艶のある濃い葉が美しいフランスゴムの木。インテリア性の高い観葉植物だからこそ、「どんな風に剪定すればいいのかな」と悩んでいませんか。
観葉植物を初めて育てる方ほど、枝葉の剪定方法がわからないと思います。しかし、適切に剪定しないと、形が崩れるだけでなく生育が悪くなることもあるので、剪定は育て方で重要な作業です。
今回は、フランスゴムの木の剪定について詳しく解説します。インテリアグリーンとしておしゃれなフランスゴムの木を楽しむためにも、ぜひ剪定をして育ててください。
[https://andplants.jp/collections/ficusrubiginosa]フランスゴムの木の剪定方法
フランスゴムの木の剪定に必要な道具や剪定手順について紹介します。正しい剪定方法を行うことで、フランスゴムの木を元気に育てることができるでしょう。
- フランスゴムの木の剪定に必要な道具
- フランスゴムの木の剪定手順
フランスゴムの木の剪定に必要な道具
フランスゴムの木の剪定に必要な道具は以下の4つです。
フランスゴムの木は、ゴムの木の仲間です。そのため、樹液にはゴムのもととなる「ラテックス」と呼ばれる成分が含まれています。
ラテックスアレルギーを持っていない方でも、肌が荒れる場合があるので剪定の際には手袋をしておきましょう。
フランスゴムの木の樹液が床に落ちると汚れてしまうので、あらかじめ植え替え時に使う園芸シートを敷いておくと安心です。園芸シートがない場合は、新聞紙やビニールシートを広げたり屋外で剪定したりしてください。
また、癒合剤とは、フランスゴムの木の枝を切った後に切り口に塗る薬です。切り口から病原菌を防ぐ役割があります。
癒合剤は殺菌効果も含んでいるものがおすすめです。
切れ味が悪い剪定ハサミを使うと、フランスゴムの木が傷つくのをご存知ですか?
いつまでも元気な姿を保ちたいなら、切れ味抜群の剪定ハサミが必要不可欠です。下記におすすめを記載したので、ぜひご覧になってみてください。
[https://andplants.jp/products/sakagen-flower-shears]フランスゴムの木の剪定手順
フランスゴムの木の剪定に必要なものを準備したら、剪定に挑戦してみましょう。以下の3つの手順で行います。
- フランスゴムの木の剪定位置の節を確認
- 節が残るように剪定
- 切り口に癒合剤を付ける
全体のバランスを見ながら、フランスゴムの木の枝の節を確認して短めに剪定してください。枝葉が密集している部分を風通しがよくなるように剪定します。
枝を長く残してしまうと、頂点部分の節から新しい枝が伸びて、形が不格好になりやすいです。剪定後に枝が伸びることも考えて短めに剪定すると、その後の形がよくなります。
節のやや上で切って、切り口に癒合剤を付けることで、剪定後の枯れ込みも少なくなるでしょう。ただし、癒合剤をつけるのは、樹液が止まった後です。
樹液が流れ続けているときに、癒合剤を塗っても流されたり、上手に塗ることができなかったりします。
樹液が止まるのを待っているままでは枝葉が汚れるので、あらかじめティッシュと輪ゴムを準備しておきましょう。
切り口をティッシュで包み、輪ゴムで止めておくことで、枝葉や床にこぼれることもありません。数分置いておくと樹液は止まっているので、ティッシュを外して癒合剤をつけると安心です。
細い枝であれば、切り口から出る樹液はティッシュでふき取るだけで、すぐに止まるので安心してください。フランスゴムの木の太い枝や幹を切った場合は、長時間樹液が流れ出るので気を付けましょう。
フランスゴムの木の剪定時期と切る場所
フランスゴムの木を剪定する理由がわかると、剪定する時期と枝の切る場所について気になりませんか。フランスゴムの木の剪定時期と切る場所を解説します。
剪定時期と切る場所については以下の通りです。
- 5月~9月に剪定
- 成長点を残して剪定
- 忌み枝を剪定
5月~9月に剪定
フランスゴムの木の剪定時期は5月~9月です。気温の上がる時期であれば生育が活発なので、すぐに新芽も出てきて剪定の傷みも少なくて済みます。
気温が下がり始める10月以降の剪定には注意してください。気温が低いと生育が緩慢になり、剪定してもすぐに新芽が出ずに切り口から枯れる恐れがあるためです。
もし気温の下がる秋以降に剪定する場合は、最低温度が15℃以上をキープしてください。暖房を使用しない環境では、剪定を行わないようにしましょう。
筆者は、小さなフランスゴムの木を11月に剪定したことがあります。新芽が出てこず、不恰好なまま冬を過ごし、暖かくなった春にやっと新芽が出てきました。
冬の剪定は、枯れる心配があり格好が悪くなることが多いので、剪定時期は守りましょう。
成長点を残して剪定
フランスゴムの木の枝を剪定する場合は、成長点を残して切ることがポイントです。フランスゴムの木の枝には、成長点と呼ばれる部分があります。
成長点とは、枝の節部分にある膨らみのことです。その部分から新芽が出てくるので、節部分を残してください。成長点を剪定してしまうと、新芽が出ない可能性が高いので注意します。
節部分にふくらみがない場合もありますが、剪定後に節部分が膨らんで新芽が出てくるので、安心してください。
ただし、木の幹のように木質化(もくしつか)している枝は新芽が出にくいので、若く太い枝の節を残すとよいでしょう。
忌み枝を剪定
忌み枝(いみえだ)とは、樹木の見栄えや生育を悪くする不要な枝のことです。不要な枝をフランスゴムの木から取り除くことは、樹形を美しくするだけでなく、病害虫の予防にもなります。
忌み枝と呼ばれる枝の種類は以下の通りです。
- ひこばえ|幹の地際から出てくる枝
- 胴吹き枝|太い幹から直接伸びる細い枝
- 下り枝|下向きに伸びる枝
- 逆さ枝|木の中心に向かって伸びる枝
- 立ち枝|真上に向かって伸びる枝
- 車枝|1か所から3本以上の枝が車輪のように出ている枝
- 並行枝|近い位置でまったく同じ向きに平行に伸びている枝
- 交差枝|他の枝と交差するように伸びている枝
小さなフランスゴムの木では、忌み枝が出てくることは少ないです。しかし、長年育てて大きくなると次第に出てきます。
剪定の時期に、しっかり見極めて切りましょう。忌み枝かどうかわからない場合は、無理に切らず、見栄えが悪い枝を切ることを意識して切るだけでも、多くの忌み枝を剪定することができます。
フランスゴムの木を剪定する時の注意点
フランスゴムの木の剪定には以下3点の注意点があります。
- 雨の日に剪定しない
- 樹液に触れない
- 剪定しすぎない
①雨の日に剪定しない
雨の日にフランスゴムの木を剪定することはおすすめできません。雨が降って湿度の高い時期は、切り口も乾かず病原菌が付着しやすいので、剪定後に枯れ込む恐れがあります。
晴れた日であれば、空気中の湿度も低く病原菌が切り口に付着することも少ないです。安心して育てられるように、晴れた日に剪定を行いましょう。
②樹液に触れない
フランスゴムの木の白い樹液にはラテックスが含まれています。白い樹液に触れると肌が荒れる可能性があるので、手袋をして触れないように気を付けてください。
もし、触った場合は流水でしっかりと洗い流しましょう。ラテックスアレルギーを持っている方は、特に注意してください。
③剪定し過ぎない
剪定は、美観を整えたり病害虫を予防したり、生育不良をリセットしたりする重要な作業です。しかし、葉が一枚も付いていないほど剪定し過ぎないようにしてください。
葉がなければ、光合成ができずに元気をなくしてしまうこともあるためです。特に、病害虫の被害で弱っているフランスゴムの木を剪定する場合は、幹や枝だけの丸坊主にしないようにします。
また、長年育てているフランスゴムの木は短く剪定し過ぎないでください。根元の幹や枝が木質化していることが多く、木質化している部分からは新芽が出にくいためです。
剪定するときは、なるべく若い幹や枝が残るように剪定します。
フランスゴムの木を剪定する理由
生育期の5月~10月にフランスゴムの木は、幹や枝をぐんぐん伸ばします。幹や枝が伸びると高さも出て、葉のボリュームも増えますが、伸びすぎると今度は見た目や生育が悪くなる可能性があります。
フランスゴムの木を剪定する理由は以下の3つです。
- 美観を整える
- 病害虫を予防する
- 生育不良をリセットする
それぞれ解説します。
①美観を整える
フランスゴムの木の剪定は、美観を整える目的があります。生育期の5月以降は、新芽や幹が伸びやすくフランスゴムの木の形が崩れやすいためです。
フランスゴムの木の新芽や幹が伸びることによって、いびつな形になることがあります。美観を保つためには、伸びすぎた幹や枝を全体のバランスを見て剪定してください。
飾る場所にあった高さやボリュームに剪定してあげることで、常に美しいフランスゴムの木を楽しむことができます。
②病害虫を予防する
フランスゴムの木の剪定は病害虫を予防する効果があります。枝葉が密集して風通しが悪くなると、病気や害虫の発生につながるためです。
枝葉が茂り過ぎたら、密集している枝や重なり合った葉を優先的に剪定します。全体のバランスを見ながら、美観を損ねないような剪定がポイントです。
茂った枝葉の中まで風や光が通るようになると、病気の原因になる菌が滞留せず、害虫も発見しやすくなるでしょう。病害虫は発見が遅くなるほど、症状が深刻になるので、剪定を行うことは重要です。
③生育不良をリセットする
剪定は生育不良をリセットする役割もあります。フランスゴムの木を育てていると、枝先が枯れてきたり葉色が悪くなってきたりすることもあるでしょう。
生育不良になったら、状態の悪い枝や葉を剪定してください。状態が悪い部分を剪定して取り除くだけで、他の枝葉に影響を与える可能性を下げられます。
また、剪定を行うことで幹や枝の切り口の下から新しい枝が伸びて、よりボリュームよく育つことがあります。状態が悪い枝葉は、早めに剪定してリセットすると、植物にとって好影響です。
フランスゴムの木を暗い場所に置いて、間延びして形が悪くなった場合は、葉を数枚残して思い切って幹や枝を短く剪定するのもアリです。剪定する幹や枝の根元の節をわずかに残してすべて切り落とします。
その後、日当たりのよい明るい窓際に置いておくと、節から新芽が出てきて間延びした姿をリセットすることが可能です。
フランスゴムの木の剪定後の育て方
剪定後に新芽が綺麗に出るためには、その後の育て方が重要です。フランスゴムの木の剪定後の育て方について以下の4つのポイントに絞って解説します。
- 置き場所と日当たり
- 温度
- 水やりの頻度
- 肥料
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置き場所
フランスゴムの木は日当たりのよい環境を好みます。ただし、夏の直射日光や西日の強い光に当たると葉焼けしやすいので、注意が必要です。
剪定後に出てきた新芽に、直射日光が当たると葉焼けする可能性があるので気を付けます。直射日光の当たらない明るい室内や、窓際であればレースカーテン越しの柔らかい光に当てて育ててください。
温度
フランスゴムの木は寒さに弱い観葉植物です。最低10℃以上をキープして育てるとよいでしょう。
もし屋外の明るい日陰で育てている場合は、気温の下がる秋には暖かい室内に移動させます。室内であっても窓際は、屋外と変わらないくらいに冷え込むので、窓から離しておくと管理が簡単です。
また、冷暖房がフランスゴムの木に直接当たると急激な乾燥によって、出てきた新芽が枯れる恐れがあります。そのため、冷暖房の風がフランスゴムの木に当たらない明るい場所に置くことが重要です。
水やり
- 春夏:手で土を触って水分を感じなくなったら(鉢の中央部分までしっかり乾いてから)
- 秋冬:手で土を触って水分を感じなくなったら(鉢の中央部分までしっかりかわいてから)2~3日後
生育期の春夏は土の乾燥が早いので水切れに気をつけましょう。春夏は手で土を触って水分をかんじなくなったら(鉢の中央部分までしっかり乾いてから)、鉢底から水が流れるくらいにたっぷりと水やりをしてください。
しかし、水のやりすぎや受け皿の溜め水は根腐れの原因になるので注意が必要です。秋から土の渇き具合を確認しながら、冬は手で土を触って水分を感じなくなったら(鉢の中央部分までしっかり乾いてから)2~3日後に水やりしてください。
冬は室内の温度がしっかり上がったタイミングで、水やりをします。気温の低い時間帯に水やりや葉水を行うと逆効果になるので気を付けましょう。
肥料
フランスゴムの木の新芽を多く出したい場合は、土に混ぜている緩効性肥料とは別に即効性のある液体肥料を水に薄めて水やり代わりに与えてください。また、即効性のある置き肥も効果的です。
置き肥は2か月に1度。液肥は2週間に一度のペースで与えてください。肥料は与えすぎると根痛みの原因になるので、適切な量を与えます。
冬はフランスゴムの木の生育が緩慢になるので、肥料は与えません。置き肥も取り除いてください。
余談|剪定した枝は挿し木できる
フランスゴムの木は挿し木で増やすことができます。そのため、剪定で切り落とした枝を使って挿し木してみてはいかがでしょうか。
挿し木も剪定と同様に5~9月に行うことができます。剪定した枝を10~15㎝にカットして、葉を2~3枚にして半分に切ってください。
葉を半分に切っておくと、葉から出ていく水分を抑えることができ、挿し木の成功率が上がるためです。
その後、水を溜めた容器に切り口を浸して1時間ほど吸水させます。吸水後に挿し木用の土に挿して、土が乾燥しないように管理すると1ヶ月ほどで発芽と発根して増やすことが可能です。
フランスゴムの木は水挿しでも簡単に増やせるので、剪定した枝を水に溜めた容器に入れておくだけで発根することもあります。そのまま、水栽培を楽しんでもよいでしょう。
フランスゴムの木を剪定する方からよくある質問
最後にフランスゴムの木を剪定する方からよくある質問とその答えを以下にまとめました。
- フランスゴムの木の伸びすぎた枝は剪定してもいい?
- フランスゴムの木を枝分かれさせるための剪定方法は?
- フランスゴムの木の剪定に失敗した時の対処法は?
- フランスゴムの木の気根は剪定しても大丈夫?
それでは具体的に見ていきましょう。
フランスゴムの木の伸びすぎた枝は剪定してもいい?
フランスゴムの木の伸びすぎた枝は剪定してください。生育期の5月~9月は、ぐんぐんと枝が伸びます。
そのままにしていると、見た目が悪くなったり病害虫が発生の原因になったり、置いているスペースが足らなくなったりするかもしれません。剪定したい枝をバッサリ切りたい場合は、幹の付け根から切り落とします。
枝を切り戻して次の芽を出したい場合は、葉を一枚残した状態で剪定してください。その後は、葉の付け根にある節から、新しい芽が出てきて伸びてきます。
フランスゴムの木を枝分かれさせるための剪定方法は?
フランスゴムの木を枝分かれさせるための剪定方法は、幹の先端を切ることです。幹の先端は成長点であり、幹を伸ばし次の葉を出す準備をしています。
先端の成長点を剪定することで、その下にある複数の葉の付け根付近から新しく枝が伸びてくるでしょう。それぞれの葉の付け根にも成長点はあるため、それらの部分から枝が出てきて、枝分かれした株姿になります。
ただし、剪定後の株の上から数えて1~2番目の成長点から枝が出やすいので、枝分かれさせたい部分をイメージして剪定することが重要です。
フランスゴムの木の剪定に失敗した時の対処法は?
フランスゴムの木の剪定に失敗した時の対処法は、できるだけ日当たりのよい環境で育ててあげることが重要です。
剪定後の姿が大きい場合は短く剪定し直せばよいですが、短く剪定しすぎた場合は簡単に元の姿に戻せません。
新芽がきちんと出てくるように、日当たりのよい環境で温度や水やり、肥料に気を付けて育ててください。新芽が出てくれば、安心して育てることができます。
その後は、出てきた新芽をどのように伸ばして育てるのかを考えましょう。
フランスゴムの木の気根は剪定しても大丈夫?
フランスゴムの木の気根は剪定しても大丈夫です。気根は、空気中の水分を吸収するために、幹や枝から伸びてくる根のこと。
鉢植えで育てる場合は、気根は必要ではありません。もし気になる場合は、思い切って剪定しても、フランスゴムの木が枯れる心配はないため安心してください。
そのまま伸ばして土に植えてあげると、太くなって野性味あふれる姿にもなります。理想のフランスゴムの木の姿を想像して、剪定しながら育てるとよいでしょう。
まとめ
フランスゴムの木は、生育期にぐんぐんと幹や枝を伸ばす植物です。成長を実感できてうれしい反面、形が崩れて困ることも多いと思います。
大きくなりすぎたり、病害虫が発生したりする場合は、剪定をしましょう。伸ばしっぱなしではフランスゴムの木の見た目や生育が悪くなるので、注意してください。
剪定が上手になれば、大きさや生育をコントロールできるので、フランスゴムの木をより楽しく育てられます。ぜひ、素敵なフランスゴムの木を大切に育ててください。