都内とフランス・パリを行き来し、フードスタイリストとして活躍しているいわさ あやかさん。その活動を支える大切な場所が家。レシピを考えたり、料理を作ったりしているご自宅にてインテリアのことから、ハーブなどお料理に欠かせない植物のお話を伺いました。
パリと東京の二拠点生活。東京の暮らしはコンパクトに
− まず、ご自宅のことをお聞かせください。
いわささん:今の部屋は40平米の1LDKから30平米の1DKの部屋への引っ越しをしたので、かなり物を手放しました。前に住んでいた家が定期借家で、期日までに絶対に引っ越しをしなければいけなくて。できれば同じ40平米くらいのところを探していたのですが、なかなか理想の部屋が見つからず。退去日も近づくしで、条件よりは狭いけれど惹かれるものがあり……内覧したら良かったのが今の部屋です。
いわささん:フランスを始め海外へ行く時は長期滞在するので、観葉植物など鉢物は今は飾らず、生花やドライフラワーを飾って楽しんでいます。
一緒に暮らす椿ちゃんとスミレちゃん。
あるものを活かして、「好き」を足していく部屋づくり
− クローゼットなど、建具の色が賃貸らしくないと言いますか、素敵な色ですね。
いわささん:ところどころがくすんだブルーとグレーで塗られているところがあって。窓枠やキッチンの戸棚とかもですが、最初からこの色だったんです。手持ちの雑貨とも相性が良いなと。
左:キッチンの戸棚はグレー。
レトロな雰囲気のある天井もまたいい。
右:ドレッサーの下部分のみ。ミラー部分はベッドサイドへ。
家具や雑貨類は建具の色にマッチするようなカラーでまとめるようにしました。差し色としてベージュやアイボリー、やわらかなくすみピンクとかを選んでいます。
いわささん:ひとつだけ惜しいことが、収納が少ないんです。そして私が元々収納が苦手ということもあって。仕事でよく使う道具、調味料、カトラリー類は手が届くように作業台や見えるところに置いてます。
海外の蚤の市などで選んでいるカトラリーたち。
いわささん:本棚も引っ越しの時に手放してしまったので、ドレッサーの上の鏡部分を外してベッド横の本棚として使っています。
− 10平米狭くなった分、いろいろと工夫しているのが伝わります。とはいえ、ひとつひとつが素敵なので置いているだけでも魅せる収納になっていますね。
いわささん:食器や雑貨などは海外に行った時にまとめて買ってきています。買う場所はパリの蚤の市や、ぱっと入ったインテリアショップなどいろいろ。悩まず即決します、潔く笑
蚤の市などで見つけたお皿の数々。
− 蚤の市とかですと、同じものはもう出会えないかもしれませんしね。今、何か狙っていたり欲しいものはありますか?
いわささん:強いて言うなら、今ソファとベッドを買い替えたいかな。そうしたらもう少しスペースが作れるのかなと。
どこで暮らすにも花を楽しむ。シーンに合わせた植物との付き合い方
いわささん:10年前、ワーキングホリデーのビザを取ってパリでの生活をスタートしたばかりの頃、まだまだ楽しむよりも心細さが大きかったときに友人が大きな一輪の紫陽花を持って遊びに来てくれたことがあって。その夜一緒にのんだワインの空き瓶に飾ってみたら、不思議なくらいほっとしてぱっと明るい気持ちになれたんです。花を飾ることで自分の空間として色づき、暮らしに馴染んでいく。生活そのものを楽しむ大きなきっかけとなりました。
[https://andplants.jp/products/dryflower_material-hydrangea_pimpernel_blue]いわささん:ビザを取って生活していた当時も、その後行き来しながらの滞在時も花器以外の物も自由に使って、どんな小さな部屋でも、お花を常にそばにおくのが習慣となりカフェオレボウルにすずらんを飾ってみたり、ヨーグルトの空き瓶ではムスカリを育てたり。
お花に限らずですが"なくても生活はできるけど、あったほうが心地がよいもの"をひとつずつ自分のために選んで側に置く。幸福度がグッと上がるお守りみたいな習慣です。
ムスカリを育ていたヨーグルトの瓶。
これに蓋がついてお店に並んでいるそう。
− いわささんの写真を見ていると、普段から季節の花を飾っていたり、料理に添えられていたり。今のお話から、花があると空間だけではなく、気持ちが豊かになるということを実感しているからなのかなと思いました。ちなみにお料理などと一緒に花を飾る時のポイントや気にかけていることを知りたいです。
いわささん:そうですね……お料理、お菓子、お花、それぞれ色も素材もバラバラというよりは、色やテーマでリンクさせることは考えています。
例えば、黄色いお花なら、レモンタルトを合わせてフレッシュなイメージにしようとか。
カラートーンも含め、料理と並んだ時にイメージがしっくりくるものを自然と選びます。お花が先に家にあれば、自然とそのお花に合うようなお菓子や料理を作ろうかなってことが多いですね。
− なるほど。色からイメージして、つなげていくことは、わかりやすいし考えるのも楽しいですね。
いわささん:あと、料理と植物という点では、乾燥しても使えるハーブはブーケのように束ねて、キッチンの近くの乾燥したところに吊るしておいとくというのが、フランスのおばあちゃんがやっていて。そのハーブの束をもらったことがあります。そういうふうに魅せながらドライハーブを作るのもおすすめです
目標を叶えるために、日々がアップデート
− 最近ではアパレルブランドのチョコレートを手掛けたり活躍の場も広がっていますが、今後の活動や、やってみたいことなどをお聞かせください。
外はサクっと、中はふんわりしている抹茶のケーキは
桜の塩漬けがいいアクセントに。
いわささん:目標は子どものころからの夢を叶え続けること。母の影響もあり、小さな頃からお菓子を作ることが好きで。でもその時からパティシエではなく「レシピ本を出版したい」「フードスタイリストなどクレジットに名前が乗るような仕事がしたい」と具体的な夢、というか目標を持っていたんです。
元々、小学生くらいからアートブックやフォトブックを見るような感覚でレシピ本を眺めるのが好きだったのでお菓子や料理のという"物"の製作だけでなく、それが纏う空気までを俯瞰で捉えてどうやって魅せるか、ということまでがワンセットという感覚にいつの間にかなっていました。
いわささん:日々アップデートをし続けて、いつかは夢の一つ、本の出版も叶えたいなと。
− いわささんのレシピ本は料理はもちろん、全体の空気感、色、フラワーコーディネートと、隅から隅まで見逃せない一冊になるんだろうなって思いました。楽しみにしてます。ありがとうございました。