都内でWebマーケターとして働きつつ、週一だけ開く植物雑貨&古物店を営み、インテリアのお仕事もされているaiさん。
夫と夫婦二人で暮らすマンションにて、インテリアと植物やお仕事のことなどを伺いました。
はじまりはポトスから。aiさんが想う植物の魅力
− お家に入った瞬間から、すごく素敵な空間が広がっていました。この家は現在住んで何年目くらいですか。
引っ越されてきてからの部屋づくりのことなどをお聞かせください。
aiさん:ここに引っ越してきたのは約4年前です。こだわって作ったというよりは結果的に現状になったというのもありますが、多国籍というかアートと好きなものが詰まったお部屋になってはいます。私がアンティークやヴィンテージのものが好きでそういうものをこだわって選んでいます。
− 窓辺、リビング、ベランダなど至るところに植物が並んでいますね。いつから植物に興味を持って、数でいうとどれくらいありますか。
aiさん:ベランダの植物も合わせると100ぐらいはあると思います。興味を持ったのは子どものころからで、最初は小学2年生の時にハイドロカルチャーのポトスを買ったことを覚えています。
− 植物好きは子どもの頃からだったんですね。aiさんが思う植物の魅力、惹かれるのはどういったところですか。

aiさん:植物ってすごくしなやかだなと思ったんです。新卒時代、慣れない仕事で体調を崩してしまった時に、よく部屋の植物から元気をもらっていました。ちょうどその頃、まだ小さな幼苗のビカクシダをお迎えしたんですが、どんな時も上を向いて、すくすくと育っていて。
植物は、葉や茎がたとえ折れてしまっても、またそこから上に向かって育っていくし、柔軟でしなやかさがあるからぶつかっても折れない。その姿からエネルギーをもらっているような気がします。

− それぞれの植物にエピソードがありそうで、いろいろお聞きしたくなりますが、中でも気に入っている植物を挙げるならどれですか。
aiさん:カラテアは葉の裏まで色が綺麗なので特に好きです。今育てているカラテアはインテリアショップに勤めていた時に販売できない状態だったものなんです。
当時は葉が3枚くらいになっていて、復活しここまで大きくなっています。特別に手をかけたわけではなくて、たくましく成長してくれました。カラテアは夜になると眠るように葉を閉じて、朝になると葉を開く様子も可愛らしくて気に入っています。

左:窓辺には小さいサボテンや多肉植物などが並ぶ、右:葉が3枚から復活したカラテア・ランキフォリア
− 葉が3枚で販売できない状態だったとわからないくらい元気ですね。最近お迎えした植物はありますか。
aiさん:フィロデンドロン・ピンクプリンセスです。葉にピンクの模様が入っていて綺麗だなと思ってお迎えしたのですが、気がついたらピンクや赤系のカラーリーフの植物が増えていました。
− 無意識のうちにカラーリーフを選ばれていたんですね。普段、植物を選ぶときに基準にしていることはありますか。
aiさん:特に選ぶ基準はなくてビビッときたら、かな。以前はユーフォルビア・ホワイトゴーストなど珍しい植物を好んで選んでいた時もありました。今は身近な園芸店や弱っていたり、傷があったりする植物をお迎えしています。

アートと登山。心惹かれるもののキーワードは「自然」
− アートもいくつか飾られていますが、アート作品に興味を持ちはじめたのはいつくらいからですか。

ゴッホの絵は父親から譲り受けたもの
aiさん:アートに興味を持って好きになったのは幼少期からなんです。
両親が旅行好きなこともあり、割と幼い頃から日本各地のいろいろな美術館に連れて行ってもらっていました。その影響もあって小学校に入る前から美術館でポストカードを選んで買っていました。

右からトム・ヨークのライブで購入したポスター、ピカソ、岡本太郎の作品、日本300名山のポスター
− ご両親の趣味がきっかけだったんですね。いくつかポスターがある中にひとつ日本地図がありますが。
aiさん:これは登⼭が好きで、日本300名山の中で100ぐらいは登りたいねと、夫とも話していて。今はまだ両手で数えられるほどですが(笑)
− 登山もされているとは、多趣味ですね。
aiさん:公園など身近なところでも自然に触れる機会はありますが、360度ぐるっと自然に囲まれたいと思う事があって。都会の喧騒から離れ、山の静寂の中に身を浸していると、普段悩んでいたこととかすっかり忘れて無心になれるんですよね。浄化されるというか。
それで、ここ数年すっかりハマってしまいました。登山は己との対峙なので、山を通して自分と向き合っているうちに、自分の弱さも露わになってくる。けれど、それを乗り越えた先に見える景色が好きで。今年の山の日はどこに登ろうか、夫と作戦会議中です(笑)

− 作戦会議はとっても楽しそう!共通点は「自然」なんですね。木製の古家具など古道具が好きなことも、それらが昔から続いているという点ではaiさんが好むものに繋がるものがありそうですね。
旅先での一期一会も。直感で選んだお気に入りたち
− このお家に引っ越されてからというよりは今まで集めてきたものを組み合わせながら部屋づくりをしてきたんですね。

スウェーデンで譲り受けたダーラナホース
aiさん:そうですね。⺠芸品も好きで、気に入ったものは迷わず買ってしまいます。なので物はたくさんあります。赤と青のホースはスウェーデンの民芸品で、スウェーデンに行った時に知人から譲り受けてから大切に飾っています。スウェーデンのダーラナ地方で作られているもので赤は結構よくあるのですが青は珍しいそうです。
他にも屋久島のお土産屋さんで見つけた夜光貝も気に入っています。旅先でも洋書など重たいものも買ってしまうので荷物が多くなって帰ってきます(笑)

屋久島のお土産屋さんで購入した夜光貝
aiさん:テーブルの奥に配置したガラス棚は神楽坂のアンティークショップで一目惚れして即購入しました。中には食器や陶器などコレクションしているものを並べています。

左奥のガラス棚に並ぶ食器は友人とのパーティなどで使うこともあるそう
− 家具や雑貨はどういったエリアやお店をチェックしていますか。素敵なものが多いので普段どういったお店をチェックしているのか気になりました。
aiさん:これといったエリアは決まってないんですが、例えばフグの酒器は西荻窪で見つけたもの。かわいいなと即決で買いました。割と街の路地裏にひっそりと古道具屋さんがあって。そういったところで見つけています。

西荻窪で見つけたフグの酒器
マスは結婚式で使用したもの
aiさん:お店は調べてからいくこともありますが、お散歩していて見つけることのほうが多いかな。それで気に入ったお店はGoogle Mapにピンをしています。
他では近くの公園で開催しているマーケットへ行くこともあります。Instagramでお店を探す事もありますが、行きたいお店の住所が遠かったり混んでいたりすることもあるので、身近なところで偶然見つける感じです。
幼い頃からの夢に近づいた「ライクワーク」としての植物とインテリア
− aiさんは以前インテリアショップ勤務の後、インテリアコーディネーターとグリーンアドバイザーの資格も取られていると。インテリアと植物について深く学ぼうと思ったきっかけをお聞かせください。

aiさん:子どもの頃からインテリアが好きで、社会人になってから改めて学校に通い、学んで資格を取りました。祖父母が暮らす家が実家近くにあり、リフォームやリノベーションをやっていたのを見ていたことや、叔母や母がインテリア好きでインテリアの雑誌が置いてあって。私が活字好きということもあってその雑誌を読んでいた影響はあるかもしれません。

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− アートだけではなく、インテリア好きも幼い頃からだったんですね。そこから植物がインテリアに欠かせない存在とつながったんですか。
aiさん:インテリアだけでもいいけれど、何かひとつでも植物があると変わるなとは思います。前職では植物担当として任せていただいたこともあって、販売や提案機会も多く、改めて体系的に学びたいと思うようになりました。
− お店を始めるまではどういった経緯だったのですか。
aiさん:お店はスウェーデンに行ったときから、家とは別に何かしら拠点が欲しいなと。
学生時代にゲストハウスでバイトしていたことがあって、旅行者が集える空間がいいなと。当初はゲストハウスやギャラリーを考えていたのですがコロナ禍になって一度「旅」は切り離して考え直し、たまたま今の店の場所が見つかり、インテリアコーディネーターの資格を取得したこともあって、その活動の場所を知ってもらえる場所も必要だなと思い切ってやってみることにしました。
お店では雑貨やインテリア、植物などを扱っていてこれから作家さんとマルシェもやっていく予定です。お店という側面もそうですが、ギャラリーや地域に根差したコミュニティとして、気軽に立ち寄っていただけるような場所になればと思っています。

− ゲストハウスやギャラリーという道もあったんですね。ブレずに好きなことを深めているのが伝わります。最後に植物に限らずこの部屋をアップデートしたいなと思っていることはありますか

aiさん:もう少し間接照明を増やしたいなと思っています。今はペンダントライトが中心になっているので、北欧のインテリアスタイルのように随所にスタンドライトなどを置いて空間全体にライトを取り入れていきたいとは思っています。植物では、レウコネレアを迎えたいです。