初めて植物を育てる際に、最初の一鉢として選ばれやすいサボテン。しかし、意外とサボテンを枯らした経験がある方は多いのではないでしょうか。
「育てやすいと聞いていたのに、サボテンも育てられなかった…」と、植物を育てるのを諦めていませんか。実は、サボテンが枯れる理由には、明確な原因があります。
そこで、今回はサボテンが枯れる原因と復活方法について紹介します。枯れそうになっているサインも解説しているので、ぜひ参考にしてサボテンを育ててみてください。
枯れそうなサボテンがある場合は、ぜひ復活方法を試してみると良いでしょう。サボテンの状態によっては、元通りの状態にまで復活するかもしれません。
サボテンが枯れる原因
サボテンが枯れる主な原因には、以下の6つがあります。
- 水のやりすぎ(やらなすぎ)
- 凍結
- 日当たりの過不足
- 肥料の与え過ぎ
- 害虫
- 暗い室内から日当たりの良い屋外への移動
それぞれの原因を詳しく見ていきましょう。
①水のやりすぎ(やらなすぎ)
サボテンが枯れる原因の1つに水のやりすぎ(やらなすぎ)があります。特に、初めて植物を育てる方がサボテンを最初の1鉢に選ぶと、水をやりすぎて枯らしてしまうことが多いです。
品種にもよりますが、ほとんどのサボテンは水分を溜めこむ性質があり、乾燥した環境を好みます。そのため、土が常に湿っている環境では根腐れして枯れやすいです。
かといって、「生育期の春夏に1度も水やりをしない」「2ヶ月以上水やりしない」など極端に水やりをしない育て方も注意が必要です。
「サボテンは水やりしなくてもいい」と考えて育てると、水不足で徐々にしぼんで枯れていきます。確かにサボテンの水やり頻度は、一年を通して少ないですが、「まったく水やりが不必要」といったわけではありません。
季節に応じて、土やサボテンの状態を確認して水やりしましょう。
②凍結
サボテンが枯れる原因には凍結があります。品種によって耐寒性は異なりますが、ほとんどのサボテンは0℃以下の寒さに当たり続けて、凍結までしてしまうと枯れます。
カチカチに凍結した後は、次第に水分が溢れ出るようにグズグズに黒ずんでいくので注意してください。気温が下がる冬は、最低でも5℃以上はキープしながら管理しましょう。
室内の明るい場所で10℃以上をキープできると安心して冬越しできます。
③日当たりの過不足
サボテンは日当たりの良い環境を好む植物です。まったく日差しが差し込まない暗い環境では育ちません。
ヒョロヒョロに伸びて、いずれ枯れてしまいます。なるべく、日当たりの良い窓際や屋外で育てましょう。
ただし、真夏の直射日光には注意してください。日光を好むサボテンであっても、株が焼けがちです。
株が赤黒く焦げたり、部分的に白っぽくなったりします。小さなサボテンであればあるほど、真夏の直射日光で枯れやすいです。
真夏に日当たりの良い屋外で管理する場合は、寒冷紗やサンシェードで日差しを弱めたり、当たらない場所に移動させたりしてください。
④肥料の与え過ぎ
サボテンが枯れる原因に、肥料の与え過ぎがあります。痩せた土地で育ってきているため、肥料をあまり必要としません。
固形肥料・液体肥料ともに与えすぎると、根傷みして枯れる原因になりやすいです。基本的に無肥料で育てた方が安心です。
もし「花を咲かせたい」「大きく育てたい」といった場合は、サボテン専用の肥料を生育期に少量与えてください。観葉植物用の肥料だと、肥料分が強すぎて根傷みする可能性が高いので注意しましょう。
⑤害虫
サボテンには以下の害虫が発生します。そのままにしておくと枯れる原因になるので、注意してください。
- ハダニ
- カイガラムシ
- ネジラミ
ハダニやカイガラムシが増殖すると、サボテンの生育は悪化します。糞が原因で発生するすす病を誘発する場合もあるので、見つけ次第すぐに殺虫剤を噴霧したり柔らかいブラシで取り除いたりしてください。
ネジラミとは、サボテンをはじめとした多肉植物の根に発生しやすい白い綿のような害虫です。カイガラムシの1種ですが土の中にいるため、植え替えのタイミング以外に気づきにくく、増殖すると枯れる原因になります。
急にサボテンの色が悪くなったり、しぼんできたりした場合は、ネジラミの可能性もあります。植え替えのタイミングで根をチェックして、取り除いたり殺虫剤を散布したりして対処してください。
⑥暗い室内から日当たりの良い屋外への移動
サボテンは日光を好む植物ですが、暗い室内から急に日当たりの良い屋外へ移動させると枯れる恐れがあります。急な環境変化は、植物に大きなストレスがかかるためです。
「暗い室内でサボテンが徒長してしまったので、日当たりの良い屋外に移動させよう」と考える方は多いと思います。適切な環境への移動は、非常に良いことです。
しかし、今まで暗い室内で育ってきたサボテンに、急に直射日光を当てると株が傷みやすいので注意してください。真夏の場合は、黒く焦げて枯れることもあります。
一度、室内の明るい窓際で1週間ほど様子を見て、さらに屋外の明るい半日陰で1週間置くなど、段階を踏んで日当たり具合に慣れさせてください。環境に慣れると、直射日光に当たり続けても調子を崩しにくくなります。
急な環境変化は、日当たりだけではありません。温度差のある環境に急に移動させると弱りやすいので、いきなり場所を移動させずに中間の1~2段階の環境を挟むようにすると安心です。
サボテンが枯れそうなサイン

サボテンが枯れそうなサインは、以下の5つです。
- 変色する
- しぼむ
- 根元が腐る
- ふにゃふにゃと伸びる
- トゲが茶色~黒色に変色する
枯れそうなサインを把握しておくと、すぐに対処・復活させることができます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
変色する

サボテンが枯れそうなサインに、表皮の変色があります。緑色の表皮が真夏の直射日光によって赤茶色~黒色に、日当たり不足によって薄緑になるような変化のことです。
サボテンの表皮の変色は、生育が悪化している証拠。そのままの環境で育て続けると枯れる可能性があります。
日当たりや温度、水やりなど原因を考えて、置き場所を変えてみてください。
上記の写真は、筆者が実際に育てているアストロフィツムです。よく見ると、赤っぽくなっていることに気づくと思います。これは、強い直射日光に当て過ぎた結果です。
直射日光に当たる場所に置く前は赤くありませんでした。現在は、直射日光が当たらない明るい場所に移動させています。
しぼむ

サボテンが枯れそうなサインに、しぼむ現象があります。水やり頻度が極端に少なかったり、根腐れ・ネジラミなどが発生したりして現れます。
サボテンの表皮にしわが寄っている程度であれば、すぐに水やりすると元通りにプクッと膨らむこともあるので安心してください。ただし、サボテンの表皮が凹むようにしぼんでいる場合は、元に戻らない場合も多いです。
根腐れやネジラミの場合は、そのまま枯れることも。サボテンの表皮にシワが入ったりしぼんだりしたら、一度水やりをしてみましょう。
元に戻らない場合は、土がしっかり乾いた後に、鉢から取り出して根をチェックしてみるとよいかもしれません。
上記の写真は、筆者が育てているブエネッケリーです。数年前から徐々に調子を崩し、今ではしぼんでいます。
子株が出てきており、まだ硬いので、そのままにしていますが、タイミングを見て株分けをする予定です。
根元が腐る
サボテンに水を与えすぎると根腐れします。根腐れしたサボテンの多くは、根元が腐ります。
根元が腐ったサボテンは、身体を支えきれずに倒れて枯れるので注意してください。サボテンの多くは、生育期の春~夏であっても土が完全に乾くまで水やりしません。
気温が下がる秋以降は、月に一回または断水気味に管理します。土が常に湿っていることがないように、水やり管理をしましょう。
根元が腐る原因は、水以外に土にもあります。水持ちが良い土を使うと、土が乾かずに蒸れて腐ることも多いです。
サボテンを植える土は、水はけの良さを重視してください。
ふにゃふにゃと伸びる

サボテンが枯れそうなサインに、ふにゃふにゃと伸びる現象があります。日当たり不足で徒長している証拠です。
ふにゃふにゃに伸びているサボテンは、十分な光合成ができておらず、弱っている状態です。表皮の組織も柔らかいため、病害虫の被害にも合いやすいので注意してください。
徒長したサボテンは元の姿には戻りません。それ以上、状態が悪くならないように、明るい環境に移動させてください。
トゲが茶色~黒く変色する
サボテンの白いトゲが茶色~黒色に変色する場合も、枯れそうなサインです。主に、根腐れや環境の変化、害虫による生育悪化が考えられます。
水やり頻度が多くて根腐れしていないか、置き場所を急に変更していないかなどを原因を確認してください。水やりや環境、害虫による被害などを改善すると、トゲの変色は止まり、生育とともに気にならなくなるでしょう。
枯れそうなサボテンの復活方法

枯れそうなサボテンの復活方法は、以下の4つです。
- 植え替える
- 日光が当たる環境に移動させる
- 発根剤を与える
- 胴切りや株分けをする
サボテンが完全に枯れていないのであれば、復活する可能性があります。ぜひ紹介する復活方法を試してみてください。
それでは詳しく見ていきましょう。
植え替える
サボテンが枯れそうな場合は、生育期の春夏(5月~7月)に植え替えてみてください。植え替えの際に、根の状態も一緒に確認しましょう。
枯れそうなサボテンの根には、ネジラミが付いている場合も多いです。ネジラミが原因であれば、ピンセットで取り除いたり殺虫剤を噴霧したりして植え替えると元気になります。
根腐れであれば、根を整理して一回り小さい鉢にサボテン専用の土や、水はけのよい土で植え替えるとよいでしょう。根の状態を確認する意味でも、枯れそうなサボテンの復活方法として、植え替えはぜひ試してみてください。
日光が当たる環境に移動させる
サボテンを暗い場所で育て続けて枯れそうな場合は、日光が当たる環境に移動させてください。ただし、急に直射日光には当てずに、中間の明るさに慣らしながら少しずつ移動させます。
もし、お部屋の窓やカーテンを開ける機会が少ない場合は、日頃から植物育成LEDライトで明るさを維持しながら育てましょう。

外出の機会が多く、お部屋をカーテンで閉めっぱなしの方は、ぜひ植物育成LEDライトを取り入れてみてください。
植物育成LEDの光を照射しながら育てると、ふにゃふにゃに伸びる徒長はグッと抑えられます。
AND PLANTSでは、太陽光に近い波長を発する植物育成ライト「TSUKUYOMI 10W ホワイト」を取り扱っています。ライトスタンドと合わせて使うと、室内でもおしゃれ、かつ元気にサボテンを育てられるでしょう。
[https://andplants.jp/products/tsukuyomi-10w]発根剤を与える

根傷みや根腐れの初期、植え替え後は発根剤を与えて、サボテンを復活させてください。元気な根が伸びれば、発色も良くなり子株も出てきやすくなります。
枯れそうだからと言って、「元気になるように肥料を与える」ことがないように気を付けてください。枯れそうなサボテンに肥料を与えると、根傷みや根腐れを進行させて逆効果です。
まずは、新しい根を伸ばすことが重要。土がしっかりと乾いているタイミングで与えて、明るく風通しの良い場所で様子を見ましょう。
ただし、気温が下がり始める秋以降は、無理に発根剤は与えずに乾燥気味に育てた方が安心です。湿った土が気温で冷えることがないようにしてください。
AND PLANTSでは「微生物の力で植物を元気にする水」を取り扱っています。光合成細菌の働きによって、弱った植物を元気にする効果もあるので、ぜひ一度使ってみてください。
[https://andplants.jp/products/microorganismswater]胴切りや株分けをする

根元が腐って枯れそうなサボテンの復活方法には、生育期の春夏に行う胴切りや株分けがおすすめです。根元が完全に腐っている場合は、植え替えや発根剤では復活しません。
まだ腐っていない上部の元気な部分を切る「胴切り」をしましょう。切断面は、風通しがよく明るい場所で乾燥させてください。
1~2日後に切断面がしっかり乾いていたら、土の上に置いて子株が出てくるのを待ちます。子株が出てくるまでは、水やりはしません。
また、根元が腐っているサボテンの周囲や上部に子株がある場合は、株分けしておくと安心です。株分けしたサボテンは、胴切りしたものよりも早く復活します。
サボテンを枯らさない育て方

サボテンを枯らさないためには、基本的な育て方をしっかり守ることが重要です。ここでは、項目別に基本の育て方を表にまとめて簡単に紹介します。
項目 | 育て方 |
日当たり | 日当たりの良い場所に置く(真夏を除く) |
温度 | 最低10℃以上をキープする |
水やり | 春夏:土が乾いてから 秋冬:月に1回、または断水 |
用土 | 水はけのよいサボテン専用の土 |
肥料 | 基本的に与えなくてもよい |
サボテンの中でも、インテリア性が高く育てやすい柱サボテンを育てている方は、「柱サボテンの育て方」の記事が参考になります。
よくあるトラブルや質問にも詳しく解説しているので、ぜひチェックしてみてください。
サボテンが枯れそうな時によくある質問

最後にサボテンが枯れそうな時によくある質問とその答えを以下にまとめました。
- サボテンは枯れるとどうなる?
- 枯れた部分は木質化する?
それぞれ詳しく見ていきましょう。
サボテンは枯れるとどうなる?
サボテンは完全に枯れると、茶色くなり一回り小さくなることが多いです。ただし、枯れる原因となった症状や品種によって、枯れた時の状態は異なります。
例えば、寒さで凍結して枯れた場合は、サボテン全体から水分が溢れるように出てきて、真っ黒になりながらしぼみます。真夏の直射日光で枯れた場合は、焦げたような症状が現れることも。
サボテンは種類が多く、トゲではなく真っ白い髭に包まれたような姿をしているものもあります。そのようなサボテンは、表皮が見えないため、一見枯れているかどうか気づきにくいです。
触ってみると、弾力がなくポロっと土から取れて、初めて枯れていることに気づく場合もあります。
枯れた部分は木質化する?
サボテンは枯れた部分が木質化するわけではありません。長年、育て続けた結果、根元部分から徐々に木質化していきます。
本来、サボテンの木質化は乾燥地帯で生き残るための仕組みです。根元がより硬くなることで、水分の蒸発を防ぐのに役立っています。
木質化したサボテンは観賞価値が高く、インテリアグリーンとしても非常に人気があります。真夏の直射日光に当たり続けると、カサブタのような痕が残ることがありますが、この症状は木質化ではありません。
木質化させたい場合は、大切にじっくりと育て続けてください。
まとめ
サボテンは、多くの方が1度は育てたことがある植物だと思います。初めての1鉢として育て始めた方の多くは、水のやりすぎ(やらなすぎ)で枯らしているのではないでしょうか。
サボテンが枯れる原因は、「水やり」「日当たり」「凍結」「肥料」などさまざまです。基本的に日差しの入る明るい環境で、水やりと温度に注意していれば、枯れずに育ちます。
もし枯れそうになっている場合は、気温が安定した5月以降に根のチェックをして植え替えてみてください。植え替え後に元気にならない場合は、胴切りや株分けで増やして復活させることも考えると良いでしょう。
この記事で紹介した枯れそうなサインを見かけたら、ぜひ復活方法を試してみてください。元通りとは言えなくとも、小株が出てきたり張りが戻ったりして元気になるはずです。
- サボテンのケアグッズを購入したい方はこちら