「庭のある暮らしに憧れるけど、植物をすぐに枯らしてしまいそうで怖い」「仕事や家事で忙しくて、こまめな手入れなんてとても無理…」そんな風に感じて、理想の庭づくりを諦めかけていませんか?
SNSで見るような素敵な庭は、特別な知識やセンスがある人だけのものだと思いがちです。しかし、実はたった一本の「低木」を選ぶだけで、驚くほど簡単にお庭の印象は見違えるようになります。
この記事では、手がかからないのにおしゃれな低木だけを厳選してご紹介します。殺風景だったお庭が自慢の空間に変わる、その第一歩を一緒に踏み出しましょう。
庭にあった低木の選び方
理想の低木選びは、実はそれほど難しくありません。たくさんの情報に惑わされず、これからご紹介する3つのシンプルな軸で考えていけば、あなたの庭にぴったりの一本がきっと見つかるでしょう。
まずはご自身の庭の環境を理解し、理想の姿を想像しながら、無理なく付き合える木はどれか考えてみてください。
- 植える場所にあった品種を選ぶ
- 見た目の好みで選ぶ
- お手入れのしやすさで選ぶ
植える場所にあった品種を選ぶ
低木選びで最も大切なのは、植える場所の環境に合った品種を選ぶことです。植物にはそれぞれ、日当たりや土壌の好みがあります。
どんなに素敵な木でも、育つ環境が合わなければ元気に育ってくれません。まずは、植えたい場所の日当たりが一日を通してどう変化するのか、広さは十分か、といった基本的な条件を確認することから始めましょう。
以下の表で、ご自宅の環境がどのタイプに当てはまるかチェックしてみてください。
環境タイプ | 特徴 |
日向 | 1日に6時間以上、直射日光が当たる場所。 |
半日陰 | 1日に3〜5時間程度、日が当たる、または木漏れ日が差す場所。 |
日陰 | 直射日光がほとんど当たらない場所。 |
見た目の好みで選ぶ
お庭全体の雰囲気を決めるのは、やはり植物の見た目です。あなたが思い描く理想の庭のスタイルに合わせて、低木の「顔」を選んでいきましょう。
例えば、洋風の庭なら丸みのある葉や華やかな花が咲く品種が似合いますし、和モダンなら直線的でスッキリした樹形のものが空間を引き締めてくれます。
また、一年中緑を楽しめる「常緑樹」か、花や紅葉で季節の移ろいを感じさせてくれる「落葉樹」か、という点も大きな選択のポイントになるでしょう。
理想のイメージに近いのはどちらか、考えてみてください。
- 常緑樹:一年中葉が落ちず、目隠しにも向いている。
- 落葉樹:季節ごとに葉の色や花の表情が変わり、四季を感じられる。
お手入れのしやすさで選ぶ
「庭のある暮らし」を無理なく楽しむためには、ご自身のライフスタイルに合ったお手入れレベルの木を選ぶ視点が欠かせません。
もし、あなたが「植物のお世話は少し苦手」「忙しくてあまり時間をかけられない」と感じているなら、お手入れのしやすさを最優先に考えるべきです。
品種によっては、水やりや剪定がほとんど必要なく、病害虫にも強い「ほったらかしOK」な低木がたくさんあります。見た目の好みだけで選んでしまい、後々の管理が負担になっては本末転倒です。
ご自身がどれくらい植物と向き合う時間があるかを考え、ストレスなく付き合えるパートナーのような一本を見つけることが、失敗しないための最後の秘訣です。
目的別|庭にあったおすすめの低木

ここからは、これまでの選び方を踏まえ、具体的な目的別にプロが厳選した「本当に使える」低木をご紹介します。
あなたの理想の庭づくりを力強くサポートしてくれる、美しさと育てやすさを兼ね備えた品種ばかりです。きっと、お気に入りの一本が見つかるでしょう。
- 手がかからないスボラ向けの低木
- 日陰や狭い場所向けの低木
- 季節の移ろいを楽しむ低木
手がかからないスボラ向けの低木
「植物のお世話は少し苦手」「忙しくて、こまめな管理は難しい」。そんな方にこそ選んでほしいのが、生命力が強く、ほとんど手間がかからない低木です。
植えっぱなしでも美しい姿を保ち、病害虫にも強いため、ガーデニングの楽しさだけを実感させてくれます。ずぼらさんでも、緑のある豊かな暮らしを諦める必要はありません。
- アベリア・ホープレイズ
- マホニア・コンフューサ
- シルバープリペット
アベリア・ホープレイズ
鮮やかな黄色の斑入り葉が、一年を通して庭を明るく彩ってくれる常緑低木です。
初夏から秋にかけて、甘い香りのする可憐な白い花を次々と咲かせます。非常に強健で、病害虫の心配がほとんどなく、剪定もほぼ不要という、まさに「ずぼらさん」の強い味方です。
マホニア・コンフューサ
風にそよぐ細長い葉が、非常にスタイリッシュな印象を与える常緑低木です。
洋風・和風どちらの庭にも自然に馴染むデザイン性の高さが魅力。日陰に強く、成長がとても緩やかなので、数年間は剪定をしなくても樹形が乱れません。
シルバープリペット
クリーム色の斑が入った爽やかな葉が魅力で、洋風ガーデンによく似合います。
萌芽力が強く刈り込みにも耐えるため、初心者でも扱いやすく、生垣やトピアリーにも挑戦できます。丈夫で育てやすく、コストパフォーマンスにも優れています。
日陰や狭い場所向けの低木
「うちの庭は日当たりが悪いから」「植えるスペースがあまりない」。そんな環境の制約は、庭づくりの大きな悩みです。
しかし、日陰や狭い場所を好んで育つ、あるいはコンパクトに収まる低木を選べば、どんな場所でも緑を楽しむことができます。限られた空間を最大限に活かしてくれる、優秀な低木たちをご紹介します。
- ジンチョウゲ(沈丁花)
- アオキ
- コデマリ
ジンチョウゲ(沈丁花)
春の訪れを告げる甘く上品な香りは、多くの人に愛されています。艶のある常緑の葉を持ち、日陰に非常に強いため、玄関先や建物の北側といった光の少ない場所でもその魅力を存分に発揮してくれます。成長がゆっくりなのも嬉しいポイントです。
アオキ
日陰でも元気に育つ植物の代表格です。肉厚で光沢のある葉は存在感があり、特に黄色い斑の入った品種は、暗い空間をパッと明るく見せる効果があります。乾燥にも強く、非常に丈夫で育てやすいので、シェードガーデンには欠かせない存在です。
コデマリ
春になると、しなやかに垂れる枝に、小さな白い花が手まりのように集まって咲き誇ります。その清楚で美しい姿は圧巻です。樹高が1.5mほどとコンパクトにまとまるため、狭いスペースや鉢植えでも楽しむことができ、場所を選びません。
季節の移ろいを楽しむ低木
庭木を育てる醍醐味のひとつが、季節の移ろいを感じられることではないでしょうか。
春には芽吹きと花を、夏には涼しげな緑陰を、秋には紅葉や実りを、と、一年を通してさまざまな表情で私たちの目を楽しませてくれる低木は、日々の暮らしに彩りと豊かさをもたらしてくれます。
- ブルーベリー
- ユキヤナギ
- ドウダンツツジ
ブルーベリー
春に咲く愛らしいベル型の花、夏に収穫できる美味しい果実、そして秋の燃えるような紅葉と、一株で三度も四度も楽しめるのが最大の魅力です。家庭で手軽に育てられる果樹としても人気が高く、お子様と一緒に収穫を楽しむこともできます。
ユキヤナギ
早春、他の木々がまだ眠っている時期に、雪が積もったかのように枝いっぱいの白い小花を咲かせます。風に揺れる繊細な枝垂れる姿は、春の訪れを感じさせてくれます。花のない時期も涼しげな葉が美しく、秋には紅葉も楽しめます。
ドウダンツツジ
春に咲く、透き通るような白く小さな壺形の花は、控えめながらも非常に可憐です。そして、この木の真骨頂は秋の紅葉。まるで炎のように真っ赤に染まる葉は、見る人の心を奪うほどの美しさです。刈り込みに強く、生垣としても人気があります。
低木に関するよくある質問

理想の低木選びを進める中で、さらに細かな疑問や知りたいことが出てくるかもしれません。
ここでは、庭づくりを楽しむ多くの方から寄せられる代表的な3つの質問にお答えします。あなたの最後のひと押しになる情報が、きっとここにあります。
- 虫がつかない低木ってある?
- 常緑樹と落葉樹、初心者にはどちらがおすすめ?
- イングリッシュガーデンにおすすめの低木は?
虫がつかない低木ってある?
「絶対に虫がつかない」という魔法のような低木は、残念ながら存在しません。しかし、虫がつきにくい性質を持った、管理が非常に楽な低木はたくさんあります。
例えば、ローズマリーやラベンダーに代表されるハーブ類は、その独特の香りで多くの虫を遠ざける効果が期待できます。また、植物自体が持つ成分によって、害虫の被害を受けにくい品種もあります。
虫を寄せ付けない一番の対策は、植物を健康に育てることです。日当たりや風通しの良い環境で元気に育った木は、病害虫に対する抵抗力も強くなります。まずは植物にとって最適な環境を整えてあげることが、なによりの虫対策になるでしょう。
常緑樹と落葉樹、初心者にはどちらがおすすめ?
これは非常に多くの方が悩むポイントで、どちらが良いかは「お庭に何を求めるか」によって変わります。
一年中葉が茂っている常緑樹は、冬でも庭が寂しくならず、目隠しとしての役割を常に果たしてくれます。
また、秋の落ち葉掃除の手間が少ないのも大きなメリットです。一方、落葉樹は、春の芽吹き、夏の新緑、秋の紅葉、冬の枝ぶりと、四季の移ろいをドラマチックに感じさせてくれる魅力があります。
もし、お手入れの手間を少しでも減らしたい、一年中、庭の緑や目隠し効果を保ちたい、という初心者の方には、まず常緑樹から試してみるのがおすすめです。
イングリッシュガーデンにおすすめの低木は?
イングリッシュガーデンとは、自然の風景を切り取ったような、ナチュラルで優雅なスタイルの庭のことです。そのため、人工的に刈り込まれたものよりも、自然な樹形が美しい低木がよく似合います。
イングリッシュガーデンの魅力は、植物が自然のまま、のびのびと育っているように見せる「計算された無造作感」にあります。
バラやアジサイ、ラベンダーのように、華やかでロマンチックな花を咲かせる品種は特に人気があります。また、コデマリやユキヤナギのように、枝がしなやかに垂れるタイプの低木も、優雅な雰囲気を演出するのに最適です。
一つの種類を整然と並べるのではなく、高さや葉の色が違うものをリズミカルに配置すると、より本格的なイングリッシュガーデンに近づくでしょう。
まとめ
たくさんの種類があって難しく感じるかもしれませんが、一番大切なことは、あなたの家の環境(日当たりや広さ)と、あなた自身のライフスタイル(どれだけ手間をかけられるか)に合った木を選ぶ、ということです。
見た目の好みだけで選ぶのではなく、この2つの軸をしっかり持つことが、後悔しないための最大の秘訣です。
今回ご紹介した木は、どれも育てやすくて美しい、頼れるパートナーばかりです。ぜひ、あなたの理想の庭にぴったりの一本を見つけて、緑のある豊かな暮らしを楽しんでください。