美しいお花からは想像がつきにくい、「嘘つき」の花言葉。ミステリアスな花言葉には、どんな意味や物語が秘められているのでしょうか。
今回は、「嘘つき」に関する花言葉や由来を解説します。
「嘘つき」のほかに、「騙す」の花言葉や「不信感」を表す花言葉など、さまざまな嘘に関する花言葉をご紹介します。嘘つきを改めて欲しい時に贈りたい花言葉もピックアップしていますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
また「嘘つき」のほかにも、ネガティブで怖い意味の花言葉がつけられた植物があります。「裏切り」や「復讐」のような花言葉を知りたい人は、怖い意味の花言葉一覧の記事もおすすめです。
「嘘つき」の花言葉
まずは「嘘つき」の花言葉を見ていきましょう。
- イヌホオズキ|「嘘」「嘘つき」
- キブシ|「嘘」「出会い」
- フォックスフェイス|「偽りの言葉」
イヌホオズキやキブシは、日本各地でよく見られる植物です。フォックスフェイスは個性的なフォルムで、ハロウィンやお正月の飾りにも使われています。
なぜ「嘘つき」に関する花言葉がついたのか、ひとつずつ由来を解説していきます。
イヌホオズキ|「嘘つき」「嘘」
イヌホオズキは、お花や葉がホオズキによく似ている植物です。しかし、有毒で危険なこと、ホオズキのような美しい果実をつけないことから、そのギャップを表して「嘘つき」「嘘」の花言葉がつけられました。
イヌホオズキの名前は、「ホオズキに似ているのに使い道がない」の意味が込められています。かつて「イヌ」の名称は、役に立たない植物につけられることがしばしばありました。
イヌホオズキにはイヌホオズキの魅力があるにも関わらず、「嘘つき」や「役に立たない」とは少し気の毒な気もしますね。
なお、真逆の意味である「真実」の花言葉もついています。白いお花から黒い果実ができる二面性を表現した花言葉だそうです。
日本では雑草として各地で見かける植物です。イヌホオズキに含まれるソラニンは大量に誤飲すると命の危険もあるため、小さい子どもやペットがくちにしないように気をつけましょう。
キブシ|「嘘」「出会い」
キブシは、ブドウのように連なったお花をつけるのが特徴です。
「嘘」の花言葉は、お花がおいしそうな果実に見えることが由来です。近づいてみると果実ではなくお花で、騙されたような気持ちになるといった意味が込められています。
また、お花が密集して咲く姿が何かを隠しているように見えたためついた説もあるようです。
かつては、お歯黒に使う五倍子(フシ)の代用品にされました。木から採れる五倍子(フシ)の意味で、木五倍子(キフシ)の名前がついたと言われています。
3月頃、黄色いブドウのようなお花をたくさんつける姿は見応えがあります。春の訪れを知らせてくれる、日本固有の美しい植物のひとつです。
ぜひ早春の山で、美しいキブシの花を探してみてください。
フォックスフェイス|「偽りの言葉」
フォックスフェイスとは、キツネの顔のような形の黄色い果実をつける植物です。
「偽りの言葉」は、キツネが人を化かすイメージからつけられました。また、「本物のキツネではないので人を化かしません」の意味から、「私はあなたを欺きません」の花言葉もついています。
嘘つきにまつわる花言葉がある一方で、鮮やかな黄色が幸運を呼ぶ植物とも言われています。キツネは神様の使いであるため、縁起がいいとも捉えられるようです。
中国では黄金果、長寿果と呼ばれ、お正月飾りとして使われます。日本でも切り花が流通しており、ハロウィーンやお正月に飾られることが増えてきました。1~2本花瓶に生ければ、個性的なインテリアになってくれるでしょう。
ブラジル原産のため寒さにはやや弱いですが、日本でも鉢植えや庭植えで育てることができます。
「騙す」に関する花言葉
次は、「騙す」に関する花言葉を3つご紹介します。
- アニス|「人を騙す」
- モウセンゴケ|「詐欺」
- ヒマワリ|「偽りの富」
嘘つきはよくないとされますが、嘘の全てが必ず悪事に繋がるわけではありません。中には良い嘘や仕方のない嘘もあります。
しかし、上記の3つは、悪意を持って嘘をつく意図が含まれていそうな花言葉にも思えます。一体どのような意味が込められているのでしょうか。
では、ひとつずつ見ていきましょう。
アニス|「人を騙す」
「人を騙す」は、アニスの見た目と香りのギャップを表した花言葉です。繊細で可憐なお花に、独特な香りの果実ができる意外性からつけられたと言われています。
アニスの果実はアニスシードと呼ばれ、スパイシーな香りと甘さを持つことで知られます。焼き菓子やスープの香りづけやリキュールの原料として使われるスパイスの一種です。
昔から重宝されていた植物であり、新約聖書時代には租税としてアニスを納めていたと言われます。消化の促進や疲労回復効果があることから、「活力」の花言葉もついています。
かわいらしいお花に「嘘つき」を表すような花言葉は似合わないように思えますが、香りを嗅いでみると納得できるかもしれません。アニスはスパイスとして手軽に購入できるほか、タネから育てることもできます。
ぜひアニスのお花と香りのギャップを確かめてみてください。
モウセンゴケ|「詐欺」
食虫植物の一種、モウセンゴケ。
モウセンゴケは葉に長い毛が生えており、その先から甘い香りの粘液を出して虫を捕まえます。くっついて逃げられなくなった虫を溶かし、栄養を吸収して育つ植物です。
「詐欺」は、モウセンゴケの捕食の様子を表してつけられました。ほかにも「不誠実」「無神経」の花言葉がつけられています。
モウセンゴケの粘液がキラキラと光る姿は美しく、幻想的です。見た目の美しさと実態とのギャップを、巧みに人を騙す不誠実な嘘つきと捉えたのでしょう。
一方で、「あなたに捧げる恋の歌」「セレナーデ」の花言葉もついています。甘い粘液を出して虫を待つ姿をロマンティックに表現した花言葉と言われています。
モウセンゴケは日本にも自生しており、葉や茎の形状も品種によってさまざま。神秘的な姿と豊富なバリエーションで、人気の高い食虫植物のひとつです。
ヒマワリ|「偽りの富」
ヒマワリの「偽りの富」は、インカ帝国のエピソードが由来の花言葉です。
インカ帝国は13世紀頃、南アメリカに栄えた帝国です。インカは太陽神を崇拝しており、ヒマワリは太陽の花として装飾に使われていました。しかし16世紀にスペインに侵略されると、ヒマワリをかたどった宝飾品や貴金属が略奪されてしまいます。
自分たちの華やかな文化を奪われたインカの人々の気持ちを表現して、「偽りの富」「にせ金持ち」などの花言葉がつけられたそうです。
ヒマワリは見る人を明るい気持ちにさせてくれるお花ですが、切なく悲しい物語も秘められているようです。
なお、ヒマワリには「あなたは素晴らしい」「あなただけを見つめる」「あこがれ」などの花言葉もついています。ポジティブな花言葉も太陽に由来するもので、太陽を見つめて咲くヒマワリの姿を表現してつけられました。
「不信感」を表す花言葉
次は、「不信感」を表す花言葉をご紹介します。
- アンチューサ|「あなたが信じられない」
- ホオズキ|「偽り」「半信半疑」
- ラベンダー|「不信」
「嘘つき」を、信用できずに疑う気持ちとして表現している花言葉を集めました。
アンチューサやラベンダーはガーデニングに人気のお花で、かわいらしい印象があります。ホオズキは日本では昔から馴染みのある植物で、ぷっくりした橙色の実を見たことがある人も多いでしょう。
どんな意味や由来が秘められているのか、詳しく見ていきましょう。
アンチューサ|「あなたが信じられない」
ワスレナグサに似た青色のお花を咲かせるアンチューサ。「あなたが信じられない」は、名前の語源からつけられた花言葉と言われています。
アンチューサの名前は、ギリシャ語の「egchousizein(ルージュを塗る)」が語源です。
アンチューサや近縁種のアルカネットは根から赤系の染料が採れ、古代では口紅の材料に使われていました。外見を変える化粧から連想して、「あなたが信じられない」の花言葉がついたそうです。
古代の口紅は、装飾の目的だけでなく魔除けなど呪術的な意味も込められていたとされています。中世には魔女と結びつけられ、口紅は男を誘惑する象徴とみなされたこともあったようです。
やがて、アンチューサの根には有毒成分が含まれることが分かり、現在は使われなくなりました。
アンチューサの「あなたが信じられない」には、嘘つきへの不信な気持ちだけでなく、人と口紅との深い歴史が秘められているのかもしれません。
ホオズキ|「偽り」「半信半疑」
ホオズキは、ぷっくりと膨らんだ果実がかわいい植物です。
オレンジ色の部分は花を支えるガクが変化したもので、袋状になったガクが実際の果実を包み込んでいます。袋を開けてみるとほとんどが空洞で、中に小さい果実がついています。
ホオズキが自分を大きく偽っているように思えるため、「偽り」の花言葉がつけられました。
また、ホオズキの根には子宮収縮作用があり、江戸時代には堕胎剤として使われていた生薬でもあります。中には浮気を隠蔽したり、流産させたりする目的に使う人もいたため、「半信半疑」や「浮気」の花言葉がつけられたそうです。
ホオズキは、日本の原風景のひとつ。灯火にも見えることから、お盆にはご先祖様が迷わないための目印として飾られます。
かわいい見た目と温かな色合いから、「自然美」「心の平安」の花言葉もついています。古くから日本人にとって身近だったホオズキには、さまざまな物語が込められているのですね。
ラベンダー|「不信」
ラベンダーの「不信」や「疑惑」の花言葉は、繊細な姿からは想像もできないほどの強い香りを放つことからつけられました。
ラベンダーはハーブの女王とも呼ばれ、リラックス効果のある香りで知られています。葉もお花も小さいですが、豊かで優雅な香りを放ちます。昔の人は、「不信」「疑惑」まで募らせるほどの衝撃を感じたのでしょうか。
ラベンダーの香りは、葉や茎、お花から楽しめます。特に、鎮静作用のあるリナロールや安眠効果のある酢酸リナリルはお花に多く含まれるそうです。
そのため、ラベンダーは開花時期に一番強く香ると言われています。
ラベンダーは乾燥しても香りが残ることから、ドライフラワーやポプリにも人気です。AND PLANTSでは、ラベンダーのドライフラワーを取り扱っています。
「不信」な気持ちになるほどの香りかどうか、気になる方はぜひ手にとってみてくださいね。
[https://andplants.jp/products/dryflower_material-lavender]「嘘の愛」に関する花言葉
次は「嘘の愛」に関する花言葉を3つご紹介します。
- ニセアカシア|「偽りの愛」
- オキナグサ|「裏切りの恋」
- 白のゼラニウム|「私はあなたの愛を信じない」
3種類とも美しいお花を咲かせる植物ですが、なぜ「嘘」や「愛」の花言葉がつけられたのでしょうか。
詳しい由来や背景を解説していきます。
ニセアカシア|「偽りの愛」
ニセアカシアは鋭いトゲと有毒成分を持つため、お花の美しさとのギャップから「偽りの愛」の花言葉がつきました。
また、ニセアカシアの名前に「ニセ」がつくことから連想してつけられた説もあります。
ニセアカシアはアカシアとは同じマメ科ですが、異なる植物です。日本ではアカシアよりに広く知られたことから、アカシアと混同されてきました。
ニセアカシアは強健な性質から街路樹や公園に植えられ、世界各地で広く親しまれている樹木です。日本では、札幌市や多摩川沿いの並木も有名ですね。
欧米では美しい白いお花から連想して、「真実の愛」の花言葉もつけられています。
「偽りの愛」と「真実の愛」の真逆の花言葉がついているニセアカシア。どちらのイメージが合っているか、見る機会があればぜひ確かめてみてください。
オキナグサ|「裏切りの恋」
オキナグサは、下向きに咲いた暗い赤紫色のお花が趣のある植物です。
「裏切りの恋」の花言葉は、うつむいた姿から寂しさや孤独を連想してつけられたと言われています。「裏切りの恋」のほかにも、「背信の恋」「告げられぬ愛」「何も求めない」など、どこか哀愁を感じさせる花言葉が並んでいます。
また、オキナグサが花後に思いもよらない姿に変化するためといった説もあるようです。
オキナグサは花びらが散った後、長い白い綿毛に覆われたタネができます。その姿が白いひげをたくわえた老人に見えることから、おじいさんを意味する翁(おきな)の名前がつけられました。
もし恋をした美しい女性が突然おじいさんに変わってしまったら、「嘘つき」と感じてしまうかもしれませんね。
白のゼラニウム|「私はあなたの愛を信じない」
ゼラニウムは独特の香りを持ち、薬や香料として多様に利用されてきたハーブの一種です。
ヨーロッパではゼラニウムの強い香りに魔除けの効果があるとされ、玄関や窓際によく植えられました。特に白のゼラニウムは、ヘビを寄せ付けないと信じられていたそうです。
ヘビ除けの効果と白色の持つ「潔白」のイメージから連想して、「私はあなたの愛を信じない」の花言葉がついたようです。
なお、ゼラニウム全般の花言葉は「真の友情」「信頼」「尊敬」「幸福」「育ちの良さ」です。
ゼラニウムは、ヨーロッパの人々にとって生活に身近なお花のひとつ。窓際にゼラニウムが植えられたヨーロッパの街並みを見たことがある人も多いのではないでしょうか。親しみのあるお花だからこそ、さまざまな意味が込められたのかもしれません。
関連記事:ゼラニウムの花言葉|色別の花言葉や誕生花、名前の由来
「嘘をつかないで」の意味を含む花言葉
最後は、嘘つきを戒めたり、諭したりするような花言葉を3つご紹介します。
- スカシユリ|「あなたは私を騙すことができない」
- 赤のチューリップ|「私を信じて」
- ベンケイソウ|「信じて従う」
嘘をつく行為を改めてほしい時、美しいお花に意味を込めて贈ってみてはいかがでしょうか。
では、由来を順番に見ていきましょう。
スカシユリ|「あなたは私を騙すことができない」
スカシユリは花びらの根元がくびれている点が特徴のお花です。花びらの隙間から向こう側が見えるため、「スカシ(透かし)ユリ」の名前がついています。
隙間から透けて見える様子から「相手を見透かす姿」を連想して、「あなたは私を騙すことができない」の花言葉がつけられたと言われています。
スカシユリの凛としたお花と上品な佇まいのイメージにもぴったりな花言葉ですね。嘘つきな人にとっては、ドキッとするお花かもしれません。
スカシユリは、ほかにも「飾らぬ美」「神秘的な美」の花言葉がついています。
スカシユリは日本が原産で、黄色やオレンジ、深い赤色などさまざまな品種があります。ユリの中では香りが少ないことから、プレゼントにも人気のお花です。
関連記事:ユリの花言葉|色別や種類別、怖い意味の由来について
赤のチューリップ|「私を信じて」
「私を信じて」の花言葉は、赤いチューリップの情熱的な色合いからつけられました。
チューリップの艶やかな赤色は、明るく前向きな気持ちにさせてくれます。強さやエネルギッシュな印象を受けることから、「私を信じて」といった強い意志を込めた花言葉がつけられたのでしょう。
嘘つきな人の中には、自信のなさや受け入れてもらえない不安が原因になっている人もいるかもしれません。赤のチューリップで「安心して、私を信じて」とメッセージを贈ることで、行動を改めるきっかけになってくれるといいですね。
また、チューリップ全般には「思いやり」、黄色のチューリップには「正直」の花言葉もついています。春らしい季節感と温かい花言葉が、見る人を優しく穏やかな気持ちにさせてくれるでしょう。
関連記事:チューリップの花言葉|色別の花言葉や誕生花、名前の由来
ベンケイソウ|「信じて従う」
「信じて従う」は、名前の由来になった武蔵坊弁慶のイメージからつけられた花言葉です。
ベンケイソウは非常に生命力が強いことから、「弁慶のように強い草」の意味で名付けられたそうです。
弁慶は平安時代末期、源義経に仕えたことで知られています。2人の絆はさまざまなエピソードに残され、その中のひとつ「勧進帳」は歌舞伎で人気の演目です。
弁慶が義経を慕い、信じて従っていたことから「信じて従う」「やさしい心」の花言葉がついたと言われています。また、弁慶の頭の良さを表現して「機転がきく」の花言葉もあります。
ベンケイソウは切り花から挿し木をして増やせるほど繁殖力が強い植物です。育ててみると、生命力の強さに驚かされるかもしれません。
嘘つきな人に自分の行いを見つめ直してほしい時、贈ってみてはいかがでしょうか。
まとめ
「嘘つき」に関する花言葉を持つ植物には、さまざまな物語が秘められていました。「嘘」の花言葉が似合うミステリアスな印象のお花もあれば、毒性が由来のものも多いようですね。
怖い意味の花言葉は、危険性を注意喚起する役割もあるのかもしれません。
今回は、お花屋さんや園芸店で購入できるお花や、街路樹や庭木など身近で観察できる植物を中心にご紹介しました。
「嘘つき」の花言葉が似合うかどうか、ぜひ実際に植物を見て感じてみてください。
関連記事:花言葉の一覧|ジャンル別・50音順