「お隣や道路からの視線が気になって、庭で心からくつろげない…」。高さ2mの庭木で、そんなお悩みを解決したいとお考えではないでしょうか。
しかし、どの木を選ぶのが正解なのか、迷いますよね。「人気の木を選んだら、成長しすぎて手に負えなくなった」「手入れが大変で後悔している」「落ち葉のせいで、お隣との関係が気まずくなった」…実は、庭木の目隠し選びは、想像以上に失敗談が多いのです。
この記事では、あなたの家の環境やライフスタイルに本当に合った、後悔しない一本を見つけるための具体的な知識とノウハウを、徹底的に解説します。
なぜ「高さ2mの庭木」で目隠しをするのがベストなのか?
庭の目隠しを考えたとき、高さ2mの庭木が最も優れた選択肢となるのには、明確な理由があります。
それは、私たちの生活空間に「安心感」と「快適さ」を両立させる、まさに絶妙な高さだからです。
例えば、リビングの窓の前に立ったとき、道行く人や隣家の窓からの視線がちょうど遮られるのが、地上から約2mの高さ。高すぎると庭に圧迫感が生まれてしまい、光や風まで遮ってしまいますが、2mであればプライバシーは守りつつ、開放感も失われません。
また、樹木が成長しても、自分の手で剪定やお手入れがしやすいという現実的なメリットも見過ごせないでしょう。脚立を使えば枝の先まで手が届くため、常に美しい状態を保ちやすく、専門業者に依頼するコストも抑えることが可能です。
目隠しは、単に視線を遮る壁ではありません。心地よいパーソナルスペースを生み出し、日々の暮らしに豊かさをもたらすための、最も合理的で賢明な選択が「高さ2mの庭木」なのです。
目的別|高さ2mの目隠しにおすすめの庭木(常緑樹)

ここからは、あなたの目的やライフスタイルに合わせ、具体的な常緑樹を厳選してご紹介します。
「とにかく手軽なのが一番」「日当たりが悪くて…」「せっかくなら庭の主役になる木がいい」など、ご自身の最も重視するポイントから読み進めてみてください。
- 手間がかかりにくい庭木
- 日陰に強い庭木
- シンボルツリー向きの庭木
以下の記事もあわせて参考にしてみてください。
手間がかかりにくい庭木(常緑樹)
「庭の管理に時間はかけられないけれど、緑のある暮らしは諦めたくない」
そんなあなたには、成長が緩やかで自然と樹形が整いやすい、手のかからない優等生たちがおすすめです。定期的な剪定に追われることなく、美しい目隠しを維持できますよ。
- ソヨゴ
- ハイノキ
- カクレミノ
ソヨゴ

そよそよと風に葉がそよぐ様子からその名がついたソヨゴは、軽やかで涼しげな印象を与えてくれる庭木です。
成長が非常に緩やかで、数年に一度、気になる枝を整える程度の剪定で美しい樹形を保てるのが最大の魅力。病害虫にも強く、まさに「植えっぱなし」でも育ってくれるため、植物の管理に自信がない方にも心からおすすめできます。
秋から冬にかけては、雌の木にサクランボのような可愛らしい赤い実がつき、緑の葉とのコントラストが庭を彩ります。鳥たちがその実を食べにやってくることもあり、季節の移ろいを身近に感じられるでしょう。
派手さはありませんが、飽きのこない自然な佇まいで、あなたの暮らしにそっと寄り添ってくれる、そんな一本です。
ハイノキ

まるで高原の雑木林の一部を切り取ってきたかのような、繊細でナチュラルな雰囲気がハイノキの持ち味です。
自然に伸びる枝ぶりそのものが美しいため、無理に形を整えようとしなくても、雑木風の趣ある景観を作り出してくれます。成長もゆっくりで病害虫にも強く、メンテナンスにほとんど手がかかりません。
5月頃になると、白い小さな花を枝先に咲かせ、その姿は非常に可憐。常緑樹でありながら、重たい印象を与えず、むしろ軽やかで洗練された空間を演出してくれます。
洋風のモダンな住宅から和風の庭まで、どんなスタイルにも自然に溶け込み、上品な目隠しとしての役割を静かに果たしてくれるでしょう。本物の自然を愛する方にこそ選んでほしい、価値ある庭木です。
カクレミノ

その名の通り、まるで天狗が使う隠れ蓑(みの)のような、特徴的で大きな葉が魅力の庭木です。
一枚一枚の葉が大きいため、少ない本数でもしっかりと視線を遮ってくれる、優れた目隠し効果を発揮します。
何より特筆すべきはその丈夫さ。日陰に強く、乾燥にも、病害虫にも負けないタフな性質を持っているため、これまで植物を枯らしてしまった経験がある方でも、安心して育てられるでしょう。日当たりが良いとは言えない、家の北側の目隠しなどにも最適です。
和風のイメージが強いかもしれませんが、そのユニークな葉の形は、意外にもモダンな建築や洋風のガーデンにもマッチします。手間をかけずに、確実な目隠し効果と個性的な景観を手に入れたいなら、カクレミノは非常に頼りになる存在です。
日陰に強い庭木(常緑樹)
「家の北側だから」「隣の家の影になってしまって…」など、日照条件が良くない場所での目隠しを諦めていませんか?
ご安心ください。日陰でも元気に育ち、一年中青々とした葉でしっかりとプライバシーを守ってくれる、頼もしい専門家たちがいます。
- アオキ
- ヒイラギモクセイ
- ツゲ
アオキ

その名の通り、一年を通して艶やかで美しい緑色の葉を保つアオキは、日陰の庭の救世主ともいえる存在です。
直射日光を嫌うほどの優れた耐陰性を持ち、他の植物では育ちにくい、暗い場所や湿気の多い場所でも元気に成長します。そのため、建物の北側や、塀と家の間の狭いスペースなど、これまでデッドスペースになっていた場所を、緑豊かな目隠し空間に変えることが可能です。
「フイリ」と呼ばれる、葉に黄色や白色の斑が入る品種を選べば、暗くなりがちな空間をパッと明るく見せる効果も期待できるでしょう。手間もかからず、日本の気候にも合っているため、初心者の方でも失敗が少ない、非常に心強い庭木です。
ヒイラギモクセイ

ギザギザとしたヒイラギの葉と、秋に甘く香るキンモクセイの花、その両方の良いところを受け継いだのがヒイラギモクセイです。
葉が硬く密に茂るため、非常に高い目隠し効果を発揮し、一度生垣を作れば、外部からの視線をほぼ完全にシャットアウトできます。日陰にも強く、丈夫で育てやすいのも魅力です。
また、葉の縁にある鋭いトゲは、物理的に人の侵入を防ぐ効果も期待できるため、防犯対策を重視する方にも選ばれています。秋に咲く白い小花からは、キンモクセイほど強くはありませんが、心地よい芳香が漂い、季節の訪れを感じさせてくれるでしょう。
確実な目隠し機能と、さりげない香り、そして防犯性。一台三役をこなす、実に頼もしい庭木です。
ツゲ

緻密で小さな葉が密生し、古くから生垣や庭園の縁取り(玉散らしなど)に用いられてきた、まさに生垣の王道とも言える樹木です。
最大の特長は、頻繁な刈り込みによく耐えること。これにより、隙間のない、まるで緑の壁のような重厚感のある目隠しを、思い通りの形に作ることが可能です。成長が比較的ゆっくりなため、一度形を整えれば、その状態を長くキープできます。
日陰にも強く、やせた土地でも育つなど、環境への適応能力も高いです。和風の庭はもちろん、洋風の庭でも四角く刈り込んでモダンな雰囲気を演出したり、トピアリーに挑戦したりと、様々な楽しみ方ができます。
伝統的で格調高い目隠しを、自分の手で作り上げていきたい方に最適な選択肢と言えるでしょう。
シンボルツリー向きの庭木(常緑樹)
「目隠しはしたい。でも、無機質な壁のようになるのは嫌だ」
そうお考えのあなたには、目隠しという機能性だけでなく、美しい花や実、個性的な樹形で、庭の主役(シンボルツリー)にもなれる、デザイン性の高い庭木がぴったりです。
道行く人が思わず足を止めるような、自慢の庭を演出してみませんか?
- 常緑ヤマボウシ
- フェイジョア
- トキワマンサク
常緑ヤマボウシ

純白で清楚な花が美しいヤマボウシを、「一年中、葉で目隠ししたい」という願いに応えて改良したのが、この常緑ヤマボウシです。
5月から6月にかけて、まるで枝に雪が積もったかのように、白い花のような苞(ほう)をたくさん咲かせます。その姿は息をのむほど美しく、庭全体を明るく華やかに彩ってくれるでしょう。
自然に育てても、円錐形の美しい樹形に整うため、難しい剪定は必要ありません。秋には赤く熟す実がなり、食べることもできます。目隠しという役割を果たしながら、季節ごとに異なる表情で楽しませてくれる、まさにシンボルツリーにふさわしい一石二鳥の庭木です。
フェイジョア

少し銀色がかったような、厚みのあるお洒落な葉。そして、一度見たら忘れられない、情熱的でエキゾチックな花。フェイジョアは、他にはないユニークな魅力を持った庭木です。
初夏に咲く花は、赤い雌しべが特徴的で、花びらは食べることができます。秋にはパイナップルとバナナを混ぜたような、甘い香りの果実がなり、ジャムや果実酒に利用することも可能です。
病害虫にも強く、潮風にも負けない丈夫な性質を持っているため、育てやすいのも嬉しいポイント。モダンな建物やリゾート風の庭の雰囲気に合わせれば、ありきたりではない、個性的な目隠しが実現します。
見て、食べて、二度おいしい。そんな遊び心のある庭づくりを楽しみたい方に最適です。
トキワマンサク

春になると、細いリボンのような、ひらひらとしたユニークな花を、枝が隠れるほどびっしりと咲かせるトキワマンサク。
花の色は品種によって様々で、清楚な白、可愛らしいピンク、シックな赤などがあり、葉の色も緑葉から赤葉まで選べるため、ご自宅の壁の色や庭全体のカラープランに合わせてコーディネートできるのが大きな魅力です。
成長が比較的早く、刈り込みにも強いため、生垣にすると花の時期には豪華な花の壁となり、圧巻の景色を作り出します。
もちろん、刈り込まずに一本立ちで自然な樹形を楽しんでも、十分に美しいシンボルツリーになります。目隠しとしての機能性と、他にはない華やかさを両立させたいなら、ぜひ候補に入れてほしい庭木です。
高さ2mの庭木で目隠しを検討している方からのよくある質問

ここでは、実際に高さ2mの庭木で目隠しを検討し始めた方から、特によく寄せられる質問とその回答をまとめました。
庭木選びで後悔しないため、そしてより理想的な庭づくりを実現するために、ぜひ最後の疑問や不安をここで解消してください。
- 賃貸やベランダでも大丈夫?鉢植え(プランター)で2mの目隠しは可能?
- 虫がつきにくい庭木はどれ?
- フェンスと庭木、どちらがいい?
賃貸やベランダでも大丈夫?鉢植え(プランター)で2mの目隠しは可能?
鉢植え(プランター)でも高さ2mの目隠しを作ることは可能です。地植えができない賃貸住宅の庭や、ベランダ、玄関先などでも、緑のあるプライベート空間を諦める必要はありません。
ただし、成功させるにはいくつか重要なポイントがあります。最も大切なのは、できるだけ大きく、深いプランターを選ぶこと。土の量が少ないと水切れや根詰まりを起こしやすく、2mの木を支えきれません。
特に風の強い場所では、陶器製など重さのあるプランターを選ぶと転倒防止になり安全です。
また、地植えと違って土の中の養分が限られるため、定期的な追肥や、数年に一度の土の入れ替え・植え替えといったメンテナンスが不可欠になります。少し手間はかかりますが、ポイントさえ押さえれば、限られたスペースでも十分に素敵な目隠しは実現できます。
虫がつきにくい庭木はどれ?
「虫が全くつかない木」というのは残念ながら存在しませんが、比較的、病害虫の被害にあいにくい、いわゆる「強い」庭木はあります。
今回ご紹介した中では、ソヨゴ、ハイノキ、カクレミノ、フェイジョアなどは、病害虫に強い耐性を持つことで知られており、消毒などの手間を最小限に抑えたい方には特におすすめです。これらの木は、日本の気候や環境に適応しているため、植えてからも健康に育ちやすい傾向にあります。
一方で、例えば生垣によく使われるレッドロビンは、「ごま色斑点病」という特定の病気にかかりやすいことが知られています。虫が苦手な方は、木の特性を理解し、できるだけ管理の手間がかからない、丈夫な性質の樹種を選ぶことが大切です。
もし心配な場合は、植木屋や園芸店の専門家に相談してみるのも良いでしょう。
フェンスと庭木、どちらがいい?
これは多くの方が悩むポイントですが、それぞれに異なるメリットがあるため、一概にどちらが良いとは言えません。大切なのは、あなたが何を最も重視するかです。
それぞれのメリットを以下にまとめました。
メリット | デメリット | |
フェンス | ・設置後すぐに目隠し効果を発揮する ・メンテナンスがほぼ不要 ・均一でスッキリした見た目 |
・圧迫感が出やすい ・無機質で冷たい印象になりがち ・初期費用が比較的高額 |
庭木 | ・圧迫感がなく自然な景観になる ・季節感や癒やし効果がある ・フェンスより初期費用を抑えられる |
・目隠しとして機能するまで時間がかかる ・剪定や落ち葉掃除などの管理が必要 ・虫がつく可能性がある |
結論として、両者の「良いとこ取り」をするハイブリッドな方法が非常におすすめです。
例えば、視線が特に気になる部分には目隠しフェンスを設置し、その手前に庭木を植えて無機質さを和らげる、といった方法です。機能性とデザイン性の両方を満たす、快適で美しいプライベート空間を実現できるでしょう。
まとめ
最も大切なことは、人気の木を選ぶのではなく、「あなたのお庭の環境」と「あなたがかけられる手間」に合った木を選ぶことです。
日当たりやメンテナンス性、そして将来の成長した姿を具体的にイメージすることが、失敗を避ける最大の秘訣と言えるでしょう。
この記事で得た知識が、プライバシーが守られた、心安らぐ理想の庭空間を実現するための一助となれば幸いです。自信を持って、あなたの暮らしを豊かにする庭木選びを始めてみてください。