育てている観葉植物の葉や茎に灰色のカビが発生していませんか。
もしかすると、「灰色カビ病」と呼ばれる病気を発症しているのかもしてません。そのままにしていると、観葉植物は生育不良になり、枯れる恐れがあります。
今回は観葉植物の灰色カビ病について詳しく解説します。発生原因や対処法、予防方法などを紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
観葉植物を元気に育てるためにも、発生原因や対処法について知っておくと、被害が大きくなる前に対処することができるでしょう。
灰色カビ病とは
灰色カビ病とは、葉や茎に灰色のカビが発生する病気です。病原菌であるカビ(糸状菌)に感染して発生します。
低温多湿の環境で活発化する菌なので、早春~梅雨または気温が下がり始める秋雨の時期に発生しやすいです。葉や茎の柔らかい部分や傷口から侵入して、灰色カビ病を発症させます。
そのため、多肉質の柔らかい葉や茎を持つ植物に発生することが多い病気です。一方、硬い葉や幹、水気のない葉を持つ樹木タイプの観葉植物は灰色カビ病を発生させにくいとされています。
灰色カビ病以外にも観葉植物のトラブルが気になる方は、「観葉植物のトラブル」の記事もチェックしてみてください。葉っぱや虫、病気などのトラブルについて紹介しています。
うどんこ病との違い
うどんこ病と灰色カビ病は異なる病気であるため、病原菌や症状、発生しやすい時期など違いはさまざま。
うどんこ病は、葉や茎に白い粉が振りかかったような状態になる病気です。灰色カビ病と同じく、カビが原因で発生する病気ですが、同じ種類のカビではありません。
うどんこ病の原因となるカビは、低温低湿度で活発になりやすいです。そのため、湿度の低い春や秋に発生しやすい特徴があります。
灰色カビ病と発生時期が重なるタイミングはありますが、湿度条件が異なるため同時には発生しにくいです。うどんこ病と灰色カビ病の症状は、まったく異なるので間違えることは少ないでしょう。
灰色カビ病が発生する原因
灰色カビ病が発生する主な原因は、以下の3つです。
- 日当たり
- 風通し
- 水はけ
それぞれ詳しく見ていきましょう。
日当たり
灰色カビ病は、日当たりの悪い環境で発生しやすい病気です。日当たりが悪いと、土が乾燥しにくく、病原菌が活発に活動します。
太陽光の紫外線は殺菌作用もあるため、日差しが入らない環境では病原菌は増え続けるので注意が必要です。また、日差しが入る環境ほど空気は温められます。
日当たりが悪い環境は、日当たりの良い環境に比べると低温になりやすいので、病原菌も増えやすく、灰色カビ病になりやすいです。
風通し
灰色カビ病が発生する原因の1つに「風通しの悪さ」があります。風通しの悪い環境では、水やり後に土が乾きにくく、空気が滞留するためです。
湿度の高い環境が維持されやすいので、病原菌が増えやすく、観葉植物に侵入しやすくなります。換気する窓がなかったりお部屋の角に置いたりすると、観葉植物にとって風通しが悪いです。
灰色カビ病をはじめとした病気にかからないためにも、風通しの悪さには注意してください。
水はけ
灰色カビ病の多くの原因は「土の水はけの悪さ」にあります。土が常に湿っていると、株元付近の湿度が維持され灰色カビ病の病原菌が増えるためです。
植え替えを定期的に行わず、同じ土で育て続けると土の団粒構造が崩れます。鉢底で崩れた土が溜まり、目詰まりを起こした結果、水はけが悪くなるので注意してください。
水はけが良い土であっても、受け皿に水を溜め続けていると土が乾かないため、湿度が維持され灰色カビ病が発生しやすくなります。
観葉植物に灰色カビ病が発生した時の対処法
育てている観葉植物に灰色カビ病が発生した時の対処法は、以下の3つです。
- 病変した葉を切り取る
- 殺菌剤を散布する
- 日当たりと風通しの良い場所へ移動する
それぞれの対処法を詳しく見ていきましょう。
病変した葉を切り取る
灰色カビ病が発生した場合は、まずは病変した葉や茎は切り取ってください。灰色のカビが見えるほど、増殖したカビは風に飛ばされて他の植物に付着すると感染します。
剪定ハサミで灰色カビ病が発生している葉や茎を切り取った場合は、他の観葉植物に使う前に消毒をしてください。アルコール殺菌や熱殺菌などをしておかないと、他の植物に灰色カビ病が感染する可能性があるためです。
また、灰色カビ病は葉や茎だけでなく、鉢土の上に落ちた枯れ葉や花がらにも発生します。もし、観葉植物に被害がなくとも、湿った落ち葉に灰色のカビが生えている場合もすぐに取り除いてください。
殺菌剤を散布する
灰色カビ病が発生した葉や茎部分を取り除いても安心はできません。観葉植物全体に殺菌剤を散布しましょう。
灰色カビ病の症状は、カビが繁殖して目に見える状態になったもの。観葉植物全体で感染しているため、効果的な殺菌剤(ベニカXファインスプレーやベンレート水和剤など)をスプレーしてください。
葉の裏や株元まで全体的にスプレーしましょう。
日当たりと風通しの良い場所へ移動する
灰色カビ病が発生した葉や茎を取り除いて殺菌剤を散布した後は、日当たりと風通しの良い場所へ移動させてください。
殺菌剤を散布していても完全にカビが死滅していない可能性もあります。再び増殖させないためにも、増えにくい環境に移動させて管理することが重要です。
また、他の植物に灰色カビ病を感染させないための隔離の意味合いもあります。
日当たりと風通しの良い場所へ移動させた後は様子を見ながら、数回殺菌剤を散布すると良いでしょう。ただし、殺菌剤の種類によっては使用回数に限度がありますので、パッケージや使用方法の注意事項をよく確認してください。
観葉植物の灰色カビ病の予防方法
観葉植物の灰色カビ病の予防方法は、以下の5つです。
- 日当たりと風通しの良い場所で育てる
- 多湿環境に気を付ける
- 葉や枝を傷つけない
- 枯れた葉は取り除く
- マルチングをする
それぞれの予防方法を詳しく解説します。
日当たりと風通しがよい場所で育てる
灰色カビ病の予防方法は、「日当たりと風通しの良い場所で育てる」です。観葉植物を健康的に育てることが、予防につながります。
土が常に湿っている環境にならないように、日当たりと風通しを意識してください。観葉植物の多くは日当たりを好みますが、真夏の直射日光に当たると葉焼けしやすい点には注意が必要です。
灰色カビ病が発生しなくなっても、葉焼けが発生するのでは生育によくありません。また、窓を開けることができない環境であれば、エアコンやサーキュレーターを使って、空気を動かしてください。
ただし、直風が観葉植物に当たり続けると葉がポロポロと落ちる原因になります。直風が当たらないように、適切な日当たりを確保して育てましょう。
多湿環境に気を付ける
灰色カビ病は、多湿環境で発生しやすい病気です。そのため、水はけのよい土で観葉植物を育てて、水のやりすぎに気を付けてください。
枝葉や茎が込み合っている場合は、適度に剪定をしましょう。光や風が通るようになると、湿気が溜まりにくくなります。
結果的に、灰色カビ病を予防することができるでしょう。受け皿に水を溜めると多湿環境の原因になるので、受け皿に溜まった水はこまめに捨ててください。
葉や枝を傷つけない
灰色カビ病の病原菌は、葉や枝、茎の傷から侵入します。そのため、なるべく傷を作らないように育ててください。
枝葉や茎を折ったり、鉢を倒したりしたときにできた傷から、灰色カビ病になることも。害虫がつけた傷からも病原菌は侵入します。
しかし、観葉植物を育てていると、少なからず剪定は必要です。剪定はカラッと晴れた日に行うと、切り口がすぐに乾くため病原菌の侵入リスクを減少できます。
剪定ハサミから灰色カビ病の病原菌が侵入しないように、消毒をした清潔なハサミを使うことも重要です。
枯れた葉は取り除く
観葉植物の灰色カビ病の予防には、「枯れた葉を取り除く」のも効果的です。
枯れた葉が観葉植物に付いたままであれば、風通しが悪くなる原因に。土の上に落ちれば、水やりで濡れることで灰色カビ病が発生する原因になるためです。
枯れる直前の黄色くなっている葉や茎も同様に取り除きましょう。こまめに取り除いたり、鉢土の上を綺麗にしたりすることが灰色カビ病発生の予防につながります。
マルチングをする
灰色カビ病の予防にはマルチングも効果的です。カラテアのように土から茎が伸びたり、葉が土の近くで茂ったりするタイプは、水やり時に土が跳ねて付くことがあります。
灰色カビ病の病原菌は、土の中にもいるため、土が跳ねて植物に付くと病気を発生させやすいです。そのため、バークチップやヤシ繊維、砂利などでマルチングをして土が跳ねないようにすると、予防につながります。
ただし、マルチングをし続けると土が乾燥しにくくなるので、注意が必要です。1週間に1度でもよいので、マルチングを外して表土が乾くように管理してあげると、より観葉植物の生育が良くなります。
灰色カビ病が発生しにくい観葉植物
灰色カビ病が発生しにくい観葉植物を紹介します。
- ユーカリ
- オリーブの木
- アカシア
灰色カビ病は多湿環境で発生しやすい病気です。乾燥した環境で育つ植物ほど灰色カビ病にはなりにくい性質があります。
もし灰色カビ病に悩んでいる場合は、紹介する観葉植物を育ててみるのもよいかもしてません。
ユーカリ
日当たり | 日当たりのよい屋外 |
温度 | 最低-5℃以上をキープする |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | 強い |
水やり | 春夏:手で土を触って水分を感じなくなったら(鉢の中央部分までしっかり乾いてから) 秋冬:手で土を触って水分を感じなくなったら(鉢の中央部分までしっかり乾いてから)2〜3日後 |
ユーカリは、銀色~緑色の葉を持つナチュラル感のある観葉植物。お庭のシンボルツリーに人気があります。
成長スピードが早いので、適宜剪定をする必要がありますが、生育旺盛で育てやすいです。ユーカリは乾燥気味の環境を好みます。
土が常に湿っていると生育が悪くなるので注意してください。薄い葉には水分があまり含まれていないため、乾燥気味に育てれば灰色カビ病にもなりにくいです。
その他の育て方ポイントが気になる方は、「ユーカリの育て方」の記事を参考にしてみてください。
[https://andplants.jp/collections/eucalypopulus]オリーブの木
日当たり | 日当たりのよい屋外 |
温度 | -5℃まで耐えられる |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 強い |
水やり | 春夏:手で土を触って水分を感じなくなったら(鉢の中央部分までしっかり乾いてから) 秋冬:手で土を触って水分を感じなくなったら(鉢の中央部分までしっかり乾いてから)2~3日後 |
オリーブは「平和の象徴」とも呼ばれる幸せを運んでくれる観葉植物です。風水では邪気を払う効果があるとされており、開店祝いや新築祝いなどの贈り物に適しています。
お世話もしやすく、屋外で管理する場合は特別な注意は不要です。ただし、湿気が続く状態が苦手なのでお水のあげすぎには気をつけるとよいでしょう。
灰色カビ病にもなりにくいので、安心して育てられます。日当たりや温度、剪定などの詳しい育て方が気になる方は、「オリーブの木の育て方」の記事を参考にしてみてください。
[https://andplants.jp/collections/olive]アカシア
日当たり | 日当たりのよい屋外 |
温度 | 最低気温-5℃まで耐えられる |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | やや強い |
水やり | 春夏:手で土を触って水分を感じなくなったら(鉢の中央部分までしっかり乾いてから) 秋冬:手で土を触って水分を感じなくなったら(鉢の中央部分までしっかり乾いてから)2~3日後 |
アカシアは、美しいシルバーリーフに青みがかかった葉が特徴的なマメ科の観葉植物です。オーストラリアを原産した植物は「オージープランツ」とも呼ばれ、近年人気を集めています。
寒さには比較的強いため、屋外のインテリアに相応しいです。また、冬が過ぎ去り、暖かい春がやってきた頃には小さく可憐な花をたくさんつけます。
基本的な育て方のポイントは、土が乾いたら鉢底から水が出てくるまでたっぷりと与えること。日当たりのよい場所で管理をすると大きく生長するので、5〜6月頃に剪定をしてあげてください。
その他、育て方のポイントが気になる方は、「アカシアの育て方」の記事を参考にしてみてください。
[https://andplants.jp/collections/acacia]観葉植物の灰色カビ病によくある質問
最後に観葉植物の灰色カビ病によくある質問とその答えを以下にまとめました。
- 観葉植物の灰色カビ病に効く特効薬はありますか?
- 観葉植物に発生した灰色カビ病には重曹や酢は効く?
- 観葉植物の灰色カビ病の潜伏期間は?
それでは具体的に見ていきましょう。
観葉植物の灰色カビ病に効く特効薬はありますか?
観葉植物の灰色カビ病には、「これだけを使えばいい」といった特効薬はありません。
予防や治療には「ベニカXファインスプレー」や「ベンレート水和剤」などがおすすめです。治療だけであれば「カリグリーン」も灰色カビ病によく効きます。
害虫対策も同様ですが、異なる薬剤をローテーションして使用することが重要です。同じ薬剤ばかり使うと、抵抗性が生まれて効果が薄くなります。
灰色カビ病に悩まされている方は、複数の薬剤をローテーションして使うと薬剤の効果を実感できるでしょう。
観葉植物に発生した灰色カビ病には重曹や酢は効く?
観葉植物に発生した灰色カビ病に、重曹や酢は一定の効果はあります。しかし、薬剤のように速効性や完全な予防、治療は見込めません。
どうしても化学的な薬品を使いたくない場合のみ、重曹や酢などの食品由来や自然由来の方法で試してみてもよいかもしれません。しかし、完全に予防や治療ができるわけではない点には注意が必要です。
枯らしたくない大事な観葉植物には、化学的な薬品を使った方が良いでしょう。
観葉植物の灰色カビ病の潜伏期間は?
灰色カビ病の潜伏期間は、2週間程度です。環境によって前後しますが、低温(15℃程度)多湿環境であればあるほど、病原菌は観葉植物に長く潜伏します。
反対に、高温(30℃程度)乾燥環境では、長く潜伏できず活動できません。潜伏期間が長いほど、発病するまでは灰色カビ病に感染していることに気づけない可能性が高いです。
日頃から適切な環境で病原菌が感染しないように観葉植物を育てましょう。
まとめ
観葉植物に発生する灰色カビ病について紹介させていただきました。灰色カビ病は、常に土を湿らせ続けてしまう方に起こりやすい病気の1つです。
水のやりすぎや土の水はけの悪さに注意して育てましょう。観葉植物を育てている環境が悪いことによって、土が乾燥しにくい場合もあります。
日当たりと風通しを改善するだけで、土が乾きやすくなり、灰色カビ病が発生しなくなることも。適切な環境で観葉植物を育てることは、灰色カビ病をはじめとした病気予防の基本なので、ぜひ育てる環境にはこだわりましょう。
もし灰色カビ病が発生したら、速やかに病変部分を取り除き殺菌剤を使ってください。放置してしまうと、観葉植物が枯れたり他の植物に感染したりします。
ぜひこの記事を参考に、観葉植物が灰色カビ病にならないように育ててみてください。