観葉植物の育て方|コツや管理法について

観葉植物の育て方|コツや管理法について

この記事では、観葉植物の基本的な育て方を紹介します。

「初めての観葉植物でどう育てればいいかわからない」という方でも大丈夫なように、わかりやすく、網羅的に解説しました。

ぜひブックマークしていただき、何かトラブルがあった時に辞書的に使ってもらえれば嬉しいです。

この記事を監修した人佐藤桃子
ハウスメーカーで造園・観葉植物などに携わったのち、観葉植物専門店の店長としてトータルでプロデュースを手掛ける。2022年よりAND PLANTSに所属。著書に 『選び方・育て方のコツがわかる!観葉植物の教科書』 『INTERIOR GREEN 観葉植物と日常』(ブティック社)。他、監修本多数。

観葉植物を育てる上で必ず必要なもの

まずは植物を育てるにあたって必ず必要なものをまとめました。まず大事なのは下記の3つ。初めての方でもこれさえわかっていれば、元気に植物を育てることができますよ。

  1. お水やり|土が完全に乾いてからあげる
  2. 日光|日当たりの良いところに飾る
  3. 空気|風通しのよい場所に置く

それぞれについて下記でより詳しく紹介していきます。

お水やり|土が完全に乾いてからあげる

お水やり|土が完全に乾いてからあげる

水やりはメリハリが重要です。根がある場所(植木鉢の中央部分)までしっかり土が乾いたときが水やりのタイミングです。土が十分に乾くと、土の中に空気の塊ができ、そこに土内の老廃物や虫・菌が溜まります。水やりをして、鉢底からお水を流し出すことで土内の老廃物が鉢の外に排出されます。

植物が育つのにも人間と同じく栄養が必要で、植物は「栄養を作り出す」「栄養を吸収する」のどちらかで栄養を摂取しています。

水と二酸化炭素、日光を使い光合成をすることで「栄養を作り出し」、雨などで染み出した土の栄養素を根から吸うことで「栄養を吸収する」のです。いずれにせよ、栄養を摂取するのにお水が欠かせないことがわかりますね。

それでは常にお水をあげれば良いのかというと、実はそうでもありません。根も呼吸をしているので、常に水に濡れていたり、土が湿り続けていたりすると酸素を吸収できず弱ってしまいます。

お水やりの基本は土が完全に乾いてから、たっぷりあげることです。最初は土の中まで乾いているかわかりづらいので、持ち上げてみたり、竹串を刺したりして乾いているかを確認します。

AND PLANTSでは、お水やりのタイミングがわかる水やりチェッカー「SUSTEE」を扱っています(観葉植物とセット購入可)。土の表面に挿すと、色(青or白)によってお水やりの要否がわかるものです。

「お水やりのタイミングがわからない…」といった方におすすめの道具ですので、お水やりで失敗をしたくない方はぜひ検討してみてください。

関連記事:観葉植物の水やり|ポイントとやり方について

日光|日当たりのよい場所に置く

お水やり|土が完全に乾いてからあげる

光合成をおこなうため、観葉植物には日の光も欠かせません。

植物によっては半日陰や日陰のような暗い環境を好む種類もいますが、基本的に植物は日当たりの良い場所に飾りましょう。

理想的な日当たりは日光が日中に6時間程度当たる場所です。また西日は光が強く温度も高いので、午前中の光がより良いとされています。

今まであまり元気がない植物でも、日当たりを変えるだけで急に元気になる場合もあるので、日当たりはぜひ工夫してみてください。もし、日当たりが改善できない場合は、植物を育成するLEDライトなどで補うのがおすすめです。

関連記事:日光に強い観葉植物|おすすめと管理のコツについて

空気|風通しのよい場所に置く

空気|風通しのよい場所に置く

お水やりや日光と同じくらい大切なのが風通し。健康で丈夫な株に育てたい場合は、風通しのよいところに置くのが大切です。 風通しのよいところで植物を管理できれば、土も適度に乾き根腐れが起きにくくなります。

加えて、風の力を浴びることで葉や幹もたくましくなるでしょう。 一方、風通しが悪ければ土が乾きにくいため、根っこも湿った状態が長く続きます。結果、根っこが腐ってしまい、株全体がダメになる可能性も。

植物を育てるうえで風通しも重要な役割があるので、意識しておかなければいけません。屋内であれば、エアコン・サーキュレーターで風を意図的につくるとよいです。

ただし、直接風を当てないようにしましょう。あくまで空間の空気を流すイメージです。人間も、ずっと直風を当てられていると風邪を引いてしまうのと同じで、植物も長い直風はストレスになってしまいます。

関連記事:観葉植物の風通し|大切な理由と悪いときの対策について

観葉植物を育てる上で知っておきたいこと

基本を押さえたら、次は育て始めてからの予備知識を知っておきましょう。

  1. 肥料|液体肥料と緩効性肥料を使い分ける
  2. 温度|各植物に適した気温下で管理する
  3. 剪定|生育期直前を目安に行う
  4. 植え替え|1〜2年に1回は鉢を植え替える

肥料|液体肥料と緩効性肥料を使い分ける

肥料|液体肥料と緩効性肥料を使い分ける

観葉植物の肥料は主に即効性のある液体肥料と、ゆっくりと栄養を与える緩効性肥料の2種類に分かれます。どちらも土の栄養素をサポートし補填する役割を果たします。

緩効性肥料は植物の植え付け時に元肥として土に混ぜ込んだり、生育期に追肥として土にふりかけたりして使用します。お水やりをする際に溶け出し、植物に栄養を送ってくれるのです。ゆっくりと溶けだして効くので、水の渇きが早い植物に与えると効果的です。

液体肥料は水に混ぜて希釈するタイプのものが多くあります。即効性のある肥料なので成長期に与えると良いでしょう。室内向けの観葉植物には液体肥料が効果的です。逆に屋外の植物は、肥料成分を取り込む前に水が乾いてしまうので不向きです。

肥料は植物にとって大切なものですが、人も栄養を摂りすぎると負担になるように、植物に肥料を与えすぎると「肥料焼け」を起こし状態が悪くなることがあります。用法容量を守って適切に活用してください。

関連記事:観葉植物の肥料|種類と使い方について

温度|各植物に適した気温下で管理する

温度|各植物に適した気温下で管理する

市場に流通している植物の多くは、熱帯など暑い地域が原産地のものが多いです。そのため、日本では暖かい時期に最も活発に育ちます。

一方、寒さの厳しい日本の気候では冬越しできない種類もあるため、生育が止まったり枯れたりするケースも多いです。

植物は、寒さに耐えられる耐寒温度が決まっているので、なるべく下回らないように管理をするのが好ましいとされています。

目安としては5℃〜10℃程度なので、気温が下がりそうな時期には暖かい場所へ移動させるのがよいです。また、冬の間はじっと休眠期間を過ごしていた植物が春になって芽吹く姿は、たいへん感慨深いものがあります。

ただし、近年の日本の夏は世界的に見ても酷暑です。植物もあまりに熱い環境では夏バテしてしまうので、30℃を上回る環境では半休眠することがあります。

人が過ごしやすい気温は植物にとっても過ごしやすい気温です。できれば15〜28℃の温度を保って成育させてください。

関連記事:観葉植物の温度|適温や調節方法について

剪定|生育期直前を目安に行う

剪定|生育期直前を目安に行う

特に年をまたいで植物を育てる人にとって大切な作業が剪定です。

不要な枝を切る作業ですが、育ってきた枝を切ってしまうのは取り返しのつかない作業なだけに、少し気が重く感じる方もいるかもしれません。

剪定は、風通しをよくするとともに、樹形を整える役目にもなっています。植物は最も光に近い部分を伸ばす性質があるため、剪定をしないと枝が1本だけ長くなってしまうことも珍しくありません。

不要な枝を剪定すると、他の枝に栄養を届けられるので、植物全体を活気付けることができますよ。これからぐんぐん伸びる生育期前に行なっていきましょう。

また、ほぼ全ての葉を切り落とし「ボウズ」の状態を作る「強剪定」という剪定方法もあります。こちらは、株が完全に弱ってしまった時や冬越し前に体力を溜めるために行うものです。

植物の状態や時期を考慮して、必要な剪定を行ってください。

関連記事:観葉植物の剪定|適切な時期とやり方について

植え替え|1〜2年に1回は鉢を植え替える

植え替え|1〜2年に1回は鉢を植え替える

植物は購入してからも定期的に植え替えが必要です。葉や茎が成長するように、根も伸びていきます。植え替えをしないと鉢の内部で根が詰まっていき、適切に呼吸できない可能性があるのです。生育に障害が発生することも。

植え替えをする際は、現状の鉢より1号大きい鉢へ移すのをおすすめします。それ以上大きい鉢に植え替えを行うと、根が吸収できる量より多い水を含むことになり、根腐れを引き起こす危険があります。

植え替え自体は慣れてしまえば30分ほどで済むので、必要時にサクッと行なってしまうのが後々のためにもいいでしょう。

関連記事:観葉植物の植え替え|適切な時期や方法について

観葉植物の育て方に起因する主なトラブルと対処法

上記のお世話で植物は育ちますが、成長に伴いトラブルもつきものです。代表的なトラブルとその対処法を次にまとめました。

  1. 根腐れ|水やりを控える
  2. 根詰まり|植え替えをする
  3. 葉焼け|直射日光を避ける
  4. 害虫|市販の薬を使用する

上記4つの対処法が分かっていれば、もう植物を育てるのに心配はありません。では、さっそく見ていきましょう。

根腐れ|水やりを控える

根腐れは、水を与えすぎてしまい根が酸素を吸えず、腐る状態のことをいいます。

土が湿った状態かつ葉が黄色く変色していたら、根腐れを疑ってみるといいかも知れません。さらに進行すると腐敗臭がして、茎がプニプニと柔らかくなり、手遅れになることも。

対処法はまず水やりを控えるのがよいです。それでも改善しない場合は、植え替えを行います。植え替えの際には、土をある程度まで綺麗に洗い流し、腐っている根は切るのが得策です。

植え替えが完了したら、しばらく風通しの良い場所に置いてください。数日経ち、土が乾いていたら、普段通り水やりをして問題ありません。

また、根腐れと気づかず安易に肥料を与えると、かえって悪化する恐れがあります。状態に異変を感じたらお水やりや肥料などは一旦、ストップするのが無難です。

関連記事:観葉植物の根腐れ|対処法や見分け方の紹介

根詰まり|植え替えをする

根詰まりは鉢の中いっぱいに根が伸びて、隙間がなくなってしまった状態のことです。そのままにしておくと株が弱り、酸素を吸う隙間がないので根腐れを起こす可能性があります。

鉢の底から根が飛び出していたり、土が乾くスピードが早く保水できなかったりする場合は、根詰まりの可能性を考えてみてください。

土は適度な隙間があると水分や栄養を保ちますが、根詰まりを起こしているときは隙間がないため保水ができないのです。

根詰まりが起こった場合は、一回り大きなサイズの鉢に植え替えましょう。

サイズを大きくしたくない場合は、鉢から取り出し根を半分ほどカットして元の鉢に植え替えるのがよいです。その際は、枝も剪定してバランスを整えておくのをおすすめします。

関連記事:観葉植物の根詰まり|症状や対処法について

葉焼け|直射日光を避ける

葉が白もしくは黄色く変色し、元気がなくなっていたら葉焼けを起こしているかもしれません。日光の当てすぎにより、植物がヤケドをした状態になっています。状態が悪化すると、葉が茶や黒に変色し落葉する可能性も。

日光の当てすぎや、高温であることが原因です。長いあいだ日陰などの暗い場所で過ごしていた植物を、突然日当たりの良い場所に移した時にも葉焼けが起きます。

移動させる際は、徐々に明るい場所に移すのが得策です。加えて、日光と窓の間にレースカーテンを1枚挟むと葉焼けになる可能性が下がります。

残念ながら、葉焼けした葉を元通りに回復することはほぼ不可能です。

変色した葉は「日の当たり過ぎを教えてくれた」と思うようにして、生育の糧にするのがいいでしょう。

関連記事:観葉植物の葉焼け|原因や対処法の紹介

害虫|市販の薬を使用する

屋外で植物を育てている方は、アブラムシなどの害虫に悩まされた経験もあるのではないでしょうか。害虫の多くは植物の栄養を吸って弱らせますが、虫の種類によっては病気を運び、トラブルを引き起こします。

害虫が発生した際は、市販の薬・殺虫剤などを使用するのが効果的です。即効性もあるため、被害を最小限にできます。 対処を行った後は、再発を防ぐために防虫剤を散布するのがよいです。日常から行える予防であれば、葉水を行うのもいいかもしれません。害虫は水分を弱点とする種類が多いからです。

「大事に育てている植物に薬を撒くのはなんだか抵抗がある」といった方もいらっしゃるかもしれませんが、虫は1匹見逃すと繁殖してすぐに増えるため、植物の為にも早めに対処してあげてください。

関連記事:観葉植物に付く虫|発生する種類と対策について

トラブル別の対処法一覧

観葉植物のトラブルと代表的な対処法を表にまとめました。

葉のトラブル 代表的な対処法
パリパリ 水やりの頻度改善
変色(黒) 水やりの頻度改善
変色(白) 直射日光を当てない
変色(黄色) 肥料を与える
虫害は補殺・殺虫剤を散布する
垂れ 暖かい場所に移動させる
葉焼け 直射日光を当てない
虫のトラブル 代表的な対処法
ハダニ 殺虫剤を散布する
カイガラムシ 殺虫剤を散布する
アブラムシ 殺虫剤を散布する
コナジラミ 牛乳を吹きかける
コバエ 鉢ごと水に浸す
トビムシ 風通しをよくする
病気のトラブル 代表的な対処法
うどんこ病 酢や重曹を薄めて散布する
すす病 ティッシュや歯ブラシで除去する
炭そ病 病変した葉を切り取る
灰色カビ病 病変した葉を切り取る
斑点病 病変した葉を切り取る

各トラブルの対処法は、以下の記事で詳しく解説しています。 

関連記事:観葉植物のトラブル|主な症状と対処法まとめ

観葉植物の育て方に関するよくある質問

最後に観葉植物の育て方を調べる方からのよくある質問とその答えをまとめました。

  1. 冬場の管理で気をつけておくことは?
  2. 日光が入らない場所でも育てられるの?
  3. 観葉植物の土はどんなものを選んだらいい?

順にそれぞれ見ていきましょう。

冬場の管理で気をつけておくことは?

冬場は、植物が温度変化に耐えられるようにサポートしてあげる管理が必要です。

寒さに強い冬越しが可能な植物であれば安心ですが、暖かい地域で育ったものは特に注意しなければいけません。屋外で育てている場合は植物を部屋の中に入れて、冷気が漂う窓際から距離を置くのが大切です。

トラブル別の対処法一覧また冬場は、観葉植物の多くは「休眠期」に入ります。休眠期の植物は、成長が遅くなり、樹液を濃くして寒さから身を守ろうとするそうです。

「休眠期」にお水やりをたっぷりしてしまうと、樹液が薄くなって寒さをしのぐことができません。加えて、ゆっくりとしか水を吸えないため根腐れの可能性も高まります。そのため、冬場のお水やりは、量・頻度に気をつけて行いましょう。

日光が入らない場所でも育てられるの?

観葉植物は、日光の入りづらい場所でも元気に育つ「耐陰性」といった性質を備えています。たとえば、パキラやモンステラは「耐陰性」の高い植物です。

ある程度、日が当たらなくても育てられますが、可能であれば定期的に当ててあげると元気に育ちます。

とはいえ、お家の間取りの都合などで日当たりが悪い場合もあるでしょう。その場合は、植物育成用のLEDライトを使用するのがおすすめです。

成長に必要な太陽の赤色と青色の光が強く放つように設計されています。

日光が入らなくても、植物がもつ性質や道具を活用すれば、うまく育てることができるでしょう。

観葉植物の土はどんなものを選んだらいい?

元気に育ってくれるように「元肥入り」となっているものを選ぶとよいです。肥料がすでに入っているため、そのまま使用できます。特に観葉植物を育てるのに慣れていない方にはよいかもしれません。

「虫が発生するのは困る」と考えていたら、ハイドロボールもおすすめです。高温で作られた土なので、虫・臭いも発生しません。繰り返し洗って使用できるため、とてもエコです。

植物をクリーンに育てたいなら、ぜひハイドロボールも検討してみてください。

まとめ

観葉植物の育て方の基本をまとめました。ここまで紹介したお手入れをすれば、きっと元気に育てることができるはずです。

最初のうちは「どうするべきなのか」と迷うかもしれません。

しかし、毎日植物のお世話をしていると、次第に「今は水はいらないんだな」「ちょっと日当たりを変えて欲しいのかも」などが分かるようになってきます。

専門的なことが分からなくても、親が自転車の乗り方を子どもに教えるように、手を差し伸べたり後ろを押したり、大切に成長を見守る気持ちがあれば元気に育つでしょう。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。 

タカタナカ
世界中を旅していた際、ジャングル奥地の集落で1ヶ月生活する機会がありました。 電気もなければ充分な食事もなかったのですが、沢山の植物に囲まれ、実った果実をおやつに頂くような生活でした。 帰国後もそんな植物たちが忘れられず、庭を埋めるほどの観葉植物に癒される日々を送っています。 好きな観葉植物は「ガジュマル」です。

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