「大切なカーネーション、今年こそは長くきれいに咲かせたい!」そう思っているのに、なぜか毎年すぐに元気がなくなったり、蕾のまま枯れてしまったりした経験はありませんか?
愛情を込めてお世話しているつもりでも、ちょっとした育て方のコツを知らないだけで、カーネーションはその美しい姿を十分に発揮できないことがあるのです。
「水やりはこれで合ってる?」「葉が黄色くなるのはどうして?」「もし虫がついたら…」といった不安や疑問を抱えたままでは、せっかくのガーデニングも心から楽しめませんよね。
そこでこの記事では、カーネーションの基本的な育て方はもちろん、多くの方が悩む枯れる原因や厄介な病害虫対策まで、初心者の方にも分かりやすく徹底解説します。
正しい知識を身につけて、大切なカーネーションを毎年美しく咲かせる喜びを、ぜひ感じてください。
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[https://andplants.jp/pages/flowers]カーネーションの特徴
カーネーションは、そのフリルのように波打つ花びらと、甘く優しい香りで、多くの人々に愛されているお花です。

ナデシコ科ナデシコ属の多年草で、適切な環境でお世話をすれば、毎年美しい花を咲かせてくれる可能性があります。最もよく知られているのは「母の日」の贈り物としての役割でしょう。
また、花持ちが比較的良いことも特徴の一つで、長くその美しさを観賞できるのは嬉しいポイントですね。育てる上では、日当たりと水はけの良い環境を好むという性質を理解しておくことが大切になるです。
古くから人々に愛され、様々な品種が生み出されてきたカーネーションは、まさに歴史と魅力に溢れたお花と言えます。
カーネーションの主な種類
カーネーションには、花のつき方や大きさによって、いくつかの主要な種類に分けられます。これを知っておくと、お花屋さんで選ぶ際や、育てる品種を選ぶ際の参考になるでしょう。
代表的なのは以下の2つのタイプです。
カーネーションの主な種類 | 特徴 |
スタンダードカーネーション | 1本の茎に1輪の大きな花を咲かせるタイプです。「一茎一花(いっけいいっか)」とも呼ばれ、切り花として花束やアレンジメントによく利用されます。 |
スプレーカーネーション | 1本の茎から枝分かれし、複数の小ぶりな花を咲かせるタイプです。スプレー咲きとも呼ばれ、全体的にボリューム感があり、可愛らしい印象を与えます。 |
この他にも、花のサイズが極小のミニチュアカーネーションや、特定の花の形を持つものなど、細かく分類されることもあります。
それぞれの種類に個性があり、用途や好みに合わせて選ぶことができるのは、カーネーションの大きな魅力の一つと言えるでしょう。
カーネーションの育て方

カーネーションを元気に美しく育てるためには、以下7つのポイントがあります。
- 置き場所と日当たり
- 水やりのコツと頻度
- 肥料の与え方
- 花がら摘み
- 切り戻し・剪定
- 芽かき・摘心
- 植えつけ・植え替え
お花を育てるのが初めてという方でも、基本をしっかり押さえれば大丈夫です。
置き場所と日当たり
カーネーションは、お日様の光が大好きな植物です。美しい花をたくさん咲かせるためには、日当たりの良い場所で育ててあげることが基本となります。
ただし、季節によって少し注意が必要です。春や秋は、屋外でたっぷりと日光浴させてあげましょう。しかし、夏の強い直射日光は、葉が焼けてしまう原因になることがあります。
そのため、夏場は半日陰や、明るい日陰に移動させるのがおすすめです。また、風通しの良い場所を好むので、空気がこもらないように気をつけてください。
冬場は、寒さに強い品種もありますが、霜や凍結を避けるため、ベランダの軒下や室内の日当たりの良い窓辺で管理すると安心でしょう。
水やりのコツと頻度
カーネーションの水やりは、「土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出るくらいたっぷりと与える」のが基本です。指で土を触ってみて、乾いているのを確認してから水やりを行いましょう。
常に土が湿っている状態は、根腐れの原因になるため禁物です。特に、受け皿にたまった水は、こまめに捨てるようにしてください。
水やりの頻度は、季節や置き場所、鉢の大きさによって変わってきます。
例えば、夏場は土が乾きやすいため回数が増え、冬場は生育が緩やかになるため控えめにするのが一般的。植物の様子や土の状態をよく観察し、適切なタイミングで水を与えることが大切です。
肥料の与え方
カーネーションが元気に育ち、たくさんの花を咲かせるためには、適切な時期に肥料を与えることが重要です。特に、生育期である春(3月~5月頃)と秋(9月~11月頃)には、定期的に肥料を施しましょう。
肥料には、すぐに効果が現れる液体肥料と、ゆっくりと効果が持続する緩効性の固形肥料があります。
液体肥料の場合は、製品の指示に従って薄め、水やり代わりに週に1回から10日に1回程度与えるのが一般的です。固形肥料の場合は、月に1回程度、株元に置き肥します。
ただし、真夏や真冬は株が弱りがちなので、肥料は控えるようにしてください。与えすぎは根を傷める原因にもなるため、適量を守ることが肝心です。
花がら摘み

カーネーションの花が咲き終わったら、こまめに「花がら摘み」を行いましょう。これは、見た目を美しく保つだけでなく、植物にとっても大切な作業です。
咲き終わった花をそのままにしておくと、種を作ろうとして栄養が使われてしまい、次の花が咲きにくくなったり、株全体が弱ったりする原因になります。
また、枯れた花びらがカビや病気の温床になることもあります。花がら摘みの方法は簡単で、咲き終わった花のすぐ下、花茎の付け根の部分からハサミで切り取るか、手で摘み取ってください。
このひと手間で、株の負担を減らし、次々と新しい花を楽しむことができるでしょう。
切り戻し・剪定
カーネーションを長く元気に楽しむためには、「切り戻し」または「剪定(せんてい)」と呼ばれる作業が効果的です。伸びすぎた茎や葉を整理し、株全体の風通しを良くすることで、病害虫の発生を抑える目的があります。
また、株をコンパクトに仕立て直し、次のシーズンに再び美しい花を咲かせるための準備にもなるのです。
主な切り戻しの時期は、花が一段落した梅雨入り前や、秋の花が終わった後が良いでしょう。具体的には、草丈の半分から3分の1程度を目安に、思い切って茎を切り詰めます。
この作業によって株が若返り、新しい芽が育ちやすくなることを期待できます。
芽かき・摘心
より立派な花を咲かせたい、あるいは花数を増やしたい場合に有効なのが「芽かき」や「摘心(てきしん)」という作業です。少し専門的に聞こえるかもしれませんが、コツを掴めば難しくありません。
「芽かき」とは、主となる花に栄養を集中させるために、脇から出てくる小さな芽(脇芽)を取り除く作業です。スタンダードカーネーションなどでは、より大きな一輪の花を咲かせることができます。
一方、「摘心」は、若い茎の先端(頂芽)を摘み取ることで、そこから下の節から複数の脇芽が伸びるのを促し、結果的に花数を増やすテクニックです。主にスプレーカーネーションなどで行われます。
上記の作業は必須ではありませんが、挑戦してみるのも良い経験になるでしょう。
植えつけ・植え替え
カーネーションの苗を購入したり、鉢で育てている株が大きくなったりしたら、「植えつけ」や「植え替え」が必要です。
植えつけ・植え替えの適期は、気候が穏やかな春(3月~5月)か秋(9月~10月)が良いでしょう。
鉢植えの場合、一般的に1~2年に1回、根が鉢の中でいっぱいになってきた(根詰まりしてきた)タイミングで、一回り大きな鉢に植え替えます。
植え替えの際は、古い土を少し落とし、傷んだ根があれば取り除いてから、新しい水はけの良い培養土で植え付けてください。
植え付け後は、水をたっぷりと与え、数日間は直射日光を避けた明るい日陰で管理すると、株が新しい環境に馴染みやすくなります。
カーネーションのトラブルと対策方法

大切に育てているカーネーションも、時には元気がなくなったり、思うように育たなかったりすることがあります。しかし、諦めるのはまだ早いかもしれません。
ここでは、カーネーションによく見られるトラブルと、その具体的な対策方法をご紹介します。
- カーネーションが枯れた場合
- 蕾がたくさんあるが咲かない場合
- 葉が黄色くなる場合
- 茎が垂れ下がる場合
原因を見極めて適切に対処すれば、また元気な姿を取り戻してくれることも。一緒に解決策を探っていきましょう。
カーネーションが枯れた場合|大胆に切り戻し植え替え
カーネーションが枯れてしまったように見えても、株元や根が生きている場合があります。まずは、完全に枯れてしまった部分を大胆に切り戻してみましょう。
茶色く変色した茎や葉を取り除き、緑色の部分が残っていれば希望があります。
次に、そっと鉢から株を取り出し、根の状態を確認してください。黒ずんで腐っている根があれば清潔なハサミで切り取り、健康な根だけを残します。
その後、新しい清潔な培養土を使って、一回り小さな鉢か同じサイズの鉢に植え替えてあげましょう。
植え替え後は、明るい日陰で様子を見ながら、土の表面が乾いたら水を与える程度にし、回復を待ちます。
蕾がたくさんあるが咲かない場合|置き場所の見直し
カーネーションに蕾がたくさんついているのに、なかなか花が開かないという悩みは意外と多いものです。主な原因として考えられるのは、日光不足です。
カーネーションは花を咲かせるために十分な光を必要としますので、まずは置き場所を見直してみましょう。室内であればより明るい窓辺へ、屋外であれば日照時間を確保できる場所に移動させてみてください。
ただし、夏の強すぎる直射日光は避けましょう。
また、肥料不足、特に花を咲かせるためのリン酸やカリウムが足りていない可能性も考えられます。
適切な時期に、バランスの取れた肥料や花用の肥料を与えてみるのも良いでしょう。水の過不足や根詰まりも影響することがあるので、全体的な生育環境をチェックすることが大切です。
葉が黄色くなる場合|水やり・置き場所の見直し
カーネーションの葉が黄色く変色してしまうのは、水のやりすぎによる根腐れ、または逆に水切れです。
土の状態をよく確認し、常に湿っているようなら水やりを控え、乾燥しているなら適切な量を与えましょう。
また、日照不足も葉が黄色くなる原因の一つ。明るい場所に移動させて様子を見てください。
肥料の過不足も影響します。特に窒素過多や特定の栄養素の欠乏は葉色に現れやすいです。
その他、古い下葉が自然に黄色くなる生理現象や、病害虫の可能性も否定できません。まずは水やりと置き場所を見直し、それでも改善しない場合は肥料や病害虫を疑ってみるのが良いでしょう。
茎が垂れ下がる場合|水やり・置き場所の見直し
カーネーションの茎がぐったりと垂れ下がってしまった原因の多くは水切れです。土の表面が乾いていたら、すぐにたっぷりと水を与えてみましょう。数時間で回復することがあります。
しかし、土が湿っているのに茎が垂れている場合は、逆に水のやりすぎによる根腐れの可能性があります。根が傷んでいると水分をうまく吸い上げられなくなるのです。
この場合は、鉢土の過湿を避け、風通しの良い場所に移動させて土を乾かし気味に管理します。
また、夏の暑い時期には、一時的に水分が蒸散しすぎてしおれることもあります。涼しい場所に移動させ、葉水を与えるなどして様子を見てください。
日照不足で徒長し、茎が弱々しくなっていることも考えられるため、適切な日当たりも重要です。
カーネーションの病気・害虫と対策

カーネーションを健やかに育てるためには、病気や害虫の発生に注意することが大切です。ここでは、カーネーションがかかりやすい代表的な病気と、悩まされがちな害虫について、その見分け方と具体的な対策方法を解説します。
- 灰色かび病・立枯病
- アブラムシ・ハダニ・ヨトウムシ
灰色かび病・立枯病
カーネーション栽培で特に注意したい病気の一つが「灰色かび病」です。
低温で湿度が高い時期、特に梅雨時や秋の長雨の時期に発生しやすくなります。花や葉、茎に灰色のカビがびっしりと生え、やがて腐敗してしまう病気です。
予防としては、風通しを良くし、咲き終わった花がらや枯れ葉をこまめに取り除くことが肝心です。水やりの際は、花や葉に直接水がかからないように注意しましょう。もし発生してしまったら、初期であれば病変部を丁寧に取り除き、症状が広がるようなら専用の殺菌剤を使用します。
もう一つ厄介なのが「立枯病」で、主に土壌中のカビが原因です。
地際部から変色し始め、急に株全体がしおれて枯れてしまいます。水はけの悪い土壌や連作を避ける、清潔な用土を使用するなどが予防策となります。
残念ながら発病後の回復は難しいため、見つけ次第株を抜き取り処分し、土壌の入れ替えや消毒を検討するのが賢明でしょう。
アブラムシ・ハダニ・ヨトウムシ
カーネーションに群がる代表的な害虫として「アブラムシ」が挙げられます。

新芽や若い葉、蕾などにびっしりと付着し、吸汁して株を弱らせるだけでなく、ウイルス病を媒介することもあるので注意が必要です。
見つけ次第、粘着テープで取り除いたり、牛乳を薄めたスプレーを吹きかけたりするのも効果的。数が多い場合は、専用の殺虫剤で対処しましょう。
「ハダニ」は、特に高温で乾燥した環境を好み、葉の裏に寄生して養分を吸います。

被害が進むと葉が白っぽくカスリ状になり、クモの巣のような細い糸が見られることもあります。
予防には、こまめに葉の裏に水をかける「葉水」が有効です。発生してしまったら、ハダニに効果のある殺虫剤を使用します。
夜間に活動する「ヨトウムシ」の幼虫も油断できません。

昼間は土の中に隠れていますが、夜になると這い出してきて葉や花を食べてしまいます。
食害痕を見つけたら、夜間に懐中電灯で探して捕殺するか、誘殺剤や専用の殺虫剤を利用するのが良いでしょう。
カーネーションの育て方に関するよくある質問

カーネーションを育てていると、「こんな時どうしたらいいの?」と疑問に思うことが出てくるかもしれません。
ここでは、カーネーションの育て方について特にお問い合わせの多いご質問と、それに対する分かりやすい回答をまとめました。
- カーネーションの挿し木はどうやる?
- カーネーションの鉢植えの寿命は?
- 地植えでカーネーションを育てるポイントは?
カーネーションの挿し木はどうやる?
カーネーションは「挿し木(さしき)」で手軽に増やすことができます。最適な時期は、生育が旺盛な春(4月~6月頃)か秋(9月~10月頃)です。
以下に基本的な手順をまとめました。
- 穂木の準備:元気な茎を選び、先端から10cmほどの長さにカット。
- 下葉の処理:土に埋まる部分の葉を取り除き、一番下の切り口をカッターなどで斜めにスパッと切り直す。
- 水揚げ:切り口を1時間ほど清潔な水に浸けて、しっかりと水を吸わせる(この時、発根促進剤を使用するのも効果的)。
- 挿し床に挿す:湿らせた挿し木用の土(赤玉土小粒やバーミキュライトなど)に、準備した穂木を丁寧に挿す。
- 発根までの管理:土が乾燥しないように注意しながら、直射日光を避けた明るい日陰で管理する。
通常、数週間から1ヶ月ほどで根が出てきます。新しい葉が展開し始めたら、発根したサインと考えて良いでしょう。
根が十分に育ったら、優しく鉢上げしてあげてくださいね。
カーネーションの鉢植えの寿命は?
カーネーションは本来多年草ですので、適切な環境と手入れを行えば、1年で枯れてしまうわけではありません。
鉢植えの場合、その寿命は育て方や品種、環境によって大きく変わってきます。
一般的には、定期的な植え替え(1~2年に一度が目安)や適切な剪定、病害虫対策をしっかりと行うことで、数年間は美しい花を楽しむことができるでしょう。
しかし、年々株は少しずつ老化していくため、勢いが弱まってきたり、花つきが悪くなったりすることは避けられません。
そのため、長くカーネーションを楽しみたい場合は、挿し木などで新しい株を作り、更新していくのがおすすめです。愛情を込めてお世話をすれば、その分長く応えてくれるはずです。
地植えでカーネーションを育てるポイントは?
カーネーションを地植えにすると、根を自由に伸ばしてのびのびと育つ姿が楽しめます。
鉢植えとは少し異なる管理ポイントを押さえて、地植え栽培を成功させましょう。主なポイントは以下の通りです。
- 水はけの良い土壌作り:腐葉土や堆肥を混ぜ込み、砂を加えて水はけを良くし土壌改良をしっかりと行う。
- 日当たりの確保:花をたくさん咲かせるためには、十分な日光が不可欠。建物の陰にならない、一日中よく日が当たる場所を選ぶ。
- 連作を避ける:同じ場所に続けてナデシコ科の植物を植えると、病害虫が発生しやすくなる「連作障害」が起きることも。できれば新しい場所を選ぶ。
- 適切な株間:苗を植え付ける際は、株と株の間隔を20~30cm程度あけ、風通しを良くすることが病気予防につながる。
- 植え付け時期:気候が穏やかな春(3月~5月)か秋(9月~10月)が植え付けの適期。
- 冬越し対策:品種やお住まいの地域によっては、冬場の霜よけや株元へのマルチングなどの防寒対策が必要になる場合がある。
これらのポイントに注意して環境を整えてあげれば、地植えならではのダイナミックなカーネーションの成長を楽しむことができるでしょう。
まとめ
日当たりや水やりの基本から、季節ごとのお手入れ、植え替え、さらには悩ましい病害虫対策やトラブル解決法まで、カーネーションを元気に美しく育てるための知識を網羅的にお伝えしました。
最初は難しく感じるかもしれませんが、大切なのは植物の小さな変化に気づき、愛情を持ってお世話を続けることです。
この記事でご紹介したポイントを一つひとつ実践していけば、きっとカーネーションはあなたの想いに応え、毎年可憐な花を咲かせてくれるでしょう。
もし途中で迷ったり困ったりした時は、またこの記事を読み返してみてください。あなたのカーネーションが生き生きと花開くことを、心から応援しています。
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