なアドバイスを受けられるでしょう。
この時期は花屋も忙しくなるため、仏花としてアレンジメントが必要な場合は、あらかじめ予約しておくことをおすすめします。
スーパーやホームセンター
仏花を購入するもう一つの便利な方法は、スーパーやホームセンターでの購入です。お盆やお彼岸の時期になると、仏花用の花が豊富に取り揃えられます。スーパーやホームセンターは営業時間が長く、仕事帰りや忙しい日常の中でも立ち寄りやすいです。
スーパーやホームセンターで仏花を購入することで、時間や手間を節約しながら、適切な花を供えられます。
オンラインショップ
仏花としてアレンジメントや花束などが必要な場合は、オンラインショップを使うのも一つの手です。
AND PLANTSでは「お供え用おまかせブーケ」などさまざまなお供え用の花をご用意しています。
早めの予約でお届け日時も選択でいるため、ぜひご利用ください。
[https://andplants.jp/products/offering-bouquet-purple-small]お盆用仏花についてのよくある質問
お盆用仏花について多くの人が抱く疑問や不安があります。以下の2点について説明していきましょう。
- 造花をお供えしてもいい?
- 仏花を長く持たせる方法は?
造花をお供えしてもいい?
いつまでも枯れることなく仏壇やお墓をきれいに彩ってくれる造花は、頻繁にお手入れができない場合に役立ちます。しかし「仏壇やお墓には生花をお供えするべき」との意見を持つ方も多数いらっしゃることも事実です。そのため、造花をお供えする際には、事前に親族などに相談してからの方が良いでしょう。
また、常に生花や造花のどちらか一方をお供えするのではなく、多くの人が訪れるお盆の時期には生花を、そうでない時期には造花を使用するなど、使い分けるのものおすすめです。
大切なのは、花をお供えしたいという気持ちだと思います。
仏花を長く持たせる方法は?
仏花を購入したら、まずは一度水揚げをして花に新鮮な水をしっかり吸い上げさせましょう。そして毎日水換えを行いましょう。水が汚れると花が早く傷んでしまいます。
仏壇のに飾る仏花であれば、花瓶の中に延命剤を入れることも効果的です。直射日光やエアコンの風が直接当たる場所も避けましょう。
そしてお墓の花は、お盆の時期は長持ちしないと思っておいてほしいです。近年どんどん気温が上がってきている中、真夏の炎天下で花がきれいに何日も持つことは不可能です。
可能であれば、お盆中花を2回くらい入れ替えるといいかもしれませんね。
まとめ
この記事では、お盆にお供えする仏花について詳しくまとめました。
仏花と一言で表しても、地域や風習などにより差があります。これまで当たり前だと思っていた仏花の概念が変わるような違いを目の当たりにすることもあるでしょう。
基本的なマナーにさほど違いはないため、その地域に基づいたやり方で、心をこめた供養を行なってください。