植物とともに、必要なものだけで暮らす。心地よい余白のある部屋 DATE : 2025.11.25
LIFESTYLE

植物とともに、必要なものだけで暮らす。心地よい余白のある部屋

都内で海が見える部屋で暮らす三納さん。物を手放し、自分にとって本当に心地よい暮らしを追求する中で、植物やインテリアとの向き合い方などお話を伺いました。

名前:三納 明子さん

職業:会社員

Instagram:https://www.instagram.com/soyolife___minimal/

引っ越しはスーツケースで。ミニマルライフのはじまり

− まず、今のお住まいを選んだ理由を教えてください。

三納さん:海が好きなので、海が見える場所で家を探しました。窓が大きいので雨の日、くもりの日、晴れの日と、その日の天気によって海の表情が大きく変わるので、天気の変化も楽しんでいます。

− とてもすっきりとしていてミニマルなインテリアですが、元々物が少なかったのですか。

三納さん:引っ越しが決まってから、まずスーツケース2つだけを持って先に移り住みました。それだけで1ヶ月ほど暮らせてしまって。その後、前の家から荷物をすべて運び入れたときに「部屋が狭くなったな」と感じたんです。もともとかなり物を減らして引っ越したつもりだったのですが、それでも収まりきらず、そこからさらに物を厳選する方向になりました。

リビングの中央にはカール・ハンセン&サンの名作Cuba Chair

それからコロナ渦を経て、家で過ごす時間が増えたのも大きな転機でした。リモートワークが中心になってからは、「ごちゃごちゃして管理が面倒くさいな」と感じるようになり、物を減らすことを意識するようになりました。「家賃を払ってまで、いろいろな物を置いておきたいか」というコストバランスも考えるようになりました。

無機的な空間だからこそ、有機的なものを

− 植物を育て始めたのはいつくらいからですか。

三納さん:植物を育て始めたのは5年ほど前です。最初に迎えたのは「ベンジャミン・バロック」か「オリーブ」でした。ベンジャミンは買った当初、一度枯れかけてしまって、3本の幹だけが残りました。添え木が必要なほど弱っていたのですが、この家に引っ越してから環境が合ったのか、ぐんぐん元気になりました。今ではしっかりとした株に育っています。

窓辺ですくすくと成長しているベンジャミン・バロック

オリーブも同じく初期の頃から育てていて、一度枯らしかけたものの、数年かけてまた芽吹き、今は元気です。ベランダに大きめの木があることで、日々光の影が変わり、その表情も楽しんでいます。夜はソーラーライトを使って影を浮かび上がらせ、視覚的にも広がりを感じられるようにしています。

− 植物があることで、空間にはどんな変化が生まれましたか?

三納さん:植物と暮らしていて良かったのは、新芽が出たり花が咲いたりしたときの喜びです。フェイクグリーンでは味わえない「生きている」ならではの感動があります。

植物があることで空間の雰囲気も柔らかくなります。無機質な部屋になりがちな分、有機的なものを加えることで温かみが出るのが魅力だなと思います。

余白を生かす、ミニマルな空間づくり

− この部屋は実際よりも広く感じますね。

三納さん:よく言われます。背の高い家具をあまり置かないようにするなど、限られた広さを生かす工夫をしています。「本当にお金をかけてまで置いておきたい物か」を考えるようになり、必要ないものは減らしていく方向にしています。

自分の力で動かせないものは置かないようにしていて、ベッド以外の家具は小さめのものが多いです。ほどほどのバランスで、突き詰めすぎないようにしています。必要最低限の物で、自分が心地よく暮らせることを大切にしています。

− シンプルながらも温かみを感じます。意識していることはありますか?

三納さん:全体的に殺風景になりすぎないようにしつつ、好きなものを少しずつ取り入れています。増やしたり減らしたりしながら、試行錯誤しています。

− 床の素材もこの空間にマッチしていて素敵です。元からこの床だったのでしょうか。

三納さん:引っ越しの際、最初から「こういうテイストにしたい」と決めていたわけではなく、床だけは貼り替えたいと思っていました。なのでフロアタイルを購入して自分で敷いたんです。この部屋は窓が大きく、日当たりが良いので熱で浮いてしまうこともあります(笑)。
壁が白なので、床の色に合わせて家具を選ぶようにしています。

− 物との向き合い方は、暮らしの変化とともに変わっていきましたか。

三納さん:そうですね。持ってきた家具が間取りに合わなければ手放すなど、柔軟に対応しています。働き方によってライフスタイルも変わるので、その時々で見直し、いらないものは減らすようにしています。取捨選択のサイクルは早く、見直しを重ねた上でも使い続けているものが今の部屋にあります。

インテリア選びと好みの変化

− 家具やインテリアはどのように選んでいますか。

三納さん:今はだいぶ部屋が完成してきたので頻繁には行きませんが、家具を選ぶときは高価なものに関しては実物を見に行くようにしています。

− よく行くお店やエリアはありますか。

三納さん:特定のエリアは決めていませんが、外苑前周辺の「カール・ハンセン&サン」や「ACTUS」、「LIVING MOTIF」、「大塚家具」などを巡ることもあります。

− インテリアへの興味は以前からあったのですか。また、お気に入りの家具やアイテムはありますか。

三納さん:もともと家具やインテリアには興味がありました。昔はカントリー調の可愛いインテリアが好きだったこともあり、少し可愛いデザインの鏡などもあります。そうした名残が自然に馴染んでいるのが気に入っています。洋服と同じで、年齢とともに好みが変わっていった感覚です。今はさっぱりしたスタイルに変わってきました。

それでも気に入ったものは長く使い続けていて、カーテンは10年近く使っています。いい透け感があり、カーテン越しでも夜景が綺麗に見えるのでとても気に入っています。

− インテリアで参考にしているものはありますか。

三納さん:家具を居住空間に置いた時の参考にInstagramを見ることがあります。お店で家具そのものを見ることはできますが、実際の居住空間に置いた時のイメージはInstagramの方がわかりやすいと感じます。
ただ、今は部屋も整ってきたので、以前ほど参考にすることもなくなりました。最近は実際に置いてみて、試してみることが多いですね。

− 実店舗だけでなくネット通販も使いますか。その場合、買う時の基準をお聞かせください。

三納さん:はい。ネットで購入することもあります。家具でも定番のものならサイズ感もわかるので、楽天などで買うこともあります。小物は入れ替えやすいので、実物を見ずに購入することもあります。10万円以上の家具は実物を見て購入しています。

暮らしを軽やかに保つ工夫と、これから

−日々の暮らしの中で、工夫していることはありますか。

三納さん:植物の鉢など、重くて動かせないものにはキャスター付きの台を使っています。キャスターが見えないデザインなので、台っぽく見えて便利です。動かせることが何よりも快適です。

重たいものを載せるのにも使えるキャスター付きの台に石などをディスプレイ

− おしゃれな部屋づくりのコツを知りたいです。

三納さん:おしゃれなものを集めることより、「野暮ったいもの、生活感の出るものを置かない」ことを意識しています。リビングは生活感を抑えたいので、物を減らして色味を統一するようにしています。そうすることで全体がまとまりやすいと感じます。

インテリアに馴染む蚊取り線香ホルダー ライターを収納しているブック型ケース

夏に蚊取り線香を使っていたのですが、火をつけるライターは100均買ったで本型のケースに入れて隠しています。おしゃれなライターを買うほどでもないと思って。こうした「しれっと隠す」方向のほうが、空間がすっきりまとまると思います。なんでも高価なもので揃えるより、消耗品などは100均で買うなどしてメリハリをつけるようにしています。

あとは、防災の観点からも、高い場所には物を置かないようにしています。腰の高さより上にはできるだけ物を置かないようにし、落下リスクを減らしています。

− 最後に、これから部屋をどのようにアップデートしていきたいですか?

三納さん:これからは家具などはもう打ち止めにして、余白を楽しみながら、窓辺や壁にハンギングを少し増やしていきたいです。

AFTER INTERVIEW編集後記
取材中、三納さんが繰り返し口にされた「突き詰めすぎない」という言葉が印象的でした。窓の外の鳥や海、緑が彩りを添え、削ぎ落とすことで生まれた余白が、静かに心地よさを生む空間でした。
パーソナル植物診断

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