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ウツボカズラ(ネペンテス)の育て方

ウツボカズラ(ネペンテス)の育て方

植物名 ウツボカズラ(ネペンテス)
学名 Nepenthes
英名 Tropical pitcher plant
科目/属性 ウツボカズラ科ウツボカズラ属
原産地 東南アジア、北オーストラリア
この記事を監修した人佐藤桃子
ハウスメーカーで造園・観葉植物などに携わったのち、観葉植物専門店の店長としてトータルでプロデュースを手掛ける。2022年よりAND PLANTSに所属。著書に 『選び方・育て方のコツがわかる!観葉植物の教科書』 『INTERIOR GREEN 観葉植物と日常』(ブティック社)。他、監修本多数。

AND PLANTSの人気観葉植物を下記ページにまとめました。

デスクや小窓に置けるものから、インテリアの核となる大型サイズまで揃えていますので、ぜひご覧になってみてください。

[https://andplants.jp/collections/plants]

ウツボカズラの特徴

ウツボカズラは、ぷっくり膨らむつぼ型の捕虫袋が魅力的な食虫植物です。主に、ウツボカズラ属に分類される食虫植物の総称として呼ばれています。

つる性で樹木に絡まって成長するのが特徴。捕虫袋の蜜線から漂う甘い香りで虫を引き寄せ、捕虫袋内に落とし消化液で分解吸収する性質があります。

寒さに弱い性質があるので、枯らさずに育て続けるためには冬の管理がポイントです。品種によって捕虫袋の形や色が違うため、個性的なインテリアグリーンとしても人気があります。

ウツボカズラの花言葉

ウツボカズラの花言葉は「甘い罠」「油断」「絡みつく視線」です。

「甘い罠」「油断」は、甘い香りで虫を誘惑して食べてしまう様子が由来となっています。つるを草木に絡ませて、袋をあちこちにぶら下げる姿から「絡みつく視線」という花言葉が付けられたそうです。

花言葉の意味を考えると、贈り物としては向いていないかもしれません。しかし、その独特の姿かたちや色合いは、多くの人を魅了する美しさを持っています。

プラントハンガーなどで空中に吊るすと、非常におしゃれです。個性的な植物を探している方にプレゼントしてみてはいかがでしょうか。

ウツボカズラの風水

ウツボカズラを含め食虫植物には、風水効果が明確に示されていません

捕虫袋を付けている葉は、正確には肥大した葉柄です。葉に当たるところは、捕虫袋になります。

そのため、捕虫袋が付いていないときは尖っており、捕虫袋が付くと丸みを帯びる姿です。風水的には「邪気払い」や「調和」の効果があるかもしれませんね。

植物は枯らさずに上手に育てることで、良い運気を運んでくれます。綺麗に育ててあげることで、ウツボカズラも良い運気を運んでくれるのではないでしょうか。

関連記事:観葉植物の風水|場所と効果別のおすすめ

ウツボカズラの育て方

ウツボカズラの育て方

日当たり 日当たりのよい置き場所
温度 最低15℃以上をキープする
耐寒性 弱い
耐暑性 強い
水やり 春夏:土・水苔の表面が乾いてから
秋冬:土・水苔の表面が乾いてから
肥料 緩効性肥料、液体肥料
剪定時期 5~10月

関連記事:観葉植物の基本的な育て方|コツや管理法について

置き場所と日当たり

ウツボカズラは日当たりのよい環境を好みます。室内で育てる場合は、明るく風通しの良い窓際で管理してください。

15℃以上になれば、屋外で管理すると生育がよくなります。丈夫な株に育てるためには、強い日差しに当てることが重要です。

ただし、気温の下がる秋には室内に移動させる必要があります。また、室内や屋外に入れたり出したりすると、紫外線量が変化して生育に悪影響です。

温度

ウツボカズラは寒さに弱い植物です。最低15℃以上をキープして育ててください(朝晩の気温の低下程度であれば下回ってもOK)。

寒さに当たり続けると、株が弱ってしまいます。室内ではなるべく暖かい場所で管理することが重要です。

冬の窓際は屋外と変わらないくらいに冷え込むので、窓から離した明るい場所に置きます。暖房の風に直接当たらないように注意してください。

水やりの頻度

  1. 春夏:土・水苔の表面が乾いてから
  2. 秋冬:土・水苔の表面が乾いてから

春夏の生育期には、土や水苔の表面が乾いたら鉢底から水が流れるくらいに、しっかり水やりしてください。ただし、水のやりすぎや受け皿の溜め水は根腐れの原因になります。

ウツボカズラに水やり後は、受け皿に溜まった水は小まめに捨てることが重要です。気温の下がる秋からは土や水苔の渇き具合を見ながら、徐々に水やりを控えましょう。

冬も土や水苔の表面が乾いたら水やりをします。この時期は空気が乾燥するので、暖かい時間に葉水をしっかり与えてください。

ウツボカズラは多湿を好むため、一年を通して葉水をしっかり与えることが重要です。常に茎や葉柄が潤うように葉水してください。

肥料

​​ウツボカズラには、生育期の5~10月の間に3か月に1度のペースで3000~5000倍の非常に薄い液肥を与えるだけで十分です。猛暑期に肥料を与えたり、濃い液肥を与えたりすると枯れる原因になるので気を付けてください。

最近では葉に直接散布するタイプの発根剤や肥料もありますが、これらは時期や頻度を問わず葉水の代わりに使用して構いません。

剪定方法

ウツボカズラの剪定時期は5~10月です。傷んだり伸びすぎたりした枝葉を剪定します。

傷んだり枯れたりした捕虫袋も葉柄の先から切り取ってください。ウツボカズラは茎が伸びすぎると、捕虫袋ができにくい性質があります。

捕虫袋ができないほど茎が伸びた場合、付け根から4~5節ほど残して剪定しましょう。剪定後の節から新たなツルと捕虫袋が出てきます。

ウツボカズラのよくあるトラブルと対処法

ウツボカズラのよくあるトラブルと対処法

個性的な捕虫袋が魅力的なウツボカズラですが、トラブルも存在します。

ここではトラブルが起きたときの対処法を解説していきます。あらかじめ対処法を知っておけば、いざ何かあっても安心です。

植物や虫のトラブルに対処できるケア用品をまとめました。詳しくは下記のページからご覧になってみてください。

[/collections/caregoods]

根腐れ

根腐れでは、以下の症状が見られます。

  1. 水をあげても元気にならない
  2. 土がなかなか乾かない
  3. 葉が落ちやすい
  4. 葉が全体的に黒色・茶色になったのち黄色に変色する
  5. 株元が柔らかい
  6. 土から腐敗臭がする
  7. 土の表面にカビが生えている
  8. 根黒く変色している

根腐れは、土の中の酸素濃度が低下して土中の細菌叢が変化し、有機物の腐敗が進むことで有害なアンモニアが発生し、土壌環境が悪くなることで発症します。

また、常に土が湿っている状況では根が呼吸することができず、細胞が死んでしまいます。これが原因で、根から水を吸い上げることができなくなり、植物体に水を供給することができなくなることで死んでしまう現象です。

高頻度ではなく土の表面が乾いてからお水を与えるといったように、メリハリのある水やりを心がけることが大切です。

根腐れの対処法は以下。

  1. 鉢から植物を抜き、悪い土を落として水はけのよい土に交換する
  2. 根の傷んでいる部分、腐っている部分をカットする
  3. 少量の水を与え、風通しがよく明るい日陰で管理する
    ※1週間を目安に水が乾くコンディションで管理する
  4. 発根剤を与えてみる
  5. 傷んだ葉を取り除く
  6. 枯れた枝を切り取る

根腐れが起こった場合は、鉢を入れ替えて土の環境を変えることが大切です。傷んでしまった根は取り除き、健康な状態が取り戻せるような環境を与えてあげましょう。

枝先がダメになっている場合は、生きている部分までカットし、新しい葉を出すことで回復させます。根元から腐っている場合は、無事な部分で切り取り、挿し木にして発根させて回復させましょう。

根腐れが起こると、新芽を残すように古い葉を落とす現象が見られます。重度の根腐れの場合は、新芽や枝の先から枯れることがあるので注意が必要です。

根詰まり

根詰まりとは、鉢の中で根がいっぱいになることで起きる症状です。根詰まりの症状は以下の通り。

  1. 水が浸透しづらくなる
  2. 底から根が出てくる
  3. 水やりをしているのに葉が黄色くなる
  4. 鉢にヒビが入る

特に春夏の成長期で一気に伸びてしまうと上記のような症状が起きてしまいます。すぐに枯れる要因にはなりませんが、放置してしまうとウツボカズラに悪影響です。

対処法はウツボカズラの植え替えをすること。

ウツボカズラを現在の鉢より1つ上の大きい鉢に植え替えることで、上記の症状はほとんど解消されるでしょう。植え替えを行う時期も春夏の成長期が最も適しています。

葉焼け

葉焼けでは、以下の症状が起きます。

  • 葉の色素が抜けて白くなっている
  • 葉の一部が茶色く枯れている

直射日光では葉焼けしませんが、コンクリートからの照り返しの熱などで焼ける場合があります。

葉焼けの症状に気がついたら、早めに置き場所を検討し直すことが必要です。

対処法は以下。

  1. 猛暑期は明るい室内で管理する
  2. 葉焼けした部分はカットする

葉焼けが起こるということは、日光が当たりすぎている可能性が高いため、直射日光に当てないような措置を取りましょう。

また、一度焼けてしまった葉は二度と元に戻りません。傷んだ葉はカットし、新しい健康な葉が生えてくるのを待ちましょう。

ハダニ

ハダニの症状は以下。

  1. 葉にクモの巣のような糸がついている
  2. 葉の裏に小さな虫がついている
  3. 葉に斑点や傷がある
  4. 葉の色がかすれたように薄くなり枯れている

ハダニは繁殖力の強さと、薬剤耐性を持つとても厄介な害虫です

放っておくと糸を張って大量発生する危険性もあるので、早めに対処を行いましょう。

対処法は以下。

  1. 傷んだ葉はカットする
  2. 葉の表裏、付け根や茎も水で洗浄する
  3. ハダニに効果のある殺虫剤を噴霧する

ハダニが湧いてしまったら、市販の殺虫剤(ベニカファインスプレー・オルトラン)を使用するのが効果的です。2倍に薄めた牛乳などの液体を噴霧する対処法もありますが、匂いが気になる方には水で洗い流す方法もおすすめです。

そもそもハダニは、こまめな霧吹き・葉をふき取りきれいにすることを怠らなければ発生しません。

常にきれいな状態を保つために、霧吹きの購入は必須といえます。月に一度はシャワーで洗い流すなどの管理も必要です。

ウツボカズラのよくある質問

ウツボカズラによくある質問

ウツボカズラのよくある質問とその答えを以下にまとめました。

  1. ウツボカズラは初心者でも育てやすい?
  2. ウツボカズラは室内屋外どちらを好むの?
  3. ウツボカズラの適切な増やし方は?
  4. ウツボカズラは水耕栽培(ハイドロカルチャー)できるの?
  5. ウツボカズラの袋ができないのはどうして?
  6. ウツボカズラが伸びすぎる原因は?
  7. ウツボカズラを植えるのに適切な土は?
  8. ウツボカズラの寿命は?
  9. ウツボカズラを育てるのに虫は必要?
  10. ウツボカズラに花は咲くの?開花時期は?

それでは具体的に見ていきましょう。 

ウツボカズラは初心者でも育てやすい?

ウツボカズラは冬に温度を15℃以上キープできる環境であれば、初心者にも育てやすいでしょう。

育てるにあたって、気を付ける点は「乾燥」「温度」。これらの中で、最も初心者が苦労するのは温度です。

室内が常に15℃以上と暖かい環境であれば簡単ですが、そうでない場合は冬の管理が難しくなります。乾燥気味に育てることで寒さにも強くなりますが、簡易的な温室を準備するなどの対策が必要です。

空気の乾燥には葉水で対応してください。

ウツボカズラは室内屋外どちらを好むの?

ウツボカズラは15℃以上の屋外を好みますが、明るい屋内でも育ちます。

寒さに弱いため、屋外で育てる場合は気温の下がる秋には室内に移動してください。室内と屋外を入れたり出したりすると、紫外線量の変化によって生育に悪影響です。

屋外が難しい場合は、風通しのよい明るい窓際に固定して管理するとよいでしょう。

ウツボカズラの適切な増やし方は?

ウツボカズラの増やし方は「挿し木」です。

6~8月に伸びたツルを2~3節付けて剪定します。剪定したツルを挿し穂として、1~2時間ほど吸水させてください。

水苔を挿し穂に巻きつけるように包み、鉢に入れます。隙間に水苔を詰めて動かないように固定してください。

明るい日陰に置いて水苔が乾かないように管理すると、1か月ほどで新芽が出てきます。挿し穂の葉を半分に切ると、葉からの水分蒸発を防ぐ効果があり挿し木が成功しやすいでしょう。

ウツボカズラは水耕栽培(ハイドロカルチャー)できるの?

ウツボカズラは水耕栽培には向いていません。根が傷みやすく、根腐れしやすいからです。

また、ツルが伸びて大きくなるので水耕栽培では支えきれず、株が倒れてしまう可能性もあります。ハイドロボールなどを使用しても、繊細な根は活着せずに枯れてしまうでしょう。

これらのことから、ウツボカズラを水耕栽培するのは難しいと言えます。

ウツボカズラの袋ができないのはどうして?

袋ができない理由は「日当たり不足」「湿度不足」「温度不足」が考えられます。

ウツボカズラは日当たりの良い環境を好むので、暗い場所では生育が良くありません。明るい窓際に移動させてください。

高温高湿度の環境を好むので、温度と湿度は非常に重要です。温度は20~30℃で湿度は70%以上あると、綺麗な捕虫袋が付きやすいでしょう。

冬は気温と湿度が低いので捕虫袋は付きにくいですが、春から秋は葉水をしっかり与えると綺麗な捕虫袋が付きます。

また、ツルが伸びすぎても捕虫袋が付きにくいため、剪定も大事なポイントです。

ウツボカズラが伸びすぎる原因は?

伸びすぎる原因は、「日当たり不足」が考えられます。

日当たりを好む植物なので、暗い場所では光を求めてツルが伸びすぎてしまいます。明るい場所に移動させてください。

しかし、ウツボカズラはツルが伸びる植物のため、環境が良くてもツルは伸びます。伸びすぎた場合は剪定をして調節することも重要です。

ウツボカズラを植えるのに適切な土は?

ウツボカズラに適切な土は「水苔」または「ピートモスなどを混ぜた保湿性の高い土」になります。

特に初心者の方は、水苔を使用して育てると安心です。根が繊細で弱いため、水苔で育てることで極端な乾燥を防げるでしょう。

ただし、水苔で植えた場合は5~8月に毎年植え替えてください。水苔が古くなり腐るためです。

ウツボカズラの寿命は?

ウツボカズラをきれいに育てられる寿命は10年ほどです。ある程度育てたら株分けや挿し木をして、再度小さいサイズから育て始めるのがおすすめです。

捕虫袋の寿命も通常1~3か月とされていますが、温度や湿度を整え環境が良ければ年単位で生育し続けるそうです。環境によってウツボカズラの寿命は、非常に変化しやすいと言えます。

長く育てる場合は、夏の高温や冬の低温乾燥に気を付けて育ててください。長年育ったウツボカズラは、茎が木の幹のように茶色くなります。

樹木の木化現象と同じく自然なことなので、安心してくださいね。

ウツボカズラを育てるには虫は必要?

ウツボカズラを育てるのに、虫は必要ありません

食虫植物なので、虫が必要だと勘違いされることもありますが、水と光でしっかり育つので安心してください。自然に虫が捕虫袋に入る場合は良いですが、捕虫袋に虫を入れる行為は植物の生育に悪影響です。

また、幼苗や挿し木して間もない株は肥料やりも控えてください。肥料をやりすぎると根が枯れてしまう恐れがあります。

与える場合も生育期に3か月に1度、薄めた液肥を与える程度です。

ウツボカズラに花は咲くの?開花時期は?

6~7月に黄色い花を咲かせます。ただし、1㎝も満たないほど小さく、花弁は4枚のシンプルな花です。

ウツボカズラには雄株と雌株があります。そのため、1株のウツボカズラの花が咲いても受粉することなく種はできません。

種を収穫したい場合は、ウツボカズラの雄株と雌株を育てる必要があります。気になる方は、ぜひチャレンジしてみてくださいね。

ウツボカズラのまとめ

ウツボカズラは明るく暖かい室内であれば、一年を通して簡単に育てることができます。個性的な色や形をした捕虫袋を持った姿は、印象的なインテリアグリーンとしても活躍するでしょう。

ウツボカズラは空中に吊るすと非常におしゃれに飾れます。おしゃれ好きな方や個性的な方へ、プラントハンガーとセットにプレゼントすると喜ばれるでしょう。

ぜひ、おしゃれなインテリアグリーンとして育ててみてはいかがですか。

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