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胡蝶蘭の花が終わった後の育て方|剪定方法や二度咲きのコツ

胡蝶蘭の花が終わった後の育て方|剪定方法や二度咲きのコツ

お祝いや記念にもらうことの多い胡蝶蘭。ですが、花が終わってしまったらどうすればいいのか分からない…という方も多いのではないでしょうか。

胡蝶蘭は育てるのが難しいイメージがありますが、実は意外とタフな植物です。花が終わっても、まだまだ育てられます。翌年に花を咲かせるだけでなく、条件が合えば二番花を咲かせることも。

土は使わないので室内を汚さず、ベランダがなくても栽培できます。コツさえつかめば、初心者にも難しくありません。慣れてきたら飾り方を工夫すれば、おしゃれなインテリアになりますよ。

花が終わった胡蝶蘭を育てて、もう一度花を咲かせてみませんか。初めてでもできる基本の手順をご紹介します。

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胡蝶蘭は花が終わってもまだ育てられる

胡蝶蘭の育て方のコツは2つ。温度管理と水のやりすぎに気をつけることです。

胡蝶蘭の原産地は東南アジアのほぼ全域で、熱帯の植物です。そのため日本の寒さには弱い性質があります。ただ、生育地は年中湿潤な熱帯雨林だけでなく、冬は乾燥するサバンナ気候の地帯にも広く分布しており、環境に適して育つ丈夫さがあります。デリケートなようで意外と強い植物なのです。

そして、胡蝶蘭は樹木にくっついて生きる着生植物です。根は土中ではなく木の幹を這うように伸び、空気中から水分を得ています。そのため、普通の植物のようにじゃぶじゃぶ水をやる必要はありません

この2つのコツを念頭に置いて、花が終わった胡蝶蘭を育ててみましょう。

胡蝶蘭の花が終わったらやるべきこと

花が終わった後は、株をひと休みさせて翌年の花に備えるため、次のような手順を行います。

  1. 萎れた花を摘み取る
  2. 花茎を根元から切る
  3. 植え替えをする
  4. 日当たり・風通しの良い場所に置く
  5. 水苔が乾いたらお水やりをする

贈答用の胡蝶蘭は、大きな鉢の中に1株ずつ植えられたポット苗が、寄せ植えのように組まれてできています。ポット苗のままでもしばらくは育ちますが、花が終わったタイミングで一度植え替えてあげましょう。ただし冬は負担が大きいので、春まで待ってから植え替えるのがおすすめです。

植え替えもやってみると案外難しくはありません。水やりも頻繁にしなくてもいいので、少々忘れてしまっても大丈夫。初めてでもぜひ挑戦してみてくださいね。では具体的に解説します。

①萎れた花を摘み取る

胡蝶蘭の花の寿命はとても長く、1ヶ月は持ちます。購入した時の状態などにもよりますが、良い環境に置いて適度な水やりを行えば、3ヶ月持つことも。花は株に近い部分から開花し、枝の先へと咲き進んでいきます。

花弁にシワが入ってきたり、薄く透けてきたら枯れてきたサインです。花が終わるときは、しおれるように丸くなっていきます。そのまま放っておけばぽろっと落ちますが、丸まってきた時点で摘み取るといいでしょう。根本に近い部分から枯れていき、枝の先の花まで終わったらおしまいです。

②花茎を根元から切る

花が全部終わったら、花茎を根元でカットします。二度咲きを楽しみたい場合はカットする位置が違いますので、下の手順を参照してくださいね。

切り口から雑菌が入るのをふせぐため、ハサミは清潔で切れ味のいいものを使いましょう。ハイターなどで消毒するか、火で数秒炙って消毒してもOK。切れ味のいいハサミがないときには、新しい刃に替えたカッターでも代用できます。同じように火で炙って消毒し、葉や根を傷つけないようタオルで保護してからカットしましょう。

花茎をカットしたら、支柱のワイヤーも取り除きます。

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③植え替えをする

植え替えには水で戻した乾燥水苔と素焼きの鉢、鉢皿を用意します。

どれもホームセンターや通販などで購入できます。保湿性の高い水苔栽培には、通気性のいい素焼きの鉢を使用します。胡蝶蘭の大きさにもよりますが、だいたい4~5号鉢くらいが適当です。

ポット苗から株を抜き、底の真ん中から優しくほぐします。黒く変色したりぶよぶよしたりしている古い根を消毒したハサミで切り、黒くなった水苔も取り除きます。

新しい水苔を5cmくらいに丸め、根で優しく包むように覆い、さらにそのまわりを水苔で包んで鉢に入れます。鉢の縁側に水苔を少しずつ詰めて抑え、根元のほうが高くなるように植え付けます。

関連記事:胡蝶蘭の植え替え|失敗しない7つのコツを紹介

④日当たり・風通しの良い場所に置く

胡蝶蘭は樹木に着生して木漏れ日の下で育つ植物なので、明るい日陰を好みます。直射日光は避け、明るい場所に置いて育てましょう。また、風通しの良い場所とは高温多湿になりにくい場所のこと。空気がこもるような場所は生育が悪くなってしまいます。

適温は18~25℃です。一定期間18℃の環境にあたることで花芽をつける性質があり、10℃以下・35℃以上で生育が止まります。18〜25℃を保てて、温度変化が極端でない場所がベストです。

具体的にはリビングで、エアコンの風が直接当たらない、レースカーテンをひいた窓際などが適しています。

⑤水苔が乾いたらお水やりをする

水苔を触ってみて、8〜9割以上乾いているのを確認してからお水やりをします。お水やりの目安は10日前後に一度、ジョウロでコップ一杯程度のお水をやります。鉢皿に溜まったお水はすぐに捨てましょう。

胡蝶蘭が枯れる原因で多いのが、お水のやりすぎによる根腐れです。胡蝶蘭の根は本来常に空気に触れていて、保水された環境で生育するものではありません。しっかり乾燥させてからたっぷりお水をやるという緩急が大切です。

しかし素焼き鉢は通気性が良い分乾くのも早いので、乾かしすぎも禁物。適度なお水やりが大切です。葉がしわしわになっていたら水不足の可能性があります。

関連記事:胡蝶蘭の水やり|基本の方法や季節ごとの頻度

夏と冬の置き場所

夏の置き場所は、花が咲いているか、咲いていないかで違います。

花が咲いている場合は、できるだけ18~25℃の適正温度を保つように気をつけます。窓際も夏は暑くなりすぎることがあるので、なるべく午前中だけ日が差すような、涼しくて明るい場所におきましょう。花が咲いていない場合は、風通しの良い25〜30℃の場所で管理して株の成長を促します。

真冬はなるべく10℃以下にならない場所で管理します。窓際は夜に寒くなってしまうので、部屋の奥に移動し、暖房を切る時は段ボールで覆うなどして防寒と保湿対策をしましょう。

胡蝶蘭の花を二度咲きさせる方法

葉や花茎がつやつやとした緑色で元気そうなら、同じ花茎からもう一度花を咲かせる二度咲きに挑戦してみましょう。

二度咲きは植え替えない方が成功しやすいので、切るだけでOKです。オフィスや自宅ですぐできるので、やってみてくださいね。

二度咲きさせる手順は次の3つです。

  • 早めに花茎を剪定する
  • 支柱を抜く
  • 10~20℃を保てる場所で管理する

早めに花茎を剪定する

二度咲きさせるには、2~3輪花が残っているタイミングで早めに剪定します。すべての花が咲き終わってからでは花茎のエネルギーが残っていないからです。

花茎には節があり、ここから花芽が出てきます。根本から4~5節ほど残した位置でカットしましょう。

切るときは、切れ味のいいハサミを火で炙るなど消毒してから使用します。植物専用のハサミを使いますが、なければ消毒したカッターでもOKです。

支柱を抜く

贈答用の胡蝶蘭は、茎が揺れて花に傷が付かないよう支柱がついています。そのままでもいいですが、花芽が出るときに邪魔になることもあるので抜いておきましょう。

茎を傷付けないようカッターなどでテープを外し、支柱を外していきます。支柱はすぐに抜けないように根元を折り曲げてあるので、少し力を入れてぐっと引きます。このとき、根が絡んでいるようなら無理に外さなくても大丈夫です。

10~20℃を保てる場所で管理する

胡蝶蘭の花芽が出やすい温度は18℃です。10~20℃を保てる部屋で、なるべく午前中に日が当たる場所に置きます。直射日光を避けましょう。

また、乾燥気味にすることで花芽がつきやすくなります。お水やりは15〜20日くらいの間隔で、水苔がしっかり乾いているのを確認してからコップ一杯分の水を与えます。

環境により違いはありますが、だいたい1〜2ヶ月ほどで花芽が出てきます。

お祝いで胡蝶蘭をもらった方からのよくある質問

ここからは、胡蝶蘭をもらった方からよくある質問を集めてみました。

  • 花が終わった後の胡蝶蘭に肥料はあげたほうがいいの?
  • 胡蝶蘭の二番花が終わったらどうすればいい?
  • 胡蝶蘭の引き取りはどこにお願いすればいい?

では具体的にみていきましょう。

花が終わった後の胡蝶蘭に肥料はあげたほうがいいの?

胡蝶蘭はあまり肥料を必要としないので、基本的にはあげなくても大丈夫。むしろ、植え替えした後・冬や真夏・弱っている株には肥料をあげると負担が大きく枯れてしまうこともあるので避けましょう。開花中も肥料は必要ありません。

肥料を与えるなら、生育期の3〜4月頃から。花が終わった後、元気な株の成長を助けるようなイメージで施肥しましょう。あげすぎも禁物です。薄めた洋ラン専用の液肥を1週間に1回、水やりの代わりに施肥します。そのうち4回に1回は、肥料が鉢にたまりすぎないよう、水だけにします。

胡蝶蘭の二番花が終わったらどうすればいい?

二番咲きに成功し、まだ株が元気であれば三度咲きも楽しめます。ハリと艶のある葉が5枚以上あり、根腐れなどを起こしていないのが元気な状態です。手順は二度咲きと同様で、二度咲きでできた新しい茎の節の上でカットします。植え替えは株の負担にもなるので、行いません。

葉に元気がない、黒い根が見えるなど調子が悪いようであれば、花茎を根元からカットして植え替えましょう。体力を温存させて翌春に開花するよう、温度管理やお水やりを行います。

胡蝶蘭の引き取りはどこにお願いすればいい?

二度咲きや三度咲きはもらったままの鉢でそのまま楽しめても、植え替えて育てるとなると鉢の数も増えて管理も大変…という方は、引き取りを依頼することもできます。

引き取りは花屋や胡蝶蘭専門店などにお願いできます。もしラッピングや立て札が残っていて配送元の花屋の名前を見つけることができたら、配送した花屋に依頼してみましょう。届いたときに引き取りサービスについて確認してみるのもいいかもしれません。

地区によっては胡蝶蘭引き取り専門のサービスもあります。引き取りの料金についてはお店によってさまざまです。

まとめ

胡蝶蘭は適切な置き場所さえあれば、育て方は難しくありません。二度咲きや三度咲きなら特別な道具がなくてもオフィスや自宅で手軽に楽しめます。

職種によってはもらうことも多い胡蝶蘭。処分してしまうことも多いですが、ぜひ一度、二度咲きだけでも挑戦してみてください。

花芽を伸ばして蕾を開かせる姿は凛としていて愛おしく、一回開花させたらその魅力にはまってしまうかも。慣れてきたら、コルクや流木に着生させて育ててみるのもおすすめです。インテリアとしてもかっこよく、花が咲けばお部屋も明るくなります。

高級で繊細なイメージのある胡蝶蘭ですが、意外とタフでワイルドな植物です。花が終わってもまだまだ育てられるので、栽培にも挑戦してみてくださいね。

西山藍子(nishiyama ranko)
植物好きの母が育てる植物たちに囲まれて育ちました。 大学で美術を学んだ後、毎日植物に囲まれたくて花屋に勤務。 主にブライダルフラワーを担当し、ひとりひとりに似合うお花を見つけるお手伝いをしてきました。 その後ガーデニングショップに勤務して庭づくりを学び、現在は田舎で育児をしながら、花や植物に関する記事を書いています。 さまざまなライフスタイルに合う植物との暮らしを提案していけたらと思います。