観葉植物を育てていると、アブラムシに悩む方も多いと思います。アブラムシは観葉植物に害を与える体長2~4㎜程度の小さな虫です。
観葉植物にアブラムシが発生すると、見た目が悪くなるだけでなく、今後の生育に悪影響を与えるため注意してください。今回は観葉植物に発生するアブラムシの原因や対処・予防法について紹介します。
アブラムシが観葉植物に大量発生すると、他の室内植物にも移る可能性があるため、早期発見と退治が重要です。
アブラムシ発生の原因や対処・予防法を知ることで、室内でも安心して観葉植物を育てられるでしょう。
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[/collections/caregoods]観葉植物に発生するアブラムシとは
アブラムシは植物の新芽やつぼみなど柔らかい部分に群生して、植物の汁を吸う害虫です。成長サイクルが非常に早く、7~10日程度で卵から成虫になり、どんどん増えていきます。
家庭菜園や畑など屋外で発生しやすい害虫ですが、服に付着していたり窓から侵入したりして室内の観葉植物に付くことも多いです。メス一匹で増えることができるため、注意してください。
アブラムシが観葉植物にもたらす被害
観葉植物の栄養が吸汁されて生育が悪くなる以外にも、アブラムシによる観葉植物の被害には、以下の3点があります。
- モザイク病
- すす病
- アリの誘因
それぞれ詳しく見ていきましょう。
被害①|モザイク病
モザイク病とは、葉にモザイク状のまだら模様が現れて、次第に葉が縮れて生育が悪くなる病気です。ウイルス性の病気は治療方法がないため、残念ながらそのまま生育が悪くなり、枯れる恐れがあります。
アブラムシはモザイク病の媒介昆虫です。草花や野菜に発生しやすいモザイク病ですが、パキラやガジュマル、コーヒーの木などの観葉植物にも発生するため注意してください。
カビや細菌由来の病気でないため、ほかの植物に空気感染することはありません。しかし、増殖したアブラムシが移動してモザイク病になる可能性があります。
また、モザイク病の観葉植物を剪定したハサミを消毒せずに使用すると、病気が移る可能性も。アブラムシ以外にもハダニやカイガラムシなどの吸汁性害虫はウイルスの媒介者であるため、見つけ次第すぐに対処してください。
被害②|すす病
すす病は、葉や茎に黒いすすのようなカビが生える症状を指します。アブラムシやカイガラムシの排せつ物に、カビが生えた状態のことであり、病原菌やウイルスが原因ではありません。
そのため、すす病そのものは観葉植物の生育に与える悪影響は少ないですが、観葉植物の見た目が悪くなります。
影響が少ないとは言え、すす病が枝葉に発生すると光合成が阻害されるので、注意してください。すす病は、湿った布で綺麗にふき取ることで、簡単に取り除けます。
しかし、発生の原因であるアブラムシやカイガラムシを駆除しない限りは、何度も発生するので気を付けてください。
被害③|アリの誘因
アブラムシが観葉植物に発生すると、アリを引き寄せます。アリは観葉植物の生育に影響はありませんが、多くのアリが観葉植物に集まっていると不快に感じる方が多いでしょう。
アリが集まる理由は、アブラムシの排せつ物が原因です。観葉植物の汁を吸って出す排せつ物には多くの糖分が含まれているため、アリが引き寄せられていきます。
カイガラムシの排せつ物もアリを引き寄せるので、アリが観葉植物に集まっている場合は、アブラムシやカイガラムシが発生している可能性が高いです。
アリの誘因を防ぐためには、アブラムシやカイガラムシを駆除してください。
観葉植物にアブラムシが発生する原因
観葉植物にアブラムシが発生する原因は、以下の4つです。
- 屋外からの侵入
- 日当たり不足
- 窒素肥料
- 風通しの悪さ
屋外からの侵入
室内の観葉植物にアブラムシが付く原因は、屋外からの侵入にあります。アブラムシの中には、翅(はね)が生えているタイプもいるため、飛んで窓の隙間から侵入することが多いです。
また、外出した際に服やバッグに付着して侵入することもあります。水やりや植え替えなどのために、一時的に屋外に出したときに付くこともあるかもしれません。
アブラムシは非常に小さな虫なので気づきにくいですが、日ごろの観察で見つけたら素早く対処してください。
日当たり不足
アブラムシは暗い環境を好みます。そのため、日当たり不足の環境で育てている観葉植物で発生しやすいです。
また、日当たりが悪いと観葉植物も十分に光合成ができないため、生育が悪くなります。生育が悪い観葉植物の葉や茎の組織は柔らかいので、アブラムシにとって好都合です。
暗い環境で育てている植物は、置き場所を変えて日当たりを改善してください。
窒素肥料
観葉植物に窒素肥料を過剰に与えると、アブラムシが発生しやすくなります。窒素は植物体内で生成されるアミノ酸に深く関与しており、アブラムシはアミノ酸を好んで吸汁しているためです。
窒素を与えるほど、植物体内ではアミノ酸が多く生成されます。アミノ酸の多い植物には、自然とアブラムシが寄り付きやすいので注意してください。
また、窒素は葉を茂らせたり大きくしたりする栄養素でもあります。葉が急激に茂ったり大きくなると、葉の組織は軟弱になりやすいです。
結果的に、アブラムシが植物の汁を吸汁しやすくなるため、窒素肥料の与えすぎには気を付けてください。肥料は適切な量を与えることが重要です。
風通しの悪さ
アブラムシは風通しの悪い湿度の環境を好みます。
葉が茂っている環境だと、アブラムシの発見が遅れるので注意してください。「気づいた時には、大発生していた」といった場合もあります。
密閉された室内は風通しがないため、アブラムシが付くと短期間で大発生するので注意してください。定期的な換気や剪定を行って、風通しの良い環境を維持しましょう。
窓を開けることが難しい場合は、扇風機やサーキュレーターを使用して風通しを改善するのがおすすめです。
関連記事:観葉植物とサーキュレーター|必要性や使い方について
観葉植物に発生したアブラムシの対処法
観葉植物にアブラムシが発生した場合は、早急に対処する必要があります。数が少ないからと言って、そのままにしておくと短期間で繁殖して数が増えるためです。
観葉植物にアブラムシが発生した時の対処法には、以下の5つがあります。
- 日当たりの良い環境に移動させる
- 風通しを良くする
- テープやピンセットで取り除く
- 殺虫剤を使用する
- コーヒーや牛乳を使用する
日当たりの良い場所に移動させる
アブラムシは明るい環境を嫌うので、暗い環境でアブラムシが発生している場合は日当たりの良い窓際に移動させてください。
明るい環境に置くことで駆除できるわけではありませんが、アブラムシが発生しづらい環境を作ると増殖を抑えられます。日当たり不足で生育不良であった観葉植物も、枝葉を強く成長させることが可能です。
風通しを良くする
観葉植物にアブラムシが発生した場合は、風通しを良くしてください。葉が茂っている場合は、剪定をします。
アブラムシは、柔らかい新芽や枝以外に葉の上にも隠れていることが多いです。繁殖している葉を見つけたら、葉ごと剪定して取り除きましょう。
窓を開けられない場合は、扇風機やサーキュレーターを使用します。日当たり同様に風通しを改善したからと言って、駆除できるわけではありません。
アブラムシが生存しにくい環境を作って、増殖を防いでください。
テープやピンセットで取り除く
観葉植物にアブラムシが発生したら、テープやピンセットで取り除きます。アブラムシが大発生していない状態であれば、簡単に短時間で除去できるでしょう。
室内で殺虫剤を使用したくないときにもおすすめの方法です。ただし、大発生している場合は、非常に大変な作業になります。
テープやピンセットを使って取り除く方法は、直接アブラムシに触れる恐れがあるので、虫が苦手な人にはおすすめできません。虫が苦手な方は、観葉植物を屋外に移動させて、殺虫剤で対処した方が安心です。
殺虫剤を使用する
アブラムシを確実に死滅させるには、殺虫剤(オルトランやベニカファインスプレーなど)が効果的です。見つけ次第、アブラムシにかかるように、観葉植物全体に散布してください。
ただし、子供やペットがいる場合は室内で使用しないように気を付けます。化学農薬に不安がある場合は、「evo 虫を寄せ付けない水」がおすすめです。
天然の除虫菊を配合しており、自然由来の成分のみで作られ嫌な匂いもないため、安心して室内でも使用できます。
コーヒーや牛乳を使用する
アブラムシには、2倍に薄めた牛乳やコーヒー、10倍に薄めた酢などの液体を噴霧する対処法もあります。一定の効果はありますが、確実にアブラムシを死滅させるのは難しいです。
アブラムシは成長サイクルが早い虫なので、1匹でも生き残ればすぐに増殖します。
また、牛乳やコーヒー、酢などを噴霧することで、観葉植物から嫌な匂いが発生する恐れもあるので注意してください。
噴霧した後の匂いが気になる場合は、水で洗い流すとよいでしょう。
観葉植物にアブラムシを発生させない対策・予防法
観葉植物にアブラムシが付くと、成長が阻害されて枯れる恐れがあります。見た目が悪くなったり、病気になったりする可能性も高いです。
観葉植物を元気に育てるためにも、アブラムシを発生させない対策・予防法を心がけましょう。以下の5つの対策・予防法がおすすめです。
- 日当たりと風通しの良い場所に置く
- 肥料を与えすぎない
- 定期的に剪定する
- 明るい色のマルチングをする
- 忌避剤を使用する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
日当たりと風通しの良い場所に置く
観葉植物を日当たりと風通しの良い場所に置いてください。アブラムシは日当たりと風通しが良い場所を嫌うためです。
また、多くの観葉植物にとっては生育がよくなる環境なので、健康的な株に育ちます。枝葉がしっかり育てば、アブラムシが付く心配も少なくなるでしょう。
日当たりや風通しが良い場所がない場合は、植物用LEDやサーキュレーターを利用して環境を整えてください。
肥料を与えすぎない
観葉植物に肥料を与えすぎないでください。窒素分の多い肥料を与えすぎると、アブラムシが付きやすくなるためです。
また、アミノ酸が多く含まれる有機肥料にも注意してください。本来アミノ酸は植物体内で生成されますが、肥料によって配合されているタイプがあります。
アミノ酸配合肥料も与えすぎると、アブラムシが付きやすくなるので気を付けましょう。肥料は、パッケージに記載されている用量を守ることが重要です。
定期的に剪定する
観葉植物は定期的に剪定してください。葉が茂りすぎると風通しが悪くなるためです。
風通しが悪くなると、アブラムシが発生しやすくなります。また、発生してもすぐに気づけず、いつの間にか大発生していることも。
葉が茂った部分だけでも剪定すれば、光や風が通るのでアブラムシ発生の予防になります。定期的な剪定によって、発生したアブラムシを葉ごと処分することもできるでしょう。
明るい色のマルチングをする
観葉植物にアブラムシを発生させない対策・予防策として「明るい色のマルチング」も効果的です。マルチングとは、土の上を砂利やバーク、ビニールなどの資材で覆うことを言います。
アブラムシは、葉の裏に隠れていることが多いです。白い砂利やアルミシートのマルチングをすると、葉の裏にも光が当たるようになります。結果的に、アブラムシにとって住み着きにくい環境に。
AND PLANTSが取り扱う「INLIVING 観葉植物の土」は光を反射しやすい色なので、アブラムシ予防にもつながるでしょう。
忌避剤を使用する
観賞植物にアブラムシを発生させない対処・予防法の一つに、忌避剤(ニームやヒノキエキス、除虫菊、木酢液など)を使用する方法があります。
多くの忌避剤は、天然成分を用いているため植物に安心です。お部屋の中で使っても問題ありません。ただし、化学成分が配合されているタイプは、子供やペットがいる場所では使わないでください。
「evo 虫を寄せ付けない水」は除虫菊を使用しており、アブラムシを発生させない対処・予防方法にもおすすめです。自然由来の成分を利用して安全安心な方法で、観葉植物をアブラムシから守ってみませんか。
観葉植物のアブラムシによくある質問
最後に観葉植物のアブラムシによくある質問とその答えを以下にまとめました。
- アブラムシの駆除は簡単?
- アブラムシが好む観葉植物はある?
それでは具体的に見ていきましょう。
アブラムシの駆除は簡単?
アブラムシの駆除は、比較的簡単です。なぜなら、アブラムシに効果的な殺虫剤は多く、園芸店やホームセンターでも手に入れやすいためです。
しかし、殺虫剤を使用せずに駆除したい場合は、簡単ではありません。生育サイクルが早いので、発生初期に対処しないとどんどん増えてしまいます。
もし化学薬品を利用した殺虫剤を使用しない場合は、観葉植物を健康的に育てながら、こまめな手入れが重要です。アブラムシが発生しない対処・予防法を心がけましょう。
アブラムシが好む観葉植物はある?
アブラムシが好む観葉植物は、葉や新芽が柔らかいパキラやコーヒーの木、ガジュマルなどです。葉が硬く分厚いサンスベリアやサボテンなど多肉質な植物は付きにくいでしょう。
アブラムシは吸汁性害虫なので、針が刺さりやすい柔らかな新芽や茎をもつ観葉植物には付くと考えてください。そして、観葉植物は育て方によって、葉の組織が軟弱になることがあります。
枝葉が軟弱になれば被害に遭いやすいので、観葉植物は適切な場所で定期的に手入れを行い健康的に育てることがアブラムシ発生予防に効果的です。
まとめ
アブラムシは観葉植物の美観を損ねるだけでなく、生育を阻害し病気を発生させ枯らす恐れのある虫です。短期間で大発生するため、小さな虫だからと油断もできません。
アブラムシの駆除は殺虫剤を使用すれば比較的簡単ですが、まずは発生させない対策・予防法が何より重要です。もし、発生しても原因や対処法がわかっていれば、安心して対応できるでしょう。
日当たりや風通し、肥料などに注意して、お気に入りの観葉植物を大切に育ててください。