「新築の庭、夢は広がるけど、何から植えればいいんだろう…」「たくさんありすぎて選べないし、絶対に後悔だけはしたくない」。
マイホームを手に入れた喜びと共に、多くの方がそんな悩みを抱えています。
憧れだけで庭木を選んでしまうと、「思ったより大きくなりすぎて手に負えない」「虫だらけで庭に出たくない」「落ち葉掃除が大変すぎる」といった、10年後、20年後まで続く後悔に繋がることも少なくありません。
この記事では、単なる人気ランキングではなく、ライフスタイルと家に本当に合う「後悔しない一本」を見つけるためのプロの視点と、具体的なおすすめの庭木を徹底解説します。
庭木選びで後悔しないための鉄則
人気の庭木ランキングを見る前に、まず知っておいてほしいことがあります。それは、最高の庭木を選ぶための「判断基準」です。
人気の木が、あなたの家に合う木とは限りません。これからご紹介する3つの鉄則を知るだけで、膨大な選択肢の中から迷うことなく、10年後も愛せる一本を選べるようになるでしょう。
- 場所と目的を決める
- 家の外観と合わせる
- 10年後の姿を想像する
場所と目的を決める
庭木選びで最も大切な最初のステップ、それは「どこに、何のために植えるか」を明確にすること。憧れの木があっても、植える場所の環境に合わなければ元気に育ちません。
まずは、植えたい場所の日当たりを確認しましょう。
一日中日が当たるのか、午前中だけなのか、あるいは日陰なのか。植物にはそれぞれ好みの環境があり、これを間違えると花が咲かなかったり、枯れてしまったりする原因になります。
次に「目的」を考えます。
例えば、「リビングの窓からの視線を遮る目隠しにしたい」「家の顔になるシンボルツリーが欲しい」「季節の花や実の収穫を楽しみたい」など、目的がはっきりすれば、選ぶべき木の種類は自然と絞られてきます。
見た目の好みだけで選ぶ前に、まずは植える場所の環境を正しく知り、木を植える目的をはっきりさせること。これが後悔しない庭づくりの揺るぎない土台となるでしょう。
家の外観と合わせる
庭木は単なる植物ではなく、「家の外観を完成させる最後のピース」です。建物と庭木が調和して初めて、家全体がひとつの美しい作品として輝き始めます。
あなたの家のデザインは、どのようなスタイルでしょうか。
例えば、直線的でモダンな家なら、アオダモのようなスッキリとした樹形の木がよく似合います。温かみのあるナチュラルな洋風の家なら、オリーブの銀葉が爽やかなアクセントになるでしょう。
庭木は、家という作品を完成させるための重要なデザイン要素です。
外壁の色や素材感、窓の形などを考慮しながら、全体のバランスを考えて選んでみてください。家の中から窓越しに見える景色、そして外から家を眺めたときの景色の両方を想像することが、統一感のあるおしゃれな庭への近道です。
10年後の姿を想像する
庭木選びで最もよく聞く後悔の声は「思ったより大きくなりすぎて手に負えなくなった」というもの。お店で見た小さな苗木の可愛らしさだけで選んでしまうと、数年後、予想外の姿に頭を悩ませることになりかねません。
そのため、植えた直後の可愛らしさだけでなく、5年後、10年後にその木がどうなっているかを必ず想像しましょう。
購入前には、その木の「最終樹高」と「成長スピード」を必ず確認する習慣をつけるのがおすすめです。成長が早い木は、あっという間に隣の敷地へ越境したり、落ち葉の量に悩まされたり、手に負えなくなって高額な伐採費用がかかることもあります。
特に新築の庭では、スペースに余裕があるように感じがちですが、木の成長は想像以上です。管理の手間を減らし、長く付き合っていくためにも、成長が穏やかな木を選ぶことは非常に賢明な選択と言えるでしょう。
手入れが簡単なおすすめの庭木5選

「庭に緑は欲しいけれど、面倒な手入れはできるだけ避けたい…」。そんな忙しい毎日を送る方にぴったりの、まさに「優等生」と呼べる庭木があります。
成長が穏やかで病害虫にも強く、難しい剪定に頭を悩ませることも少ない頼れる5本の庭木をご紹介します。
- ソヨゴ
- アオダモ
- ハイノキ
- マホニアコンフューサ
- 常緑ヤマボウシ
ソヨゴ

風に葉がそよぐ姿からその名がついた、常緑樹の代表格です。最大の魅力は、成長が非常にゆっくりで、自然と美しい樹形に整っていくこと。そのため、難しい剪定の手間がほとんどかからないのが嬉しいポイントです。
病害虫にも強く、日陰にもある程度耐えることができるため、初めて庭木を植える方でも安心して育てられます 。秋になると雌の木には可愛らしい赤い実がつき、冬の寂しくなりがちな庭に彩りを添えてくれるでしょう。
一年を通して穏やかな表情で暮らしに寄り添ってくれる、まさに優等生な一本です。
アオダモ

繊細で涼しげな葉が、軽やかな印象を与える落葉樹です。野球のバットに使われるほどしなやかで丈夫な性質を持ち、病害虫にも強いのが特徴。
成長が非常にゆっくりで、自然な樹形が美しいため、頻繁な剪定は必要ありません。
日本の気候にもよく合っており、管理の手間が少ないため初心者の方にも自信をもっておすすめできます。
春には白い綿毛のような花が咲き、秋には紅葉も楽しめます。冬に葉を落とした後の、すらりとした幹の佇まいも美しく、四季を通じて楽しめる木です。
ハイノキ

常緑樹でありながら、まるで落葉樹のような柔らかく繊細な雰囲気を持つ人気の庭木です。成長がとても緩やかで、枝が横に広がりにくいため、玄関脇などの限られたスペースにも植えやすいのが嬉しいポイント。
主張しすぎない上品な佇まいで、洋風・和風どちらの家にも自然に溶け込みます。その管理のしやすさから、近年シンボルツリーとして非常に人気が高まっています 。
初夏には白い小さな花を無数に咲かせ、庭に楚々とした彩りを添えてくれるでしょう。強い直射日光が苦手なので、半日陰の場所に植えるのがおすすめです。
マホニアコンフューサ

細長い葉が南国の雰囲気を感じさせる、おしゃれな常緑低木です。最大の魅力は、日陰にとても強く、ほとんど手がかからないこと。剪定をしなくても自然とこんもりとした形にまとまるため、植えっぱなしでも美しい状態を保ちやすいです。
日当たりが悪い北側の玄関や、大きな木の根元など、植物が育ちにくいと諦めていた場所にこそおすすめです。
病害虫の心配もほとんどありません。冬になると黄色い花を咲かせ、暗くなりがちな冬の庭を明るく照らしてくれる、頼もしい存在です。
常緑ヤマボウシ

初夏に咲く、まるで白いハンカチを乗せたような花が美しい人気の木です。常緑樹なので一年中緑の葉が茂り、目隠しとしても役立ちます。
この木が手軽なのは、自然に樹形が整いやすく、放置していても大きく形が乱れることが少ない点です 。
病害虫にも強く、とても丈夫で育てやすいのも嬉しいポイント 。秋には赤い実がなり、食べられる品種もあります。
花、緑、実と一年を通して暮らしを楽しませてくれる、シンボルツリーにぴったりの一本と言えるでしょう。
家の顔になるおすすめのおしゃれな庭木

シンボルツリーは、まさに「家の顔」。一本あるだけで、住まいの印象をぐっと引き立て、道行く人が思わず振り返るような素敵な外観を演出してくれます。
ここでは、デザイン性が高く、家のシンボルとして輝く、特におしゃれな5本の庭木を厳選しました。
- オリーブの木
- シマトネリコ
- ジューンベリー
- イロハモミジ
- サルスベリ(百日紅)
オリーブの木

地中海の風を感じさせる、洗練された雰囲気が魅力のオリーブ。銀色がかった繊細な葉は、洋風やモダンな住宅との相性が抜群で、植えるだけで外観がおしゃれな印象に変わります 。
乾燥に強く育てやすい点も人気の理由です 。「平和の象徴」とも呼ばれる縁起の良さも持ち合わせ、まさに家の顔となるシンボルツリーにふさわしい存在と言えるでしょう 。
太陽の光を浴びてきらきらと輝くシルバーリーフは、一年を通してあなたの家に爽やかで上品な彩りを与えてくれます。
[https://andplants.jp/collections/olive]シマトネリコ

風にそよぐ軽やかな葉が、涼しげでモダンな空間を演出するシマトネリコ。常緑樹でありながら圧迫感がなく、どんなデザインの住宅にも自然に溶け込む万能さが最大の魅力です 。
光沢のある小さな葉が規則正しく並ぶ姿は、上品で繊細な印象を与えます。成長が早いという特徴もありますが、その分すぐに目隠しとしての役割を果たし、理想の庭の姿を早く実現できるというメリットもあります 。
定期的な剪定で大きさをコントロールすれば、いつまでも美しい樹形を保つことが可能です。
[https://andplants.jp/collections/shimatonerico]ジューンベリー

一本で何度もおいしい、四季の魅力がぎゅっと詰まった木、それがジューンベリーです。春には可憐な白い花が咲き誇り、6月(June)には名前の通り甘酸っぱい実がなります。
夏には涼しげな緑陰をつくり、秋には燃えるような美しい紅葉が楽しめます。季節が巡るたびに違う表情を見せてくれるので、家族の成長と共にその変化を味わうことができます。
実はジャムにしたり、そのまま食べたりと収穫の喜びも。自然な樹形が美しく、ナチュラルな雰囲気の庭にぴったりの一本です。
イロハモミジ

日本の美しい四季を庭で感じたいなら、イロハモミジは最高の選択肢です。特に秋、鮮やかに色づいた葉が夕日に透ける様子は、思わずため息が出るほどの美しさ。
紅葉の印象が強いですが、春の芽吹き、夏の涼やかな緑、そして葉を落とした冬の繊細な枝ぶりまで、一年を通して趣のある表情を見せてくれます。
和風の家はもちろん、モダンな建築に合わせると、その凛とした佇まいがより一層引き立ちます 。あなただけの小さな京都を、庭に作ってみてはいかがでしょうか。
サルスベリ(百日紅)

夏の花が少なくなる時期に、庭を鮮やかに彩ってくれるのがサルスベリです。「百日紅」という名の通り、初夏から秋にかけて長い間、次々と華やかな花を咲かせ続けます。
ピンクや白、紫など多彩な花色が夏の青空によく映え、庭の主役になること間違いありません。花だけでなく、落葉後に現れるすべすべとした美しい幹肌も大きな魅力です。
冬の寂しい庭でも、その独特の樹形がアートのように空間を引き立ててくれるでしょう。病害虫にも強く、初心者でも育てやすい点も嬉しいポイントです。
庭木に関するよくある質問

庭木選びを進めていると、多くの方が同じような疑問や不安に突き当たります。ここでは、特にご質問の多い2つのポイントについて、正直にお答えします。
- 絶対に虫がつかない木はある?
- おすすめしない庭木はある?
絶対に虫がつかない木はある?
多くの方が気にされる点ですが、残念ながら「絶対に虫がつかない木」というものは自然界に存在しません。どんな植物にも、それを好む虫はいるものです。
しかし、「虫がつきにくい木」を選ぶことは可能です。
例えば、ローズマリーのような香りの強いハーブ類は、多くの虫がその香りを嫌うため、防虫効果が期待できます 。
また、ソヨゴやオリーブなども比較的、病害虫の被害が少ないことで知られています。
最も効果的な対策は、虫を寄せ付けにくい木を選び、定期的な剪定で風通しを良く保つことです 。風通しが悪いと湿気がこもり、虫や病気の温床になりやすいので注意しましょう。
おすすめしない庭木はある?
「おすすめしない」というよりは、「植える前に十分な理解と覚悟が必要な木」が存在します。人気の木であっても、その特性を知らずに植えてしまい、後悔に繋がるケースは少なくありません。
代表的な例が、成長が非常に早い木です。
例えばシマトネリコは、おしゃれで人気ですが、あっという間に大きくなりすぎて手に負えなくなるという失敗談が後を絶ちません。
また、ツバキやサザンカは美しい花を咲かせますが、チャドクガという毒毛虫がつきやすいことでも知られています。
人気の木でも、その成長スピードやリスクを理解し、ご自身の管理能力と庭の広さに見合っているかを冷静に判断することが重要です。
まとめ
ここまで、後悔しないための庭木選びの鉄則から、手入れが簡単な木、おしゃれな木、そして知っておくべき注意点まで解説してきました。
大切なのは、人気や流行に流されるのではなく、「あなたの家で、あなたが無理なく育てられ、長く愛せる木はどれか」という視点を持つことです。庭木は、一度植えたら長い時間を共にする家族のような存在。だからこそ、最初の選択が何よりも重要になります。
手のかかることもありますが、それ以上に庭木がもたらしてくれる彩りや季節の移ろいは、日々の暮らしをきっと豊かにしてくれるでしょう。