「どうしたらお客様が来てくれるだろう」「花屋の認知度を上げるには何をしたらいいのだろう」と悩んでいるお花屋さんは少なくないでしょう。
お花は生活必需品ではないため、「興味がない」「花屋に行ったことがない」という方もたくさんいるでしょう。
また、花を買うのは母の日や誕生日などのイベントのときだけという方も多く、集客を増やし売り上げを上げるのは簡単ではありません。
そこで今回は、長年に渡り花屋で働いていた筆者が、花屋の集客でのWebの活用方法や集客アップのアイデアについて解説します。
おすすめの集客方法を知りたい、今の集客方法で何が足りないかを知りたいという方は、ぜひ最後までご覧になってみてください。
また、これから花屋の開業を検討している方は花屋の開業方法の記事もあわせて参考にしていただけます。
花屋の集客方法
花屋の集客方法は、大きく分けて次の二通りです。
- 紙媒体での宣伝
- Web媒体の活用
それぞれどのような集客方法があるのか、簡単に解説します。
紙媒体での宣伝
紙媒体での宣伝方法は、新聞折り込みのチラシや地域のフリーペーパーへの掲載などです。チラシを駅前や店頭で配ったりポスティングしたりも、紙媒体での宣伝になります。
インターネットが普及する前は紙媒体での宣伝が当たり前でしたが、近年では紙媒体での宣伝効果が減少していることは確かです。
そのため、紙媒体での宣伝効果を狙うときは、タイミングや需要を見極めて行う必要があります。
Web媒体の活用
Webを活用した集客は多岐に渡ります。紙媒体をそのままネット広告にスライドしたものから、HPでの広報やSNSでのアピールなどさまざまです。
Webでの宣伝のメリットは、仕組みを作ってしまえば常に集客し続けられることにあります。そのため、紙媒体より費用対効果も高いと言えるでしょう。
ただし、インターネット上にはたくさんの情報があふれているので、ターゲットとなるユーザーに届くような工夫も必要です。
花屋と相性が良いのはWeb集客
紙とWebを比較したときに、花屋と相性が良いのはWeb集客です。
新鮮なお花を扱っている花屋は商品の入れ替わりが早いですが、紙媒体では最新情報を常に提供することができません。そのため、掲載できる情報が限られてしまいます。
しかし、Webであれば最新情報にアップデートすることが容易です。リアルタイムな情報を届けることができるため、よりターゲットに訴求した宣伝を打つこともできます。
また、お花は見た目が重視される商品なので、写真や映像でアピールできるWebは、花屋の集客手段にぴったりなのです。
Webでの集客が花屋に向いている理由
ここでは、さらにWebでの集客が花屋に向いている理由を6つ、紹介していきます。
- SNSでアピールしやすい
- ターゲットを絞った集客ができる
- 販売エリアの拡大が可能
- 顧客情報を入手しやすい
- 費用対効果が高い
- コンテンツの蓄積が資産になる
すでにWebを活用している場合は、Webの利点をうまく活用できているか検証してみるとよいでしょう。
SNSでアピールしやすい
お花は、見た目の華やかさなどの見栄えの良さがSNSでアピールしやすいため、Web集客に向いています。
特に、Instagramは写真メインのSNSなので、コンセプトに合った商品を掲載することで、お店のブランディングも可能です。
イベント情報や売れ行きなどもリアルタイムで発信でき、常に新しい情報や商品をアピールすることができます。
ターゲットを絞った集客ができる
紙媒体は住んでいるエリアや雑誌の購買層といった、ざっくりとしたターゲティングしかできません。しかし、Webではユーザーの情報や閲覧履歴から、よりターゲットを絞った集客が可能です。
Webで広告を出すときは、狙ったターゲット層に向けて配信することができます。SNSでは、「#(ハッシュタグ)」を上手く活用することで、探しているユーザーに見つけてもらいやすくなるのも利点です。
販売エリアの拡大が可能
実店舗での対面販売だと、顧客は近隣に限られてしまいます。しかし、インターネット上にも店舗を持てば、販売エリアを拡大することが可能です。
宅配を取り入れれば、全国が販売エリアになります。
顧客情報を入手しやすい
オンラインでの販売時やコンテンツの会員登録などで、顧客情報を入手しやすい点も挙げられます。顧客リストがあれば、メルマガやDMの配信でのアプローチが可能です。
花屋はイベントでの集客が欠かせないので、顧客に直接アプローチができるチャンスが得られます。
費用対効果が高い
Webは、広告ページやコンテンツなどを一度作ってしまえば、毎日24時間体制で集客を行ってくれます。そのため、広告宣伝を行うたびに費用がかかる紙媒体に比べて、Web集客の方が費用対効果が高いです。
また、インターネットにつながっている人なら世界中の誰でもアクセスが可能なことも、紙媒体との大きな違いになります。
コンテンツの蓄積が資産になる
コツコツと蓄積したコンテンツは資産となって、花屋のイメージや信頼性を高めてくれます。
紙媒体の広告が伝えられるものは、その時に紙面に載っている情報のみです。しかし、Webは過去に発信した情報も、インターネット上にあり続けます。
その時限りではなく、ずっと集客を続けてくれるのもWebのメリットです。
花屋におすすめのWeb集客方法
次に、花屋におすすめのWeb集客方法を5つ紹介します。
- InstagramなどSNSでの発信
- LINE公式アカウントの活用
- Googleビジネスプロフィールへの登録
- 独自コンテンツの配信
- オンライン販売
すでにWeb集客を行っている方でも、まだ手を付けていない方法があったら、ぜひチャレンジしてみてください。
InstagramなどSNSでの発信
SNSはリアルタイムに情報発信ができ、写真や映像でセンスやオリジナリティをアピールできます。特に、花屋におすすめのSNSは、InstagramとPinterestです。
Instagramは、画像と文章でお店や商品の魅力を伝えやすい点が挙げられます。フォロワー数が増えれば購買にもつながりやすいため、Instagramメインで集客しているところも少なくありません。
コメントやDMで顧客とのやり取りもできるため、固定客の獲得もしやすいところもポイントです。
もうひとつのPinterestは、WebサイトやPinterest上にある画像を自分のボードに集めることができるアプリです。気に入ったものがあればそこからサイトにアクセスできるため、購買にもつながりやすいシステムになっています。
LINE公式アカウントの活用
LINE公式アカウントは、LINEで友だちになった顧客へメッセージを送ったり、クーポンを配信したりできるサービスです。
LINEは使っているユーザーも多く、年齢層も幅広いため、どの企業やお店も顧客獲得に欠かせないツールになっています。
花屋でも、見込み客に直接、イベントの告知や新商品のお知らせなどができるので便利です。
まずは友だち追加をしてもらう必要があるため、店頭やWebサイトのPOPで告知をしましょう。
友だち追加で粗品やクーポンのプレゼントなど、何か特典があると登録してもらいやすくなります。
Googleビジネスプロフィールへの登録
Googleビジネスプロフィール(旧称:Googleマイビジネス)は、Googleが提供する無料の宣伝ツールです。Google検索やGoogleマップなどで、お店の情報を表示できます。
ホームページアドレスも掲載できるため、そこから自サイトにアクセスしてもらうことも可能です。基本的な情報や写真を掲載することで、ユーザーに信頼感を持ってもらうことができます。
ただし、Googleビジネスプロフィールは、誰でも書き換えができてしまうことがデメリットです。間違った情報が掲載されている可能性もあるので、利用したことがない方はチェックしてみましょう。
独自コンテンツの配信
独自のコンテンツを配信することで自サイトへのアクセスを増やし、集客につなげることもできます。
お花のことに限らず、ターゲットに刺さる魅力的なコンテンツを蓄積することで、花屋のブランディングも可能です。
ただし、コンテンツを配信するときは、SEO対策(検索エンジン最適化)が欠かせません。ユーザーが検索をしたときに上位に表示されなければ、アクセスにつながりにくいからです。
誰でも簡単にできることではないので、SEOを取り入れたコンテンツを制作するときは、プロに依頼するとよいでしょう。
オンライン販売
実店舗での対面販売だけでなく、オンライン販売も行うことで集客力がアップします。オンライン販売のメリットは、次の3つです。
- 営業時間外でも注文が入る
- 事前決済ができる
- 業務の効率化につながる
メリット①営業時間外でも注文が入る
オンライン販売の大きなメリットは、実店舗の営業時間外でも注文を受けることができる点です。
顧客は24時間いつでも商品を検討でき、花屋にとっては販売のチャンスが広がります。
メリット②事前決済ができる
オンライン販売での事前決済もメリットのひとつです。実店舗だと、キャンセルや注文があっても取りにこないなど、販売のチャンスを逃すこともあります。
しかし、オンライン上で事前決済を行えば、そういったトラブルを防ぐことが可能です。
また、オンライン注文がメインになれば、仕入れの調整や売上の予測もできるため、経営面でもメリットが大きいでしょう。
メリット③業務の効率化につながる
オンライン販売は、花屋の業務の効率化にもつながります。オンライン販売によって店頭での接客に時間を取られることがなく、制作と受け渡しのみで済むからです。
それまで接客に使っていた時間は、新商品の開発やSNSでの発信などにあてることができます。
Web集客をするときの注意点
ここでは、Web集客をするときの注意点を3つ紹介します。
- リサーチや分析を行ったうえで対策する
- 費用対効果を意識する
- 常に最新情報をアップデートする
リサーチや分析を行ったうえで対策する
Web集客を行うためには、事前にリサーチや分析を行うことが大切です。的外れな集客をしていては、何の意味もありません。
どの集客方法が適切か、ターゲットは正しいか、狙った効果が得られそうかなど、しっかり検討しましょう。
費用対効果を意識する
Web集客を行う時は、常に費用対効果を意識しましょう。
Web集客の方法は、無料のものや有料のものなどさまざまです。基本は無料だけれど、より効果を出すためには有料の方がいいものもあります。
かといって、お金をかければ成功するわけでもありません。高額な広告宣伝費を費やしても費用に見合った効果がなければ、経営難に陥ることもあるでしょう。
売上に対する経費の割合も考え、適切なバランスで集客を行うことが大切です。
常に最新情報をアップデートする
Web集客では、常に最新の情報が掲載されていなければ意味がありません。古いイベント情報のまま、商品の大半が売り切れ状態といった具合では、せっかく訪問してくれたユーザーも離れてしまうでしょう。
特に、Web集客を始めたばかりであれば、情報の蓄積のためにマメな更新が重要です。
花屋の集客を成功させるための秘訣
集客方法をいろいろ行っていても、中身が伴っていなければ成功に結び付きません。花屋の集客を成功させるためには、秘訣が3つあります。
- オリジナリティを出す
- 顧客のニーズを把握する
- ターゲットへの接触機会を増やす
オリジナリティを出す
たくさんある花屋の中から選んでもらうためには、その店独自のオリジナリティが必要です。
他にはない商品、他にはないサービスなど、他店と差別化できるオリジナリティは何かを考えましょう。
顧客のニーズを把握する
顧客にとって魅力のある花屋にするためには、何を求められているのか、ニーズを把握することも大切です。
実際に顧客にどういう商品を求めているのか聞いてみたり、商品に対する反応を見てみたりと、ニーズを探ってみましょう。
ターゲットへの接触機会を増やす
花屋に限らず、お店は知ってもらわなければ集客に結びつきません。実店舗でもWebでも、ターゲット層への接触機会を増やすことが集客アップにつながります。
またやっていない集客方法があれば、ぜひトライしてみましょう。
その他のおすすめの集客アイデア
ここでは、Web以外のおすすめの集客アイデアを8つ紹介します。
- 花以外のものも扱う
- イベント出店
- POPや商品カードの工夫
- クーポンや特典
- 花のサブスク
- 移動販売
- 他店とのコラボ
- ビジネスセミナーへの参加
花以外のものも扱う
オリジナリティを出すために、花以外のものを扱うのもありです。今までお花に縁のなかった方が、花屋を訪れてくれることもあります。
ギフト需要が高い花屋は、一緒にプレゼントできるアイテムを揃えれば、お花だけでは買いづらかった方が来店しやすくなるでしょう。
バイクが趣味なら、お花とバイクを一緒に並べることで、バイク好きの御用達店になるかもしれません。
商品に限らず、他店では得られない体験ができることも差別化になります。
イベント出店
集客を増やすには、お店の存在を知ってもらうことが大切です。ワークショップや物販など、お店をPRできる機会があれば出店してみるのもよいでしょう。
イベントで配るショップカードに、来店時に使えるクーポン券をつけるなど、お店にも来たくなるような仕掛けも必要です。
POPや商品カードの工夫
POPや商品カードの書き方ひとつで、売れ行きが変わることもよくあります。
特に、お花に慣れていない方だと何がいいのか迷ってしまい、決められないまま帰ってしまうということも少なくありません。
「このお花買ってみようかな」と興味をそそるようなPOPや商品カードを考えてみましょう。
クーポンや特典
割引クーポンや特典は、購買意欲を促してくれます。よくあるのが、メンバーズカードを作り、ポイントが溜まったら割引が使えるというもの。
紙のカードが面倒という場合は、LINE公式アカウントで定期的にクーポンを配信するのが便利です。
切り花を一定の金額以上購入する方には、延命剤の小袋をつけるといったサービスも、日常買いが多い花屋では喜ばれるでしょう。
花のサブスク
これまでお花に馴染みのなかった方も、気軽に花のある暮らしを楽しめるのが花のサブスクです。宅配で届くシステムが一般的ですが、店頭でお渡しする方法なら小さな花屋でも取り入れることができます。
ある程度の人数に申し込んでもらえれば、安定した売り上げになります。
移動販売
移動販売で、人が集まりやすい場所に出向くのもおすすめです。
実店舗からさほど遠くない場所であれば、移動販売で興味を持った方がお店にも立ち寄ってくれるかもしれません。
他店とのコラボ
他店とのコラボは、他店の顧客が自店の顧客にもなり得ることがメリットです。
ショップカードを置いてもらうだけでなく、商品を委託販売してもらうのもいいでしょう。
ビジネスセミナーへの参加
ビジネスセミナーへの参加により、人脈が広がり集客につながることもあります。
イベント時にお祝いの花束の注文をもらう、会社の社員や家族のバースディに贈るフラワーギフトを受注するなど、まとまったオーダーを受けることも。
必ずしも売り上げにつながるとは限りませんが、どこにチャンスが転がっているか分からないので、積極的に動いてみるのもいいでしょう。
花屋の成功事例
ここまで花屋の集客方法について解説してきましたが、ここでは成功事例を3つ紹介します。
- 青山フラワーマーケット
- ニコライバーグマン
- 日比谷花壇
青山フラワーマーケット
青山フラワーマーケットは、渋谷区青山にあるちょっとおしゃれなお花屋さんから、全国展開するまでに成長した生花店です。
花のある暮らしを提言し、手軽に買える出来合いのブーケを並べることで、カジュアルに花を買う文化を生み出しました。手に取りやすい価格帯のライフスタイルブーケは、青山フラワーマーケットの定番商品です。
また、回転率の高い出店場所で限られた商品を売り切る方法は、ロスが少なくコストを抑えられるため、低価格での販売を実現しています。
参考:青山フラワーマーケット
ニコライバーグマン
ニコライバーグマンは、東京を拠点に活躍するデンマーク出身のフラワーアーティストです。今でこそ、ギフトボックスのフラワーアレンジはよく見るデザインですが、もともとはニコライバーグマンが発案したものでした。
このオリジナルのフラワーボックスのアイデアが、ニコライバーグマンを全国的に知らしめるきっかけとなったのです。
発案から20年近く経った今でも、ニコライバーグマンを象徴するアイテムとして人気の商品となっています。
参考:Nicolai Bergmann | ニコライ バーグマン 公式ウェブサイト
日比谷花壇
日比谷花壇は、全国に190近くの店舗を構える業界大手の花屋です。店頭販売だけでなく、ブライダルやフューネラルの装花など、幅広くフラワービジネスを展開しています。
近年のコロナ禍に伴い、日比谷花壇も花のサブスクに参入しました。その中でも、お花の定額制アプリ「ハナノヒ」では、花を宅配ではなく希望の店頭で受け取ることがポイントです。
ユーザーは店頭で選んだコースの金額分のお花を自分で選ぶことができ、日比谷花壇はユーザーを店頭に呼び込むことを成功させました。
参考:日比谷花壇 お花の定額制アプリ「ハナノヒ」
花屋の集客についてのよくある質問
最後に、花屋の集客についてのよくある質問の回答を、2つ紹介します。
- 花屋の経営は難しい?
- 花屋の売り上げを上げる方法は?
花屋の経営は難しい?
花屋は資格や免許が必要ないため開業は簡単ですが、経営は難しいです。
花は生ものなので、短い期間で売り切らなければなりません。売れなければ廃棄となり、損失になってしまいます。
また、次々とやってくるイベントは販売のチャンスですが、思ったような売り上げにならないことも。
安定した売り上げを得て、長く経営していくためには、集客方法や商品企画などを戦略的に行っていくことが重要です。
花屋の売り上げを上げる方法は?
花屋の売り上げを上げるためには、すでに紹介したように「オリジナリティ」「顧客のニーズの把握」「接触機会を増やす」の3つが欠かせません。
さらに、お花を「買う」「もらう」ことで、顧客がどんな体験が得られるかを考えて商品を企画することが大切です。
消費者のニーズは「モノ」を買うことから、買うことで得られる「コト」、さらにどのような「トキ(時)」を過ごせるかに変わってきています。
消費スタイルの変化にも注目することで集客につながり、売り上げアップにもつながっていくでしょう。
まとめ
集客には紙媒体での宣伝とWebの活用がありますが、集客アップを狙うならWeb集客を充実させましょう。
見栄えのするお花はWebでの集客に向いているうえ、Webを活用することで業務の効率化にもなります。
Webだけでなく、花以外のものを扱ったりイベントに出店したりと、集客方法はアイデア次第です。
まずは、自店の分析やリサーチから始め、費用対効果も考えながら、自店に合う集客方法を取り入れていきましょう。
これから花屋の開業を考えているという方には、開業方法やポイントについて解説した記事もあわせて参考にしてみてください。