「植物は風通しが大切」と聞いたことはありませんか?
観葉植物や多肉植物、どちらにも風通しは必要です。もともと自然の環境で生きていたものなので「自然に存在するもの」は欠かせません。
日光、雨、風などがあってはじめて植物は健康でいられるものですが、その理由をきちんとご存じでしょうか。
そこで今回は「風通し」について具体的に深掘りをしつつ、屋内でどうやって風通しを確保したらいいのかなども解説していきます。
そもそもなぜ風通しが大切と言われているのか、屋内で風通しの良い場所・悪い場所はどこなのか、といったトピックも扱っていきますので、ぜひ参考にしてみてください。
観葉植物を生育するうえで風通しが大切な理由
風通しが大切と言われている理由は主に以下3つです。
- 生長を促進できる
- 根腐れが起きにくくなる
- 土にカビが発生しにくくなる
理由を知っていると、植物に対する意識がまた変わるでしょう。
生長を促進できる
適度な風を観葉植物に与えることで、生長が促進できるという研究結果があります。
植物は葉っぱから水分を蒸散させるので、風が吹くと蒸散のスピードも早まり水分も早く吸い上げるからです。日光や養分が加わればさらに生長します。
ただし、風が強いとかえってストレスになるので、生長が促進できないそうです。各々でちょうどいい風量を模索しなければいけませんが、具体的な目安も実はありますので、後ほど解説します。
根腐れが起きにくくなる
適度な風速を与えると水の吸い上げ量が増加するので、水の乾くスピードも早くなります。そうなると土も乾燥するので、根腐れのリスクを回避することが可能です。
観葉植物は上手に生長させるのも大切ですが、やはり枯らさないのが重要になってきます。枯れなければその生命はずっと続くので、結果的に生長してくれるからです。
植物の身を守るうえでも適度な風は必要なので、屋内で管理する場合は意図的につくってあげるといいでしょう。
土にカビが発生しにくくなる
植物の状態が良好でも、部屋の環境や土のコンディションでカビが発生することがあります。多くは風通しの悪さや湿度の高さが原因です。
そこに風を意図的につくるだけで、部屋の温度や湿度も下がるので、カビが発生しづらい環境ができます。カビが生えてこなければ清潔感のある見た目に戻るだけではありません。実は私たちの健康面も守られています。
カビを吸い込んでしまうと感染症やアレルギーが発症する恐れもあるので、風通しのよい環境にすればリスクを回避できるからです。
植物や私たちにとってもクリーンな環境を作っていきましょう。
観葉植物にとって風通しの良い置き場所
今一度、風通しの良い場所を把握しておくといいかもしれません。「風通しが良いと思っていた場所が実は違った」ということのないように確認していきましょう。
- 玄関
- リビング
- ベランダ
スペースの広さなどで多少前後しますが、基本的には上記3つです。
①玄関
あまりイメージがないかもしれませんが、玄関も実は風通しの良いところです。
玄関の作りによって異なるので、すべてが風通しがいいとは断言できませんが、風通しは比較的良好です。 置いて飾るのが難しければ、吊るしてディスプレイするのはいかがでしょうか。
天井のデットスペースを上手く活用できれば、玄関もおしゃれな空間に仕上がります。
②リビング
次に紹介するのがリビングです。広々としたスペースであることが多いので、空気がよく循環します。植物に関しては、手乗りサイズからシンボルツリーとなる大型の観葉植物まで置けるので、お好きなものを飾れます。
ただし、リビングのスペースは日光を取り込むので温度が上がりやすいです。特に春夏の時期に部屋を閉め切ってしまうと、いくら広いスペースとはいえ風通しが悪くなるので対策が必要。
後でも紹介しますが、サーキュレーターを一つ回しておくだけでも良い環境になるので、気温の上がる時期は設置してもいいかもしれません。
③ベランダ
屋外でもあるベランダはいちばん自然に近い環境とも言えます。一年を通して程よく風が吹くので強い株に育ちますし、根腐れの心配もほとんどいりません。日光や雨も浴びることができるので、理想的な環境です。
注意点としては、植物を常に見られないことでしょうか。屋内であればお水やりのチェックや植物のケアはすぐにできますが、屋外だと外に出なければ行えません。
また、大型のものをベランダで育てていると強風などで倒れる可能性もあるので、重しを乗せたり紐で固定させたりなどの対応が必要です。
屋内は屋内の良さ、屋外は屋外の良さがあるので、それぞれのメリットを上手く活かして風通しを確保していきましょう。
観葉植物にとって風通しの悪い置き場所
風通しの良い置き場所もありますが、同時に悪い置き場所もあります。観葉植物を置いても大丈夫ですが、定期的に日光浴などをさせるのがおすすめです。
- トイレ
- キッチン
- 洗面所
水回りは湿気がこもったり日照不足になったりするので、注意をしなければいけません。
①トイレ
トイレはリビングや玄関と比べるとスペースが狭いので、空気がこもりやすいです。風通しが悪くなりやすいので、観葉植物にとっても良い環境とは言えません。窓がない場合は、日光を取り込めないので日照不足になることも。
そこで対策として「常に換気扇を回す」「1週間に2〜3回は日光に当てる」を心がけるといいです。トイレで風通しを作るとしたら、換気扇を回すのが効果的です。
窓があるなら開けるのがいいですが、常に開放するのは防犯面を考えるとちょっと怖いですよね。
また、仮に窓があっても方角などの関係で適切に日光を確保できるとは限りません。定期的に植物をベランダなどに出して、外の環境に触れさせるのが大切です。
②キッチン
キッチンは水と火を扱う場所なので、湿度も上がり風通しが悪くなりがちです。植物は置けますが、なるべくコンロや水栓から離した場所で管理するのをおすすめします。距離が近いと、熱気による温度変化や加湿による根腐れが起きる可能性があるからです。
対策としては、こちらもやはり定期的に日光浴をさせると植物の健康をキープできます。換気扇を常に回すのもいいですが、トイレより音も大きく目立つため、不快に感じるかもしれません。
風通しの悪い環境に何も対策をしないでずっと置くのは好ましくないですが、数日程度であればそのままでも大丈夫でしょう。そのため、換気扇よりは日光浴の対策を取り入れてみてください。
③洗面所
洗面所も比較的狭いスペースであるため、空気がこもりやすく風通しが悪いとされています。換気扇や窓がついていないことが多いので、私たちが意識的にケアをするのがよいです。
また、1日の中で使用する場面は限られているので、植物の管理に慣れていないとそのまま放置をすることもあるかと思います。「気付いたら水不足だった」「知らない間に葉っぱが垂れている」といったことがないようにしましょう。
日光浴をさせるのが好ましいですが、空気を意図的に作りたいなら扇風機やサーキュレーターを回すのも効果的。次で詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
観葉植物を生育する際に風通しが悪いときの対策
生育をする際に風通しが悪いときは以下3つを行うのがおすすめです。
- 換気扇を回す
- エアコンで風を送る
- 扇風機やサーキュレーターをつける
意図的に風を作るようにしましょう。そうすれば、風通しが悪い場所も良い環境へと変化します。
換気扇を回す
トイレやキッチンなどの風通しが悪い場所では、換気扇を回すのがいいです。換気扇が設置されていることが、空気がこもりやすい場所であるのを裏付けています。
逆を言うと、換気扇を回せば風通しの良い場所に変わるのです。とはいっても「ずっと回すのはちょっと難しい」といった方もいるかと思います。
そこで、1時間に5〜10分を目安に換気を行ってみてください。 換気扇を回す部屋の広さにもよりますが、早ければ1時間に5〜10分で空気が変わります。新鮮な空気になれば私たちや植物にとっても大変喜ばしいことでしょう。
エアコンで風を送る
エアコンで空気を送るのも一つの手です。空気がこもると植物はストレスを感じるので、エアコンの風でストレスを緩和させます。 風速は植物の葉っぱが揺れないくらいで調整するといいです。適度な風は植物にとってプラスになります。
反対に、葉っぱが揺れ動くくらいの風だとかえってストレスになることもあるため注意が必要。
ただし、エアコンには換気の機能はないため部屋の空気が変わるわけではありません。もし部屋の空気を一度新鮮なものにしたいなら、窓を開けて送風モードにすればいいでしょう。
扇風機やサーキュレーターをつける
風を送るにはエアコンもいいですが、扇風機やサーキュレーターもおすすめです。首振りや横振りができるので、自由度が高く風をいろんな方向に送れます。コンセントがあれば場所を選ばないのでトイレ・キッチン・洗面所でも使用可能です。
とは言っても、あまりに距離が近いと植物もストレスを感じる可能性があります。葉っぱが揺れない程度の風速と距離を心がけると、植物も喜ぶでしょう。
また、「なぜ葉っぱが揺れない程度の風速がいいの?」と気になる方もいるかと思いますので次のトピックで解説します。
観葉植物の風通しはほぼ無風がおすすめ
これまで何度か「観葉植物の風通しは葉っぱが揺れない程度がいい」というのを伝えてきましたが、明確な根拠があります。
観葉植物のポトスに、人工的に風を与えた際の水の吸い上げ量を計測した実験結果によると、無風と比べて適度に風がある方が吸い上げ量が増加したそうです。
また、茎の生長にも変化が見られたことから、生長促進の効果があるのもわかりました。 具体的な風速は1.0〜2.0m/sで、風速2.0m/sの場合は生長をさまたげるそうです。
つまり強い風速だと植物はかえってストレスを感じるということ。ちなみに風速1.0m/sは体感で言うと「ほぼ無風」とされているため、観葉植物の風通しは葉っぱが揺れないくらいがベストです。
部屋の空気が動いているだけで風通しは確保できていると言えますので、そこまで強い風を必要としません。
参考記事:機械的刺激が植物の成長に及ぼす影響
観葉植物と風通しに関するよくある質問
それでは最後に観葉植物と風通しに関するよくある質問とその答えをまとめました。
- 冬でもサーキュレーターをつけるの?
- サーキュレーターの風を直接当てても平気?
- 締め切った部屋で観葉植物を育てる際の注意点は?
- マンションや一人暮らしで風通しが悪い場合の対処法は?
では、詳しく見ていきましょう。
冬でもサーキュレーターをつけるの?
冬だと気温や湿度も下がるので、全体的に風通しが良くなり不要となるケースが多いです。しかし、エアコンで暖房を入れる場合はサーキュレーターをつけるといいとされています。
暖房を入れると暖かい空気が部屋に充満し温度も高くなるので、冬場だと風通しが悪くなるからです。そこにサーキュレーターがあることで、空気が循環し流れが良くなります。
また、暖房を使用しない場合は特に必要としませんが、一年中湿気のある場所など住まいによってはあると思います。そういった場所では、冬でも活用するのがおすすめです。
サーキュレーターの風を直接当てても平気?
直接当てるのは実はあまり好ましくないです。葉っぱが揺れ動くくらいの風量を当てると、観葉植物はストレスを感じます。ストレスを感じてしまうと、上手く生長できません。
すぐに枯れるなどの悪影響をもたらすわけではないですが、だからといって「直接当ててよい理由」にはなりません。継続的に当てていると、弱い株になる可能性があります。
植物と距離を置く、風速を微弱にする、風向きを変えるなどの工夫が必要です。少し手間がかかるかもしれませんが、日頃のちょっとしたケアが植物をいつまでも元気な姿にしてくれます。
締め切った部屋で観葉植物を育てる際の注意点は?
締め切った部屋だと空気が循環せず風通しが悪くなるので、根腐れなどを起こす可能性があります。特に夏の締め切った部屋には注意が必要です。温度も湿度も高くなるので、快適に過ごせません。
対策としては、扇風機やサーキュレーターを回し続けるのがいいです。締め切った部屋だとしても、常に空気が流れているだけで良い環境に変わります。エアコンをつけるのも効果的。
一方、冬場であれば特に心配は入りません。締め切っていても部屋の空気が上がることはないからです。暖房を使用する際は、扇風機やサーキュレーターを併用すると暖かい空気がこもりません。
季節ごとに上手く調整していきましょう。
マンションや一人暮らしで風通しが悪い場合の対処法は?
風通しが悪い時は、風の通り道を作るのがいいとされています。具体的には2箇所の抜け道を用意するのがいいです。
たとえば、窓が2箇所あるなら両方開けること。1箇所だけだと風が入ってきても出口がないため、風が通り抜けないからです。2箇所あれば風通しがよくなります。
「じゃあ、窓が1箇所しかない部屋はどうすればいいの?」といった方は、窓を開けて換気扇を回せば通り道をつくるのが可能です。換気扇は空気を吸ってくれるので、外からの風を取り込んでくれるでしょう。
まとめ
屋内で観葉植物を育てていると風の存在を忘れてしまうこともありますが、生育するうえではとても大事な存在。風があるかないかだけで、生長の仕方が変わるだけではなく、安全な状態を保つこともできます。
今思うと植物に限らず、私たち人間も風の存在によって助けられているのではないでしょうか。特に夏場は、風が吹いているだけで過ごしやすいですよね。
つまり、植物も同じように風がある方が好ましいのです。いつまでも健やかに生育してもらえるように、今回の記事を参考にして風通しを工夫してみてください。