「多肉植物に肥料を与えるタイミングが分からない」
「そもそも肥料は必要?」
と、疑問に思ったことはありませんか。多肉植物は育てやすいとされているため、「肥料は与えなくて大丈夫」と考えている方も多いでしょう。
実は適切な時期に適量の肥料を施すと、多肉植物は生育がグッと良くなります。そこで今回は、多肉植物への肥料の与え方や注意点について解説します。
おすすめの肥料も紹介していますので、多肉植物をもっと元気に大きく育てたい方は、ぜひ最後まで一読してみてください。
多肉植物に肥料はいるの?
痩せた土の環境で育っている種類が多い多肉植物は、肥料を与えなくても育ちます。土そのものに含まれている栄養分と、光合成によって作り出す栄養分で生育できるためです。
しかし、植え替えを定期的に行わず肥料も与えないまま育て続けると、次第に元気がなくなります。土に含まれている栄養分を吸収しきってしまったり団粒構造を崩してしまうためです。
肥料を適量与えると、通常よりも多くの肥料を効率よく吸収できるため、生育スピードが上がります。また、肥料の種類によっては、土の団粒構造を維持する働きもあるので、根の生育向上や植え替え頻度の減少にも効果的です。
多肉植物を大きく育てたい方や、管理を簡単にしたい方は、肥料を与えた方が良いでしょう。ただし、肥料の与えすぎると、根傷みや締まりのないフォルム、発色の悪さに繋がります。
そのため、多肉植物に肥料を与える際は、適切な時期に適量の肥料を与えることが重要です。
多肉植物に肥料を与えるタイミング|生育期がベスト

多肉植物に肥料を与えるタイミングは、生育期がベスト。根を伸ばし、身体を大きくする時期に土に栄養分が多いとより大きくなれるためです。
多肉植物を生育する時期ごとに分けると、主に以下の「生育型」と呼ばれる3タイプに分かれます。
- 春秋型|4~5月、10~11月
- 夏型|5~9月
- 冬型|11~3月
以下で代表的な多肉植物を紹介しますが、同属であっても原産地の環境によって生育型のタイプが異なる場合があります。肥料を与えて調子が悪くなる場合は、原産地の環境をチェックして生育型が合っているか確認しましょう。
春秋型|4~5月、10~11月
春秋型は、主に4~5月、10~11月に生育するタイプです。代表的な春秋型の多肉植物は以下の通りです。
- エケベリア
- クラッスラ
- グラプトペタルム
- セダム
- ハオルチア
「春秋型」の名前の通り、春と秋の10~25℃程度の気温の時によく生育します。冬の寒さが緩み、最低温度が安定して10℃以上になったタイミングで肥料を与えましょう。
ただし、夏が近づき気温もグッと高くなったら、肥料は与えないでください。気温が高い夏は、春秋型の多肉植物は休眠期に入ります。
生育が緩慢になるため、肥料を与えても、十分に吸収しません。土に残った栄養分は、根傷みを引き起こすので、注意しましょう。
気温が下がり始める秋に、再び肥料を与え始めるとより大きく育てやすいです。
夏型|5~9月
夏型は、主に5~9月に生育するタイプです。代表的な夏型多肉植物を紹介します。
- サンスベリア
- アロエ
- カランコエ
- アガベ
- アデニウム
夏型の多肉植物は、20~30℃の気温でよく生育するため、夏に肥料やりをします。ただし、30℃を超えるような真夏日が続く場合は、肥料を控えてください。
気温が上がり始める春~夏は、平均気温が20℃付近になるタイミングで、少しずつ与えると安心です。気温が下がる秋は、液体肥料は徐々に控えて、置き肥は取り除くと良いでしょう。
冬型|11~3月
冬型多肉植物は、主に11~3月に生育するタイプです。代表的な種類は以下の通りです。
- アエオニウム
- リトープス
- コノフィツム
- オトンナ
冬型の多肉植物は、5~20℃の気温でよく生育します。低温を好みますが、5℃以下で霜雪が降る環境は苦手です。
冬に5℃以下になる環境では、肥料を与えずに暖房が効いていない明るい室内に移動するように心がけてください。
気温が下がり始める秋から、徐々に肥料を与え始めます。春に近づくと肥料やりを控えて、夏は土に肥料成分が残らないように管理するとよいでしょう。
多肉植物への肥料の与え方

多肉植物への肥料の与え方は、以下の2通りがあります
- 元肥として与える
- 追肥として与える
肥料は、固形肥料と液体肥料の2種類があります。肥料の形状によっても与え方が異なるので、その点も含めて見ていきましょう。
元肥として与える
元肥とは、植え付けや植え替えのタイミングで土に混ぜ込む肥料のことです。植え付けや植え替えは、生育期が適期なので、肥料を与えるタイミングとも一致します。
そのため、元肥として固形肥料を土に混ぜ込んでおくと、水やりしたタイミングで吸収してくれます。効率的に手間なく栄養分を吸収してくれるので、初心者でも安心して肥料を与えられるでしょう。
土に混ぜる肥料にもさまざまな種類があります。なるべく多肉植物専用の肥料を与えると安心です。
草花用や観葉植物用の場合は、肥料効果が長すぎて休眠期まで続く場合があります。肥料効果期間も考えて与えると、元肥での失敗が少なくなります。
追肥として与える
追肥とは、育てている植物に追加で肥料を与えることです。追肥としての与え方には、以下の2通りがあります。
- 固形肥料を土上に置く
- 液体肥料を水に薄めて与える
追肥のメリットは、多肉植物の生育期だけにピンポイントで肥料を与えやすい点。生育が緩慢になり始めたタイミングでは、肥料を切らすことができるため、根傷みが起こりにくいです。
追肥の与え方について見ていきましょう。
固形肥料を土上に置く
固形肥料には、土に混ぜるタイプ以外に土上に置くタイプもあり、「置き肥」と呼ばれています。多くの置き肥の持続効果は2~3カ月であるため、生育期に1回置き肥をしておくだけで肥料効果は十分です。
置き肥は、多肉植物の生育期に合わせて、土上に置いてください。水やり時に、水で溶けだした肥料成分が土に浸透します。
筆者が考える与え方のポイントは、鉢の縁と土の間に押し込むことです。土との接触面を増やすことで、効率的に肥料成分が溶けだします。
さらに、肥料成分を吸収する細根は、株元から離れた位置にあるため、鉢の縁に埋め込んだ方が、良く吸収してくれるでしょう。水やり時や鉢植えの移動時にコロコロと、置き肥がこぼれ落ちることも防げます。
生育期が緩慢になり始めたら、置き肥は土上から取り除きましょう。置き続けていると、置き肥を置いたタイミングによって、肥料が効きすぎる場合があります。
液体肥料を水に薄めて与える
液体肥料には、水に薄めずに直接与えるタイプと水に薄めて与えるタイプの2種類があります。水に薄めて与えるタイプがほとんどですが、使用方法や希釈倍率を確認しておくことが重要です。
液体肥料は、固形肥料に比べて速効性がありますが、肥料効果は長続きしません。与えたタイミングでしか、吸収されないためです。
そのため、液体肥料は置き肥よりもピンポイントで、「このタイミングで葉を大きくしたい・緑色を濃くしたい」といった時に使うと良いでしょう。土の乾き方を確認しながら、それぞれの生育期に2週間に1度のタイミングで与えると、肥料効果が持続しやすいです。
多肉植物におすすめの肥料

多肉植物におすすめの肥料を3つ紹介します。
- evo みどりがより鮮やかになる肥料
- バイオゴールド クラシック元肥
- ハイポネックス トップクォリティ 観葉植物用
それぞれ見ていきましょう。
evo みどりがより鮮やかになる肥料

園芸用品ブランド「evo/エボ」による固形の化成肥料です。マグネシウムが葉色を濃くし、光合成を促進させるため、多肉植物を元気に育ててくれます。
嫌な匂いもしないため、室内でも安心して使用できるでしょう。元肥としても追肥としても利用できるので、一つ持っておくと、さまざまな多肉植物に使用できて便利です。
追肥として利用する場合は、ひとつまみ土の上に置いて土を軽く被せておくと良いでしょう。
[https://andplants.jp/products/evo_solid_fertilizer_for_green]バイオゴールド クラシック元肥

植物の基本は「健全な根」であることを主眼に開発された完全有機質の元肥です。「太く白い根をつくる」「土壌を団粒構造に改善する」という、化成肥料にはない効果を実現しています。
土壌の微生物の活動を促進させ、新しい根を増やし、養分の吸収率も高めてくれます。厳選した原料と独自の発酵技術により、直接根に触れても根を傷めないので、多肉植物にも安心して使用できます。
元肥としての利用をおすすめしますが、追肥として利用する場合は、土上に撒いた後は、土を被せてください。有機質なので、湿った状態で土上にあると、害虫が集まる可能性があるためです。
生育期の植え替えタイミングで与えると、より大きくがっしりとした多肉植物になりやすいでしょう。
[https://andplants.jp/products/basefertilizer]ハイポネックス トップクオリティ 観葉植物用液肥
「ハイポネックス トップクオリティ 観葉植物用液肥」は、観葉植物用でありながら多肉植物にも効果的な液肥です。葉面からも吸収されやすい速効性のある窒素を含んでいるため、霧吹きでの葉面散布を行うと非常に美しいグリーンを保ってくれます。
植物内で生成されるビタミンやトレハロースも配合されているので、効率的に多肉植物の育成をサポートしてくれます。
ただし、エケベリアのように紅葉をする多肉植物に与えすぎると、葉色の変化がはっきりしなくなる可能性がある点には注意してください。筆者もサンスベリアやハオルチアなどに少量溶かして、水やり時に使用しています。
実際に効果があると実感しているので、液肥に悩んでいる場合は、使ってみてください。

多肉植物に肥料を与える際の注意点

多肉植物に与える肥料の注意点は、以下の4つです。
- 過剰に与えない
- 休眠期に与えない
- 弱っている時に与えない
- 紅葉時期に与えない
肥料の必要性や与え方が分かっても、注意点を守らなければ逆効果になってしまいます。多肉植物を元気に美しく育てるためにも、注意点を詳しく見ていきましょう。
過剰に与えない
多肉植物には、肥料を過剰に与えないように気を付けてください。肥料を与えすぎると、株が大きくなりすぎて締まりのないフォルムになったり、根傷みで枯れたり紅葉が褪せたりします。
多肉植物の種類にもよりますが、本来は多くが少量の肥料でも十分に育ちます。通常の観葉植物に与える量よりも、2~3割くらい少ない気持ちで肥料を与えると良いでしょう。
筆者が園芸店時代のお客様は、エケベリアを大きく育てたいとのことから元肥を土に混ぜ、土に置き肥を置き、水やり時に液肥も与えていたそうです。最初はすくすくと大きくなったそうですが、ある日突然枯れてしまったとのこと。
枯れた要因の1つに、肥料の与えすぎによる根傷みが十分に可能性としてあると思います。初心者の方は多肉植物に肥料を与える場合、与える肥料を1つに絞って、用法通りに与えると失敗しにくいです。
休眠期に与えない
多肉植物の生育が緩慢な時期や休眠期には肥料を与えないでください。特に肥料を必要としていない時期なので、少しの量でも根傷みする原因になります。
各生育型の休眠期は以下の通りです。
- 春秋型|7~8月、12~3月
- 夏型|11~3月
- 冬型|6~9月
休眠期に与えた肥料はほとんど吸収されないため、土の中に堆積して土の悪化にもつながります。休眠期の多肉植物に悪影響がなくとも、新しく新芽を出して発根し始めるタイミングで、調子を崩すことも。
そのため、生育期を過ぎたら、肥料やりは控えて休眠期には土の中に肥料分が残らないように管理しましょう。
弱っている時に与えない
多肉植物が弱っている時に、肥料は与えないでください。葉や株元が柔らかくなっていたり根腐れしていたりするタイミングの場合、症状が悪化するためです。
弱っている多肉植物には活力剤・発根剤と呼ばれるものを与えます。肥料ほど成分が強くないため、弱っている状態の根でも吸収されやすいです。
多肉植物が弱っている場合、「肥料を与えて元気にしたい」と思うかもしれません。しかし、肥料は与えずに活力剤・発根剤を与えて、様子を見てください。
AND PLANTSでは、植物が育ちやすい土壌を作り、発根を促進してくれる「アンドプランツ 微生物の力で植物を元気にする水」を取り扱っています。観葉植物はもちろん、多肉植物にも使用できるので、弱っている多肉植物に使ってみてください。
詳しくは下記ページから確認できます。
[https://andplants.jp/products/microorganismswater]紅葉時期に与えない
多肉植物には、エケベリアのように気温が下がると紅葉する種類があります。紅葉時期には肥料を与えないでください。
肥料を与えると、美しく紅葉しません。与えすぎている場合は、緑色のままのことも。
多肉植物の紅葉には、葉の色素であるクロロフィルやアントシアニン、カロテノイドなどが大きく関わっています。普段は緑色の色素であるクロロフィルの量が多いため、緑色の姿です。
気温が下がると、これらの色素量が変化することで紅葉します。しかし、紅葉時に肥料を与えると、多肉植物は光合成にも大きく関わるクロロフィルを新たに合成してしまいます。
その結果、本来であれば赤紫色のアントシアニンや黄色のカロテノイドによって色付くはずの多肉植物が、緑色のままに。多肉植物を美しく紅葉させたい方は、紅葉する時期に肥料を与えないように気を付けてください。
多肉植物に与える肥料によくある質問

最後に多肉植物に与える肥料によくある質問とその答えを以下にまとめました。
- 多肉植物の肥料は、野菜用の化成肥料でもいいですか?
- 多肉植物に肥料を与えると徒長するのはどうして?
それでは、具体的に見ていきましょう。
多肉植物の肥料は、野菜用の化成肥料でもいいですか?
多肉植物に野菜用の化成肥料を与えると、肥料効果が強すぎて生育に悪影響を与える可能性があります。そのため、野菜用の化成肥料はおすすめできません。
野菜用の化成肥料の窒素・リン酸・カリの配合にもよりますが、多肉植物は本来あまり肥料を必要としないため、野菜用では強すぎることがほとんど。成分が強すぎる肥料は根傷みを引き起こしますので、与えない方が安心です。
多肉植物用、または観葉植物用の肥料を少量与える程度にしましょう。
多肉植物に肥料を与えると徒長するのはどうして?
多肉植物に肥料を与えたからと言って、徒長するわけではありません。徒長する原因は、他にあると考えましょう。
肥料の栄養分によって葉や茎は大きくなりやすいですが、日当たりの良い環境で水をやりすぎていなければ、徒長せずにバランスよく全体的に大株になります。
つまり、育てている環境に原因があるかもしれません。日当たりや水やり、風通しなどの多肉植物の育て方を見直してみてください。
まとめ
多肉植物が元気に育つ肥料について紹介させていただきました。多肉植物の多くは肥料をあまり必要としませんが、大きく育てたい場合は適切な時期に与えると効果的です。
元肥として与えると、肥料の種類によっては効いてほしくない時期まで肥料効果を発揮する場合があります。そのため、なるべく多肉植物への肥料の与え方としては、置き肥や液肥を使って追肥するのがおすすめです。
実際に筆者はサンスベリアやエケベリア、ハオルチア、サボテン類には置き肥や液肥で肥料やりをしています。紅葉を楽しみたいエケベリアに限っては、秋以降には肥料を与えないように気を付けています。
多肉植物に肥料を与える際は、紹介した注意点を守って与えてください。それだけで、グッと多肉植物が育てやすくなるでしょう。
肥料をお持ちでない方は、元肥・追肥のどちらにも対応した「evo 緑がより鮮やかになる肥料」がおすすめです。1つ持っておくといざとなったときに活躍するでしょう。
[https://andplants.jp/products/evo_solid_fertilizer_for_green]