普段なんとなく観葉植物に霧吹きをしている方は多いと思います。毎日霧吹きする方もいれば、暑いときや乾燥時にだけ霧吹きする方など、目的も曖昧なままでただ吹きかけている方もいるかもしれません。
実は霧吹きには、観葉植物の生長や生育の助けとなるような目的と効果があります。ただ、決して水やりのように必要不可欠な作業ではないので、時間がないときに無理に取り組む必要もありません。しかし、元気な観葉植物を長く育てるなら、霧吹きのタイミングや上手なやり方を知っておきましょう。
今回は観葉植物の霧吹きの目的や目安となる頻度・タイミングなどを解説します。さらには観葉植物におすすめの霧吹き器やミストスプレーも詳しく紹介します。
[https://andplants.jp/products/gwrs-spray-green]観葉植物の霧吹き|目的と効果
観葉植物の霧吹きは、生長の促進や生育阻害の防止などの目的があります。何もしない状態よりも、霧吹きをした方が生長の助けにつながり、植物が元気に育ちやすくなります。
また、主に以下の4つの効果を期待できます。
- 水やりの代わりになる
- 観葉植物の乾燥を防ぐ
- 防虫になる
- 葉の汚れを落とす
①水やりの代わりになる
植物は根から土の中の水分を吸い上げるだけでなく、場合によっては葉の気孔から水分を体内に入れることがあります。
そのため観葉植物に霧吹きすることで、ごくわずかながら葉に付いた水分を吸収し、体内に補給をするようです。
根から吸い上げる力がなく弱っているときに、葉の霧吹きが役立ちます。
②観葉植物の乾燥を防ぐ
植物の体内には、根から吸い上げた水分がたくさん含まれています。体内の水分が多いと、植物は大気中へ水蒸気を放出する「蒸散」を気孔で行います。
しかし気温が高くなると、外気温と植物体内の温度差によって気孔から水分が自然に蒸発してしまい、葉がしおれたり枯れたりする場合も。
暑さによって植物の体内にある水分が蒸発しないように霧吹きをすれば、観葉植物の乾燥を防ぎます。うるおった状態が保てれば、水切れで枯れる心配もあまりありません。
③防虫になる
観葉植物に付きやすいハダニやカイガラムシなどの害虫は水に弱いです。普段から霧吹きをしていれば、害虫は観葉植物に近寄りにくく、繁殖活動も行えないので増えることもあまりありません。
また、乾燥した場所にハダニやアブラムシは発生しやすいので、あらかじめ霧吹きをして湿度を高めておくといいです。植物の葉だけでなく、その株の上や横にさっと水を吹きかけ、快適だと感じるような湿度を保つようにしましょう。
④葉の汚れを落とす
室内で育てる観葉植物には、チリやホコリが葉に積もりやすいです。掃除をせずに放置してしまうと光合成がしにくくなり、場合によっては生育障害が発生することもあります。
定期的に霧吹きをしていれば、葉に付いた水滴にチリやホコリが吸収され、そのまま下に垂れます。葉に直接付着せずたまることもあまりないので、常にきれいな状態が保てます。
ただし1〜2週間に1回程度は、霧吹きだけでなく一度タオルなどで葉の表面にたまってしまったチリやホコリを拭き取りましょう。
観葉植物の霧吹き|頻度と回数
植物の生長と生育の助けとなる霧吹きですが、どれぐらいおこなうのが最適なのかわかりにくいと思います。
ここでは、目安となる観葉植物の霧吹きの頻度と回数について以下の3つを解説します。
- 基本的には毎日
- 夏は普段よりも多めに
- 冬は最低でも1日1回以上
基本的には毎日
観葉植物の霧吹きは、毎日おこなうのがベスト。葉の乾燥・防虫・汚れの防止となり、美しい葉を長く観賞できます。
春や秋に、直射日光が当たらない場所で育てている場合は、1日1回くらい霧吹きするだけで十分です。
暑さを感じるような日には、2回に分けるなど調節しながら霧吹きをするといいですよ。
ただし、梅雨の時期など空気中の湿度が高い日は、霧吹きし過ぎるとカビやウイルスが繁殖する原因に。水分が乾きにくいときは霧吹きを控え、葉だけに水がかかるようにするといいです。
夏は普段よりも多めに
強い日差しが差し込み、気温が35℃以上になるような真夏の時期は、普段よりも多めに霧吹きしましょう。
1日1回の霧吹きだけでは、空気中の水分がすぐに蒸発してしまい、葉の先端などが茶色く変色して枯れやすいです。できるだけ2〜4回ほどを目安に霧吹きをして、暑さによる乾燥や枯れを防止します。
冬は最低でも1日1回以上
冬は寒さによって、空気中の水蒸気が凍るため乾燥しやすいです。植物も体内の温度と外気温に差が出ると水分が蒸発するため、早く乾燥して枯れやすくなります。
霧吹きは最低でも1日1回以上おこない、湿度が高くなるように吹きかける量も調節しましょう。
特に土を乾かした状態で長期間霧吹きをしないと、観葉植物は乾燥して水切れを起こしやすくなります。冬でもハダニなどの害虫が発生することもあるので注意してくださいね。
ただし、熱帯の植物は低温多湿の環境を嫌うため、霧吹きする際は、エアコンなどで気温を上げてから行ってください。
観葉植物の霧吹き|タイミングと時間帯
多くの観葉植物は極端な暑さや寒さに弱いです。そのため、霧吹きは最適なタイミングを選んでおこなう必要があります。
間違った時間帯に霧吹きをしてしまうと、観葉植物が弱ったり枯れたりする場合もあります。植物の助けとなるような霧吹きのタイミングと時間帯について以下の3つのポイントを知っておきましょう。
- 午前中のうちに済ませる
- 鉢が温まってしまったときにも霧吹きを
- 寒い日の夜は避ける
午前中のうちに済ませる
基本的に観葉植物の霧吹きは、太陽が昇り切る午前中までにします。気温が上昇すると、霧吹きをしてもすぐに水分が蒸発してしまい効果があまり期待できません。
また昼を過ぎて霧吹きをしてしまうと、葉に付いた水滴が虫眼鏡のような役割となり、葉焼けを起こすこともあります。
結果的に観葉植物にストレスを与えてしまうので、できるだけ9〜11時ぐらいを目安に霧吹きをしましょう。
鉢が温まってしまったときにも霧吹きを
夏の暑い時期は観葉植物の植木鉢が熱くなりやすく、高温多湿な状態によって根腐れを起こしやすいです。
午前中に1度霧吹きをしたあとは、太陽が沈むころの夕方にもう1度霧吹きをします。根が傷まないように、植木鉢の温度ができるだけ早く下がるように、多めに吹きかけましょう。
また夏にかかわらず、冬も植木鉢が熱くなりやすいので注意します。太陽の位置が低くなるため、室内に直射日光が差し込みやすくなり、植木鉢の温度も上昇しやすいです。
夜になっても暑さが続く場合は、3回目の霧吹きをして観葉植物とその周辺がうるおった状態をつくり、就寝するといいです。
寒い日の夜は避ける
氷点下を下回るような冬は、植木鉢の中が凍りやすく、根を傷めて株が枯れる場合もあります。特に寒さに弱い観葉植物は、冬の夜の霧吹きによってストレスを受けやすく、葉が傷むことも。
休眠期に入って生長が止まっている植物も多いため、冬の間は午前中に1度霧吹きするだけで大丈夫です。
ただし、暖房が常に効いた部屋などでは乾燥しやすく、植物も生長し続けている場合もあるので、様子を見ながら霧吹きをしましょう。
観葉植物の上手な霧吹きの仕方
霧吹きをする頻度やタイミングを把握できただけでは、まだ完璧とはいえません。実際に行なうとき、「効果的な霧吹き」ができているかが大切です。
ここでは、観葉植物の上手な霧吹きの仕方とコツについて、以下の3つを紹介します。
- 葉の裏面にもしっかりと
- 大きな水滴ができない程度の量で
- 水の代わりに液体肥料もOK
葉の裏面にもしっかりと
観葉植物の霧吹きは葉の表面だけでなく、裏面にもふんだんに吹きかけましょう。表面だけに吹きかけていても水分を吸収しにくく、効果をあまり期待できません。
表面に霧吹きするときは観葉植物から距離を離して、空気中にしゅっと数回ほど吹きかけるといいです。
また、植物は葉の裏面に気孔があると思われがちですが、種類によって違います。基本的に多くの植物は、葉の裏面に気孔の細胞がたくさんあり、表面にも多少の気孔があります。
例えばヒマワリなど表と裏の気孔の数が同じもの、あるいはスイレンのように表面だけにある植物もいるようです。
ちなみに、二酸化炭素は水の中に溶け込むため、オオカナダモなど水中に生息するような植物には気孔がありません。
興味本位で、育てる観葉植物の気孔がどこに多くあるのか調べてみるのもいいですね。
大きな水滴ができない程度の量で
葉に大きな水滴ができ、滴れるほどの量を吹きかけてしまうと、床がぬれて汚れてしまうこともあります。1度にたくさんの量を吹きかけず、霧吹きを数回に分けて行なうのもおすすめです。
また、水道水に含まれるミネラル成分によって葉や床が白く汚れることも。大きな水滴によって汚れが目立たないように、さっと吹きかけるぐらいが丁度いいです。
白い汚れを放置していると取れなくなってしまうので、目に付いたときはぬれたタオルですぐに拭き取りましょう。
水の代わりに液体肥料もOK
多くの観葉植物の生長期である4〜10月の間ごろは、水の代わりに液体肥料をときどき吹きかけて育てることができます。規定濃度のさらに倍くらいの濃度に薄めて散布します。根からのえ栄養取り込み能力が低下したときや、追肥の際に葉面散布する手段もあります。
ただし、本来は肥料成分は土の中に存在し根から吸収するものであり、葉面散布は一般的な方法ではありません。葉面散布はあくまでも必要な時のみに留め、基本は土に肥料を与えるようにしましょう。
霧吹きが必要な観葉植物の種類
多くの観葉植物は、熱帯雨林など湿度の高い地域に自生しているため、乾燥した場所は苦手とし高湿度な環境を好みます。葉のうるおいを保つ役割にもなる霧吹きは、観葉植物にとって大切な作業の1つになります。
特に葉が薄い植物やシダ植物、日陰への耐性が強い植物は、季節によっては霧吹きが必要になる場合も。できるだけ株が乾燥し過ぎないように管理しましょう。
サボテン・多肉植物には霧吹きは必要ない
観葉植物の中には、サボテンや多肉植物なども含まれることもあります。しかし、そういった植物は、ジャングルや熱帯雨林に生息しているものは少なく、砂漠のような乾燥した場所に生息しています。
そのため霧吹きは必要なく、少し乾燥気味で育てるのがポイント。霧吹きをしてしまうことで土が乾きにくくなり、根腐れの原因になる場合もあります。
できるだけ、観葉植物の自生地と同じような環境で育てることが大切です。
観葉植物におすすめの霧吹き器
ここでは、観葉植物におすすめの霧吹き器を3つ紹介します。手に持ちやすいものや、床に水が飛び散りにくいもの、さらにはおしゃれでインテリアにもなるものなどたくさんあります。
毎日使う道具でもあるので、自分が使いやすい霧吹き器を見つけてみてくださいね。
- マイクロミスト
- ロングノズルスプレー
- ガラス製蓄圧式スプレー
マイクロミスト|細かい水滴が広範囲に広がる
手持ちの部分が太くて握りやすい形状をしたマイクロミストは、1回の噴射で細い水の粒子が広範囲に広がります。霧がふわりかかるように出るので、観葉植物全体にさっと吹きかけられます。
何回も噴射していると指が疲れることもある霧吹きですが、マイクロミストなら吹きかける回数を減らせるため、疲れにくくて長時間持ちやすいです。
観葉植物をたくさん管理している方には、重宝される霧吹き器でおすすめです。
ロングノズルスプレー|葉の裏面や奥まったところに便利
噴射口に長いノズルが付いたロングノズルスプレー。葉がたくさん重なり合って奥まった株の内側などに吹きかけやすく、手で葉をかき分ける手間があまりかかりません。
手が届きにくいようなハンギングで吊るしている植物や、天井近くの植物にも霧吹きしやすく、丁寧に1つ1つ作業ができます。
商品によっては、ノズルの先端部を回すと噴射の角度を調節できるものもあるので、観葉植物の大きさにあわせて霧吹きができますよ。
ガラス製蓄圧式スプレー|インテリアになじむおしゃれさ
「霧吹き」という作業をただおこなうだけでなく、使わないときでもインテリアとして飾りたい方は、ガラス製蓄圧式スプレーがおすすめ。
青や赤などカラフルな色があり、アンティーク感のあるデザインがおしゃれなので、屋外・室内の置物にもなります。
また、連続噴射が可能で、1度にたくさんの植物に霧吹きができます。見た目だけでなく、性能も高い便利な霧吹き器です。
まとめ
シンプルで単純な作業に見える観葉植物の霧吹き。実は植物の生長の促進と生育阻害の防止が目的であり、生長の助けとなる効果が期待できます。
しかし、ただ吹きかけているだけではその効果を得にくく、逆に植物を弱らせてしまうこともあります。まずは頻度や回数・タイミングや時間帯を把握して、霧吹きをするように心がけましょう。
観葉植物を丁寧に管理すれば、きっと健全な株に育ち長い間いつまでも観賞ができますよ。