メゾネットタイプの賃貸マンションで暮らすmoeさん。玄関の扉を開けると、そこには園芸店を思わせるほど多彩な植物がずらり。吊るされたランや壁に掛けられたグリーンが迎えてくれる空間で、植物との暮らしについてお話を伺いました。
引越しから芽吹いた、植物との暮らし
− こちらの家で植物と暮らし始めたのはいつからですか。
moeさん:2年くらい前からです。この家に引っ越してから植物を育てはじめました。
− ちなみにどれくらいの植物があるんでしょうか。
moeさん:そうですね、どれくらいあるのか数えたことがないのでちょっとわかりませんね…
− ここまであると数えるのも時間が必要になりますよね。見た感じではざっと100はありそうな。
植物に興味を持つようになったきっかけや、どういう風にここまで増えたのかが気になりました。

moeさん:この家に引っ越しをすることが決まってから、コンクリートの壁だけだと殺風景な感じがあったので植物を飾りたいなという考えはありました。最初はインテリアとして取り入れる感じだったので、吊るして飾りたいなと考えてアイビーを選びました。
当時は本当にどこで植物を買っていいのかもわからず、鉢とセットになっていたものをネットで購入して、窓辺にちょこちょこ置いているだけだったんです。
それが、新芽が出て成長する姿を見ることが楽しくなってきてしまって。植物にどんどんハマって、そこから徐々にいろんな種類の植物を集めたら今のようになっていました。
循環を感じられる、ランに魅せられて
− アイビーから始まって2年、今はいろんな種類が並んでいますね。特に好きな種類、品種はありますか。
moeさん:好きな種類はいっぱいあるんですけれど、特に好きなのはランです。何が魅力かと言いますと、根っこがたくましく生えてくる姿がまずかわいい。
そして壁にかけて育てられるのでスペースを取らないところ。すごくこまめにケアをしなくても花が咲くこと。そういう命の循環じゃないけれど、根が出て、蕾ができて、花が咲いて、また終わる。その流れも楽しめるのも魅力だと思います。
花が終わった後にご自身で仕立てたコチョウランは今も元気に育っている
− ランを育ててみようと思ったのは何かきっかけがあったのでしょうか。
moeさん:もともとは、勤めている会社がお祝いでいただいたコチョウランがきっかけなんです。花が終わったコチョウランを育てる人がいなかったので、ちょっと板付けをやってみようと譲っていただきました。その時はYouTubeとかを見て、仕立ててみました。
− お祝いのコチョウラン、まだまだ育てることはできるというところに気づいていたんですね。花が終わった後もしっかりとした葉は飾ると存在感がありますよね。
moeさん:種類で言うとパキラも好きです。パキラだけでも10鉢くらいあります。これは株分けをしたわけではなくて、挿し木で販売されていたものもあれば、実生のものもあって幹の曲がり具合とか樹形を見ていたら増えていました。
それぞれ個性があって葉っぱを育てるというよりか「幹をどう自分好みにしていくか」を楽しんでいます。価格も高価すぎないもので、面白い樹形があるとつい購入してしまって、個体違いで集めています。今は小さいパキラで曲げに挑戦しています。
パキラは樹形違いで数箇所に点在している
初めての冬越しに挑む、アロカシアたち
− 観葉植物の魅力のひとつに樹形の個性というのはありますよね。他にも気になっていたり、ハマっている植物はありますか。
moeさん:ここ最近ではアロカシアにハマっています。今育てているのはクワズイモを含めて5種類で、気になっている種類はまだまだあります。クワズイモを育てていて、生育旺盛でどんどん大きくなる様子にたくましさを感じて好きになりました。それから、他のアロカシアも育ててみたいという気持ちが出てきました。
葉っぱの形とか色も個性的で、でも高価すぎないところに惹かれていたのですが、「結構むずかしいよ」とか人に言われたことがあって、育てられるか自信がなかったのですが、今のところは元気に育っています。まだ冬越しをしたことがないので、この家の環境で大変かどうかが気になっています。
− 普段植物はどういったところで探し、購入していますか。
moeさん:私は園芸店に直接行くことが多いです。写真でも見ることもありますが、葉の艶感や色も、実際見るとかわいいとか、実物を見ないとわからないこともあります。実物を見て、心がときめくものを買っている感じです。
キッチン上にはヒメモンステラなどをハンギング
− よく行く園芸店はありますか。
moeさん:お店だと渋谷のgarageさん、街だと自由が丘。ほかにはホームセンターも行きます。大きいホームセンターは珍しい種類の植物を置いているところもあって楽しいです。
大切なのは日常での使いやすさ。手放せない園芸アイテム
− ランがお好きと言っていましたが、植物のイベントなどにも行っているのですか。
moeさん:行きます。特にラン展が好きで、ラン展で購入したものもあります。他にもイベントで買った植物は結構あります。
右奥には植物用LEDライトを使用して補光。ランやチランジアが並ぶ
− 植物の数がこれだけあると、管理は大変なのかなと。管理のルーティーンはどんな感じですか。
moeさん:夏の間は、板付けの植物は毎日水やりをしています。ビカクシダは洗面所に持っていって水やりをしています。
この家は日当たりが少なく、どちらかというと湿度が高い環境なので、鉢物に関しては1週間に1回くらいです。なのでそこまで大変ではないです。締まった株に育てるために水やりは厳しめにしていて、しっかりと土が乾いてから水やりをしています。乾燥具合が土の色でわかりやすい土を使っているので、それを目安に管理をするようにしています。
− 使用している土のように、普段使う園芸アイテムで「これ買ってよかった!」や「これは便利」というアイテムを知りたいです。
葉水はスプレータイプの霧吹きを使用
moeさん:おしゃれというより実用性重視になってしまうのですが、噴霧器です。
どんどんと植物の数が増えてきて板付けした植物の水やりがすごく大変で。スプレータイプの霧吹きでもいいのですが水苔をしっかりと湿らせるには威力が足りなくて、しっかりと水やりをする時には噴霧器で一気に水やりしています。葉水など簡単なケアにはスプレータイプの霧吹きと使い分けをしています。
読むこと、描くこと。植物とともにある趣味
− 1階と2階で置いている植物の種類を分けているのには、何か理由がありますか?
リビングには大きい植物と本が並ぶ
moeさん:2階のワークスペースにはランなどこまめなケアが必要な植物を、1階のフロアには手をかけなくても育つ種類を置いています。
1階で育てている植物は、引っ越してから初期に迎えたものたちです。パキラ、サンスベリア、モンステラなど、大きめの観葉植物が多いです。手をかけすぎず、のびのびと育ってくれればと考えていて、剪定した時は花瓶にいけて飾って楽しむこともあります。増やしたいという気持ちはあまりなくて、自由に育っていってほしいなと思っています。
− インテリアではどのようなところで選んでいますか。また、普段参考にしているものはありますか。
moeさん:Pinterestや雑誌を参考にしています。家具は特にブランドの家具というよりはIKEAやニトリなど身近なお店を使っています。色を黒で選ぶようにして統一させてます。
− 本やアートが多いですね。趣味ですか?
moeさん:美術館に行くことと、本が好きです。本はエッセイや植物の本が多いですね。アートは自分で描いたものです。絵を描くのが好きでお花の絵を描くことが多いです。
− 素敵な絵だなと思っていました。植物が好きなことが伝わります。本はエッセイや旅行など様々なジャンルがありますね。おすすめの本、好きな本を教えてください。
moeさん:図鑑みたいなものになっちゃうんですけど、サトイモ科の特集図鑑。これめちゃくちゃ良くて。いろんな種類が載っていて、見ているだけでもすごく楽しいですし、多分好きな人にはたまらないと思います。
これを見て「次はどの植物を育ててみようか」を考えることが、夜の楽しみになっています。専門書を読むことで、自分の育て方を見直したり、次に迎える植物の候補を考えたりするのが好きなんです。
− 育て方やインテリアではなく、図鑑なんですね。
moeさん:ネットで見ることもありますが、図鑑だと一覧でぱっと見れるのが良いですね。チランジアの本は自生地のことなども書かれていて、写真もとても綺麗。「花が咲いたらこんな感じなのか」とか、眺めているだけでも楽しいです。
もう一冊、個人的におすすめなのはランの本。いっぱい種類があって、なかなか覚えられないんですけど、種類ごとに育て方が書いてあるのでとても役立っています。
− ここまで深くハマったものは、植物以外でもありますか?
moeさん:写真を撮ることはずっと好きで続けています。植物との相性も良くて、撮影すること自体が楽しいです。好きなことがリンクしているなと感じています。
− 最後にこれから増やしたい植物やチャレンジしてみたいことをお聞かせください。
moeさんが作成した植木鉢
moeさん:植物はたくさんありすぎて…(笑)。
でも、アンスリウムを持っていなくて、アンスリウム・ワロクアナムなど湿度が必要な種類に挑戦してみたいなとは思っていて、今はちょっと眺めているところです。育てられるか不安もあるので、勇気がいりますね。
やりたいことでは、ラフな感じでカラフルな植木鉢をいつか作りたいなと思っています。植物だとアガベやアロエが気になっています。ただこの家ではアガベとアロエには日照不足が気になるので、引っ越すタイミングなどでいつかチャレンジしてみたいです。