観葉植物のケアの中でも特に気になる適切な温度。どのぐらいの温度が観葉植物にとってちょうど良く、元気に育てられるのかわかりにくいですよね。何となくこれぐらいの温度だろうと思っていても、実は植物にとってはストレスになっている場合もあります。
大事なことは、どんな観葉植物でも元気に育つ温度に設定してあげることです。さまざまな地域に自生する観葉植物なので、1種類のために適切な温度を設定するよりも、広い範囲で温度を設定した方が、全てを枯らさずに育てられますよ。
今回は観葉植物の温度について詳しく紹介します。
さらに、適温にする調整方法や温度だけでない観葉植物の育て方についても解説します。
観葉植物の適切な温度は15〜25℃
室内向きとして販売される観葉植物は、主に熱帯や砂漠地域に自生します。アフリカやオセアニア、東南アジアや中南米など年間の平均気温に大きな差がなく、常に一定の温度になる場所です。
ほとんどが常緑性の観葉植物は、落葉性の植物よりも寒さに耐性があまりないので、比較的15〜25℃や20〜30℃になる場所で生長します。
そのため、室内で観葉植物を育てる場合は、15〜25℃前後の温度をできるだけ保つことがポイント。氷点下になる場所や猛暑になる場所では育ちにくく、葉を落としてしまったり、株が枯れてしまったりすることもあります。
温度差を付けないで管理することがポイント
温度にデリケートな観葉植物ですが、ある程度の暑さや寒さに一定期間慣らすことで、耐性がつくようになります。そのため、適切な温度を超えて、枯らさずに育てることもできます。
ただし、植物は急激な温度変化には弱く、株に大きなストレスを与えます。突然暖かい場所から寒い場所へ鉢を移動させると低温障害を起こし、葉に黒い斑点模様や葉の黄変、さらには株が枯れる場合も。
反対に高温障害もあり、水分の吸収や光合成の阻害などといった生理障害を起こしやすくなります。
猛暑や極寒となる日が多い夏や冬は、観葉植物を外気にできるだけさらさないように管理しましょう。
植物は低温よりも高温に弱い
一般的に寒さに弱いと思われがちな植物ですが、基本的に生物の細胞は低温に強く高温に弱いです。植物も同じように寒さよりも暑さに弱く、35℃を超えるような場所では生長の流れが悪くなります。
植物は高温の状態にさらされると、体内にタンパク質を過剰につくり生命維持をはかろうとします。そうすると植物は休眠状態に入り、生長を止めてしまいます。休眠期に入ると免疫力が落ちるため、病原菌に感染されやすく病気を起こしやすくなることも。
また鉢植えで育てる観葉植物は、地植えよりも水が溜まりやすく、高温になる場所に置いておくと根腐れを起こしやすいです。根が酸欠を起こし、高温になった水によって根が傷みます。
直射日光が当たって高温になりやすい場所に長時間置いておくと、ぐったりと弱ってしまうこともあります。遮光して空気の流れをよくしましょう。
観葉植物別|最低管理温度の目安
比較的暖かい場所に自生している観葉植物は、日本に自生している植物よりも寒さには弱い傾向があります。
そのため、冬の寒い屋外では耐えられない場合も。ただし、種類や品種によっては、寒さに耐性があるものもいるので、全ての観葉植物が冬に枯れるわけではありません。
以下が、観葉植物別にまとめた最低温度の目安表です。ぜひ参考程度に見てみてください。
植物名 | 最低温度の目安 |
アグラオネマ・マリア | 15℃ |
アレカヤシ | 10℃ |
アンスリウム | 10℃ |
エバーフレッシュ | 8℃ |
オーガスタ | 10℃ |
オリーブの木 | -10℃ |
ガジュマル | 5℃ |
クルシア・ロゼア・プリンセス | 10℃ |
クワズイモ | 10℃ |
ケンチャヤシ | 5℃ |
コーヒーの木 | 10℃ |
ココヤシ | 15℃ |
コルジリネ・オーストラリス・レッドスター | 5℃ |
ザミオクルカス・ザミフォーリア | 5℃ |
サンスベリア・ゼラニカ | 10℃ |
シマトネリコ | -3℃ |
雲南シュロチク | 0℃ |
ショウナンゴムノキ | 10℃ |
ペペロミア・サンデルシー(スイカペペロミア) | 10℃ |
スキンダプサス | 10℃ |
ストレリチア・レギネ | 5℃ |
ストロマンテ・トリオスター | 10℃ |
トックリラン | 5℃ |
ドラセナ・コンシンネ | 10℃ |
ドラセナ・コンシンネ・ホワイトボリー | 10℃ |
ドラセナ・ソングオブインディア | 10℃ |
ドラセナ・デレメンシス・コンパクタ | 10℃ |
パキラ | 10℃ |
フィカス・アルテシーマ | 10℃ |
フィカス・ウンベラータ | 10℃ |
フィカス・ジン | 10℃ |
フィカス・バーガンディ | 10℃ |
フィカス・パルメリー | 10℃ |
フィカス・ベンガレンシス | 10℃ |
フィカス・ベンジャミナ・バロック | 10℃ |
フィカス・ベンジャミン | 10℃ |
フィカス・ベンジャミン・スターライト | 7℃ |
フィカス・リラータ・バンビーノ | 10℃ |
フィロデンドロン・バーキン | 10℃ |
フェニックス・ロベレニー | 0℃ |
フランスゴムの木 | 10℃ |
ピレア・ペペロミオイデス | 10℃ |
ミリオンバンブー | 10℃ |
モンステラ・デリシオーサ | 10℃ |
ユーカリ・グニー | -6℃ |
ユーカリ・ポポラス | -6℃ |
ユーカリ・ムーンラグーン | -5℃ |
ユッカ・エレファンティペス | 0℃ |
柱サボテン | 0℃ |
ここで紹介した観葉植物は、こちらの商品一覧ページにてご覧いただけます。
観葉植物の温度管理方法
観葉植物を育てる上では、温度管理がとても大事です。しかし、どのように温度を調節したらよいかわからないこともあると思います。
ここでは、基本的な観葉植物の温度管理方法について5つ紹介します。
- 光を調節する
- 風通しを良くする
- 葉水や加湿器で湿度を調節する
- 夏は半日陰で管理する
- 冬は防寒対策する
誰でも簡単にできることなので、ぜひ実践してみましょう。
①光を調節する
高温に弱い多くの観葉植物は、直射日光が当たらないようにカーテンやブラインドなどで遮光します。
光の入り具合を調節することによって、部屋の温度を上げたり下げたりできるので、植物が育ちやすい快適な環境を簡単につくれます。冬にいつまでもカーテンが締め切った場所などでは、植物にとっては寒過ぎて休眠期に入ってしまう場合も。
暑いときはカーテンで遮光し、寒いときはカーテンを開けて光を入れるようにしましょう。
②風通しを良くする
風通しの悪い場所では、空気が停滞しやすいため外気によって気温が変化しやすいです。植物は体温の調節ができないので、暑くなりすぎたり寒くなりすぎたりします。
部屋を完全に締め切らず、ドアや窓を開けて空気の流れをつくるように心がけましょう。外出中は換気扇を回す、扇風機やサーキュレーターで空気を循環させるなどを意識するといいです。
ただし、風が葉に直接当たると蒸散が過剰に行われてしまい、植物の水分が抜けて水切れを起こす場合も。壁や天井に跳ね返った間接的な風に当たるように調節してくださいね。
③葉水や加湿器で湿度を調節する
熱帯の地域に自生する観葉植物は、葉水や加湿器を使って湿度を調節することも大事です。極端な暑さによる乾燥は、水切れを起こしたり害虫の被害にあったりする場合もあります。
反対に、寒さによる乾燥でも植物が生長している場合は、水切れを起こしやすくなるので葉水や加湿器が欠かせません。
しかし、極端な高温多湿は根腐れを起こしやすいので、夏場は直射日光が当たらないように遮光をして、葉水をしたり加湿器を使ったりしましょう。
④夏は半日陰で管理する
夏場の直射日光は、観葉植物に大きなストレスを与えやすいので、遮光することは基本的です。しかし、日当たりの良い場所でも水切れを起こすことがあるので、6〜8月の間は半日陰になる場所で管理しましょう。
植物は、午前中に光合成を活発に行うので、朝の日差しが当たって日中は日陰となるような場所に置くのがおすすめです。
上記のような場所であれば、日中になっても強い日差しが当たらず鉢も熱くなりにくいです。葉水や水やり後でも葉焼け・根腐れを起こしにくく、植物は枯れずに育ってくれます。
⑤冬は防寒対策する
冬の夜は室内の気温がぐっと下がり、観葉植物にストレスを与える場合もあります。葉が茶色く変色したり、落葉したりすることも。
暖房の効いていない部屋で夜を過ごす場合は、タオルやダンボールを使って鉢を暖かくしてあげましょう。根が寒さに長時間当たってしまうと傷み、株が枯れてしまう場合もあります。
また、窓際に長く観葉植物を置いておくと外気の寒さを直接受けやすいので、距離を離して飾ることも大事です。室内の気温が低くなり過ぎないように断熱シートを窓際に設置しましょう。
さらに可能であれば、観葉植物を暖かい寝室に移動させて冬越しをさせるのもおすすめです。
温度計や湿度計を使うのもおすすめ
観葉植物を育てるときは、温度計と湿度計を使うといいです。肌で感じて気温を調節するのは難しく、適切な温度かどうかがわかりません。
パッと一目で数字で判断でき、今が植物にとって良い環境なのかどうかがわかります。部屋に長く設置しておけば日頃の環境がどういった状況なのか、暑過ぎるのか寒過ぎるのかが明確にわかり、温度の調節も楽になります。
管理が少しでも楽になれば、観葉植物のケアが疎かになりにくく観察する意識も高まりますよ。
温度調節以外で必要な観葉植物のケア
観葉植物のケアは、温度調節だけでなくほかにも必要なことがたくさんあります。
ここでは、特に行うべき必要なケア方法を3つ紹介します。
- 植え替え
- 節ごとに水やりのタイミングを変える
- 肥料や活力剤を与える
このあと、それぞれを詳しく解説します。
関連記事:観葉植物の育て方|コツや管理法について
植え替え
観葉植物は、2〜3年に1回を目安に植え替えを行いましょう。
いつまでも同じサイズの鉢に入れたままでは、植物は元気に生長しにくく、根詰まりを起こして生長の流れが悪くなります。また根詰まりを起こすと、与えた水が土に染み込みにくいため、水や栄養を十分に吸収できず枯れてしまう場合も。
鉢底や土の表面から根が出ているときや、根がパンパンに伸びて土の表面が硬くなったときにも、一回り大きい植木鉢に植え替えをしましょう。
また、土が古くなると栄養のバランスや植物の生長を助ける微生物や菌の量が減ってしまい、病気や害虫の被害にあいやすくなります。新しい土に替えて鉢の中の環境を良くすることも大事です。
季節ごとに水やりのタイミングを変える
温度によってストレスを大きく受けることもある観葉植物は、根や葉が傷まないように、季節ごとに水やりのタイミングを変えて管理します。
夏の日中に植物に水やりをすることは、園芸ではやってはいけないことの1つとされています。もちろん植物が育つ環境や、アサガオのような生命力の強いものなど種類によっては枯れない植物もあります。
しかし、鉢植えで育てる観葉植物はストレスを受けやすいので、できるだけ気温が高過ぎるときや低過ぎるときに水やりをするのは控えましょう。
肥料や活力剤を与える
観葉植物には定期的に肥料や活力剤を与えて、葉や花がより美しくて健康的な株に育てるのがおすすめです。
肥料や活力剤を必ず与えなくても、株が枯れてしまうことはあまりありませんが、与えた方が見栄えが良く、病害虫にも強くなります。
肥料は、窒素(N)・リン酸(P)・カリウム(K)のバランスのとれた緩効性化成肥料を、4〜9月ごろにかけて2ヶ月に1回のペースで与えます。
活力剤は肥料ではないので、水やりのタイミングや、普段何でもないときにでも定期的に与えるようにしましょう。
余談:観葉植物のUSDA zoneを知っておくのもおすすめ
植物を育てる温度は、とても気をつければならない点ということがよくわかると思います。
とくに四季がある日本では、暖かい地域に自生する観葉植物が経験したこともない寒い冬があります。もちろん日本だけでなく、同じぐらいの緯度にある国にも四季は存在します。
そのため、世界の園芸では植物がどれぐらい寒さに耐えられるのか、細かくわかりやすくした指標が使われています。
それは「USDA zone」または「Plants hardiness zone」と呼ばれるものです。
これは「United States Department of Agriculture Plant Hardiness Zone(米国農務省 植物の耐寒性地帯)」の略。アメリカの農務省が開発した、寒さの段階を13のレベルに分けて、植物の耐寒性レベルを数値とマップで明瞭化した指標です。ガーデニングや植物を育てるうえで、植物がどの地域で、どれぐらいの寒さまで耐えられるのかを確認するために使います。
USDA zoneの数値は、植物が元気よく育てられる気温ではなく、どこまで生きられるのかの気温を示しています。この数字を超えると株が枯れて育たないということを表しているので、ケアをするうえで参考にするといいです。
自分が住んでいる地域のUSDA zoneは、レベルがいくつなのかを把握したあとに、植物のUSDA zoneを調べましょう。
日本のUSDA zoneでは気象庁の観測データを元に、都道府県市町村ごとにレベル分けされています。
もし観葉植物を新しく育てようと思っている場合は、USDA zoneを活用して、枯れてしまわないか、もしくは育てられるのか確認するといいです。
アメリカをはじめ、カナダ・イギリス・オーストラリアなどの国でよく使われているのを目にします。日本ではまだまだ普及してはいませんが、植物を育てる上で大いに役に立つでしょう。
ちなみに植物のUSDA zoneを調べるときは、学名や英語名で検索をかけるといいです。
観葉植物の温度についてよくある質問
最後に、観葉植物の温度についてよくある質問をまとめました。
- 湿度が極端だと観葉植物に影響がある?
- 日陰や湿気に強い観葉植物はある?
温度を調節する中で、湿度や日陰に関しても気になることがあると思います。
湿度が極端だと観葉植物に影響がある?
ジャングルなどの熱帯の地域に自生する観葉植物は、高温多湿な環境を好むので、湿度が高い分には問題ないといえます。
ただし、アフリカ大陸やオーストラリア大陸などの砂漠・サバンナ地帯に自生する観葉植物は、多湿・高温多湿な環境が苦手です。株が枯れやすい環境ともいえるので、過剰な加湿は悪影響を及ぼします。
反対に湿度が低くなり過ぎると、熱帯の観葉植物は乾燥し過ぎて水切れを起こしやすいので、加湿が必要です。
まとめると、室内で育てる観葉植物は湿度が高過ぎたり低過ぎたりすると、一部の植物が枯れてしまうこともあります。25〜55%の湿度を設定して育てるのがおすすめです。
日陰や湿気に強い観葉植物はある?
日陰と湿気に強い観葉植物は、モンステラ、ペペロミア・サンデルシー(スイカペペロミア)、ぺぺロミオイデス、フィカス・ベンガレンシスなどがおすすめです。
日陰になる場所に置けて、湿気がこもってしまっても彼らにとっては嬉しい環境です。
高温多湿な環境を好む植物ですが、猛暑日の高温多湿は危険なので、必ず窓やドアを開けて換気をしてくださいね。
まとめ
観葉植物の生長の流れを良くするために必要な適切な温度。鮮やかな葉や花を観賞するためには、温度の管理や調整は欠かせません。温度計や湿度計を使って、数値がわかりやすく見えるようにしておきましょう。
また、観葉植物を育てる上で、その植物の自生地を知っておくことも大事です。自生地がわかれば適切な環境をつくりやすく、枯らすことも少なくなります。観葉植物を購入後は、名前を覚えるよりも生態や育つ環境を調べて観察することが大事かもしれません。