カランコエ・不死鳥の育て方｜葉焼けや徒長のトラブルも解説

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カランコエ・不死鳥の特徴

カランコエ・不死鳥は、ギザギザした細葉の縁に無数の子株が生える多肉植物です。こぼれ落ちた無数の子株は絶え間なく育ち、さらに子株を増やしていきます。

環境適応能力と成長力、繁殖力が非常に強い多肉植物です。一度、環境に適応してしまえば、ほったらかしでもどんどん増えていきます。

交配式は、錦蝶（K.delagoensis）×子宝ベンケイソウ（K.daigremontiana）。掛け合わせによって生まれた品種です。

そのため、学名は「Kalanchoe hybrid」と表記されることも。スラっとした立ち姿で、たとえ元気をなくしても子株で増えていく姿は、伝説のフェニックスを思わせます。

乾燥に強く、環境適応能力も強いので、多肉植物を枯らしてしまう方でも簡単に育てられます。ただし、寒さには弱いので、冬は暖かい室内で育ててください。

カランコエ・不死鳥の育て方

カランコエ・不死鳥は、非常に育てやすい性質とユニークな姿から人気のある多肉植物です。

ここでは、カランコエ・不死鳥の基本の育て方を5つのポイントに絞って見ていきましょう。

それぞれのポイントを守って育てれば、不死鳥の力強さを十分に感じられるほど元気に育ってくれるはずです。育て方の確認前に、フェニックスの名前が付く多肉植物が気になる方は以下をクリックしてみてください。

置き場所と日当たり

カランコエ・不死鳥は日当たりのよい環境を好む植物です。真夏を除いて、基本的には直射日光に当てて管理してください。

室内に置く場合は、日差しが入る窓際で管理しましょう。日当たりが不足する環境ででは、徒長してひょろひょろになったり葉の分厚さが薄くなったりするトラブルを起こします。

日光を非常に好む植物ですが、真夏の強すぎる直射日光が当たり続けると、葉が焼けてしまうことがあります。特に、葉の縁に付いた子株は焦げるように枯れてしまいます。

7月～9月は明るい日陰への移動やレースカーテン、シェードなどを利用して光を和らげて管理してください。

温度

カランコエ・不死鳥は寒さに弱いため、最低10℃以上を保って育ててください。元気に育つ温度は、15～25℃の範囲です。

10℃を下回る低温に当て続けないことはもちろんですが、30～35℃を超える高温にも注意してください。温度が高いほど、葉焼けしたり蒸れて枯れたりするトラブルが起きます。

生育適温外の温度に当たり続けると、カランコエ・不死鳥は枯れやすいので注意して育てましょう。冬は室内に移動させ、夏はなるべく涼しい環境での管理が重要です。

水やりの頻度

カランコエ・不死鳥の季節ごとの大まかな水やり頻度は以下の通りです。

カランコエ・不死鳥の生育型は夏型です。しかし、日本の夏は暑すぎるため、主に春と秋に生育します。

そのため、春秋型の水やり管理を行うことがポイント。春と秋の生育期は、手で土を触って水分を感じなくなったら(鉢の中央部分までしっかり乾いたら)水やりします。

水やり後の水を受け皿に溜めたままにしておくと、根腐れの原因になります。こまめに捨ててください。

夏の暑い時間帯に水やりすると、根腐れや蒸れによって枯れやすいです。夏に水やりする際は、早朝の涼しい時間帯に与えましょう。

気温の下がる晩秋からは土の渇き具合を見ながら、徐々に水やりを控えます。生育が緩慢になる冬は夏同様、土が常に湿っていると根腐れしやすいので、注意してください。

冬の水やり頻度は、手で土を触って水分を感じなくなって（鉢の中央部分までしっかりと乾いたら）一週間後に与えるくらいで十分です。植えている鉢が大きいほど、水やりの頻度は少なくなり、月に一回でも十分な場合もあります。

水の与え過ぎや水やり忘れが多い場合、水やりチェッカーの利用がおすすめです。パッと一目で土の乾燥具合を確認できるため、水やりで失敗することが少なくなります。

肥料

カランコエ・不死鳥には、生育期の5月～7月、9月～11月それぞれに1度置き肥を置くか、水に薄めた液肥を2週間に1度のペースで水やり代わりに与えてください。真夏と冬は生育が緩慢なので、肥料は与えません。

肥料は少なくても十分に育つ植物ですが、株を大きくしたい場合は、土に混ぜ込んだ元肥以外に追肥もしましょう。

ただし、肥料の与えすぎは根を傷めるため、薄める濃度や与える量、時期はしっかり守ってください。

カランコエ・不死鳥は早春に花を咲かせる性質があります。1～2月頃に花茎が伸び始める準備をするので、暖かい秋のうちに肥料を与えて栄養を蓄えさせておくと効果的です。

ただし、秋以降も土に多くの肥料が残っていると根傷みします。肥料やりが不安な場合は、無理に与えない方が安心です。

株が十分に大きく育っていれば、肥料が少なくても美しい赤色の花は咲かせてくれます。

AND PLANTSでは、オリジナル肥料「アンドプランツ 植物を元気にする固形肥料」を取り扱っています。花を咲かせる効果を持つリン酸も含んでいるので、ぜひカランコエ・不死鳥にも利用してみてください。

剪定方法

カランコエ・不死鳥の剪定は、傷んだり枯れたりした葉や花終わりの花茎を切る程度です。

葉の縁に付く子株は、手で触るとポロっと取れるので、剪定ハサミを利用する必要はありません。

花茎は、株の真上にスッと伸びていきます。花茎が伸び始めると、株姿が乱れやすいので、形を崩したくない方は花茎が伸び切る前に剪定した方が良いでしょう。

花を楽しみたい方は、花が咲き終わった後に、花茎の根元部分で剪定してください。花が咲くと、どうしても株が全体的に伸びてしまう傾向にあります。

引き締まった株姿に戻したい場合は、思い切って地際の茎の部分を葉を数枚残して切り戻してください。節から新芽が出てきて、元のギュッとした姿に戻りやすいです。

カランコエ・不死鳥の増やし方

カランコエ・不死鳥は、5月～7月、9月～11月に挿し木や葉挿しで増やせます。

簡単な手順は以下の通りです。

カランコエ・不死鳥は葉の縁に子株ができる多肉植物です。そのため、子株を土に置くだけで、季節を問わず増やすことができます。

自然に落ちた子株もどんどん増えていくので、初心者でも簡単に増やせるでしょう。

挿し木や葉挿しの方法で増やしたい方は「多肉植物の増やし方」の記事を参考にしてみてください。

カランコエ・不死鳥のよくあるトラブルと対処法

カランコエ・不死鳥ですが、育てやすいと言っても予期せぬトラブルが発生する場合もあります。ここではよくあるトラブルと対処法を解説していきます。

カランコエ・不死鳥によくあるトラブルは以下の4つです。

対処法を知っておくと、いざトラブルが起きても安心して対処できます。それぞれ見ていきましょう。

根腐れ

カランコエ・不死鳥の根腐れでは、以下の症状が見られます。

根腐れは、土の中の酸素濃度が低下して土壌環境が悪くなることで発症します。また、土が常に湿っていると、根は呼吸できずに枯れてしまい、根自らが腐る症状でもあります。

根腐れの対処法は以下の通りです。

根腐れが起こった場合は、植え替えをして土の環境を変えることが大切です。傷んでしまった根は取り除き、健康な根が伸びる状態にしてください。

ケイ酸塩白土・ゼオライトなどの根腐れ予防効果のある土壌改良材も新しい用土に混ぜ込むと、より根腐れしにくくなります。

根腐れによって株元が傷んでいる場合、影響を受けていない茎や葉があれば、挿し木・葉挿しで増やしましょう。葉に子株が付いている場合は、新しい土に撒いておくと自然に増えてくれます。

根腐れの状態をそのままにしていると、いずれ株全体が枯れてしまいます。なるべく元気な茎や葉があるうちに、再生をさせておくと安心です。

根詰まり

根詰まりとは、鉢の中が根でいっぱいになることで起きる症状。カランコエ・不死鳥が根詰まりすると、以下のような症状が現れます。

すぐに枯れる要因にはなりませんが、放置してしまうと生育が悪くなるので注意してください。

カランコエ・不死鳥の根は細いため、植えてすぐに根詰まりすることは少ないです。しかし、長年植え替えていなかったり、鉢内にこぼれた子株が増えすぎたりしていると、細根がびっしりと張って根詰まりします。

対処法は、植え替えです。

5月～7月、または9月～11月に、土と根をほぐして植え替えます。現在の鉢より1回り大きい鉢に植え替えることで、上記の症状はほとんど解消されるでしょう。

子株が増えすぎている場合は、それぞれ株分けしてください。

葉焼け

カランコエ・不死鳥が葉焼けすると、以下の症状が現れます。

強い日差しを浴びすぎると、葉が傷んで「葉焼け」のトラブルが発生します。葉焼けの症状に気がついたら、直射日光を避けるように対策してください。

対処法は以下の通りです。

葉焼けのトラブルが起きる場合、強い直射日光が当たりすぎている可能性が高いです。直射日光を弱めたり、置き場所を移動したりしてください。

葉焼けした葉は二度と元に戻りません。傷んだ葉や茎はカットし、新しい健康な新芽が出てくるのを待ちましょう。

葉焼けの症状は、気温が高いほど発生しやすいです。屋外管理の場合は、なるべく風通しがよく涼しい日陰に移動させることも重要です。

徒長

カランコエ・不死鳥には、徒長トラブルが起きることがあります。考えられる原因は、主に以下の2つです。

徒長すると、株全体がひょろひょろとして見栄えが悪くなるだけでなく、病害虫の被害にも合いやすくなります。

徒長した際の対処法は、以下の通りです。

徒長したカランコエ・不死鳥を、日当たりの良い場所に移動させても、伸びた株姿は元に戻りません。伸びすぎた茎は剪定して、新芽を徒長させないように育てましょう。

剪定した茎は挿し木に利用して、そちらをガッシリと増やすのもおすすめです。

カランコエ・不死鳥の害虫トラブルと対処法

カランコエ・不死鳥に発生しやすい害虫は以下の4つです。

それぞれ見ていきましょう。

ハダニ

ハダニの症状は以下の通りです。

ハダニは繁殖力の強さと、薬剤耐性を持つ厄介な害虫です。

放っておくと糸を張って大量発生する危険性もあるので、早めに対処を行いましょう。

対処法は以下の通りです。

ハダニが湧いてしまったら、市販の殺虫剤（ベニカXファインスプレー・オルトランなど）の使用が効果的です。ハダニは一度では駆除しきれないことがほとんどなので、状態を見ながら、定期的に噴霧してください。

2倍に薄めた牛乳などの液体を噴霧する対処法もありますが、匂いが気になる方には水で洗い流す方法がおすすめです。

乾燥気味に育てる多肉植物は、比較的ハダニが付きやすい傾向にあります。カランコエ・不死鳥にハダニが現れたら、こまめに殺虫剤を吹きかけたり、ホースシャワーで株全体を水で洗い流したりすると良いでしょう。

水や霧吹きで洗い流した場合は、葉の隙間に水滴が残らないように、しっかりとエアダスターで水滴を吹き飛ばしておくと蒸れを予防できます。

そのままにしておくと、蒸れて株元の茎や葉の付け根が腐ってしまう原因になるので、注意してください。

ハダニは非常に小さいため、姿を確認しにくい害虫です。どのような姿をしており、被害や対処法を詳しく知りたい方は、「観葉植物に発生するハダニ」の記事も、ぜひ参考にしてみてください。

カイガラムシ

カイガラムシの症状は以下の通りです。

カイガラムシは繁殖力の強さと薬剤耐性のある厄介な害虫です。また、ネジラミとはカイガラムシの一種で根に寄生するタイプのこと。

風通しの悪い環境で育てていると、葉と葉の隙間や株元の付け根にカイガラムシが発生しやすいです。そのままにしていると、大発生してすす病を併発させたり株が弱々しくなったりするので注意してください。

見つけ次第、早めに対処しましょう。対処法は以下の通りです。

カランコエ・不死鳥にカイガラムシが発生したら、市販の殺虫剤（ベニカXファインスプレー・オルトラン・スミチオンなど）の使用が効果的です。

しかし、カイガラムシは殺虫剤が効きにくい害虫です。そのため、殺虫剤使用と布・ブラシでの拭き取りを合わせて行うと効率的に駆除できます。

カイガラムシの駆除方法については、多肉植物も観葉植物も共通です。予防や駆除に悩んでいる方は「観葉植物の白い虫はコナカイガラムシ」の記事を参考にしてみてください。

アブラムシ

カランコエ・不死鳥を徒長させると、アブラムシが増えやすくなります。徒長した茎や生育不良の新芽は柔らかく、アブラムシが集まりやすいためです。

アブラムシが発生した際の症状は、以下の通りです。

アブラムシは繁殖力が強いため短期間で増え、ウイルスを媒介する厄介な害虫です。

脱皮を繰り返して短期間で成虫になるので、アブラムシが増えると、葉に白～茶色の小さなチリのようなものが目立ち始めます。このチリのようなものは、脱皮殻です。

脱皮殻を見つけた際は、近くにアブラムシがいますので、注意深く観察して見つけてください。放っておくと生育が弱まり綺麗な新芽が出てこなくなるので、早めに対処を行いましょう。

対処法は以下の通りです。

アブラムシを見つけたら、市販の殺虫剤（ベニカXファインスプレー・オルトランなど）の使用がおすすめです。殺虫剤が効きやすい害虫なので、すぐに対処すれば被害は大きくなりません。

コバエ

コバエの症状は以下の通りです。

コバエ自体は植物に無害ですが、カランコエ・不死鳥を育てるうえでの不快害虫です。

放っておくとコバエは増えていくので、早めに対処を行いましょう。

対処法は以下の通りです。

コバエが発生したら、市販の殺虫剤（ベニカXファインスプレー・オルトラン・スミチオンなど）の使用が効果的です。しかし、飛び回るコバエにスプレーするのは難しく、土にかけても飛んでいるコバエには効果がありません。

スプレーでうまく対処できない場合は、トラップを仕掛けて数を減らしましょう。コバエのトラップは食器用洗剤やお酢、めんつゆなどで作ることができます。

植物の近くに置いておくと、簡単にコバエを捕殺できるでしょう。コバエは、発酵不十分な腐葉土やバーク堆肥、有機質肥料の匂いに引き寄せられます。

そのため、有機質肥料を取り除いたり土の表面に赤玉土や鹿沼土など3～5㎝程度敷き詰めたりするとコバエ発生を防ぐことが可能です。

カランコエ・不死鳥は乾燥に強い植物なので、一年を通して乾燥気味に管理してください。有機質を含んだ土であっても乾燥気味であれば、コバエが湧く心配は少ないはずです。

しかし、つい水やりしすぎてコバエが出てきてしまう方は「観葉植物に発生するコバエ」の記事をチェックして対策を実践してみてください。

カランコエ・不死鳥の育て方に関するよくある質問

最後にカランコエ・不死鳥の育て方に関するよくある質問とその答えを以下にまとめました。

それでは具体的に見ていきましょう。

花は咲きますか？

カランコエ・不死鳥は、釣り鐘のような赤い花を咲かせます。開花時期は早春(2月～3月頃)です。

一年を通して、日当たりの良い環境でしっかりと育てて、株が大きく生育していると花が咲きます。

秋の時期にリン酸を含む肥料を与えて、株に栄養分を蓄えさせておくと花が咲きやすいです。ただし、冬は生育が緩慢になる季節なので、土に肥料分が残らないように少なめに与えるのがポイント。

カランコエ・不死鳥の花は、気温がまだ低い早春に咲くこともあって、赤い花色が強く出ます。非常に美しいので、ぜひ花を咲かせて楽しんでください。

増えすぎた時はどうしたらいい？

カランコエ・不死鳥は、葉の縁に子株が次々でき、自然にこぼれて増えます。増えすぎて困る方も多いでしょう。

増えすぎた場合は、まずは株分けをして、鉢が窮屈にならないようにしてください。そのまま群生させて育てることもできますが、根詰まりをしたり日当たり・風通しが悪くなったりします。

最終的に、急に枯れ始めることも出てくるかもしれません。しかし、株分けで増やすにも限界はあります。

植物が好きな方へ、増えたカランコエ・不死鳥をプレゼントしたり、お互いに増えすぎた植物を交換するのに使ったりしてみるのもよいでしょう。

まとめ

カランコエ・不死鳥は、フェニックスを思わせるような力強い性質とユニークな株姿が特徴の多肉植物です。日当たりと風通しの良い場所でしっかりと育てると、早春に美しい赤色の花も咲かせてくれます。

環境適応能力や成長力が強いため、初心者でも育てやすいです。さらに簡単に増やせるため、増やす楽しみもあります。

葉にびっしりと子株が付いた姿には、植物の神秘さを感じるでしょう。ユニークな株姿は、インテリアとしても映えます。

変わった植物が好きな方へのプレゼントにも喜ばれるでしょう。増やしやすいので、ご自身で増やした株をプレゼントすると、さらに喜ばれるかもしれません。

ぜひ、魅力が多いカランコエ・不死鳥を育ててみてはいかがでしょうか。