整理収納アドバイザー、ルームスタイリストとして活躍しているひでまるさん。パートナーのぶたじるさんと暮らす1LDK47㎡のリノベマンションを訪問。植物のことからインテリアのことまでお話を伺いました。
左:ひでまるさん
職業:整理収納アドバイザー、ルームスタイリスト
Instagram:https://www.instagram.com/hidemaroom/
右:ぶたじるさん
職業:グリーンアドバイザー
Instagram:https://www.instagram.com/butajiroom/
家を埋め尽くすほどの物量からの片付けと家作り
− まず、このお家のことをお聞かせください。とても素敵なお部屋です。全体のテーマや意識したことはありますか。
ひでまるさん:実は、最初は部屋をどうしようとかも全然決まってなくて。この部屋はリノベ済みのマンションで気に入って購入したので、どうするかを決めたのは購入してからですね。
この家に引っ越してきた当時は2人ともサラリーマンで私もぶたじるさんも出張ばかりでした。荷物が多くて引っ越してから半年ぐらいちゃんと開梱ができないみたいな状況でした。
ひでまるさん:コロナ禍の時に私がお片付けのことを学んで、インテリアスタイリストをフリーで始めようと準備を始めたときに、「部屋をこうしたいね」っていうのを初めて2人で話しました。そこから徐々に作ってきたという感じです。
ひでまるさん:4年前は今の物量の5倍ぐらいの物があって。すごい家作りに悩んでたんです。
ちょうど近所で整理収納アドバイザーの2級という講座が開催されるというのを知って、受けに行きそこから「物の持ち方を変えよう」と、すごく感じて。
ひでまるさん:それまでは物にたくさん囲まれすぎて、自分がどういうふうに物を選んでいるのか全く考えたことがなかった人生だったんです。
そういう時期を経て「本当に自分の人生に必要なものを選ぶ」という経験をした後、2人が好きなものや自分の人生に必要なものを選べるようになりました。考える癖がついたんだと思います。
ひでまるさん:昔はTシャツは700枚はあって、色違いの洋服を4枚買うようなこともあれば、一度も着ない服をたくさん持っていました。
洋服がたくさんあれば幸せだと思ってたんです。
家を埋め尽くすほどあった服は今は2人でクローゼットに収まるだけの数に
ひでまるさん:今は好きなものしか持ってないからどれを着ても毎日気分が上がります。前はたくさんの服を持っていたのに「洋服がない」となっていました。それを止められたのでお片付けの仕事をしてよかったなと思っています。
極論言うと、興味がないものを部屋からなくして、好きなものを置ければいいかなっていうふうに切り替わって、雑貨だったりとか、お土産も買ったり、植物もだんだん増えていったっていう感じです。
IKEAのドールハウスはコスメ収納として使用
収納のピッグバスケットはZARAHOMEで購入
魚の形をした鍋敷きはお気に入りアイテムのひとつ
ぶたじるさんが好きな植物を置こう。そこから始まった植物との日々
ひでまるさん:片付けをして物の量が減ったときに、あれ、私の部屋はなんか寂しく感じるなと思って、元々ぶたじるさんの好きだった植物を置こうっていう決めて、最初は一鉢しかなかったところから、今は60種類~70種類ぐらいの植物が部屋に置くようになったというそんな経緯で。
− 元々植物はぶたじるさんの方が好きだったっていうことですが、以前の家でも植物を育てられてたんですか。
ぶたじるさん:そうですね、前の家でもいくつか育てていました。料理好きなので、ハーブを育てて、調理する時に摘み取って使いたくて水耕栽培を試したことがきっかけです。
− 今となっては植物がたくさんありますが、一番最初にお迎えした植物はどれですか。
ひでまるさん:キッチンにハンギングされているポトスです。私とぶたじるさんが一緒に住み始めて、12年経ちますが、私と一緒に住むより前からこのポトスはいました。なので私より先輩です。
ぶたじるさん:ポトスは15年くらい前から育てています。たしかホームセンターで購入しました。
ひでまるさん:私は実家が自然豊富なところにあり、庭にも植物がたくさんあるような家だったこともあり部屋の中に植物を置く習慣がありませんでした。なので、部屋の中に植物を置くと大変かなとか虫がでるかなとか、いろいろと心配をしてしまい、植物を置くことにすごく抵抗があったんです。
ぶたじるさんが「植物を置きたい」ということで一緒に買いに行ったんです。見ているうちに「部屋に植物があるの素敵かもな」と、その時点で少しいいかもと思い始めていたんです。それから部屋に植物を置きはじめました。その後、ハンギングの植物を多めに増やしていきました。
「部屋に植物があるっていいな」と。今では私の方が増やしがちです。
− いろんな種類の植物がありますが、選ぶ時に気にかけていることや基準としていることはありますか。
ひでまるさん:植物を選ぶ時の中心にしているのはシンボルグリーンにしているビカクシダです。
引っ越してから3年目ぐらいに家に来ました。これは園芸店に行ったとき「すごく素敵だな」と思っていて。それから何回もお店に通って迷っていたんです。大きさもあるしな、と。
そうしたら、ある日大きなダンボールが届いて開けたらこのビカクシダで。ぶたじるさんが私が仕事で独立したお祝いにプレゼントとして贈ってくれたんです。そういう思い出もあって私の一番のお気に入りです。
これをきっかけに、このビカクシダに合わせてどんどん植物が増えていきました。
− すごい素敵なエピソードですね。ぶたじるさんは一緒に園芸店に行って、すごい惹かれてるなっていうのを覚えて購入されたんですか。
ぶたじるさん:はい、4回ぐらいお店に行ったので。見ていた園芸店が当時勤めていた会社から近かったので、私も会社帰りに立ち寄っていて。
独立したからちょうどいいかなと思って、こっそり購入して、家に送りました。
− それはもう、シンボルグリーンとしてもとっておきの植物ですね。ビカクシダに合わせてということですが、シダやサトイモ科(モンステラの仲間)の植物が多いのかなと。
ぶたじるさん:この家は日当たりがそれほど良くないので耐陰性が高いものを優先的に選んでいます。
ひでまるさん:並べ方とか種類とかにもこだわっていて単調にならないようにリズムをつけることを意識して置いています。色使いも気にしています。
緑色のものが多くなりがちで、これだけ数が多くなると奇抜なものや別の色を入れたくなるのでカラテアやベゴニア・マクラータなどカラーリーフや模様が入っているものを積極的に入れています。
− ぶたじるさんのお気に入りの一鉢を教えてください。
ぶたじるさん:「ネフロレピス・スコッチモス」です。「ネフロレピス・ツデー」と同じくシダ植物の仲間です。駅のお花屋さんで見つけました。たまたま見つけて可愛くていいなと。
元々のサイズは片手で持って帰れるくらいのサイズでした。もじゃもじゃしていてかわいいなあと。
育てていくうちにカタチを変えられる楽しさを発見しました。葉が絡まりあうようになるとは知りませんでした。もじゃもじゃと絡まるから、自由にカタチを変えることができるところも好きです。
購入当時よりだいぶ大きく育ったネフロレピス・スコッチモス。
− 面白いですね。まるで髪をセットしているみたいです。
ぶたじるさん:そうですね。ワックスをつけた髪をセットするみたいな感じです。
− 近所の花屋さんで購入されたとのことですが、植物を購入されるお店で決まっている場所がありますか?
それともふらっと見つけたところで買うことが多いですか。
ひでまるさん:買う場所は正直バラバラです。それこそインテリアショップだったり、園芸店やホームセンターだったり。
ここでいつも買うとか、全部を決めているわけではなくて、リアルで見て買う場合もあれば、ネットで買う場合もあります。
− 園芸店もインテリアショップもたくさんご存知で、足も運んでいると思いますが、中でもお気に入りの園芸店はありますか。
ぶたじるさん:練馬区にあるオザキフラワーパークさん。
色物の種類も多いし、園芸用品もたくさん揃っているので植物を買いにお出かけの時はよく行きます。
アンドプランツで選んだのはアグラオネマ・スノーフレークス 黒のECOPOTSの組み合わせ
ひでまるさん:植物を自分で選ぶことの他に、インテリアのスタイリングの仕事だったり、お客様からご依頼をいただいて、植物をご紹介することが多いのでそういうときは一緒に買い回りをしたり、ネットで購入できるアンドプランツをご紹介したりしています。
最近だとフェイクグリーンを探されてる方もいるので、フェイクグリーンでは「いなざうるす屋」さんをご紹介しています。
− それは光栄です。ありがとうございます。フェイクグリーンを提案するケースもあるんですね。
ひでまるさん:家を空けることが多い方や、お世話するのが難しいけれどグリーンを楽しみたたいという方もいます。
その気持ちもすごくわかるのでご要望にお応えしたく、フェイクグリーンをご提案するケースもあります。最近のフェイクグリーンはすごくクオリティが高いので私も楽しいし、植物の代わりというよりはもうインテリア小物として、インテリアをもっと自分の好きなように楽しめるアイテムとしてフェイクグリーンをご紹介してることが多いですね。
− 植物を買うときは、既に「これを買いたい」と決めてから買いに行くことが多いですか。
ひでまるさん:特にこれといったルールを決めてるわけではないですね。
この植物、この種類を探していて、その中で好みのものはないかなと探すパターンもあれば、「家にないな」とか「あの植物に合うかな」と今家にある植物をイメージして選ぶパターン。
部屋に合うからということもあるので。
結構一目ぼれで良いこともあるし、その時に買うかどうするかは「どこに置くか」がイメージできるかですね。
− 置き場所がないものは買わない。確かに、買ったのはいいけれど場所がなければ扱いも雑になってしまいそう。植物を買う時に参考にできそうです。
ちなみに今後どんな植物を迎えたいなとかありますか。
ひでまるさん:私は斑入りのモンステラが欲しいですね。テーブルを丸テーブルにして、斑入りのモンステラを丸テーブルに飾りたいな。
ぶたじるさん:私はランが気になります。お花が終わった後も育てられるし、また花が咲くこともあるので。
どんな人も楽しめて暮らしやすくなるように。再現できるようなインテリア選び
− 家具とかは普段どういったところで探したりチェックしてますか?
ひでまるさん:家具を買うお店自体も決めているわけではなくて、希望のサイズを先に決めて探すことが多いことが多いです。
私の仕事柄、お客様やSNS、メディアでご紹介することもあるので再現性があるようなインテリアを選ぶようにしています。
例えば、無印良品のようにどこの街にでもあることや、手に入れやすいお店から選ぶことが多いです。こだわって一点ものを買うとかそういうことはあんまり選ばないようにしているのはそういう点から。
− お部屋づくりで意識していること、どういう風に部屋づくりをしているのでしょうか。
ひでまるさん:意識していることはいくつかあるのですが、色使いのバランスは意識しています。
変えることができない床や壁、天井の色をベースカラーとします。 そこにメインとなる色を3〜4割入れます。うちを例にするならば床のフローリングは木の色、壁はコンクリートのグレーです。これらの木目カラーと、グレーがベースになります。
次に植物の緑をメインとして3割、これではメリハリがないのでアクセントカラーにオレンジ、ブルーの色を入れて色のバランスを部屋全体で作っています。
愛嬌のある顔でお気に入りの中村人形さんの干支の人形
大阪のKOTA TOYODAさんの作品「ベンジャミン・バロック」の絵
ひでまるさん:植物と一緒に飾っているアートは、部屋にもっと色を増やしたくて絵を取り入れたいなと思ったときに出会いました。アクセントをつけつつみたいな感じにできたらと思ったので配色のヒントになっています。
− 差し色がポップな色合いなのはそういうことなんですね。
ひでまるさん:うちではオレンジレッドと、今はこのブルーの色を入れてるのでそれに共鳴するようなものを見つけたときに取り入れたいなってものを、インテリアショップで買うという感じです。
ひでまるさん:もうひとつが部屋の中に一つ照明なのか椅子なのかテーブルなのか、上質で形の美しいものを選んでいただくだけでも変化があると思います。
テーブルの上の照明とポータブルライトはルイスポールセンを使っていますが、他の照明はIKEAさんを使用しています。
ルイスポールセンの照明は1つだけですごい存在感があり、一気に高級感も出ます。部屋の中のインテリアを全て高級な物にしなくてもいいとは思っています。
部屋の中で一つ高級なアイテムを取り入れるだけでも部屋全体が上質な雰囲気に変わると思います。
ルイス・ポールセンのパンテラ 160 ポータブル
好きなものに囲まれて、住みやすいおうちを目指して
− これからこの部屋をアップデートするなら、どこを変えたいとか考えていることはありますか?
ひでまるさん:植物はまだまだ増やしたいなという気持ちは2人ともあって、ハンギングもまだできる場所がありますし。大きい鉢植えで床に直置きするものも何かいい出会いがあったら置きたいなとは考えています。
あとはダイニングスペースもテーブルを変えるなどしてちょっとイメージを変えたいなと。
ぶたじるさん:植物でもお花が咲くような種類を増やしていきたいなと思っています。
今も何種類か時々咲くことはありますが、お花自体が差し色になるようなかたちで、取り入れることができたらいいなと思っています。
− 最後にこれからのことを。
もしかしたら2人はもう理想の暮らしに近づいているのかもしれないですが、2人の中で理想の暮らし、「こういう暮らしをしていきたいな」みたいなことがあれば、お聞かせいただいてもいいですか。
ひでまるさん:この家はリノベーション済みのマンションだったので、自分でリノベーションしたいなというのはあります。なので住み替えも視野に入れています。
あとは近い将来、二拠点生活をしたいなと思っています。
日本と海外なのか、それとも日本国内で2ヶ所なのかはまだ決めてないんですが。いつか二拠点生活をしていろんな土地の空気感や文化を自分たちで取り入れながら、価値観が固まらないようにはしたい。
あとは少しリタイアを早めにして2人の時間があればいいなみたいな感じです。そんな暮らしができたらいいなと思います。
ぶたじるさん:私も今後住み替えが発生しても、このおうちで暮らして初めて2人の理想の部屋にできたかなというふうに思っています。
なので今後おうちが変わっても、好きなものに囲まれて住みやすいおうちというのを目指していけたらなと思っています。
収納アイデアをはじめ部屋づくりのステップなどを紹介している書籍は読みやすくさらさら読めます
− ひでまるさん、ぶたじるさん、ありがとうございました。
AFTER INTERVIEW編集後記
穏やかな雰囲気とたくさんの植物。もう、ずっとここに居たくなるくらい居心地の良いお家は、おふたりの工夫とアイデア、そして思い出も詰まっている。 物量はミニマムに、思い出は心にマキシマムに、いい塩梅のバランスも心地よさの理由なのかもしれない。インテリアとグリーン。お互いが好きなものを一緒に楽しんでいる様子も伝わってきました。どうしてそれは必要なのか、部屋のどこに置くのかと。物をひとつ増やすにしてもその都度考えることは物も情報も溢れる社会の中で自分を大切にすることにつながっていくのでは。