「バラの美しさをいつまでも楽しみたい」「特別なイベントの思い出を形に残しておきたい」そんな想いからバラのドライフラワーを作りたいと考える方も多いかもしれません。
この記事では花のプロが、バラを綺麗なままドライフラワーにする方法を詳しく解説します。初心者でも簡単にできる基本的な方法から、より美しく仕上げるためのコツまでわかりやすくお伝えするので、バラのドライフラワーを作って、思い出をいつまでも大切にしてみてください。
バラのドライフラワーを作るときに知っておきたいポイント
バラのドライフラワーを作るのは難しいと感じている方も多いかもしれませんが、実は案外簡単に作れます。
花屋で働いていた当時、お客様が難しいと感じている点をお聞きすると「思っていた色と違った」「カビが生えてしまった」「想像以上に色が抜けてしまって綺麗にできなかった」などと言われることが多くありました。
難しく感じる人も多いかもしれませんが、実は次の3つのポイントを押さえるだけで案外簡単に作れます。
- 色の変化を理解する
- 適した季節を選ぶ
- 適切な乾燥場所を選ぶ
色の変化を理解する
ドライフラワーにすると、バラの色は変化します。真っ赤なバラも、乾燥後にはシックな赤色に変わることが多いです。
また、ドライフラワー作りに最適なのは、春か秋から冬にかけての湿度が低く乾燥しやすい時期です。梅雨時期は避けるようにしましょう。
適した季節を選ぶ
ドライフラワーは、風通しの良い暗い場所で乾燥させることが重要です。エアコンの風向きなども考慮し、適切な場所を選びましょう。私の失敗から学んだ経験談ですが、以前ドライフラワーを作った時に、吊るす場所を変えたただけで、いつもと違って綺麗なドライフラワーが出来上がらなくなったことがありました。
最初に吊るしていた場所のほうが、ドライフラワー作りに適していたのです。
このように、ちょっとしたポイントを押さえるだけで、誰でも綺麗なバラのドライフラワーは簡単に作れます。ぜひ挑戦してみてくださいね。
ドライフラワーにするバラの選び方
バラをドライフラワーにする際は、花の選び方がとても重要です。ドライに最適なタイミングのバラを選ぶことで、より美しいドライフラワーを作れます。
満開のバラは綺麗ですが、その段階でドライフラワーにすると、色がくすんだり形が崩れたりしやすくなるため、七分咲きくらいのタイミングでドライフラワーにするのがベストです。
そして「まだ花瓶で楽しめる」と思える段階でドライフラワーにしてしまいましょう。もったいないと感じるかもしれませんが、この時期のバラはまだ新鮮で、ドライにした際も色が美しく保たれやすいです。この段階でドライフラワーにすることで、美しい状態を長く楽しめます。
もちろん鉢植えや地植えのバラをドライフラワーにする場合も、綺麗なうちに切り取りましょう。バラを切り取るタイミングは早朝が良いです。早朝は花が最も新鮮な状態なため、乾燥させた際も形や色が綺麗に保たれますよ。
バラのドライフラワーの作り方
次にバラのドライフラワーの作り方についてまとめていきます。バラのドライフラワーの作り方はいくつかありますが、今回は初心者でも簡単に作れる方法を2点ご紹介します。
- ハンギング方
- シリカゲル方
それぞれ見ていきましょう。
関連記事:ドライフラワーの作り方
①ハンギング方
ハンギング方は特別な機械や材料を必要としないため、最も簡単に家庭で実践できる方法です。以下の手順で行います。
- バラを切り揃える
- 余分な葉っぱを取り除く
- バラを束ねて麻紐などで縛る
- 風通しの良い場所に吊るす
バラの長さを揃え、余分な葉っぱを取り除きます。たくさん葉がついていると乾燥が遅くなり、カビが発生しやすくなるため、いらないところの葉っぱは全て落としておくことが大切です。
バラを束ねるときにはキツく結びすぎないようにしましょう。キツくしすぎると茎が傷つき、乾燥がうまくいかない場合があります。
そして最後に風通しの良い場所に逆さにして吊るします。逆さにすることで、花の部分も真っ直ぐと乾燥でき、湿気の少ない場所で干すことで黒ずみを防げます。また、直射日光が当たらない場所を選ぶことも大切です。直射日光が当たってしまうと、色が褪せやすくなります。
ハンギング方は約1週間〜2週間で完成します。この間に色の変化を楽しんでみてください。アンティークっぽさが出てとても素敵なドライフラワーに仕上がっていくため、その過程も楽しめますよ。
②シリカゲル方
シリカゲル方は、色鮮やかなドライフラワーを作るにはうってつけの方法です。乾燥剤であるシリカゲルを使うことで、バラの美しい色を保ちながら乾燥できます。以下がシリカゲル方の手順です。
- バラを切り揃え、花びらを整える
- 容器にシリカゲルを敷きバラを置く
- バラの上に優しくシリカゲルをかけて埋める
- 密閉する
ハンギング方と同じようにバラの長さをカットしたり、余分な葉を取り除いたりします。容器に入れることを考えると、花首のすぐ下など短めにカットしておいた方が良いです。
容器にシリカゲルを敷きます。このとき使用するシリカゲルは、一般的な乾燥剤ではなく、粒子の細かい園芸用のものを使用しましょう。花びらの間まで綺麗に入るのでおすすめです。
容器に敷いたシリカゲルの上にバラを置きます。そして、スプーンなどを使ってシリカゲルでしっかり埋めましょう。花びらの間や隙間にもシリカゲルが行き渡るように丁寧に埋めてくださいね。
容器の蓋をしっかりと閉めて密閉します。シリカゲルがバラの水分をしっかり吸収するため、外気が入らないようにしましょう。
1週間ほどしたら完成です。シリカゲルから優しく取り出しましょう。シリカゲルが花びらに残っている場合は、ブラシなどを使って優しく取り除いてください。
ハンギング方とは違い、シリカゲル方で作ったドライフラワーは、生花の色が綺麗に残っているところが良い点です。濃くはっきりとした生花っぽさを楽しんでくださいね。
バラのドライフラワーの飾り方
バラのドライフラワーは、美しさを長く楽しむだけでなく、お部屋のインテリアとしても素敵なアイテムとなります。しかし、どのように飾れば一番素敵に見えるのか気になるところでしょう。誰でも簡単におしゃれに見せる方法を紹介します。
- スワッグにして飾る
- ガーランドにして飾る
- 花瓶に飾る
- ボトルに入れて飾る
- 箱に入れて飾る
それぞれ見ていきましょう。
スワッグにして飾る
バラのドライフラワーをスワッグにして飾ると、おしゃれでナチュラルな雰囲気を演出できます。スワッグは花束を逆さに吊るしたような形の飾りで、簡単に作れるのも魅力です。
バラのドライフラワーをメインに、他のドライフラワーやグリーンを組み合わせます。前後の長さやボリュームを調節しながら、自然な形になるように束ねてみてください。色味などはもちろん、自分の好みのままに作れますよ。
まとめたら、茎の根本をしっかりと結びましょう。麻紐でナチュラルさを演出しても良いですし、結び目が見えないようにリボンを使用してもおしゃれに仕上がります。
結び目の部分をフックや壁に吊るすことで、お部屋の好きな場所に飾れます。
ガーランドにして飾る
ガーランドは紐やワイヤーでつないだ装飾品です。バラのドライフラワーをガーランドにして飾ると、お部屋に華やかな雰囲気を加えられます。
まず、飾りたい場所の長さに合わせて麻紐などをカットします。調節しやすくできるように少し長めにカットしておきましょう。バラと他の花材を小さな束にして、クリップやホッチキスを使って麻紐に取り付けます。
リボンやビーズなど季節やイベントに合わせて花以外も組み合わせると、さまざまな雰囲気を楽しめますよ。
花瓶に飾る
ドライフラワーだからといって花瓶に飾ってはいけないわけではありません。ドライフラワーは生花と違って水を必要としないため、手間をかけずに長期間楽しめます。
バラのドライフラワーに合う花瓶を選び、バラだけや、他のドライフラワーやグリーンを組み合わせて飾りましょう。花瓶は、サイズやデザイン、素材によって見え方が違ってくるので、好みのものを選ぶと良いです。
直射日光が当たらない場所に飾って楽しみましょう。
ボトルに入れて飾る
ボトルに花が入れると聞くと、ハーバリウムを想像しますが、ドライフラワーを入れても素敵なインテリアになります。
ボトルは、サイズや形によって雰囲気が変わります。バラのドライフラワーが収まるものを選び、デザインはインテリアに合うものを選ぶと良いでしょう。
小さめのボトルに入れたい場合は、無理にドライフラワー全体を入れようとせず、ミニバラや花びらの部分だけ入れて楽しむのも素敵です。
乾燥しているドライフラワーは優しく扱わなければボロボロになってしまいます。ボトルに入れる際には、ピンセットなどを使用して花びらが崩れないように丁寧に行いましょう。
キャップをしっかりと閉めて飾るため、ドライフラワーにホコリが被る心配もなく、お手入れも楽にできます。
箱に入れて飾る
バラのドライフラワーを1本箱に入れて飾るのも素敵です。そのまま一輪の花束のように飾れます。
また、好みの箱に吸水性スポンジをセットして、ドライフラワーを挿していくのも可愛いアレンジメントが出来上がります。もちろんドライフラワーを挿していくので、吸水性スポンジは水分を吸収させていないまま使ってください。
スポンジに挿していくときには、大きさや色のバランスを考えて配置しましょう。高低差をつけることで立体感も生まれます。
バラのみでも綺麗ですが、バラの間に他のドライフラワーやグリーンを挿すと華やかさが増します。スポンジに挿すときにグルーガンを使用すると、しっかりと固定するため花が動かず安定するのでおすすめです。
バラのドライフラワーを長く楽しむコツ
バラのドライフラワーは、美しさを長期間楽しむためにいくつかの工夫が必要です。以下のポイントについて詳しく説明します。
- しっかり乾燥させておく
- 高温多湿を避けて飾る
- 直射日光を避けて飾る
それぞれ見ていきましょう。
しっかり乾燥させておく
バラのドライフラワーを長く楽しむために最も重要なポイントは、作る時点でしっかり乾燥させておくことです。ハンギング方で作った場合、最低でも1週間〜2週間乾燥期間を確保しましょう。シリカゲル方でも1週間以上は必要です。
乾燥させる場所は、風通りが良く直射日光が当たらないところが最適です。乾燥させる時点で、日光が直接当たると、色褪せの原因になります。また、湿度の低い環境で乾燥させると、カビの発生を防げます。
乾燥が不十分だと、後々カビが生えたり、色が変わったりすることがあるため、花びらがパリパリとするまでしっかり乾燥させてください。全体的に触ってみて、柔らかいところがないかもしっかり確認してくださいね。
丁寧に乾燥させたバラは、お部屋のインテリアとして長く楽しめます。
高温多湿を避けて飾る
湿度が高いと、ドライフラワーが湿気を吸収して、カビが生えたり花びらが柔らかくなったりすることがあります。また、高温の環境では色褪せが早く進んでしまい、ドライフラワーの美しさが損なわれることもあります。
ドライフラワーを飾る場所は、風通しが良く、涼しい場所を選びましょう。梅雨や夏の時期は、エアコンや除湿機を使って部屋の湿度を管理すると良いです。
直射日光を避けて飾る
高温多湿を避けるとともに、直射日光も避けて飾ることが重要です。乾燥させている最中と同じように、直射日光が当たるところに飾っていると、ドライフラワーの色が褪せやすくなり、鮮やかさが失われてしまいます。
窓辺は日光が当たりやすいため、窓から離れた場所やレースのカーテンなどで日光を遮れる場所を選びましょう。
日光に頼らずとも、部屋の照明を利用して美しく照らしてみてください。間接照明を使うと、柔らかな光でドライフラワーの魅力が引き立ちます。
ドライフラワーの寿命
ドライフラワーは生花と違い、適切に管理すれば長期間楽しめます。しかし、永遠に美しさを保つわけではなく、時間とともに少しずつ劣化していくことも事実です。
明確にドライフラワーの寿命は決められていませんが、一般的には半年から1年ほどが「美しい状態を保てる期間」と言われています。
最初色鮮やかなドライフラワーも、時間が経つに連れて徐々に色褪せていきます。特に光に当たると色褪せが早く進むため、直射日光は避け湿度にも注意が必要です。
そのほか、適切なお手入れも欠かせません。垢が積もると見た目が悪くだけでなく、劣化も早まります。柔らかいブラシやエアダスターを使って定期的に垢を払うことで、清潔に保ち寿命を延ばせるでしょう。
ドライフラワーの劣化も自然な形で進んでいくため、変化を楽しむこともドライフラワーの魅力の一つと捉えてみてください。作ったら終わりではなく、時間とともに変化するドライフラワーは、長い間見る人を楽しませてくれます。
バラのドライフラワーの花言葉
日本ではドライフラワー自体に特定の花言葉は存在しないと言われていますが、西洋では「永久」「感謝」「終わらない友情」などの意味が込められています。生活の一部として親しまれ、インテリアやお葬式のお供えにも用いられているため、日本とは違い生花同様、花言葉がつけられているのです。
バラは世界中で人気のある花で、特にピンクのバラは「幸福」「温かい心」という花言葉を持っています。それに加えてドライフラワーにしたときに、西洋ならではのドライフラワーの花言葉「永久」「感謝」「終わらない友情」といった意味も込められると考えると、バラのドライフラワーは、とても素敵なものに感じますね。
関連記事:ドライフラワーの花言葉
バラのドライフラワーなら「ドライフラワーブーケ ピンク」がおすすめ
AND PLANTSでは、ピンクのバラが使われた「ドライフラワーブーケ ピンク」をスワッグの形でご用意しています。
お部屋の壁やドアを華やかに彩れるブーケです。ピンクの色味はくすんだ風合いで愛らしく、お部屋を上品に飾ってくれます。引っ掛けるための輪っかがついているので、届いたらすぐに好みの場所に飾れますよ。
[https://andplants.jp/products/dryflower-swag-pink]バラのドライフラワーに関するよくある質問
最後にバラのドライフラワーに関する質問にいくつかお答えします。
- ドライフラワー作りに適した季節はある?
- カビが生えてもその部分を取り除けば大丈夫?
- 花束をそのままドライフラワーにできる?
それぞれ見ていきましょう。
ドライフラワー作りに適した季節はある?
ドライフラワー作りに最も適している季節は春と、秋から冬にかけてです。春と秋は気温が穏やかで湿度も低めなため、花がカビたり腐ったりするリスクが少なく、スムーズに乾燥が進みます。梅雨時期や夏は高温多湿なため、ドライフラワー作りには不向きです。
筆者は、全ての季節にハンギング方でドライフラワーを作ったことがありますが、梅雨時期などは葉っぱを少なくしたり、束ねる量を減らしたりしてもカビてしまう確率が高かったです。また、夏や冬でもエアコンが効きすぎている場合、花が縮んだりとうまくいかない時もありました。
ハンギング方で作る場合、どこに干すかで乾燥具合も違ってきますし、目に見えないエアコンの風通りもあるかと思います。季節を問わず、各家庭によってどこで乾燥させるのかが一番のポイントだと思います。
カビが生えてもその部分を取り除けば大丈夫?
カビが生えてしまったドライフラワーは処分することをおすすめしています。
少しのカビなら、その部分や隣接している部分を取り除けば美しい見た目は保たれるでしょう。しかし、実際には目に見えない小さなカビが広範囲にわたっている場合がほとんどです。そのままにしておくと再びカビが生えてしまいます。
「思い出がたくさん詰まっているドライフラワーだから、もう少し楽しみたい」と考える場合は、カビ部分を取り除いた後に、飾る場所をかえてみましょう。それまで飾っていた場所は風通りが悪いのかもしれません。風通りの良い場所に変えて様子を見てください。
花束をそのままドライフラワーにできる?
お気に入りの花束をそのままドライフラワーにしたいと考える方も多いと思います。しかし、花束をそのままドライフラワーにすることはおすすめできません。
たくさんの花が束ねてある花束は、水分が抜けにくく、うまく乾燥されません。また、全ての花がドライフラワーに適しているわけではないため、花束をそのままうまく乾燥させようとすると不可能です。
綺麗に束ねてある花束をバラすことは少し残念かもしれませんが、バラして干したり、シリカゲルに入れたりするなどしてドライフラワーにしてみてください。
まとめ
バラを美しくドライフラワーにするための具体的な方法とコツをご紹介しました。生花はとても美しいものですが、管理や手間に時間が取られ、いずれは枯れてしまいます。その点ドライフラワーは、綺麗に乾燥させれば生花とは比べられないくらい、長期間美しさを保てます。
この記事を参考に、ぜひ自宅でのドライフラワー作りに挑戦してみてください。