観葉植物の肥料|種類と使い方について

観葉植物の肥料|種類と使い方について

植物は光合成を行い、自分で必要な栄養分をつくることができる画期的なシステムをもっています。しかし、光合成だけでは栄養が不十分で、葉・花芽・果実を付けることができません。そのため、地中にある栄養分で補って生長します。

室内の観葉植物の場合は鉢植えで育てるため、自然界とは違い土に溶け込んだ栄養分に限りがあります。自然界のようにほったらかして育てるだけでは、美しい葉や花を観賞することはできません。定期的に肥料を与えて管理することが必須です。

では、一体どんな肥料を与えればいいのか。また、どのタイミングで与えるべきなのか、知りたくありませんか?

今回は観葉植物の肥料の種類と使い方について詳しく紹介します。

観葉植物に不可欠な肥料「N・P・K」とは

観葉植物に必要な肥料には、「窒素(N)・リン酸(P)・カリウム(K)」の3つがあり、人間でいうメインの食事になります。最も多く必要とする養分で、「肥料三要素」と呼ばれます。

窒素(N)は葉と茎の生長に、リン酸(P)は花と果実の形成に、カリウム(K)は根の生長に必要な要素です。

そのほかにも、カルシウムや鉄などの必要な栄養素が11種類あります。しかし、これらは少量であり肥料ではありません。そのため、基本的には活力剤などで補います。

観葉植物の肥料|種類

観葉植物に必要な肥料の栄養素についてわかっても、肥料の種類については話が違います。

市販で売られている肥料には、たくさんの種類があり、どれが観葉植物に適しているのかわかりにくいですよね。肥料のタイプ・成分・形・大きさなど、各メーカーによってさまざまです。

しかし、大まかに肥料のことについて知っていれば、肥料選びに苦戦することはなくなりますよ。

ここでは、肥料の種類について詳しく解説します。

  1. 化学肥料
  2. 有機肥料
  3. 液体肥料
  4. 有機化学肥料

そもそも、肥料は化学肥料と有機肥料の2つのタイプが主です。この2種類を知っているだけで、観葉植物の鉢植えや花壇の草花、さらには畑の野菜などに適切なものが選べるようになりますよ。

化学肥料|成分が多くて早く効く

市販の鉢植えや元肥に使われることが多い化学肥料。人の手によって無機物から作られたものなので、肥料成分(栄養素)が多く、細かく成分の調整がされています

例えば、肥料のパッケージには「N:P:K=10:10:10」と表記され、成分の割合がバランス良く、均等になっているものが多いです。

白い固形タイプのものが多く、土に溶け込むスピードが早い特徴も。しかし、人口なのでその溶け出しのスピードは、種類を選べばゆっくりと効果を発揮するものもあります。

メリット・デメリット

化学肥料のメリットは、1回で多くの栄養素を土に入れることができ、有機肥料よりも早く植物に養分を送れること。さらに調合もしやすいため、窒素・リン酸・カリウムのバランスを細かく調整して肥料を与えることも可能です。また、ガスが発生しにくいので匂いがなく、ハエなどの虫が寄り付かない特徴も。

しかし、無機物でできた成分なので、微生物が住んでいる有機物の土にとってはやさしくありません。化学肥料を与え続けることで微生物が死に、土が固くなるデメリットがあります。さらに与え過ぎると生育障害を起こす場合も。

また、土の中にいる微生物は植物の生長を助け、病気にかかりにくいからだをつくってくれます。その微生物がいなくなってしまうのは、植物にとって辛い環境かもしれません。

有機肥料|土にやさしくて長く効く

動物や植物由来の有機肥料は、土にやさしくて微生物が住み着きやすく、植物を健康的に育てることができます。粉・粒・ペレットタイプのものがあり、土にまくことで微生物の活動が活発になり、酸素が行き渡ったふかふかの土を作れます。

また、微生物が時間をかけて有機物を分解するため、ゆっくりと肥料成分が植物に届き、効果の持続期間が化学肥料よりも長いことが特徴です。

有機肥料には、植物性・動物性由来のものがあるため、複数の種類があります。以下が主な有機肥料の種類と特徴です。

種類 成分 特徴
油かす 窒素(リン酸・カリウムも少量) 緩効性
魚粉類 窒素・リン酸 中間性
骨粉質類 リン酸 緩効性
発酵鶏ふん 三要素 緩効性
草木類 カリウム 即効性

メリット・デメリット

土にやさしい素材でできている有機肥料は、肥料を与え過ぎても植物の生育を阻害することがありません。土自体を肥沃(ひよく)にするため、より自然に近い環境をつくれ、植物が生長しやすいです。

しかし、デメリットとなるのが「匂い」です。微生物が有機物を分解するためガスが発生し、独特な匂いを出します。さらに、動物のふんを使ったものは、それ自体に匂いがあるので、ハエなどの虫を引き寄せることも。

また、化学肥料とは違い肥料成分の割合が調節しにくいため、窒素・リン酸・カリウムのバランスが悪く、目的によっては複数の肥料を購入する必要があります。

液体肥料|鉢植えにおすすめ

肥料の栄養素が液体状になった液体肥料。水やりの代わりとして一緒にまくことができ、手間をあまりかけずに肥料が与えられます。

土に十分に染み込むことで効果を発揮するので、地植えよりも乾きにくい鉢植えで育てる植物におすすめです。

メリット・デメリット

液体肥料は、固形の化学肥料や有機肥料とは違い、肥料分がすでに水に溶けているため、即効性にとても優れています。水やりの代わりとして与えられ、肥料焼けで根を傷めることもあまりありません。

しかし、水が乾くと肥料効果は薄れてしまうため、効果の持続性が低いです。畑や花壇など地植えでは、根が肥料を吸い上げる前に水が地中の奥へ流れてしまうため、効果があまり期待できません。そのため定期的に与える必要があり、管理の手間が増えるデメリットがあります。

保水性と保肥性の高い土なら乾きにくく、養分が流れにくくなるので液体肥料と組み合わせて使うのがおすすめです。

有機化学肥料|有機と化学のハイブリッド型

有機肥料と化学肥料を混ぜ合わせてできた有機化学肥料。両方のメリットを持ち合わせているため、土中の環境の質を悪くさせずに、植物に効率良く栄養を提供できます

育てる環境にもこだわりをもち、美しくて元気な観葉植物を育てたい方におすすめの肥料です。

メリット・デメリット

有機化学肥料は肥料成分のバランスが良く、商品によっては即効性や緩効性のどちらのタイプもあるので選びやすいです。観葉植物だけでなく、庭木や草花、さらには野菜や果樹にも使用できるのでオールマイティーさがあります。

ただし、肥料の中で比較的値段が高く、余計にコストがかかる場合も。自宅で観葉植物を育てている方ではなく、家庭菜園やガーデニングをしている方に向いているかもしれません。

観葉植物の肥料|選び方

観葉植物に与える肥料は、基本的にはどの種類でも問題はありません。

しかし、葉や花を観賞するために栽培された植物なので、種類によりますが、窒素・リン酸の成分が少な過ぎるものはあまり効果が期待できないかもしれません。

また、植物は花や実ができると、そこに栄養分を集中させて開花、または肥大化させます。そのため葉の色味が悪くなったり、サイズが小さくなったりする場合も。リン酸成分の多いものを与えても、花や実の生長を促進させるだけなので、葉がきれいに見えにくくなることもあります。

肥料の選び方をしっかりと把握していれば、葉の美しい観葉植物を楽しめますよ。

ここでは、観葉植物の肥料の選び方について解説します。

  1. 使用する場面と目的を考える
  2. 化学肥料か有機肥料を選ぶ
  3. 成分表を見る

①使用する場面と目的を考える

植物の肥料は、使用する場面と目的に応じて種類を選ぶことがポイントです。

土づくりをするときに使う元肥、生長期を迎えた植物に与える追肥などとあり、専用の肥料があります。追肥用の肥料を元肥として使うと、表面のコーティングの違いから、植物は肥料焼けをし、生育障害を起こす場合もあります。

また、肥料の形状や大きさによって、観葉植物用や庭木用などとあり、間違えてしまうと肥料の与え過ぎになることも。

違いをよく見比べて、観葉植物にあった肥料を選ぶことが大切です。商品の中には、観葉植物用の肥料や、人気品種であればそれ専用の肥料もありますよ。

②化学肥料か有機肥料を選ぶ

肥料には、大まかに化学肥料と有機肥料がありますが、どちらにもメリット・デメリットがあります。

長期的な使用に向かないものの、匂いがなく場所を選ばずに扱いやすい化学肥料。反対に匂いは出るが、植物にとって良い環境を長期的に提供できる有機肥料。

正直なところ、好みの問題であり、どちらを選ぶかは自由です。しかし、住まいと季節を考慮することで、片方だけを選んで使用するだけでなく両方を組み合わせて使用することもできます。

独特な匂いによって虫が寄り付きやすい有機肥料は、虫が発生しやすい5〜8月の間だけ化学肥料を使えば、室内に発生させることがあまりありません。また、化学肥料は匂いがないためアパートやマンションで使いやすく、有機肥料は庭付きの戸建で使いやすい特徴があります。

肥料を使用した後に、どんな問題が起きるかを考えて選ぶといいかもしれませんね。

③成分表を見る

肥料の目的や種類を選び、選択肢が絞れたら、パッケージの成分表を確認しましょう。

種類や商品によって、窒素・リン酸・カリウムの割合は違います。

観葉植物のどの部分を十分に育てたいのか・全体的にバランス良く育てたいのか・1袋でほかの植物にも与えられるものがいいのかなど、ニーズにあわせて自分にあったものを選んでくださいね。

観葉植物には化学肥料がおすすめ

結局「観葉植物にあった肥料」とは、何がいいのか。

筆者個人的な意見になりますが、鉢植えで育てる観葉植物なら、肥料三要素のバランスの取れた小粒タイプの化学肥料を選ぶのがおすすめです。

長期的に与え続けることで微生物がいなくなり、土が徐々に固くなります。しかし、鉢植えで育てる植物は、基本的には2年に1回のペースで植え替えをすることが推奨されています。

このペースで行えば土が固くなり過ぎる前に、ふかふかの新しい土に入れ替わるので、植物に大きなストレスを与えることがあまりありません。

また、観葉植物用の培養土を使うことで、元肥を用意しなくても大丈夫です。

夏の間だけ、液体肥料を水やりの代わりとして与えるのもおすすめです。

[https://andplants.jp/products/evo_solid_fertilizer_for_green]

観葉植物の肥料|与える時期と使い方

ここでは、観葉植物の肥料を与える時期と使い方について解説します。

  1. 春と秋に与える
  2. 分量を調節して与える
  3. 種類や形状によって使い分ける

春と秋に与える

多くの植物の生長期は気温が暖かくなったころで、春と秋が最盛期です。この時期になるとたくさんの栄養が必要になるので、肥料を定期的に与えましょう。

ただし、熱帯やサバンナ地帯に生息する一部の観葉植物は、夏に生長期を迎える場合も。種類や品種によって生長の流れは細かく違う場合もあるので、生態について調べてから肥料を与えるといいですよ。

分量を調節して与える

観葉植物に肥料を与えるときは、必ず分量を計り、適切な量を与えましょう。肥料の分量を間違えると、植物が生育障害を起こしたり、効果があまり発揮されなかったりする場合もあります。

肥料を袋に入れたままにせず、ペットボトルや洗濯用洗剤の補充ボトルなどに入れてまくと、肥料の与え過ぎを防げます。

また、液体肥料に関しては、パッケージに記載された希釈量で与えてくださいね。

種類や形状によって使い分ける

元肥や追肥、さらにはお礼肥や寒肥として肥料を与えるときは、それぞれの目的にあわせた種類と形状を選ぶといいです。

寒肥の肥料は、ゆっくりと長く効くように、表面にコーティングがされている小粒タイプのものがおすすめです。すぐに水に溶けにくいため、植物は冬の間でもゆっくりと肥料成分を吸い上げ、春の準備ができます。

また、オリーブやユーカリなどの観葉植物を、庭木にしている方もいると思います。庭木の場合は、大粒の固形タイプの肥料を、株周りに4つほど埋めるのがおすすめです。

観葉植物の育て方|肥料やりのコツ

肥料やりを上手に行うことで、観葉植物はより大きくなったり、美しい葉をたくさん出したりするようになります。

ここでは、肥料やりのコツについて3つ紹介します。

  1. 有機質堆肥と赤玉土を使う
  2. 2年に1回のペースで植え替え
  3. 活力剤と一緒に使う

関連記事:観葉植物の育て方|コツや管理法について

有機質堆肥と赤玉土を使う

観葉植物を育てる土は、できるだけ有機物がたっぷりとはいった堆肥を使うのがおすすめです。微生物がいることで、植物は栄養を補給しやすくなり、土がふかふかなので根腐れを起こしにくいです。

さらに、堆肥自体が肥料でもあるので、追肥をしなくても植物は元気に育ってくれます。

有機堆肥には、腐葉土・バーク・牛ふんなどがありますが、室内で使うのであれば、植物由来で匂いがあまりしない腐葉土やバーク堆肥が最適です。

また、堆肥はできるだけ完熟したものを使うようにしましょう。安価過ぎるものは完熟しておらず、使用したときに徐々に発酵し、熱をもつため根を傷める可能性があります。

匂いやコバエの発生が気になる場合は、鉢の表面に赤玉土などの無機質な土を3〜5cmほどの厚みになるように敷き詰めるといいです。

2年に1回のペースで植え替え

観葉植物は2年に1回のペースで植え替えをし、元肥と追肥を施しましょう。

植え替えを全くしないと、鉢の中の土は古くなり栄養バランスも崩れるため、観葉植物は弱くなります。株が弱くなると、病害虫などの被害にあいやすくなり、枯れるリスクが高まります。

また、肥料によって枯れる場合もあるので、根鉢がパンパンになる前に植え替えをするといいです。

活力剤と一緒に使う

植物は窒素・リン酸・カリウムの肥料だけでは、十分に育つことができません。

肥料三要素に加え、二次要素といわれる3つのミネラルと、必須微量元素といわれる8つのミネラルが必要です。

全ての栄養素がそろうことで植物は健全に育ち、枯れにくい強い株へと生長します。

肥料三要素以外の栄養素を補給するには活力剤を使います。活力剤は肥料とは違うので、季節を選ばずに水やりのようにタイミングを見て与えることができます。

肥料やりをするときは、活力剤も一緒に与えましょう。観葉植物の葉は、より美しい姿に変わっていきますよ。

肥料三要素

  • 窒素(N)
  • リン酸(P)
  • カリウム(K)

二次要素

  • カルシウム(Ca)
  • マグネシウム(Mg)
  • 硫黄(S)

必須微量元素

  • 鉄(Fe)
  • マンガン(Mn)
  • ホウ素(B)
  • 亜鉛(Zn)
  • モリブデン(Mo)
  • 銅(Cu)
  • 塩素(Cl)
  • ニッケル(Ni)

[https://andplants.jp/products/evo_grawwell_plantwater]

余談:シリカゲルは肥料になる

食品の乾燥剤として使われるシリカゲル(SiO2)は、肥料として実際に農業で使われることもあります。

シリカゲルは、二酸化ケイ素という物質で、ケイ素(Si)が含まれています。ケイ素は、植物の必要な栄養素には含まれていませんが、与えることで株を強くさせることができるようです。

ケイ素を吸い上げた植物は「ケイ化細胞」が増えるため、病害虫に耐性が付き、倒れにくい頑丈な株へと生長します。特にイネ科の植物に与えると生長が促進するため、芝生や稲の栽培で使われることもあります。

まとめ

観葉植物の肥料は、窒素・リン酸・カリウムのバランスが取れた化学肥料がおすすめで、定期的に植え替えをすれば、土が悪くなるのを防げます。

肥料選びに悩んでしまったときは、使用する場面と目的を考えた上で、適切なものを選んでくださいね。

また、植物への愛が強いからこそ、肥料を多く与えてしまうこともあると思います。しかし、肥料の与え過ぎは、植物の育つ環境を悪くさせ、株を弱らせる原因にもなります。

春や秋と季節ごとに与えるだけでなく、新芽や花芽が出る前の時期だけや開花後だけなど、特定の時期にも追肥することも大事ですよ。

柴﨑 光一
建築・インテリア学科卒の元造園士。植物が大好き過ぎて、大自然のカナダで植物と戯れながら、 観葉植物・庭木・草花を使ったガーデニングの世界を開拓しています。 建築と造園の経験に加え、趣味のさまざまな植物やコケの収集、植物アート作りを生かして、 みなさんに観葉植物の魅力をお届けします。好きな観葉植物は、ザミオクルカス・ザミフォーリアとフィカス・アルテシマです!

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