記念のブーケやお気に入りのお花を少しでも長く楽しみたい、そんな方におすすめなのがドライフラワーを作る方法です。
自分で作るというとハードルが高そうに感じますが、そもそもドライフラワーは中世ヨーロッパでは各家庭で作られていたほどなので、特別な知識や技術が必要なものではありません。
便利な道具も環境も整った現代であればむしろ作りやすいはず。ぜひ気軽に挑戦してみましょう。
今回の記事ではドライフラワーの代表的な作り方を4つ紹介します。更に長持ちさせるコツや飾り方の例など、オリジナルのドライフラワーをしっかり楽しんで頂ける内容をまとめていますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
読み終わった頃にはドライフラワーを作れるようになっているかもしれませんよ。
簡単にできるドライフラワーの作り方
代表的なドライフラワーの作り方は以下の4つです。
- ハンギング法|吊るすだけでできる
- シリカゲル法|色をきれいに残せる
- グリセリン法|ボリュームと色を表現できる
- ドライインウォーター法|ふんわりとした形を残せる
それぞれの詳しい方法は下記にて紹介します。
ハンギング法|吊るすだけでできる
- お花を麻紐などでしばる
- 日が当たらず風通しの良い場所に吊るす
- 約1週間〜2週間で完成
最も簡単で最も伝統的な方法がハンギング法です。ハンギングしている最中も見栄えが良いため、おしゃれなカフェの天井などで吊るされていることもあります。
しかし完全に乾燥するまで時間がかかることから、色が劣化しやすいことが難点です。また逆さに吊るすため、柔らかい花は形が崩れてしまうこともあります。
美しいドライフラワーを作るためにはできる限り短期間でドライさせたいので、扇風機で弱い風を当て続けるなど工夫をしてみても良いでしょう。
おすすめのお花:ミモザ
ミモザは長い茎と沢山咲く小さめの花が特徴の植物です。逆さに吊るしても形が変わりづらく、黄色い花は色が抜けにくいこともおすすめのポイントでしょう。
空間をパッと華やかにするミモザはハンギングしている最中も美しいですし、上手くドライフラワーにできればリースなどに加工してもきっと素敵ですよ。
ミモザの小粒で可愛らしい花をぜひゆっくり愛でてあげてください。
シリカゲル法|色をきれいに残せる
- 花首の直下でお花をカットする
- 密閉容器に敷き詰めたシリカゲルの上に花を置く
- スプーンなどで花にシリカゲルをかけ、完全に埋める
- 密閉容器の蓋をすると、1週間ほどでドライ
- シリカゲルのみを取り出し蓋をする
水分を吸収する性質から、吸湿材として使われているシリカゲルの特性を利用した方法です。シリカゲルで埋めてドライさせるため、ハンギングでは難しい柔らかくボリュームのある花を形を崩さずドライフラワーにできます。
また、外気に触れないためお花の色をそのまま綺麗に残せることも良い点です。しかし密閉容器から出すと一気に色褪せするため、容器から出すことはできません。そのためサイズも容器に合わせる必要があります。
ドライフラワー用の粒が細かいシリカゲルも販売されているので、気になる方はぜひビンなどの密閉容器と共に購入してみてください。
おすすめのお花:ガーベラ
ガーベラはお花自体がとても柔らかく、花弁がぽろぽろと落ちてしまったり色が黒くなったりとドライフラワーにするのが難しい植物です。
ガーベラの魅力といえば開いた花弁と美しい発色ですが、その両方を保てるのがシリカゲル法です。ハンギング法だとどうしても下向きに閉じてしまう花弁の形を保ち、色も綺麗に残せるため最適な方法といえるでしょう。
グリセリン法|ボリュームと色を表現できる
漬け込む方法
- グリセリン1:熱湯3の溶液を作り、植物を漬ける
- 蓋をして1週間ほどでドライ
- 溶液を拭き取り完成
吸い上げさせる方法
- グリセリン1:熱湯3の溶液を作り、冷ました上で植物を挿す
- 冷暗所で1週間〜10日ほど保管
- 葉や花びらに溶液が染み出すと完成
グリセリン法には植物を漬け込む方法と吸い上げさせる方法の2種類があります。
可能な限り自然な形でお花を残したい場合は吸い上げさせる方法がおすすめですが、元気な咲きはじめのお花でないと溶液を吸いきれないことがあるので注意しましょう。
手間がかかるグリセリン法ですが、ドライフラワーとは思えない「しっとり感」を持ったドライフラワーを作れます。咲きたてのお花をほとんどそのままの形でキープさせたい、といった場合には、グリセリン法を選ぶのが良いでしょう。
おすすめのお花:バラ
バラは一般的にドライフラワーにしやすい植物ですが、花弁の重なりやボリューム感が大切なので、特にグリセリン法でドライにするのがおすすめです。
バラは大変美しい花ですが、切り花にすると比較的早めに劣化してしまいます。長持ちする品種もありますが、一番の魅力である花弁の重なりをずっと長く見ていられるのは素敵なことですね。
吸い上げさせる場合、花弁が溶液につくと失敗してしまうので注意してください。
ドライインウォーター法|ふんわりとした形を残せる
- 1〜5cmほど水を入れた花瓶にお花を刺す
- 室内の風通しの良い場所に保管
- 少しずつ水を蒸発させ、1〜2週間ほどでドライ、完成
こちらは水に挿しておくだけでドライフラワーになるので、ハンギング法と同じく手間がかからない方法です。少しずつ自然な形で乾燥していくため丸い形やふんわりとした形を残せます。
茎や枝が細く曲がりやすいものはドライさせるまでに折れてしまうことがあるので、気をつけてください。また時間をかけてドライさせるという都合上、ハンギング法と同じく色が劣化しやすいという欠点も抱えています。
方法がシンプルな分お花選びは慎重に行いましょう。手間はかかりませんが少し上級者向けかもしれません。
おすすめの花:かすみ草
小さく白い花がたくさん咲くかすみ草は、ドライインウォーター法に最適の花といえるでしょう。花の大きさと比較して茎がしっかりしているため、途中で折れてしまう可能性も減らせます。
かすみ草の花弁にはそもそも水分が少ないのでドライフラワーにしやすく、少しずつ乾燥させるドライインウォーター法にもぴったりです。見た目が生花の時とドライフラワーの時でほとんど変わらないのも嬉しいポイントですね。
初めてドライフラワーを作るならハンギング法がおすすめ
ハンギング法は最も手軽で植物の種類を選ばず、簡単にトライできるドライフラワーの基本です。他にも様々な方法がありますし、ハンギング法には形の変化や色の劣化など弱点もありますが、まずは基本を試してみることをおすすめします。
もしも色の劣化などが気になる場合は、早く乾燥させられるよう工夫してみても良いでしょう。失敗しづらいハンギング法で「ドライフラワーってこういうものか」という前提を作ってからの方が、他の方法にトライしてみた時に選択肢の幅が広がるはずです。
中世ヨーロッパに想いを馳せつつ、ハンギング法を楽しんでみてください。
素敵なドライフラワーを長持ちさせるコツ
せっかく作ったドライフラワーがすぐに劣化してしまうと悲しいですよね。つづいてはドライフラワーを長持ちさせるコツを3つ紹介します。
- 紫外線に当てないようにする
- 風通しの良いところで管理する
- こまめに埃を取るようにする
ドライフラワーのお世話の根本的な部分はシンプルです。ぜひ注意してドライフラワーを長く楽しんでください。
紫外線に当てないようにする
切り花などにも言えることですが、ドライフラワーは日光に大変弱いのです。日光だけでなく蛍光灯などの強い光でも、本などの紙が日光で焼けてしまうように色が抜けてしまいます。
紙も植物由来のものなので焼けてしまう原理は同じですが、ドライフラワーは紙よりも日光からのダメージを受けやすいのです。直射日光や蛍光灯からは離れた所に飾るのが良いでしょう。
壁や光の差し込まない場所の扉などに飾るようにしてみてください。
風通しの良いところで管理する
湿度はドライフラワーの天敵です。というのもドライフラワーは乾燥しているため水分を吸収しやすく、水分を吸って形が変わり、水分が抜けてまた形が戻る、というプロセスを繰り返していると崩れてしまうのです。
そもそも乾燥していることで形を留めているドライフラワーなので、湿度が上がりづらい風通しの良いところで管理しましょう。
もしも風通しの良い場所に飾ることが難しい場合は、近くに除湿機を設置したり、ドライフラワー専用のコーティングスプレーを使用したりして、湿気の吸収を防ぐ対策をしてみてください。
こまめに埃を取るようにする
ドライフラワーは埃がたまりやすく、また掃除をするのもやや難しいです。
お部屋の衛生面だけでなくドライフラワーにとっても埃はイヤな存在で、たまることで埃が湿気を吸収してしまうことがあります。湿気を吸収すると前述の通りにドライフラワーが崩れてしまったり、カビが発生したりすることがあるので注意しましょう。
埃を簡単に取り除く方法としては、細く柔らかい毛のブラシで取り除く、ドライヤーの冷風に当てる、静電気除去スプレーをかける、などの方法があります。ガラスケースなどに入れてしまっても良いでしょう。
せっかく素敵なドライフラワーを作ったのに、埃だらけになってしまうのは悲しいですし、ましてやそれが原因でドライフラワーが劣化するなんて残念ですよね。
気がついた時にこまめに掃除して、ドライフラワーの美しさを保ちましょう。
ドライフラワーのおしゃれな飾り方
続いてはドライフラワーのおしゃれな飾り方を紹介します。SNSで見つけた具体例を4つピックアップしてみました。
- 花束やリースにして飾る
- 花瓶に入れて飾る
- 天井から吊るす
- 壁掛けで飾る
花束やリースにして飾る
引用:https://www.instagram.com/mmrinoki2011/
こちらはドライフラワーをリースに加工されているようです。葉の緑が美しく、お部屋に飾ってあると何よりも目を引くことでしょう。
もともとヨーロッパに起源を持つドライフラワーは、宗教行事の際などにリースにして飾る用途から発展していきました。ドライフラワーの王道ともいえるリースにしてお部屋に飾ってみるのも良いかもしれません。
プロの作品を購入しても良いですし、枝と枝を組み合わせることで、意外と簡単にリースを自作することもできますよ。
花瓶に入れて飾る
引用:https://www.instagram.com/koumori_98.95/
こちらの方は、ドライフラワーを花瓶に入れて飾っていらっしゃいます。ドライフラワーがあることで、玄関がとてもナチュラルでおしゃれな雰囲気になっていますね。
花瓶は切り花などを水に漬ける用途のものであるため、水がいらないドライフラワーに本来であれば花瓶は必要ありません。
しかし花瓶にドライフラワーを飾る方法は大変人気があり、街の花屋さんなどでもこのような姿を見かけることができます。乾燥しているが故に成り立つドライフラワーを、水の入っていない水を入れるための容器に挿す、というギャップが芸術性を高めるのかもしれません。
ドライフラワーを通常の花と同じように縦向きに設置しようと思うと、花瓶が最も美しく飾りやすいという理由もありそうですね。
天井から吊るす
花束にしたドライフラワーを天井から吊るされています。照明の雰囲気ともマッチしていて、ドライフラワーがお部屋全体の雰囲気を形作っているように見えますね。花束は3つとも種類が違うようです。
ハンギングの最中にも見えるこのような飾り方は、ヨーロッパの伝統的な壁飾りであるスワッグを現代風にアレンジしたもので、花束の状態で商品化されているものも多くあります。
ヨーロッパではスワッグは幸福を呼ぶとされており、クリスマスに玄関に飾るリースもスワッグの一種です。素敵な花束を部屋に飾り、幸福を呼んでみてはいかがでしょうか。
壁掛けで飾る
引用:https://www.instagram.com/22yukki/
こちらはドライフラワーを壁にかけていらっしゃるようです。雰囲気の合うオブジェなどと一緒に飾ることで、全体的にまとまった美しいお部屋になっています。
ハンギング法で作成したドライフラワーは下を向いた形で乾燥しているので、こうして飾る時にも下を向かせると自然に見えるのかもしれませんね。
ラベンダーのようですが、色もしっかり残っていてドライフラワーとしても完成度の高い品です。普段生活している家の中にこんな一角があれば、過ごしていてハッピーな気持ちになること間違いなしです。
ドライフラワーの作り方に関するよくある質問
最後にドライフラワーを作るにあたり、よく頂く質問をピックアップしてみました。
- ドライフラワーにできない花ってあるの?
- シリカゲル法で茎ごとドライにする場合はどうすればいい?
どちらもこれまでに書いていないことですね。順に回答していきます。
ドライフラワーにできない花ってあるの?
ドライフラワーにできない花、というのはあまりありませんが、綺麗なドライフラワーにするのが難しい花は存在します。
それは花弁が薄かったり、水分が多かったりする花です。
花弁が薄い花は乾燥させる段階で花が散ってしまい、崩れてしまうことが多いです。水分が多い花は乾燥に時間がかかるため、変色してしまう可能性があります。
同じ理由で、水分を溜め込む性質の多肉植物もドライフラワーには適しません。どうしても水分の多い花をドライフラワーにしたい場合は、一気に水分を吸えるシリカゲル法を試してみるのが良いでしょう。
シリカゲル法で茎ごとドライにする場合はどうすればいい?
先ほどシリカゲル法を紹介した際には、花首の直下で茎を切るようにご案内しました。シリカゲル法では花のみをドライさせるのが一般的ですが、もちろん茎ごと乾燥させることも可能です。
前述した方法と同じように茎も一緒にシリカゲルに埋めれば茎の水分も吸収されてドライフラワーになります。花弁と茎の間には水分が溜まりやすいので気をつけてください。
ただ、シリカゲル法にはドライしている間にも、保管している間にも密閉容器が欠かせません。茎まですっぽり入り、部屋に飾っても違和感のない密閉容器を確保してから作業を始めましょう。
まとめ
自宅でもできるドライフラワーの作り方を紹介してきました。試してみようと思える方法はありましたでしょうか。
生花は美しいものですが、生きている以上枯れる運命からは逃れられません。しかし思い出の花や大切な花には、いつまでも枯れずにその姿を見せていて欲しいものです。
もしもその花をドライフラワーにできれば、いつでも眺めて思い出を懐かしむことができます。特にシリカゲル法など、密閉容器の中で環境が変わらなければ、何年間も変わらない姿を見せてくれるのです。
そんなドライフラワーを自分の手で愛情込めて作ることができれば、素晴らしいのではないでしょうか。
ドライフラワーもいつかは朽ちますが、それまでの間思い出の品と共に、新たな思い出を重ねられるのは幸せなことかもしれません。
ドライフラワー作りという、新しい楽しみに挑戦してみるのはいかがでしょうか。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。