「モンステラの気根は切ってもいいの?」
「どう扱えばいい?」
モンステラを育てていると、伸びた気根に対して上記のような疑問を持つのではないでしょうか。好き放題に伸びている気根は見た目がおしゃれではなく、邪魔に感じるかもしれません。
しかし、モンステラの気根は生育に重要な役割があります。そこで、今回はモンステラの気根の役割と対処法について詳しく解説します。
伸びすぎてしまった気根の対処法も紹介するので、ぜひ最後まで一読してみてください。「伸びた気根を切る」以外の対処法を知ることで、育てているモンステラをより健康的に美しい姿に仕立てられるでしょう。
[https://andplants.jp/collections/monstera]モンステラの気根の役割
モンステラの気根には、主に以下2つの役割があります。
- 株を支持して安定させる
- 水分や養分を吸収する
自生地で育つモンステラは、他の大きな樹木や岩肌に気根を張り巡らせて、大きくなった葉を支えながら株全体の安定性を保っています。
また、気根は空気中の水分や、樹皮の隙間のような場所に溜まる養分を吸収する役割も持っています。つまり、気根はモンステラが健康的に大きく育つための重要な器官です。
土まで伸びた気根は、土の中に潜ります。伸びた茎を固定して、土からの水分や栄養分を株元を通さず直接届けるので、生育促進に効果的と言えるでしょう。
そのため、モンステラをより元気に育てたい方は、なるべく気根を切らないように管理してください。
伸びすぎてしまった気根の対処法

伸びすぎてしまった気根の対処法は、主に以下の3パターンがあります。
- 支柱を立てて誘引する
- 鉢土に根付かせる
- 切る
気根はモンステラを健康的に大きく育つために重要な器官です。しかし、鉢植えで育てていると、予測不能な方向へ伸びたり、気づいたら鉢外へ長く伸びすぎたりして美観を損ねることがあります。
ここで紹介する対処法を実践して、美しいモンステラへ仕立ててみてください。
①支柱を立てて誘引する
伸びすぎたモンステラの気根は、支柱を立てて誘引すると株の安定性と立体的な美観が増します。立てた支柱に気根を沿わせるだけで、自然と活着するためです。
水苔やベラボンなどを利用した吸水性のある支柱であれば、生育もより良くなります。支柱を立て誘引する手順は以下の通りです。
- 植え替えのタイミングで鉢に支柱を挿す
- 伸びた気根を、優しく支柱に沿わせる
- 麻ひもや結束バンドで緩めに固定する
吸水性のある支柱を利用する場合は、支柱にも水を与えて水分を保持させてあげると活着しやすいです。より詳しい支柱の立て方や注意点は「モンステラに支柱を立てる方法」で解説しています。
ぜひ、参考にして支柱を立ててみてください。
②鉢土に根付かせる

伸びすぎた気根を鉢土に根付かせると、「根上がり」や「幹立ち」といった株姿に仕立てやすくなります。一度、気根が地中に根付けば、支柱としての役割もあります。
気根が出ている茎へ吸収した栄養分や水分を直接届けるため、株の成長促進に効果的です。鉢土に根付かせる手順は以下の通りです。
- 長く伸びた気根の先端を鉢土の表面に誘導する
- 気根の先端を土の中に浅く挿し込む
伸びすぎた気根を無理やり曲げると折れるので注意してください。気根が伸びすぎて、先端だけを土の中に差し込めない場合は、鉢の縁にグルグルと沿わせておくと土の中へ自然と潜り込みます。
気根を上手く鉢土に誘導できない場合は、植え替えのタイミングで伸びた気根を土の中へ埋めるように植え替えるのもおすすめです。
③切る
鉢外に伸びすぎて支柱で誘引したり、鉢土へ誘導したりする方法が難しい場合や、美観を優先したい場合は、気根を切る方法もアリです。
気根を1本切った程度で、モンステラの生育に大きな影響はありませんので安心してください。ただし、「すべての気根を一斉に切る」「親指ほどの気根を茎や幹元で切る」などの場合は、株へのダメージが大きいため、株が弱る原因になります。
気根を切る場合は、以下のような気根を判断基準とすると良いでしょう。
- 生え始めの細い気根
- 黒く枯れた気根
- 支柱への仕立てや鉢土のへの誘導が難しい気根
また、気根を切る際は、切り味が良く清潔な剪定ハサミを使用してください。切れ味が悪いと、切り口から傷みやすいです。不清潔な剪定ハサミでは病原菌が入る恐れがあります。
あらかじめ剪定ハサミを熱やアルコール、薬品などで消毒しておくと、より安心して剪定できます。
気根を切る場合は癒合剤を使う
気根を切る場合は、切り口に癒合剤を塗っておくと安心です。癒合剤は、植物を剪定した際の切り口を保護して、雑菌の侵入を防いでくれます。
商品によっては、殺菌作用を持つタイプもあるため、ぜひ気根に限らず太い茎や枝などを剪定する際に使用してみてください。

気根は増やすのに利用するのもアリ
気根は、モンステラを増やすのにも役立ちます。モンステラは挿し木や茎伏せで増やせますが、気根が付いているか付いていないかで、難易度が全く異なるためです。
簡単に増やしたい場合は、気根を茎に残した状態での剪定をしましょう。気根が茎に付いているだけで、発芽発根のスピードが格段に速くなります。
そのため、大きく育ったモンステラの気根の処理を、株を増やすための剪定として利用するのもおすすめです。
モンステラの気根に関するよくある質問

最後にモンステラの植え替えに関するよくある質問とその答えを以下にまとめました。
- 気根が黒くなるのはどうして?
- 気根を折ってしまったら、もう伸びない?
- 気根の伸ばし方は?
それぞれ詳しく見ていきましょう。
気根が黒くなるのはどうして?
気根が黒くなるのは、「根腐れ」「空気の乾燥」「病原菌の侵入」などが考えられます。気根を無理に曲げて、土の中へ挿し込んだときになりやすい症状でもあります。
根腐れや病原菌の侵入などで黒くなった気根は、柔らかくグズグズした状態です。そのままにしておくと、モンステラ本体にも悪影響を及ぼすので、早めに切って癒合剤を塗りましょう。
空気の乾燥が原因の場合は、気根の先端がシワシワに黒く乾燥します。この場合は、株に悪影響を与えることは少なく、霧吹きをして湿度を高めると、無事な部分から新たな気根が分岐して伸びてきます。
見た目が悪いので、カリカリに黒くなった部分は剪定しておくと良いでしょう。
気根を折ってしまったら、もう伸びない?
長く伸びすぎた気根をそのままにしておくと、水やりや鉢移動の際に折ってしまう方も多いと思います。気根は折れた部分から先は伸びませんが、折れ残った部分の側面から分岐するように新しい気根を伸ばします。
そのため、気根を折ってしまったからと言って、気根を根元から剪定して取り除く必要はありません。
ただし、折れた部分をそのままにしておくと雑菌が侵入する可能性があります。剪定ハサミで切断面を平らにして癒合剤を塗っておくと安心です。
気根の伸ばし方は?
モンステラの気根の伸ばし方は、20~25℃程度の温度で霧吹きや加湿器で湿度を高めて茎に水苔を巻く方法がおすすめです。
根上がりや幹立ちなどのこだわりの樹形を目指す場合は、どこから気根を伸ばすかもこだわりたい方は多いと思います。
筆者は気根が伸びてほしい部分の茎に湿らせた水苔をサランラップで巻いて固定して、発根させる方法を実際に行っていました。気根を出たことを確認できたら、水苔を外して、支柱に沿わせて湿度を高めて管理すると立体的に育てることが可能です。
水苔でなくとも、吸水性のある支柱を茎に当たるようにしておくだけでも、湿度を感じで気根が出やすくなります。ぜひ気根を伸ばしたい方は試してみてください。
まとめ
モンステラの気根の伸長は、株が健康で元気である証拠です。気根自体も生育を促進する重要な器官なので、なるべく切らずにフォルムや性質を活かす形で育てた方が良いでしょう。
しかし、伸びすぎて美観を損ねる場合は、切るのも一つの対処法です。ただし、気根を一斉に全て切ることがないように気を付けてください。
気根を切った後は、病原菌が侵入しないように癒合剤を塗っておくことも重要です。気根をどのように対処するかによって、モンステラの樹形は大きく変わります。
この記事を参考に、ぜひ理想の姿を目指して伸びた気根の対処をしてみてください。
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