長期間、美しい花を咲かせる胡蝶蘭。花が枯れた後の作業がわからずに、そのままになっていませんか。
胡蝶蘭は花が枯れた後に適切な作業を行うと、翌年以降も元気に美しい花を咲かせます。お祝いのプレゼントとしていただくことも多いので、大事に育てたいと思う方も多いでしょう。
そこで、今回は胡蝶蘭が枯れた後の作業について詳しく解説します。胡蝶蘭の花が枯れた後に適切な作業を行って、素敵な花をぜひ咲かせてください。
[https://andplants.jp/pages/phalaenopsis]胡蝶蘭の花が枯れた後の作業
胡蝶蘭の花が枯れた後は、花がらや花茎、支柱が目立つため、見栄えが良くありません。そのままでは、生育にも悪影響を及ぼします。
胡蝶蘭の花が枯れた後は、以下の作業を行いましょう。
- 枯れた花を摘み取る
- 支柱を取り外す
- 花茎を剪定する
- 植え替える
それぞれの作業を詳しく紹介します。
①枯れた花を摘み取る
胡蝶蘭の枯れた花は摘み取りましょう。
贈答品としていただく胡蝶蘭の多くは、支柱と花茎をテープで止められています。枯れた花を付けたままだとテープが確認しづらく、支柱を取り外すのに苦労するかもしれません。
安全に素早く作業をするためにも、先に枯れた花を摘み取っておくと安心です。また、胡蝶蘭の葉も茶色く枯れている場合は、一緒に取り外してください。
手袋をして園芸シートを胡蝶蘭の鉢の下に敷いておくと、手や床が汚れずに安心して作業を行えます。
②支柱を取り外す
枯れた花を摘み取った後は、花茎に添えられている支柱をすべて取り外してください。複数の支柱が花茎にテープで固定されているので、胡蝶蘭を傷めないように丁寧に剝がします。
テープをすべて剥がし終えると、支柱は鉢から抜き取ることが可能です。ただし、支柱は深く挿し込まれているため、簡単に抜けないかもしれません。
無理して引っ張ると胡蝶蘭の根を傷めるので、ペンチで株元部分の支柱を切り取るとよいでしょう。筆者は強く引っ張って、根が切れたり葉が折れたりしたことがあるので注意してください。
③花茎を剪定する
支柱を取り外し終わったら、剪定バサミで花茎を株元から剪定します。胡蝶蘭の大きさにもよりますが、大輪の花が咲くタイプの花茎は太いため、切れ味がよく太い枝が切れる剪定バサミを用意してください。
花茎の切り口から病原菌が侵入しないように、殺菌作用のある癒合剤を切り口に塗っておくと安心です。
④植え替える
胡蝶蘭が葉だけの状態になったら、新しい鉢に植え替えてください。枯れた根と古い水苔を取り外して植え替えることで、新しい根が出て元気に育つためです。
贈答品としていただいた胡蝶蘭の多くは、ビニールポットの胡蝶蘭が寄せ植え状態となっています。ビニールポットよりも一回り大きな鉢を準備して、新しい水苔で植え替えましょう。
鉢からポットを取り出す際に、ペンチで切り取った支柱の残りがある場合は、ビニールポットの底から抜き取ってください。
2番花を楽しむなら花茎を根元から切らない
胡蝶蘭の花が枯れた後に、短期間で2番目の花を楽しみたい場合は、花茎を根元から切らないことがポイントです。花茎には複数の節があり、節から2番目の花芽が出てくる準備をしているためです。
高い位置にある節ほど花芽が早く伸びやすいですが、花茎を長く伸ばすとバランスが悪いので気を付けます。根元から3節目を残して、花茎を切るとよいでしょう。
約1~2か月後に、再び花が咲くので楽しみにしてください。ただし、葉が薄かったり2~4枚程度だったりする場合は、根元から切って短期間で咲かせない方が安心です。
なぜなら、短期間での開花は株の消耗が激しく、元気のない胡蝶蘭では2番花を咲かせた後、枯れる可能性が高いためです。
葉の枚数が少ない胡蝶蘭を以前、枯らした経験があります。短期間で2番花を咲かせようとしたからです。そのため、短期間での開花には注意をしてください。
胡蝶蘭の花が枯れた後の育て方
胡蝶蘭の花が枯れた後は、植え替え後の適切な育て方が重要です。花が咲き終わった後は、体力が消耗しているので、元気な株に育てる必要があります。
以下の点に注意しながら、胡蝶蘭を育てて体力を回復させてください。
- 日当たりと置き場所
- 温度
- 水やり
- 肥料
- 植え替え
元気に育てて、翌年も美しい花を咲かせましょう。
日当たりと置き場所
胡蝶蘭は直射日光の当たらない環境を好みます。強い日差しに当たると葉焼けしやすいため、注意が必要です。
耐陰性はありますが、ほとんど日光の光が入らないような暗すぎる場所ではうまく生育できません。株が軟弱になり葉もしだれるため、明るい窓際に置いてください。
直射日光が差し込む場合は、レースカーテン越しの柔らかい光にしてあげましょう。特に夏の直射日光や西日には当てないように育ててください。
温度
胡蝶蘭は寒さに弱い植物です。最低10℃以上をキープして育ててください。
寒さに当たり続けると、葉が黒くなり枯れていきます。なるべく暖かい場所で管理することが重要なポイントです。
春から夏は、屋外の日陰でも生育しますが、気温が下がり始める秋には室内へ移動させてください。冬の窓際は屋外と変わらないくらいに冷え込むので、窓から離れた明るい場所に置きます。
ただし、暖房の風が当たると急激な乾燥によって葉が傷んでしまいます。暖房の風が当たらないように気を付けましょう。
水やり
胡蝶蘭のお水やりは、「春夏」「秋冬」で頻度が異なります。具体的には以下の通りです。
- 春夏:手で水苔を触って水分を感じなくなったら(鉢の中央部分までしっかり乾いてから) 2~3日後
- 秋冬:手で水苔を触って水分を感じなくなったら(鉢の中央部分までしっかり乾いてから) 10~30日後
春夏の生育期には、手で水苔を触って水分を感じなくなったら(鉢の中央部分までしっかり乾いてから) 2~3日後に、鉢底から水が流れるくらいに水やりしてください。ただし、水のやりすぎや受け皿の溜め水は根腐れの原因になります。
水やり後は、受け皿に溜まった水は小まめに捨ててください。気温の下がる秋からは水苔の渇き具合を見ながら、10日に一回のペースで水やりします。
冬は水苔の乾燥具合を確認しながら、月に1回程度の水やりで十分です。この時期は空気が乾燥するので、水やりと一緒に葉水も与えるとイキイキとした元気な葉を維持しやすいです。
胡蝶蘭は乾燥に強い一方、多湿環境を好むため、水やりしていないときにも葉水をすると元気に育ちます。冬は暖かい時間帯に葉水をしてください。
肥料
胡蝶蘭には、生育期の5~10月に2か月に1度置き肥を置くか、水に薄めた液肥を2週間に1度のペースで水やり代わりに与えてください。冬は生育が緩慢な時期なので、肥料は与えません。
胡蝶蘭は肥料が少なくても十分に育ちますが、花の輪数を増やしたい場合は追肥もしましょう。ただし、肥料の与えすぎは根を傷めるため、与えるペースや時期はしっかり守ってください。
胡蝶蘭には、蘭専用の肥料を与えると効果的です。観葉植物用の肥料では、葉ばかり茂り花が咲かなくなる可能性があるので注意しましょう。
植え替え
胡蝶蘭の植え替え時期は4~9月であり、植え替え方法は以下の通りです。
- 鉢やビニールポットから優しく胡蝶蘭を抜き出す
- 根に付いている水苔、またはバークチップなどを取り除く
- 黒く傷んでいる根はハサミで切り落とす
- 水苔で植え替える場合は、根を水苔で多めに包んで一回り大きな鉢に入れる
- 植え替え後は、霧吹きで葉や植え込み材の表面を湿らせる
観葉植物の植え替えと違って、根の発根を促すために植え替え後に水やりを行いません。
バークチップで植え替える場合は、一回り大きな鉢に2~3割ほどの高さに植え込み材を入れて置き、株を入れて周りに敷き詰めます。
乾燥に強い植物なので、植え替え後2週間ほどは、葉水を与える程度で育てた方が発根に効果的です。また、植え替え直後は根が傷んでいるので、肥料は与えないでください。
贈答用としていただく胡蝶蘭の多くは、水苔またはバークチップで植えられています。植え替えの際は、同じ種類の植え込み材を使用すると、環境が変わりにくく育てやすいです。
枯れた胡蝶蘭を復活させる方法
胡蝶蘭を初めて育てる方は「花が枯れると胡蝶蘭自体も枯れる」と考えてしまうかもしれません。
しかし、胡蝶蘭の葉に艶や張りがある状態であれば、そのまま育つので安心してください。
葉が黄色くなって、しわが寄っている場合でも、株元や根がしっかりしているのであれば、生きている可能性が高いです。状態の悪い葉や根は取り除いて植え替えをしましょう。
水苔を用いて植え替える場合は、あらかじめ発根剤を薄めた水を吸水させておくと効果的です。バークチップの場合は吸水できないため、植え替え後に葉水と発根剤を薄めたものを与えましょう。
植え替え後は適切な管理をして育てると、ゆっくり葉が増えて復活します。
復活しないケース
胡蝶蘭が復活しないケースは以下の3点です。
- 軟腐病が根元まで進行している
- 根が枯れている
- 葉がすべて茶色でスカスカになっている
軟腐病とは細菌やカビが胡蝶蘭に侵入して、葉や茎を内部から腐敗させる病気です。軟腐病にかかった胡蝶蘭は、異臭を放ちながら溶けるように枯れます。
軟腐病が株元まで進行した場合は、復活は難しいでしょう。
ただし、葉の付け根まで進行してなければ、葉を取り除いて殺菌剤(ベンレートやエムダイファーなど)を切り口に付けることで回復する可能性があります。
また、根がすべて黒く枯れていたり、スカスカになっていたりする場合も復活は難しいです。完全に枯れてしまっている場合は、復活はあきらめて処分してください。
胡蝶蘭が枯れた後の処分方法
胡蝶蘭が復活する見込みもなく、枯れた場合は胡蝶蘭を処分する必要があります。しかし、枯れた後の処分方法がわからずに困る方も多いかもしれません。
なぜなら、贈答品の胡蝶蘭には、鉢だけでなくラッピングや支柱、発泡スチロール、水苔などが利用されているためです。枯れた後の胡蝶蘭の処分方法には以下の2点があります。
- 自分で処分する
- 業者に依頼する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
①自分で処分する
胡蝶蘭の鉢を自分で処分する際は、以下の手順で処分してください。
- ラッピングを外す(ラッピングをしている場合)
- 支柱を取り外す
- 枯れた胡蝶蘭を取り出す
- ラッピング資材・鉢・ビニールポット・発泡スチロール・水苔・胡蝶蘭に分ける
- お住まいの地域指定の分別方法でゴミ出しする
胡蝶蘭のラッピングは水漏れしないように、内側にセロハンを使用しています。そのため、水が溜まっている場合があるため、胡蝶蘭を処分するためにバラバラにするときは屋外で行うか、園芸シートを敷いておくと安心です。
支柱が抜けない場合は、ペンチを使って取り外してください。長い支柱や花茎はゴミ袋に入らない可能性があるので、細かく切っておくとよいでしょう。
②業者に依頼する
1~3鉢程度の胡蝶蘭であれば、自分で処分した方が早いですが、10鉢を超えると手間と時間がかかります。特に、多くの取引先から胡蝶蘭が贈られる企業にとって処分は大変な作業です。
胡蝶蘭の数が多い場合は、業者に依頼して処分してもらいましょう。
業者によって引き取り価格は異なりますが、1,000~2,000円程度が目安。まとめて枯れた胡蝶蘭を引き取って処分してくれるため便利です。
また、胡蝶蘭を配達してくれた花屋さんによっては、引き取りサービスがあることも。
配達してくれた花屋さんに、枯れた後に引き取ってくれるかどうか確認しておくとよいでしょう。
まとめ
胡蝶蘭の花が枯れた後は、どうすればいいのかわからない方も多いと思います。「花が終わったら胡蝶蘭は枯れる」と考えている方も多いかもしれません。
しかし、胡蝶蘭は花が枯れても、適切に育てると翌年も美しい花を咲かせます。高級なイメージから育て方が難しいと思うかもしれませんが、コツさえつかめば簡単に育てられるでしょう。
ぜひ、胡蝶蘭の花が枯れた後も、大事に育ててみてください。再び、胡蝶蘭が美しい花を咲かせると、うれしい気持ちになると思います。
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