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家の役割が変わりゆく時代。旅行系メディアTABIPPO代表 清水直哉さんが、今家の中にこだわる理由。 DATE : 2022.02.09
LIFESTYLE

家の役割が変わりゆく時代。旅行系メディアTABIPPO代表 清水直哉さんが、今家の中にこだわる理由。

「旅で世界を、もっと素敵に。」をビジョンに掲げる株式会社TABIPPOを経営する清水直哉さん。

TABIPPOを創業してから一貫して「旅することの素晴らしさ」を伝えてきた清水さんにとって、”家”はどのような存在なのか。中目黒にある彼のご自宅にてお聞きしました。

清水直哉さん

1988年群馬生まれ。株式会社TABIPPOの代表取締役。

26歳で起業してから、旅の力で世界を豊かにすることに尽力。

趣味は、サッカーと漫画、そしてお酒。カレーとトマト、ビールとコーヒーが大好き。

白を置かない。こだわりのものと植物に溢れた部屋。

− 非常におしゃれで快適な清水さんのお家ですが、何か家の中をこだわるようになったきっかけはありますか?

 

清水さん:大きかったのはコロナですね。コロナの影響で引っ越したときに、知人の勧めもあって植物をたくさん買うようになりました。家にいる時間も長くなったんで、そこからやはり快適な家にしたいと思うようになりました。

あとはコロナで飲食店がやってないことから料理もたくさんするようになって。そのような経緯から、他のインテリアとかキッチングッズとかにお金をかけるようになりましたね。

 

− 最近引っ越したとのことですが、今の家はどのようなところに気に入ってますか?

 

清水さん:一番はキッチン。今まではコンロが縦に2口しかついていなかったんですけど、3口あるのは料理をするようになった今ではすごく良いですね。

あとはキッチンとリビングが近くにあるのもいいです。前の家は廊下にキッチンがある感じだったんですけど、こういう風にキッチンとリビングが隣り合ってると友達みんなで家で飲んだりもしやすいですね。

キッチンの説明をする清水さん

− お部屋は見た感じウッド調のような雰囲気がありますが、なにかインテリア全体で意識していることはありますか?

 

清水さん:植物を多く置きたいと思っているんで、緑に合うウッド調っていうのは意識してます。あとは白いものを置かないこと。できるだけ黒のアイアンで統一しています。

ウッド調かつインダストリアルな雰囲気が昔からすごく好きでした。本当はコンクリート打ちっぱなしの壁が一番好きなんですけど、都内だとなかなか難しかったりするんで、今はウッド調とアイアンっていうのを意識してます。

ウッド調でまとめられた部屋

清水さん:この机なんかはすごいお気に入りです。広島の会社から取り寄せたもので、古材を使って受注生産で作っている一点物の机なんです。

これは、古材でこんな感じの色の机が欲しいと思って検索しているときに偶然見つけて。結構高かったんですけど、受注生産でひとつひとつ大切に作ってて、そういうコンセプトがいいと思って買いました。

古材とアイアンでつくられた机。足が取り外せることがお気に入り。

清水さん:この椅子は目黒の家具屋通りで買いました。おっちゃんが自分で古材にアイアン付けて作った一点物。これもすごくお気に入りですね。三人がけできるから友達もたくさん呼べるし。棚として、植物を置いて使ったりもしますね。

古材とアイアンでつくられた一点物の椅子

清水さん:あとはこのティッシュケースとか、ゴミ箱とか、一輪差しとかは、すぐそこの中目黒の雑貨屋さんで買いました。多分自分たちで作ってるようなお店で。結構そこの商品は多いですね。

中目黒の雑貨屋で買った商品達

古材で一点物のキャビネットとハンガーラック

アイアンの照明器具

− やっぱり、自分たちの手で作ってるってことは大事なんですか?

 

清水さん:そうですね。いわゆるありふれたものを消費するんじゃなくて、職人さんや作り手の方が想いをもってつくっているモノを、多少お金をかけてでも買いたいとは思っています。だから、家の中には知人たちがつくっている商品もたくさんあります。

応援するという意味も込めて、知り合いが作った商品も多く買っている(左:OFF COLAのコーラ 右:MYTONEのバスタオル)

応援するという意味も込めて、知り合いが作った商品も多く買っている(上:OFF COLAのコーラ 下:MYTONEのバスタオル)

一級建築士の両親が大好きだった椅子。昔、両親がプレゼントしてくれた。

 − この部屋で仕事もしているんですよね?お仕事はどのような形でしているんですか?

 

清水さん:恵比寿にあるオフィスには週に3,4日行ってます。比較的オフィスが近いんで、午前中を家で仕事をして、午後はオフィスに行って、夜家に戻ってまた仕事する、みたいなことは多いですね。ずっと家にいるのも疲れちゃうんで、そこはフレキシブルに働いています。

 

− なるほど。では家は公私のすべてが詰まっているって感じですか?

 

清水さん:そうですね。前は仕事をずっとしてたんで家は寝に帰るだけって感じだったんですけど、植物を置いたりして家を居心地の良い空間にするとゆっくりする時間も増えて、公私のバランスは取れてきましたね。

リラックスするときに座ることが多いソファ。テレビのある生活は10数年ぶりだそう。

− やはり植物を置くことで部屋は心地よくなりました?

 

清水さん:そうですね。良い空間になって、部屋の中ですごいリラックスできます。家で仕事することも多いから、家にいるだけで心地が良いし、仕事にも集中できます。

ドラセナ・デレメンシス・コンパクタ

清水さん:あと植物でいうと、手入れの時間も良いですね。3,4日に一回水やりをするとか、毎日いったん起きて霧吹きをするとか、そういう行為が尊いです。植物と向き合って、育ててる感がやっぱりいいですね。新芽が出てきたりしたらテンション上がりますし。

注意深く植物を観察して葉水をする清水さん。

効率を求めすぎない。こだわりの詰まった心地の良い生活。

− お仕事もお忙しいとは思うんですけど、生活する中で好きな時間はどんな時ですか?

 

清水さん:普通ですけど、仕事終わりに部屋でゆっくりお酒飲む時間は好きです。

アイアンのラックには多くの種類のお酒が揃っている。友達を招いてお酒を飲むことも多い。

清水さん:あとは、植物に霧吹きをやる時間も凄い好きですね。あの霧吹きがすごく良いんですよ。いろんなお店で販売している、レトロな霧吹きなんですけど。

お気に入りの霧吹き

清水さん:機能性の悪さが逆にめっちゃ良いんです!

ちゃんと細かくは出てくれるんですけど、量が全然出ないし、やりすぎると疲れるんですよ(笑)。普段の人生でしない指の動きなので。

でもこの機能性の悪さが良いですね。これを使ってる瞬間はすごい好きです。

霧吹きの機能性の悪さを語る清水さん

− 面白いですね。時間はかかるけど丁寧な感じですかね?

 

清水さん:そうですね。今の世の中って全部効率的で急いでってなってるけど、そうじゃなくてゆっくりと何かをやることって凄い良いと思います。

逆張りの面倒臭さが気に入っています。コーヒーを自分で挽いて入れることとかも同じなんだと思います。

葉っぱに水が滴る感じとかすごい可愛いですよね。

フィカス・ベンガレンシス

− 料理もよくするということですが、どのぐらいしていますか?

 

清水さん:毎日とは言わないですけど、週の半分ぐらいはしてますね。大学生のときはお金がないので基本的に自炊していたんですけど、社会人になってからは10年ぐらいほとんどしてなくて。ただコロナで外に出れなくなったことをきっかけにやり始めました。

そこからもともと好きだったこともあってドハマリしちゃいました。

 

− スパイスとかすごい量ですね(笑)

 

清水さん:カレーがめっちゃ好きだったこともあって、スパイスからカレーを作っています。カレー用のスパイスは2,30種類はありますね。

たくさんのスパイスや豆板醤

清水さん:スパイスの次は何をやろうかなってことで、最近は中華です。麻婆豆腐とかエビチリとか。豆板醤もたくさんありますし、ラー油を自分で作ったりしてます。

 

− すごいですね。料理をするようになってよかったことってありますか?

 

清水さん:コロナの影響外で飲めなくなったときに、友達をたくさん呼んで家で飲み会が開けるようになったのは凄い良かったですね。

 

− 家にいい空間があるとなおさら人を呼びやすいですよね。

 

清水さん:そうですね。家が充実してていろんな人を呼べるのは、豊かな生活だなと思いますね。

その時に植物をまだ持ってない人とかはけっこう植物がある部屋を気に入ってくれて、「めっちゃいいね!」って良く言ってくれるのは嬉しいです。それで育てるのが楽な植物をおすすめすると買ってくれたりして。そんな風に好きなものの輪が広がっていくのもまた良いですね。

フライパンや食器も数多く揃っている

− ちなみに、家事とかはどうしているんですか?家事代行サービスを使ったりしてますか?

 

清水さん:家事代行サービスは2ヶ月に一回くらい使ってます。綺麗好きではあるんですけど、水回りの掃除は昔から結構嫌いで。

なのでそこは家事代行サービスを使って水回りだけ凄い綺麗にしてもらうっていうのをやってますね。掃除大好きなおばちゃんが来てくれるのでめちゃめちゃおしゃべりしながら(笑)。

料理もそうですけど、何でも自分でやらなきゃって考える必要はないと思ってます。別に毎日自炊する必要ないですし、ちょっと苦手なこととかできないことにそういうのを使うのはすごく良いと思います。今は便利なサービスがいっぱいありますからね。

 

− 丁寧すぎない暮らしって感じですかね?

 

清水さん:そうですね、バランスですよね。全部やろうとしても疲れてやれなくなっちゃいますし。人生のバランスをとりながらうまくセルフコントロールすることが、一番大事だと思います。

コロナ禍で改めて感じる、旅の価値と家の価値。

− 清水さんは旅行関係の仕事をしていますが、コロナを経て状況は大きく変わったと思います。そのあたりで今考えていることをお聞きしたいです。

 

清水さん:ご存知の通り、観光・旅行業界は壊滅的ダメージで大変な状況です。世界中から、旅行者の99%がいなくなるなんてことがまさか起こるとはって感じでした。また、観光業界が間接的に関わっている人もたくさんいます。飲食店ももちろんそうですし。観光・旅行業界以上に大変な人もたくさんいます。

左:弊社 髙木  右:清水

清水さん:ただ語弊を恐れずに言うと、良かった面もあると考えていて。コロナによって改めて「あ、旅をすることって本当に良いことだったんだな」って誰しもが思えるきっかけになった思います。

よく「観光は平和へのパスポートだ」って言われたりするんですけど、逆に言うと平和じゃないと旅はできない。でもやっぱり旅をすることで世の中はもっと平和になっていたし、もっと平和になっていけるんだろうなっていうのを、このコロナで多くの人と実感できました。

そういう意味では、旅を広める仕事をしている身としてはよかったと思います。

 

− いい話ですね。旅行にいけなくなるからこそ旅行の良さが実感できて、元に戻ったときにまた伸びるってことになりますよね。

 

清水さん:そうですね。あとは、家にいる時間って良いなって思いますけど、外に出てる時間があるからこそ家にいる時間もよく思えるっていうのがやっぱりあると思ってます。家が良いとはいえ、ずっと家にいるとなかなかそんな風には思えなくて。旅行とか出張とかで一週間ぶりに家に帰ると、「あ、我が家っていいな」ってなりますね。家のベッドで寝るとか、自分の部屋でソファに座るとか。

そういう風に思えるんで、外に出ることで改めて家の中を良くしたいとか快適にしたいとかは思うようになりましたね。

 

清水さん:最近は、ノマドやら多拠点居住やらリモートワークやらで、「家はいらない」「家はミニマムに」みたいな議論も多いですよね。家がなくてもいい時代だと。ただ、だからこそ僕は相対的に家の価値は高まっていると思っています。家がなくても生きていけるこの時代に、逆張りで家にいる時間を豊かにすることで、得られる幸せもあるんじゃないかなって思うんです。

 

− 清水さんの仕事柄出張とかが多くて、だからこそ自分の家の中の良さが分かったりするんですね。

 

清水さん:本当にそうですね。外に出れば出るほど自分の家にいることの良さも出てきます。

ただ、旅行してると植物の水やりが心配になるんですよ(笑)。一週間以上経つとまじで心配になります。そういうときは友達に頼んだりしますね。

取材当日、部屋に遊びにきていた友人の上村さん。

清水さん:そういうことも含めて、コロナで生活は大きく変化しました。この10年間仕事ばっかりしてきた中で、コロナを機に植物を部屋に置いたり、インテリアにこだったり、自分の部屋のことを深く考えるようになりました。コロナがなかったら多分こんなに急に始めなかったと思うと、社会人になって10年以上経ちますけど、劇的なポジティブな変化として、心から良かったと思っています。

 

AFTER INTERVIEW編集後記
旅を仕事とし、旅と常に向き合い続けている清水さん。そんな清水さんの自宅は、想いのこもったモノにあふれた居心地の良い空間でした。それは、家にいないことが多いからこそ家の大切さを実感し、居心地にこだわった結果とのこと。 家の役割が変わりつつある今の時代、清水さんの家に対する考えは一つの良い指針になるかもしれません。

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