土間リビングのあるログハウスで、コーヒー販売を営む店主の好きなものに囲まれた暮らし。 DATE : 2022.02.23
LIFESTYLE

土間リビングのあるログハウスで、コーヒー販売を営む店主の好きなものに囲まれた暮らし。

葉山の静かな山奥で、ジープの似合うワイルドなログハウスに住む山口徹さん、未奈子さん。

パチパチという薪ストーブの音が響き渡る広い土間にて、ログハウスに住むようになった経緯やEC販売を営むコーヒーへの思いをお聞きした。

 

山口 徹さん

1972年生まれ。運送会社などでサラリーマンを経験したのち、現在は自身で『葉山 Log Cabin Coffee』を立ち上げてコーヒー豆のEC販売を営む。ジープが好きで、現在はカスタム中。

Instagramアカウント(https://www.instagram.com/toru_ga_toru/

 

山口 未奈子さん

1972年生まれ。会社員。徹さんとは小中学校の同級生。大人になって再会を果たし、ご結婚。

ログハウス×土間×薪ストーブ。山の中に佇む大人の自宅。

薪割りは苦行。それでも薪ストーブを使う理由。

− やはり土間にある薪ストーブがひときわ目を惹きますね。これは火を付けるのにどれくらい時間がかかるんですか?

 

徹さん:慣れちゃえばすぐだけど、火が安定するまで面倒みてあげないといけないから、10〜15分くらいはいてあげないとダメですね。でも、エアコンはあまり使わないで冬はこれで生活します。

土間で一際存在感を放つ薪ストーブ。使わない夏でも邪魔にならないデザインを選んだ。

− 薪割りもご自分でされてるんですか?

 

徹さん:そうですね。丸太から作っているんで、どうしても1年くらいは干しておかないと綺麗に乾燥しなくて。乾き切ってない薪を入れると、火が消えちゃったり。実際に「この薪はあんまり暖かくないね」みたいなこともありますし。

薪割りが楽しいのは最初だけで、後は苦行(笑)。

丸太は通販で購入したり、近所で伐採してもらったり。

徹さん:薪ストーブを使い始めて思ったのは、「音」が何もないことですね。いかにエアコンやファンヒーターって音がしてたんだなと。これは風もあまり対流しないので、エアコンの音とか風が意外とストレスだったんだなって改めて気づきました。

未奈子さん「運搬や片付けは手伝うが、薪割りは怖くてやりたくない。」

− 静かさを堪能したくて、黙ってしまいますね。

 

徹さん:そう。ありがたいことに友達が沢山来るけど、みんな結構寝てます。子供連れて遊びに来てくれて、俺が子供連れて外へ行って帰って来ると、夫婦がソファで寝てたり。「お前何しにきてるんだよ」って(笑)。

「仕事忘れてボヤ〜っと見ちゃうよね。」と笑顔で話す二人。

薪ストーブにもログハウスにも、特にこだわりはなかった。

− 薪ストーブを置きたいと思ったきっかけってあるんですか?

 

未奈子さん:別に薪ストーブの家に住みたいとか思ったわけじゃなくて、この家を買うなら薪ストーブも付いて来るものみたいな感じだったよね。

 

徹さん:うん。別にログハウスにもそんなに憧れがあったわけでもないし。

葉山っていえば海だから、最初は海の近くで探し始めたんですけど。まあ、、高いんですよ。いいなと思うとすごい高くて。

 

未奈子さん:高くて狭い。前は横浜に住んでいたんですけど、「この混み混みな感じは別に横浜と一緒じゃない?」って思って。それもあって、もう少し広い場所がいいよねと。

 

徹さん:それで買える方にだんだん移行してきたら、山も綺麗だなって。山を気に入っちゃって、「山だったら、ログハウスじゃん!」みたいな。

それで、車に似合うログハウスってどんなのかなって探し始めてこんな感じに辿り着きました。だから、こだわりがあるようで、ないような。

収納が全然なかったというログハウスには至る所にDIYインテリアが。

朝5時に起きたら月が出ていたり、冬はオリオン座が見えたり。四季や空の変化が楽しめる2階の窓。

2階から見える土間

徹さん:家に関しては、自分の好きな場所を買える人なんて少ないじゃないですか。海の近くに買えたら、ログハウスはおかしいし。逆に、葉山っぽいサーファーズハウスみたいなのが山にあっても違和感ある。だから、そのタイミングタイミングで楽しむ方が良いかなって。

 

− すごく面白いですね。家づくりとかインテリアでこだわりはそこまで強くないと?

 

徹さん:家とかインテリアは特に考え込んで作ってないんですよね。ホントにこだわってくと身動き取れなくなっちゃう。

もちろんこだわりがあって、それを突き詰めていく人も楽しいんだろうけど、うちは実はそんなにこだわってないです。

玄関横のDIYした棚。室内は薪ストーブで乾燥するため、ドライフラワーが多い。

綺麗に配置されたキッチンの一角。

コーヒーが苦手だったからこそ、良いコーヒーを提供したい。自分のセンサーに従う等身大の暮らし。

「味が嫌い」で始めたコーヒー探求

− 今はコーヒーのEC販売をしているとのことですが、元々コーヒーはお好きだったんですか?

 

徹さん:僕も奥さんも、実は全然コーヒー飲まないんですよね。大体お茶か、白湯が好きで。

ただログハウスに住んだのに、日本茶とか白湯ってないよねって。そこからですね。

ただ、飲んでみてもすこぶる美味しくない。でもみんな好きだっていうし、「なんでみんなこんなの飲んでんだろう」っていう興味があって。なので、「もっと僕が美味しいと思う物になんないのかな」と思いました。

綺麗に並べられたコーヒー用品。もちろん棚はDIY。

徹さん:仕事でお客さんの所行く時とか、基本コーヒー飲みますよね。

でも打ち合わせしてるから、飲めないままどんどん冷めていく。それで最後、残すの悪いから一気に飲む。あのコーヒーってすごい不味くないですか?

 

− 冷めた後のコーヒー、不味いですよね。

 

徹さん:なのに、なんでみんなコーヒー飲むんだろうみたいな。「そこまで美味しい?」って。だから、結局僕は自分が飲みやすいコーヒーを作ってっちゃうんだと思います。

ただちょっと申し訳ないけど、「これすげえ美味いから飲んでみて」っていう風にはまだなれていないと思います。僕自身、まだ納得できていないというか。カッコよく言えば探求してます。

徹さん:だから僕は、どっちかというと僕とおなじような「コーヒーちょっと苦手だよね」みたいな人は飲んでくれたらいいなと思ってます。

コーヒー通の人はもっと深く「こういうのがいい」とか「ああいうのがいい」みたいなのあるだろうけど、やっぱり「コーヒーちょっと苦手なんだよね」って思ってる人は、そこまで知識もないし。

そうすると、一発目で入った時に飲みやすい、「冷めた時にも飲めるコーヒー」っていうのが出来たらいいなと思ってます。

知識から入らない、自分のセンサーで選ぶ

徹さん:「コーヒーの何が好きですか?」って言われたら、僕は見た目。色や香り、雰囲気が好きです。

僕はコーヒーをインスタ主体で売っているんですけど、だからあまりコーヒーの説明はしていないんですよ。色や映像とかを大事にしてます。

 

− 雰囲気がいいですよね。一般的なやり方だと、これは産地がどこで、苦みがこうで、コクがこうで、とかって説明が多くなりがちですよね。

 

徹さん:そこで興味を持ってもらうって手法もあると思うんだけど、けど僕はそれが好きじゃないから。それを散々言われて高いコーヒー豆を買ったのに、自分で淹れてみたら「そんなに美味しくない」ってこともあったし。

だったら逆に僕の好きな見た目や雰囲気を写真や動画で伝えて、「美味しそうじゃん」って言って飲んでもらって「美味しいね」って言われる方がいいなと思ってます。

− なるほど、面白いですね。家やジープもそうかもしれないですけど、素直に自分が「いいな」と感じるものに対して、等身大で追及する感じですよね。

 

徹さん:そうですね。こだわってるつもりはなくても、知りたくなっちゃうから。

ワインとかもそうだけど、色んな知識が必要になったり、知らないとダメって感じがあるじゃないですか。もちろん絶対知ってた方がいいんだけど、それが先に来ちゃうと、手を出し辛くなっちゃう。

 

− ハードルが上がりますよね。

 

徹さん:車の場合で言うと、カタログに書いてある車のうんちくとか口コミを読んでどうだこうだとかって言うくらいだったら、「乗っちゃえば?」と思います。

多分そこには数値にない、自分のセンサーで感じたものってあるじゃないですか。多分3人が乗ったら、同じ車でも感じ方が違う。そのセンサーを当てにして生きちゃった方が楽しいんじゃないの?みたいな。

 

− 確かに。自分のセンサーですか。

 

徹さん:はい。でもカタログとかも絶対大切で、感じたセンサーの内容に後から照らし合わせて、「なるほど、そういうことなんだね」ってやった方が、面白そうだなと。

商品名にコーヒーの正式名称は使わない

徹さんが販売しているコーヒー豆

− 徹さんが販売しているコーヒー豆は、名前が独特ですよね。

 

徹さん:名前は何となくイメージで付けています。これ(写真1番左)はブラジルの豆で、ビターチョコみたいな感じのほろ苦い感じだから、サンセットっていう名前にして。

これ(写真左から2番目)もちょっと違うブラジルの豆だけど、これはちょっとラインナップ的に値段を落としていて、毎日飲んで欲しいからガルプ。ガルプっていうのは、日本語でがぶがぶ飲むっていう意味だから。

徹さん:今ビックリなコーヒーが、この黄色いやつ。挽いた状態でレモングラスみたいな匂いで、淹れるともっと引き立ちます。

 

− (匂いを嗅いで)コーヒーじゃないみたいですね。

 

徹さん:そうなんです。お茶っぽいコーヒーみたいな。たまにはコーヒー屋さんっぽく説明しようかな(笑)。

これは、ブラジルのグアリロバ農園が作ってるイエローカトゥカイっていう豆なんですだけど。

最近コーヒー業界では、豆を天日干ししたり水洗いした後に、空気に触れないタンクに入れて、酵母を入れて発酵させるのが流行ってて。これは、それを2回発酵させてます。だからこういうちょっと独特な、普通のコーヒーじゃない香りとか味になります。

 

− やっぱりお詳しいですね。

 

徹さん:でもこれをお客さんに言っちゃうと、「いやいや、イエローカトゥカイとか分かんないです。何それ?何語?」みたいになりますよね。だから「何となくレモングラスぽいでしょ?イメージも黄色でしょ?だから何となく飲んでみなよ」みたいな売り方をしているんです。

 

− なるほど。初心者にもわかりやすいですね。

常識に縛られない。大事にするのは、香りや雰囲気。

− (淹れているコーヒーを嗅ぎながら)良い匂いですね。

 

徹さん:やっぱ焼きたての方が圧倒的に香りがいいんですよね。だから当日出荷にはこだわってます。

朝焼いて、その日の午後に出荷して、だから焼きたてが届きますよって。

ホントは1週間くらい経ってくると味が落ち着いてきて、味が暴れてないから美味しいんですけど。

でもやっぱり香りが圧倒的に違います。香りいい方がいいですよね?味の調整は買ってくれた人がすればいいことだから。

 

− 淹れ方でも全然変わりますよね。

 

徹さん:そうですね。

焼きたての証拠は、こういう風にお湯を注ぐと、モコモコモコって出てくる。

でもだからって、これが美味しいとは限らない。この泡の空気の層が出来ちゃうと、コーヒーとお湯に隙間が出来ちゃう。それって、空気のせいでお湯とコーヒーが触れないからよくないよねって。だから、本格的にやってる人達はあんまりガスが出過ぎるのはよくないよねって言うんです。

 

− そうなんですね・・・。

 

徹さん:そうなんです。でもさせたいじゃん、モコモコ。(笑)

「そんなに難しく飲まないでください。」と差し出して頂いたコーヒー

幸せの価値観の変化。「好き」に囲まれた豊かな生活。

− コーヒーのEC販売を始められたきっかけはあるんですか?

 

徹さん:別に商売でやろうとは思ってなかったんですけど、家でコーヒーを焙煎してて。そしたら「欲しい」っていう人が結構出てきて。「譲ってほしい」みたいな。その頃も別に、商売するつもりもなかったんですけど。

未奈子さん:それでやってて、それで「いつかコーヒーの焙煎屋とかする?」とか、それぐらいです。

 

− それを仕事に切り替えたのってどんな理由ですか?

 

徹さん:年齢ですかね。普通に生きたって80後半ぐらいまで生きるわけじゃないですか。そうすると65で仕事辞めても、20年間は何かやらなきゃいけない。

60ぐらいで定年で会社辞めてから、何かやるっていう体力もないだろうし。そしたら「今じゃね?」みたいな。僕は、どっちかっていうとサラリーマンでいることが不安になっちゃうんで。

 

− なるほど。出来るうちに自分でやっちゃおうみたいな。

 

徹さん:今は欲しい物が狭まってきてるし、好きなものに囲まれてる。だったら無理にそんなに稼がなくてもって思います。

徹さんはジープが好きで、部屋にはジープ関連のものも多い。ジープのクラッチは、交換時にかっこいいと思い、そのまま装飾に。

林の中に住んでいるという知人宅でジープに乗る徹さんの写真。

徹さん:ただ偉そうなこと言いながら、うちは奥さんが働いてますから。

だからちょうどいいんだと思います。今は僕は不安定だけど、奥さんの収入がなくなる時に逆転してればいいかなって。

 

徹さん:昔は、好き勝手に高い服とか買ったり、高い飯とか食いに行ったりとかっていうことが、すごく良い生活って思ってやってました。でも今は逆にここで一人でコーヒーをゆっくり回して、それを友達が買いに来てって生活。

それで収入下がったけど、価値観としてはすごい豊かです。

 

− 幸せってお金だけじゃないですよね。

 

徹さん:でも若いうちはまだ辞めちゃダメだよ(笑)。

まだ、欲しいものをいっぱい買った方がいいと思います。「好き」を突き詰めていくと、自分が本当に好きなものって結構分かってきますよ。

AFTER INTERVIEW編集後記
暖炉以外の音が全くなくて、思わず眠たくなるほど居心地の良い山口夫妻のログハウス。それは意外にも強いこだわりで作られたものではなく、その時々での自分達の感覚に従って臨機応変に選んできた結果とのこと。そんな自分の感覚を大切にする山口さんだからこそ、家にも販売するコーヒーにも、独自の魅力で溢れているのでしょう。 

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