観葉植物のお手入れの際に、白い羽虫が周囲を飛んだり葉がカスリ状になったりしていませんか。
もしかするとコナジラミが付いているのかもしれません。観葉植物の生育不良や見栄えの悪化の原因になる害虫です。
今回は観葉植物に付くコナジラミについて解説します。コナジラミが付く原因や駆除方法について見ていきましょう。
予防方法についても紹介しています。一度付き始めると厄介な害虫なので、大切な観葉植物にコナジラミが付かないように管理してください。
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[https://andplants.jp/products/evo_anti_insect_spray]コナジラミとは
コナジラミは白く細長いはねを持ち、体長が1~2㎜程度の小さな白色から黄色の害虫です。葉の裏側から汁を吸うため、色が抜けてカスリ状の白い跡が残り、生育に悪影響を与えます。
主にウリ科やナス科、アブラナ科などの農作物に発生しやすい害虫です。しかし、花や植木、観葉植物にも稀に発生するので、気を付けてください。
繁殖力の強い害虫で、約28日間で「卵→幼虫→さなぎ→成虫→卵」のサイクルを繰り返します。さらに、幼虫も植物に被害をもたらすので、発見した場合は早期の駆除が重要です。
幼虫は成虫より小さく、細長い丸みを帯びた形をしています。葉の裏側に付いているため、非常に見つけにくいです。
成虫も普段は葉の裏側に隠れており、観葉植物に触れない限り、周囲を飛び回りません。そのため、日頃から剪定や葉水などの手入れをして、観葉植物に触れるようにしておくとコナジラミに気づきやすいでしょう。
コナジラミの種類
コナジラミには多くの種類がいますが、ここでは観葉植物にも付くことのある3種類の特徴を見ていきましょう。
- オンシツコナジラミ
- タバココナジラミ
- シルバーリーフコナジラミ
オンシツコナジラミ
オンシツコナジラミは、5~7月または9~10月の20~25℃程度の気温で発生しやすいとされています。葉の裏に隠れている成虫は、はねの裾が開いている点が特徴です。
産み付けた卵は孵化直前に褐色となり、白い幼虫として生まれてきます。
タバココナジラミ
タバココナジラミは、6~9月の25~30℃程度の気温で発生しやすいとされています。静止している時の成虫は、はねを平行に畳んで閉じている点が特徴です。
産み付けた卵は、孵化直前でもオンシツコナジラミの卵ほど濃い褐色にはなりません。黄色い幼虫として生まれてきます。
タバココナジラミには、「バイオタイプQ」と呼ばれる農薬耐性を持つ種類がいます。外見では判断は付きませんので、殺虫剤でも減らない場合はバイオタイプQの可能性があります。
そのため、殺虫剤に頼らない駆除方法や日頃の管理からの予防が重要です。
シルバーリーフコナジラミ
シルバーリーフコナジラミは、5~7月または9~10月の20~25℃程度の気温で発生しやすいとされています。葉の裏に隠れている成虫は、はねを45~90度に立てる点が特徴です。
オンシツコナジラミやタバココナジラミに比べて、はねが細いため体がはねに隠れていません。
産み付けた卵は孵化直前に褐色となり、黄色い幼虫として生まれてきます。
観葉植物のコナジラミによるトラブル
観葉植物のコナジラミによるトラブルは以下の通りです。
- 葉がカスリ状に薄くなる
- すす病が発生する
- 葉が変形する
それぞれのトラブルを詳しく見ていきましょう。
コナジラミ以外の原因で起こる観葉植物のトラブルが気になる方は、「観葉植物のトラブル」の記事で幅広く解説しています。ぜひ確認してみてください。
葉がカスリ状に薄くなる
コナジラミが観葉植物で発生した場合は、葉がカスリ状に薄くなる症状が発生します。柔らかい葉の裏から吸汁された場所は白っぽくなるためです。
コナジラミの数が増えるほど、カスリ状になる被害は大きくなります。観葉植物の生育が阻害されて、最終的に葉が枯れるので注意してください。
葉がカスリ状に薄くなる症状は、ハダニによる被害でも発生します。しかし、葉に触れると成虫のコナジラミが観葉植物の周囲を飛び回るため、どちらによる被害なのかは判断しやすいでしょう。
すす病が発生する
コナジラミは、黒いすすが葉に付いたようなすす病を併発させます。コナジラミの排せつ物が葉に付き、その排せつ物にカビが生えるためです。
すす病は排せつ物にカビが発生して現れる症状なので、普段から葉を濡れたティッシュや布で綺麗に拭いていると発生しません。しかし、排せつ物が多く、葉や茎にすす病が多く付くと光合成が阻害されるだけでなく、見た目にもよくありません。
また、排せつ物を綺麗に取り除いても、コナジラミが付いている以上、何度も発生するため注意してください。排せつ物によるすす病は、他にもアブラムシやカイガラムシによっても発生します。
葉が変形する
コナジラミはウイルス病の媒介者です。そのため、観葉植物がウイルス病にかかると、ねじれたり萎凋したりして葉が変形したりします。
必ず葉が変形するわけではありませんが、ウイルスを持つコナジラミが葉から吸汁すると、感染する可能性が高いです。一度ウイルス病にかかると、治ることはありません。
症状が現れた葉を切っても、いずれ別の葉で同じように葉が変形します。そのため、コナジラミが発生しないように注意してください。コナジラミの他にも、アブラムシやカイガラムシもウイルス病の媒介者であるため、普段から害虫が付かないように気を付けましょう。
観葉植物にコナジラミが付く原因
観葉植物にコナジラミが付く原因は、以下の3つです。
- 肥料の与えすぎ
- 空気の乾燥
- 屋外管理では周囲に雑草があると付きやすい
室内で育てている観葉植物の場合、基本的に室内にコナジラミが入り込まない限りは発生しません。しかし、非常に小さな害虫であるため、窓の開け閉めしたり服についていたり、購入した観葉植物に付いていたりして室内に侵入することも。
そのため、コナジラミが増えやすい環境を作らないことが重要です。コナジラミが付く原因を詳しく見ていきましょう。
肥料の与えすぎ
観葉植物に肥料を与えすぎている場合、コナジラミは付きやすいです。特に、窒素分を多く与えている方は注意しましょう。
窒素は、植物体内でアミノ酸に変換されます。コナジラミはアミノ酸を好物としているため、植物体内で多くアミノ酸が作られている観葉植物ほど付きやすいとされています。
また、窒素は葉を大きくする栄養素ですが、与えすぎると葉が柔らかくなってしまいます。葉が柔らかいと、コナジラミにとって吸汁しやすい葉になるため、肥料の与えすぎには注意が必要です。
空気の乾燥
コナジラミは、空気が乾燥している環境を好みます。気温が高く乾燥している環境で、特に発生しやすいです。
室内では、冷暖房によって空気が乾燥しやすいため、空気が乾燥した環境が続くほどコナジラミが増えやすくなります。気温が高く乾燥した環境ほど、コナジラミの繁殖サイクルが早くなるので、注意してください。
気温の高い夏に、屋外の雨の当たらない場所で管理すると発生しやすいです。屋外管理する場合も気を付けましょう。
屋外管理では周囲に雑草があると付きやすい
コナジラミは、屋外の自然環境ではどこにでもいる虫です。そのため、屋外の雑草が多い場所で管理すると、コナジラミが付く可能性が高まります。
一時的に外に置く場合でも、コナジラミが付きやすい雑草や野菜などがある場所には近づけないようにしてください。また、お庭や畑などには雑草が茂らないように日頃から管理しておくことも重要です。
屋外で長く管理していると、鉢の中に雑草の種が飛んできて、雑草が生えることがあります。もし観葉植物の鉢からも雑草が生えている場合は、引き抜いておきましょう。
観葉植物に付いたコナジラミの駆除方法
観葉植物に付いたコナジラミの駆除方法は、以下の4つです。
- 牛乳を吹きかける
- 水で洗い流す
- 殺虫剤を散布する
- 黄色い粘着シートを使用する
それぞれ詳しく解説します。
牛乳を吹きかける
コナジラミが観葉植物に発生した場合は、霧吹きで牛乳を薄めたものを吹きかけると効果があるとされています。牛乳が乾燥した際にコナジラミを窒息させるようです。
コナジラミは繁殖力の強い害虫であるため、一度で退治することは難しいでしょう。そのため、様子を見ながら何度も吹きかける必要があります。
牛乳の匂いが気になる場合は、スプレーして牛乳が乾燥した後に、シャワーで洗い流すと良いです。また、水で濡らしたティッシュや布で葉や茎、幹を綺麗に拭いてください。
水で洗い流す
コナジラミが観葉植物に付いたら、屋外のベランダやお庭でシャワーをかけて洗い流すのも効果的です。成虫は飛んで洗い流すことはできませんが、幼虫や卵を洗い流すことができれば、増えにくくなります。
コナジラミは葉の裏に付くので、シャワーをしっかり葉の裏に当ててください。手や柔らかいブラシでこするようにしながら、水で洗い流すとより綺麗に取り除けます。
殺虫剤を散布する
観葉植物にコナジラミが付いた際は、殺虫剤(ベニカファインスプレーやオルトランなど)を使うと効果的です。
コナジラミは吸汁性害虫であるため、あらかじめ植物に殺虫剤の薬効を付与する浸透移行性の殺虫剤だと、効果を発揮しやすいでしょう。土に撒くタイプやスプレーするタイプがあるので、使いやすいものを使ってください。
ただし、コナジラミは殺虫成分に対して抵抗性を持つ種類がいます。殺虫剤の効果が薄く、駆除できない場合は異なる駆除方法を試してください。
殺虫剤を検討している方は、下記の「虫を寄せ付けないスプレー」がおすすめです。天然由来なため、ペットやお子さんのいる家庭にも安心して使用できます。
[https://andplants.jp/products/evo_anti_insect_spray]黄色い粘着シートを使用する
コナジラミは、黄色い色に集まる習性があります。そのため、黄色い粘着シートをコナジラミが付いている植物の周囲に置いておくと、自然と成虫がくっついて駆除することが可能です。
成虫がいなくなれば、卵を産み付けられることもなくなるので、次第に数を減らしていくことができます。殺虫剤に比べると時間はかかりますが、安全に駆除する方法の1つです。
コナジラミ用の黄色い粘着シートは、園芸店やホームセンター、インターネットで販売しているので、ぜひ使ってみてください。
観葉植物に付くコナジラミの予防方法
観葉植物に付くコナジラミの予防方法は、以下の通りです。
- 日当たりの良い環境で育てる
- 葉水をする
- ネットをする
それぞれ見ていきましょう。
日当たりの良い環境で育てる
コナジラミを予防するためには、観葉植物を日当たりの良い環境で育てることが重要です。日当たりを好む観葉植物を暗い場所で育てると、葉が薄くなったり柔らかくなったりして生育不良になります。
元気のない観葉植物は、さまざまな病害虫が発生しやすくなるので、注意してください。日頃から、日当たりの良い場所で観葉植物を元気に育てると、コナジラミが寄り付かない株になるでしょう。
葉水をする
コナジラミの予防方法として「葉水をする」も効果的です。コナジラミは乾燥した環境を好むので、定期的に葉水をして空気中の湿度をあげると予防になります。
夏の室内は冷房の影響で空気が乾燥しやすい環境です。空気が乾燥し続けている場合は、こまめに葉水をしてあげましょう。
屋外管理している観葉植物であれば、水やり時にシャワーで葉の裏まで観葉植物全体を水で濡らしてあげると良いです。
ネットをする
コナジラミの予防方法として、「ネットをする」もよく聞く方法の1つです。しかし、観葉植物に細かいネットをするのは不向きです。
ネットで予防する方法は、主に農作物に対してです。鑑賞するための観葉植物にネットをかけてしまうと、観葉植物を楽しめなくなります。
そのため、観葉植物のコナジラミの予防方法としては「ネットをする」はおすすめできません。もしネットをする場合は、すでにコナジラミが発生している株に対して行い、他の観葉植物に移らないように活用するとよいかもしれません。
観葉植物に付くコナジラミによくある質問
最後に観葉植物に付くコナジラミによくある質問とその答えを以下にまとめました。
- コナジラミによる人体への影響はある?
- コナジラミに重曹や蚊取り線香は効く?
- コナジラミの天敵を利用した駆除は可能?
それでは具体的に見ていきましょう。
コナジラミによる人体への影響はある?
コナジラミは人体に影響を与えません。触っても腫れたり、痒くなったりすることはありませんので安心してください。
しかし、増えるほど観葉植物に悪影響をもたらします。また、観葉植物に触れると、一斉に成虫のコナジラミが飛び回りますので、不快な気分になるでしょう。
普段からコナジラミが付かないように予防をしたり、増えないように駆除しておくことが大切です。
コナジラミに重曹や蚊取り線香は効く?
コナジラミの駆除方法として、重曹や蚊取り線香は一定の効果はあります。しかし、すべてのコナジラミを駆除するほどの効果はないので、注意してください。
どうしても化学的な薬品を使いたくない場合のみ、牛乳も含めた食品由来や自然由来の方法で予防や駆除を試みると良いでしょう。速効性はありませんので、地道に使い続けることがポイントです。
コナジラミの天敵を利用した駆除は可能?
コナジラミの天敵を利用した駆除は、観葉植物においては不向きです。コナジラミの天敵を使用した駆除方法は、ビニールハウスや温室内で農作物を育てている場合に使用します。
コナジラミの天敵には、「タバコカスミカメ」「クロヒョウタンカスミカメムシ」「クモ」など。これらの天敵昆虫を室内に放つわけにもいきませんので、現実的に観葉植物に付くコナジラミには、天敵を利用した駆除は難しいでしょう。
まとめ
観葉植物に付くコナジラミについてお話させていただきました。コナジラミは、主に農作物に付く害虫なので、観葉植物には発生しにくい害虫です。
しかし、環境の悪い場所で弱った観葉植物は、あらゆる病害虫の被害を受けやすいので、コナジラミにも気を付けましょう。日頃から適切な環境で、元気に観葉植物を育てることが予防として重要です。
ウリ科やナス科、アブラナ科以外に、ミカン科の樹木にもコナジラミが付くことがあります。観葉植物としてシルクジャスミン(ゲッキツ)を室内で育てている方は、気を付けてください。
もしコナジラミが発生した場合は、黄色の粘着シートや殺虫剤を退治しながら様子を見ましょう。
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