エキゾチックな葉の形が人気のモンステラ。インテリアグリーンとしてお部屋で育てている方は多いと思います。
順調に育っている中で「大きくなりすぎて、鉢が不安定」「樹形がだらしなくなった」などの悩みはありませんか。これらの悩みに対して、「支柱をした方がいいのかな?」と疑問に思うことがあるかもしれません。
そこで、今回はモンステラに支柱を立てる方法について詳しく解説します。支柱を立てるタイミングや具体的な支柱の立て方、支柱を立てた後の管理方法まで紹介するので、ぜひ一読してみてください。
この記事を最後まで読めば、大きくなりすぎてだらしなかったモンステラが、よりイキイキと美しい姿に生まれ変わるでしょう。
[https://andplants.jp/collections/monstera]モンステラに支柱は必要?
大株のモンステラには支柱を立てることをおすすめします。支柱を立てた場合のメリットは以下の通りです。
- 株の転倒を防ぐ
- 美しい株姿を維持できる
- 生育が良くなる
- 病害虫を予防できる
モンステラの生育特性も併せて、「なぜ支柱をした方が良いのか」解説します。
株の転倒を防ぐ
モンステラは成長するにつれて新葉が大きくなり、重心のバランスが崩れやすくなります。特に、茎が長く伸びてくると、株全体が傾いたり鉢ごと倒れたりすることも多いです。
鉢が倒れると、せっかく出てきた新芽が傷んだり折れたりするかもしれません。安心して育てるためにも、支柱をして転倒を防ぎましょう。
美しい株姿を維持できる
支柱を立てて茎を上に誘引することで、モンステラ本来の立体的な美しい株姿を維持できます。横にだらしなく広がったり、葉が重なり合ったりする現象を予防できるためです。
モンステラは茎から気根を伸ばす性質があります。伸びた気根をしっかりと鉢土に潜らせておくと株が安定しますが、樹形が乱れている場合は固定されてしまうので注意が必要です。
そのため、理想の樹形に仕立てたい場合は、成長に伴って支柱を立てると安心です。より美しい株姿を維持しやすくなります。
生育が良くなる
モンステラに支柱を立てて、株の傾きや葉の重なりがなくなると、効率的な光合成ができます。また、気根が支柱に絡みつくことで、伸びた茎が風に揺らがないため、株が傷みにくいです。
保水効果のある支柱であれば、気根が支柱から水分や栄養分を吸収できます。気根から効率的に水分や栄養分が吸収できる状態であれば、より新葉は大きな切れ目の入った立派な葉を広げてくれるはずです。
病害虫を予防できる
支柱によって葉の重なりがなくなると、モンステラの株元や中心部までしっかりと風や光が通るようになります。日光や風通しは病害虫予防に非常に重要なポイントです。
空気が滞留すると、株元や中心部で病原菌や害虫が繁殖しやすいジメジメした環境になります。葉と葉の間隔が広がり、風や光が通ることで病害虫の発生予防が可能です。
モンステラに支柱を立てるタイミング

モンステラに支柱を立てるタイミングは、生育期の5月~9月です。生育旺盛な時期であれば、支柱に誘引した茎も固定されやすく、傷みからの回復も早くなります。
特に、以下の症状が見られるモンステラは、生育期の植え替えと一緒に行うと手間なく支柱を立てることができます。
- 株がグラグラする
- 茎が横に傾いている
最初から支柱で立体的にモンステラを仕立てたい方は、最初の植え替えタイミングであらかじめ支柱を立てておくと良いでしょう。成長に伴って、伸びた茎を誘引するだけで簡単に仕立てられます。
モンステラの支柱の立て方

ここでは、モンステラの支柱の立て方は以下の通りです。
- 茎の傾きに注意して支柱を挿す
- 茎を結束して固定する
- 気根は切らずに支柱に固定する
それぞれの手順を詳しく見ていきましょう。
茎の傾きに注意して支柱を挿す
まずはモンステラの正面を決めてください。支柱を立てて立体的に仕立てる場合、葉の向きが揃う正面ができるためです。
正面が決まったら、支柱を茎の真後ろで垂直に挿し込みます。その際に、傾きに注意してください。茎の傾きが大きいほど、株元付近に支柱を挿すと、誘引を強くしなければ固定できません。
無理に誘引すると、茎が傷みます。茎が傾きすぎている場合は、植え替えのタイミングで支柱で誘引したい茎が垂直になるように植えると支柱が挿しやすいです。
支柱を挿し込む際は、土の中の根を傷つけないように気を付けてください。特に株元に近いほど、太い根を傷めやすいです。
なるべく鉢の縁付近に、支柱を挿し込むと上手に支柱を挿せます。
茎を結束して固定する
茎に沿って支柱を挿した後は、結束バンドや麻ひも、ビニタイなどで支柱とモンステラの茎、または葉柄を固定します。固定する際は、モンステラの新芽が出てくる成長点部分(茎の先端から葉柄部分)は避けましょう。
成長点部分を固定した場合、新芽が傷んだり奇形の葉が出てきたりします。また、緩く固定するのもポイントです。
きつく締めすぎると、成長の妨げになったり傷ついたりします。麻ひもで固定する場合は、支柱と茎の間に麻ひもを通して「8の字」になるように結んで固定すると茎が傷みにくいです。

筆者はモンステラに限らず、支柱で茎や幹を固定する場合は8の字で固定するように心がけています。ちょうどよい緩さで固定できるので、ぜひ試してみてください。
気根は切らずに支柱に固定する
モンステラから伸びる気根は、水分や栄養分を吸収する重要な器官です。気根は切らずに支柱に触れるように優しく誘引してください。
支柱と気根を結束バンドや麻ひもで固定する必要はありません。気根が支柱に触れていれば、自然と支柱に絡みつくので、気根が出ている茎を優しく支柱に括りつけてください。
ねこの登り棒やモスポールの場合は、水苔やベラボンなどの資材の中に根が潜り込みます。一度潜り込むとガッチリと固定されて株の安定につながり、水分や栄養分の吸収効率が向上し生育がより良くなるでしょう。
モンステラに支柱を立てた後の管理

モンステラに支柱を立てたら、それで終わりではありません。立体的に美しく育てるためには、支柱を立てた後の管理も重要です。
支柱を立てた後は、以下3つの管理を行いましょう。
- 支柱もしっかりと湿らす
- 成長に合わせて結束して固定する
- 重なり合っている葉は剪定する
支柱もしっかりと湿らす
モンステラに水やりする際は、支柱もしっかりと湿らせてください。特にモスポールやねこの登り棒、ヘゴ支柱などの吸水性のある支柱には、気根が潜り込み水分をしっかりと吸水するためです。
乾燥しやすい時期は、霧吹きをこまめにして支柱を湿らせておくと良いでしょう。モンステラの近くに加湿器を置いて、湿度を安定させておくのもおすすめです。
成長に合わせて結束して固定する
モンステラが成長して、新たな茎や葉柄が伸びてきたら、全体のバランスを見ながら麻ひもや結束バンドで固定してください。新しく伸びた部分を固定する際に、以前の固定部分もチェックしましょう。
緩く固定していても、モンステラの成長スピードによっては、麻ひもや結束バンドが茎や葉柄に食い込んでいる場合があります。生育に悪影響を与えるため、解いて固定し直しておくと安心です。
茎がぐんぐんと伸びて、支柱の長さが足りない場合は、新しい支柱を挿したり継ぎ足したりしてください。
重なり合っている葉は剪定する
支柱を立てて立体的に仕立てても、葉と葉が重なり合っている場合は、古い葉を剪定してスッキリさせてください。剪定を行うことで、風通しが改善されて病害虫予防に繋がります。
また、株全体の葉にまんべんなく光が当たるようになるので、生育も促進されます。見栄えもよくなり、より美しいモンステラを楽しめるでしょう。
モンステラにおすすめの支柱

一言に「支柱」と言ってもさまざまな種類があります。ここでは、園芸店に勤めていた筆者おすすめの支柱を紹介します。
- ココステック
- ねこの登り棒
- モスポール
- モンステラフラワースタンド
- ヘゴ支柱
モンステラの気根は、水分や栄養分を吸収するため、吸水性があり気根が絡みつきやすい、または潜り込みやすい支柱が理想的です。商品化されている支柱もおすすめですが、モンステラに立てる支柱は工夫次第で、自作することができます。
モンステラに立てる吸水性のある支柱の作り方も解説します。
ココスティック

ココスティックは、ココヤシ繊維を巻き付けた棒状の支柱です。多くの園芸メーカーから販売されています。
保水性が高く、気根が絡みつきやすい特徴があります。また、自在に形状を変えられるので、トピアリー風にモンステラを仕立てることも可能です。
ねこの登り棒

ねこの登り棒は、支柱に水苔やベラボンなどを詰めて使用します。販売元の花森家オリジナル用土のねこチップを詰めて、土に差し込みモンステラの茎を誘引しておくと、より気根が潜り込みやすいです。
モスポール

モスポールもねこの登り棒同様に、水苔やベラボンなどを詰めて使用する支柱です。全面が網目状であり、どこからでも気根が張れる特徴があります。
ただし、網目の大きさが決まっているため、隙間から潜り込んだ気根が太くなると気根が圧迫される点には注意してください。あまりに窮屈になるようであれば、周囲の網目を切って間隔を広げると安心して使用できます。
モンステラフラワースタンド

観葉植物の形を保ちながら支えるモンステラフラワースタンド。モンステラの葉をモチーフとしたデザインが可愛らしく、おしゃれに広がりすぎた葉柄を支えることができます。
支柱に着生させて立体的に仕立てる支柱ではなく、広がりすぎた株姿を整える用途として使用する点には注意が必要です。
ヘゴ支柱

ヘゴの木を使用した支柱です。近年ではヘゴの木そのものが希少になっているため、販売が少ない支柱ですが、通気性や保水性に優れています。
ポトスの支柱として利用されていることが多く、観葉植物を長く育てている方にとっては愛着のある支柱ではないでしょうか。ポトス同様にモンステラにも使用でき、根が張りつくように活着します。
モンステラは大きくなるので、細いヘゴ支柱だと支えられない可能性がありますので、太いヘゴ支柱を利用しましょう。
支柱は自作することもできる
モンステラに立てる支柱は自作することもできます。塩ビパイプ(硬質塩化ビニル管)や竹などに水苔を麻ひもで巻き付けるだけでも十分です。
煮沸してあく抜きした流木であれば、インテリア性の高い支柱としても利用できます。また、筆者はゴルフ用品として販売されているネトロンプロテクターに水苔を詰めてモスポールの代用としたことがあります。
工夫次第でモスポールやココスティックのような支柱を作ることは可能です。ただし、本来の用途ではないので、作成や使用には注意してください。
モンステラに立てる支柱に関するよくある質問

最後にモンステラに立てる支柱に関するよくある質問とその答えを以下にまとめました。
- 支柱を立てる際に根を傷つけたらどうしたらいい?
- プラヘゴに詰める素材は水苔とベラボンどちらがいい?
- 曲がった葉を支柱で真っ直ぐにするにはどうしたらいい?
それぞれ詳しく見ていきましょう。
支柱を立てる際に根を傷つけたらどうしたらいい?
支柱を立てる際に、細い根が切れる程度であれば問題ありません。ただし、株元近くの太い根を傷つけた際は、一時的に株が弱ったり葉がしおれたりする可能性があります。
植え替えのタイミングで支柱をセットする場合は、太い根に当たらないように土に差し込んでください。挿し込んだ際に太い根が折れた場合は、癒合剤を塗っておくと安心です。
その後は、活力剤を水に薄めながら様子を見てください。よほど株元に近い太い根を折らない限り、枯れる心配はないでしょう。
プラヘゴに詰める素材は水苔とベラボンどちらがいい?
プラヘゴ(プラスチック製の筒状支柱)に詰める素材は、初めてプラヘゴ支柱を使う場合は、保水性の高い水苔をおすすめします。モンステラの気根にとって吸水がしやすいため、水切れの心配が少なくなります。
ベラボンも良い素材ですが、水苔に比べると保水性が劣ります。しかし、水苔よりも通気性に優れているため、気根は太く長く成長しやすいです。
どちらにも良い点がありますので、育て方や環境に応じて使い分けるとよいでしょう。
曲がった茎を支柱で真っ直ぐにするにはどうしたらいい?
モンステラの曲がった茎を支柱で無理やり誘引すると株が傷む可能性があります。そのため、曲がった茎を真っ直ぐにしたい場合は、植え替えの段階で整えてあげましょう。
茎を鉢に対して垂直になるように植えてください。根の方向はどちらを向いてても、鉢内に収まれば、自然と下向きに伸びます。
その後、支柱で固定すると真っ直ぐの茎のモンステラになります。最初は葉の向きに違和感がありますが、根と同様に自然と光の方向に向くので安心してください。
まとめ
モンステラに支柱を立てることは、樹形を整えるだけでなく、転倒防止や生育促進、病害虫予防に効果があります。大株であるほど、葉が大きくなり樹形が乱れやすいので、ぜひ支柱を立てて支えてみてください。
支柱を立てるタイミングは生育期の5月~9月。株がグラグラしていたり、樹形が乱れていたりしたときに行います。
吸水性のある支柱を使うと、根が良く絡み潜るため、より立体的な美しい樹形になるでしょう。ぜひ生育促進だけでなく、理想の樹形も目指して支柱を立ててモンステラを育ててみてください。
[https://andplants.jp/collections/monstera]