胡蝶蘭を育てていると、鉢から根が飛び出したり、鉢の中でパンパンになっていたりして驚く方は多いと思います。根が多すぎる状態に対して、「このままで大丈夫なのかな?」と不安になる方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回は根が多すぎる胡蝶蘭の対処法と放置した時のトラブルについて紹介します。根が多すぎる胡蝶蘭の状態を正しく理解すれば、放置した時のトラブルにも慌てず対処できるはずです。
ぜひ最後まで一読して、より美しい胡蝶蘭の花が咲くように育ててあげましょう。
[https://andplants.jp/pages/phalaenopsis]根が多すぎる胡蝶蘭は元気な証拠
根の量や大きさ、硬さ、色は、胡蝶蘭の状態を測るバロメーターです。そのため、根が多すぎる胡蝶蘭は元気な証拠と言えます。
「根が多すぎるから、栄養や水分が足りていないの?」と不安に思うかもしれませんが、安心してください。非常に元気な状態で、葉を増やして次の花を咲かせるために成長している状態です。
ただし、黒ずんだりスカスカになっていたりする根が多い場合は注意してください。これらの根は枯れているため、枯れた根が多すぎる場合は元気がなくなっています。
枯れた根は、取り除いてください。育て方や環境を整えると、元気な根が再び伸びてきます。
根が多すぎても元気な根は切らない
元気な胡蝶蘭は、「根が鉢から飛び出す」「鉢の中で根がパンパンになる」といった状態であることがほとんどです。見た目や生育への悪影響を考えて、「根を切っても良いのか」悩むかもしれません。
根が多すぎても、元気な根は切らないでください。元気な根を切ると、根傷みや根腐れ、生育不良の原因になります。
胡蝶蘭は、着生植物です。水苔やバークチップの中へ伸びている根「地中根」とは別に、身体を支えたり空気中の水分や養分を直接吸収する根「空中根」が伸びます。
地中根と空中根ともに元気な場合は切らずに、あるがままの姿を楽しんでください。
胡蝶蘭の根が多すぎる時の対処法

胡蝶蘭の根が多すぎる状態が元気な証拠であっても、見た目やスペース、管理の問題で「どうにかしたい」と思う方も多いはずです。
胡蝶蘭の根が多すぎる時は、以下3つの対処法を試してみてください。
- 植え替える
- 状態の悪い根だけを切る
- 水やり管理を見直す
それぞれの対処法を行うと、すっきりとした見た目になり生育もより良くなるでしょう。
①植え替える
空中根が多すぎる場合は、水苔やバークチップ内の地中根は根詰まりしている可能性があります。鉢から根鉢を取り出し、1回り大きな鉢に植え替えましょう。
古い水苔やバークチップは取り除きます。胡蝶蘭の根が張っている場合は、根を切らないように優しくほぐしながら取り除いてください。
植え替える際に、伸びた空中根を鉢内に収めないことがポイント。空中根は、地中根と性質が異なるため、急に湿った水苔やバークチップが入った鉢内に収めると腐って枯れやすいためです。
空中根は、鉢の外側に伸ばすように植え替えてください。植え替え後に自然と水苔やバークチップ内に潜る場合は、そのままで大丈夫です。
②状態の悪い根だけを切る
根が多すぎる胡蝶蘭は元気な証拠であっても、すべての根がイキイキとしていることは少ないです。古い根はスカスカの状態になっていたり、黒ずんで根腐れ状態になっていたりする場合もあります。
状態の悪い根は切ってください。状態の悪い根だけを取り除くだけで、生育はより良くなります。
今が元気であっても状態の悪い根をそのまま放っておくと、生育に悪影響を及ぼします。徐々に生育が悪くなり、「あんなに元気だった根が枯れてきた」といった状態になることも。
植え替えのタイミングで状態の悪い根を切ることで、植え替え後の生育はグッとよくなるでしょう。
③水やり管理を見直す
根が多すぎる胡蝶蘭は、水やり管理に気を付けてください。根が急に伸びた胡蝶蘭に対して、根が伸びていない時の水やりでは水不足になりやすいためです。
水不足を何度も経験させると、根がスカスカになって枯れる原因になります。胡蝶蘭を植えている水苔やバークチップの乾燥具合、根の量に応じて水やり管理を見直しましょう。
根が多すぎる胡蝶蘭を放置した時のトラブル

根が多すぎる胡蝶蘭を放置した時のトラブルを2つ紹介します。
- 根詰まり
- 根腐れ
「根が多い胡蝶蘭は元気だから」と言って、そのまま放置していいわけでありません。根が伸びすぎている状態であっても、胡蝶蘭はさらに根を伸ばします。
放置した時のトラブルについて詳しく見ていきましょう。
根詰まり
根が多すぎる胡蝶蘭を放置すると、根詰まりを引き起こしやすいです。鉢の中で伸びる地中根は、限られたスペースの中でぐんぐんと伸びます。
胡蝶蘭は環境が適切であれば、ビニールポットのままでも根をびっしりと張り巡らせます。そのまま放置しておくと、水分や養分を効率的に吸収できなくなり、生育悪化につながりやすいです。
地中根が根詰まりしても、すぐには枯れませんが、古葉から黄色くなったり葉が垂れたりする原因になります。また、根詰まりの状態のまま育て続けると、根が十分に呼吸できずに根腐れを引き起こすこともあるので注意してください。
鉢が透明なビニールポットであれば、根の張り具合を確認できます。ビニールポットが盛り上がるほどギチギチであれば植え替えをしましょう。
プラ鉢や陶器鉢に直接植え替えている場合は、鉢植えの空中根の量や鉢底から出ている根を確認して植え替えをすると安心です。
根腐れ
根が多すぎる胡蝶蘭を放置すると、鉢の材質や管理方法によって根腐れする危険があります。
空中根だけでなく、地中根も呼吸しているため、水の与え過ぎや極度な根詰まり、通気性の悪さは根腐れの原因です。根が多すぎる胡蝶蘭を放置する期間が長いほど、根腐れの危険性は高まります。
根腐れすると、元気な根も腐り始めて葉や花が枯れ落ちることも。さらに放置してしまうと、株も完全に枯れてしまうかもしれません。
根腐れした胡蝶蘭は、株元がグラグラしたり異臭がしたりします。サインを見逃さずに、根鉢を取り出して根の状態をチェックしてください。
関連記事:胡蝶蘭の根腐れ|症状の見分け方と対処法
根が多すぎる胡蝶蘭に関するよくある質問

根が多すぎる胡蝶蘭に関するよくある質問とその答えを以下にまとめました。
- 鉢から飛び出た根は切ってもいい?
- 先っぽだけ生きている根はどうしたらいい?
- 根が多すぎて固まってほぐせない場合は?
- 根が多すぎる胡蝶蘭は、木の板に着生させやすい?
それでは具体的に見ていきましょう。
鉢から飛び出た根は切ってもいい?
切らない方がいいです。胡蝶蘭は、木や岩肌に着生する植物なので、鉢から根が飛び出るように空中根を伸ばします。
空中根は、空気中の水分や養分の吸収を行います。さらに、よく光が当たる場所であれば、葉緑素を生成して光合成も行うため、生育に非常に重要な器官です。
生きている空中根を切ると、切断面から病原菌が侵入する恐れがあります。また、水分や養分の吸収量が減少するので、生育が止まる可能性も。
張りがあり硬い根である限り、鉢から飛び出た根は切らないようにしましょう。
先っぽだけ生きている根はどうしたらいい?
根の先端だけが生きている根は、元気の良い根の量に応じて「残す」「残さない」を判断します。
イキイキとした張りのある根が多すぎる中の1~2本程度であれば、根元の枯れている部分で切ってください。他に元気な根が多い場合は、生育にあまり影響はありません。
ただし、胡蝶蘭に元気がなく、根も少ない状態であれば、一旦そのままにしておくのをおすすめします。いずれ完全に枯れてしまいますが、少しでも栄養や水分を吸収して株に供給してほしいためです。
株が少しでも元気になれば、新しい根が株元から発根してきます。それまでは残しておくと安心です。
根が多すぎて固まってほぐせない場合は?
根が多すぎる胡蝶蘭は、根鉢が固まりすぎていることがあります。水苔やバークチップを根の隙間から取り除けるのであれば、根をほぐせなくとも状態の悪い根と一緒に取り除いてあげた方が良いです。
根が抱え込んだ水苔やバークチップも取り出せないほど固まっている場合は、無理に根を切ってほぐす必要はありません。そのまま、新しい水苔を薄く巻いて一回り大きな鉢に植え替えてください。
ただし、固まってほぐせないほどの根鉢は、根詰まりしている可能性が高いです。状態の悪い根があれば、できるだけ取り除くと安心です。
根が多すぎる胡蝶蘭は、木の板に着生させやすい?
根が多すぎる胡蝶蘭は、木の板に着生させやすいです。根がぐんぐん伸びるため、すぐに着生してくれるでしょう。
本来、着生植物である胡蝶蘭は、コルクやヘゴなどの木の板に着生させた方が生育が良いです。自生しているような本来の姿も楽しめます。
古い水苔やバークは取り除き、新しい水苔を根に含ませて木の板にワイヤーやタコ糸などで固定させてください。その後は、適した環境で管理していると、自然と伸びてきた根が木の板に貼りつきます。
まとめ
胡蝶蘭は適切な環境下で育てると、根をぐんぐん伸ばします。根が多すぎると、生育に不安を感じる方も多いでしょう。
しかし、根が多すぎる状態は胡蝶蘭にとっては非常に望ましいことです。環境や育て方に間違いがない証拠とも言えます。
ぜひ、自信をもってそのまま育てましょう。ただし、根が多すぎる胡蝶蘭を放置しすぎると、根腐れや根詰まりのトラブルが発生するかもしれません。
根や葉、乾燥具合などを確認しつつ、適切なタイミングで植え替えてください。状態の悪い根を取り除くだけでも、より生育が良くなります。
根の生育も胡蝶蘭の楽しみ方の1つです。美しい花だけでなく、ぜひ野性味あふれる根の姿も楽しんでみてはいかがでしょうか。
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