「多肉植物の水やりタイミングが分からない」
「水やりしていただけなのに、元気がなくなってきた」
多肉植物を育てている方は、上記のような悩みを持っていませんか。水やりは、どの植物にとっても重要なポイントです。
水やりの量や与えるタイミングは、多肉植物を良くも悪くもしてしまいます。そこで、今回は多肉植物の水やり方法について詳しく紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
一言で多肉植物と言っても多くの種類があります。そのため、生育型別の水やり時期についても解説しています。
育てている多肉植物の生育型についても確認して水やりをしましょう。
[https://andplants.jp/collections/caregoods]多肉植物の水やり方法
多肉植物の水やり方法は、以下の3点です。
- 鉢土の中心部まで乾いてから水やりする
- 鉢底から水が流れるくらい水やりする
- 季節によって与えるタイミングを変える
それぞれ、詳しく解説します。
鉢土の中心部まで乾いてから水やりする
多肉植物の水やりは、「鉢土の中心部まで乾いてから」が基本です。土が乾いていない状態で水やりすると、根腐れしやすいので気を付けてください。
多肉植物は多肉質な葉や茎、根などに水分を蓄える性質があります。しかし、常に土が湿っているほど、頻繁に水やりしてしまうと、多肉植物であっても吸水しきれません。
結果的に、根腐れを引き起こす原因になります。また、多肉植物自体の水分含量が増えるほど、夏は蒸れやすく、冬は凍結しやすいです。
多肉植物の水やりは、鉢土がしっかり乾いていることを確認して行いましょう。
鉢底から水が流れるくらい水やりする
多肉植物への水やりは、鉢底から水が流れるくらいしっかりと与えてください。
水やりは、土の中に溜まった余分な肥料分を流しだしたり、空気中の酸素を供給したりする役割もあるためです。
水量が少ないと鉢土の上部だけ湿って、根が伸びている鉢底部分は水分が行き渡っていないことがあります。その場合、水やりしているにも関わらず、水不足の症状が現れることも。
土中環境も悪くなりやすいので、与える時は鉢底から流れるくらいたっぷり水やりしてください。
季節は問わず水やりは、鉢底から流れるくらい与えます。冬であっても、鉢底から水が流れる水やりをしましょう。
季節によって与えるタイミングを変える
多肉植物の水やりは、季節によって与えるタイミングを変えてください。例えば、「春秋は早朝または夕方」「夏は涼しい夕方」「冬は暖かい日中」といった形です。
気温が上がり始める午前に水やりすると、気温が高い日中に土の中が蒸れて根が傷んでしまいます。特に夏は、そのまま根が煮えてしまって枯れることも。
反対に、寒い冬では気温が下がり始める夕方以降に水やりすると、土が凍結したり根が冷えて傷んだりします。
多肉植物の耐暑性や耐寒性に関係なく、季節によって水やりのタイミングを変えると、水やりによる生育不良は少なくなるでしょう。
品種によっては夕方~夜がおすすめ
季節によって水やりタイミングを変えることは、多肉植物にとって重要なことです。しかし、一部の品種によっては夕方~夜に固定して水やりした方がよい場合もあります。
多肉植物はCAM(Crassulacean Acid Metabolism)植物に分類される品種が多いためです。CAM(かむ)植物とは、夜に気孔が開いて根から水分を吸収する植物のこと。
日中は気孔を閉じているので、水やりしてもあまり吸水しません。そのため、CAM植物でもある多肉植物の品種に、午前~午後の間で水やりしても、吸水効率が悪いです。
代表的なCAM植物に分類される多肉植物には、以下4つの科があります。
- ベンケイソウ科
- サボテン科
- トウダイクサ科
- ハマミズナ科(ツルナ科)
上記の科に当てはまりませんが、アロエも代表的なCAM植物です。アロエを含めたCAM植物の多肉植物は、夕方以降に水やりすると効率的に吸水するので、水やりによる失敗は少なくなるでしょう。
ただし、冬の夜は気温が低すぎるので、「暖かい時間帯に水やりする」または「断水する」などの管理をするようにしてください。
参照記事:岡山理科大学 生物地球学部 生物地球学科 CAM植物
多肉植物の水やりサイン
多肉植物の水やりサインには、以下の3つがあります。
- 葉がしわしわ
- 株がキュッと閉じている
- 葉が薄くなっている
「多肉植物は水を蓄えるから、水やり頻度は少なくする」といったことは、理解している方は多いと思います。しかし、いざ水やりするときは「いつどのタイミングでするの?」と悩みませんか。
多肉植物の水やりサインを見ていきましょう。
葉がしわしわ
多肉植物の水やりサインに「葉がしわしわ」があります。多くの多肉植物に共通するサインです。
葉や茎、幹などの中に溜め込んでいる水分が少なくなると、その部分がしわしわになります。しわしわになった葉や茎、幹などは、パッと見てわかりやすい変化です。
見逃さないように、しわしわになったタイミングで水やりしましょう。生育期であれば、翌日にはぷっくりとした姿に戻ります。
生育が緩慢な真夏や冬の場合は、数日かかる場合もありますが、根傷みしていない限りは、元に戻るので安心してください。
株がキュッと閉じている
エケベリアやハオルチア、アガベなどの多肉植物は、株がキュッと閉じている時が水やりサインです。
株がロゼット状(バラの花が開いたような姿の状態)の多肉植物は、株がキュッと引き締まったような姿をしているタイミングで水やりしましょう。アガベの場合は、葉の付け根が、さらにしわが寄ったタイミングで与えるとよいです。
株がキュッと閉じているタイミングで水やりすると、吸水後は葉が徐々に開いてきます。品種によっては、閉じていた方が見栄えがいい場合もあるので、乾燥気味を維持する方も多いかもしれません。
しかし、水やりする場合は、鉢底から流れるくらいに水やりしないと、根の生育に悪影響を与えます。乾燥気味に管理する場合は、メリハリを意識してください。
葉が薄くなっている
多肉植物の水やりサインには、「葉が薄くなっている」があります。特に、葉が小さかったり、元々薄かったりするタイプの多肉植物に現れやすいサインです。
「葉がしわしわ」のサインと同様に、葉に蓄えられていた水分が少なくなることで現れます。わかりやすい変化なので、見逃さないようにしてください。
多肉植物は、品種によって葉の厚さが異なります。水やり後の葉の厚さを前もって確認しておきましょう。
生育型別|多肉植物の水やり時期
多肉植物は生育する季節によって、「春秋型」「夏型」「冬型」の3タイプの生育型に分けられます。生育型別の主な水やり時期は以下の通りです。
- 春秋型|春・秋
- 夏型|春~秋
- 冬型|春・秋~冬
それぞれ詳しく見ていきましょう。
育てている多肉植物が、どの生育型に当てはまるのか気になる方は、「多肉植物の育て方」の記事で詳しく紹介しているので、ぜひ確認してみてください。
春秋型|春・秋
エケベリアやハオルチアなどが当てはまる春秋型多肉植物の水やりは、春と秋をメインにしっかり与えます。
- 春秋:手で土を触って水分を感じなくなったら(鉢の中央部分までしっかり乾いてから)
- 夏:手で土を触って水分を感じなくなって1週間後
- 冬:手で土を触って水分を感じなくなって1週間後
春秋型の多肉植物は、梅雨が明けて気温が高くなるタイミングで徐々に水やりを控えてください。夏にたっぷり水やりすると、過湿によって腐る恐れがあります。
思い切って断水すると、葉は薄くなりますが根腐れ防止に効果的です。気温の低い冬は暖房が効いている部屋に置いていない限りは、非常に生育が緩慢な状態になっています。
乾燥気味に管理して、暖かい時間帯に水やりしましょう。
夏型|春~秋
サンスベリアやカランコエなどが分類される夏型多肉植物の水やりは、以下の通りです。
- 春秋:手で土を触って水分を感じなくなって2~3日後
- 夏:手で土を触って水分を感じなくなったら
- 冬:断水する
夏型の多肉植物は、春に気温が上がり始めたら徐々に水やりを開始してください。秋は気温が下がるにつれて、水やりを控えて乾燥気味にします。
夏型の多肉植物は、夏の成長期に水を好む一方、過湿を嫌います。夏の水やりは涼しい早朝や夕方に行い、風通しを良くしておくことがポイントです。
冬に水やりすると根腐れしやすいため、断水がおすすめです。しかし、株が小さかったり葉が薄かったりする場合は、葉にしわが寄ったら水やりした方が安心して冬越しできます。
筆者は「暖房が効く部屋だから」冬にサンスベリアに水やりしていたら、見事に根腐れさせて枯らした経験があります。夏型の多肉植物への冬の水やりには注意してください。
冬型|春・秋~冬
リトープスやアエオニウムなどの冬型多肉植物の水やりは、春と秋冬をメインに行います。
- 春秋:手で土を触って水分を感じなくなって2~3日後
- 夏:断水
- 冬:手で土に触って水分を感じなくなったら
冬型の多肉植物は、春秋の生育が緩慢なタイプです。手で土を触って水分を感じなくなって2~3日後に水やりするくらいがちょうどよいです。
夏は休眠するため、基本的に断水してください。冬型の多肉植物は、夏に水やりしすぎると株が溶けるように腐るので注意しましょう。
冬の水やりは、温度がしっかり上がったタイミングで行います。気温が下がる夕方以降に水やりすると、根傷みに繋がり逆効果なので気を付けてください。
地植えの多肉植物の水やりは基本不要
セダムやエケベリアなどの多肉植物には、地植えができる品種があります。地植えしている多肉植物の水やりは基本不要。
自然の雨の中で育つからです。ただし、極端に雨が降らない時期が続く場合は、水やりしてあげましょう。
冬は生育が緩慢な時期なので、雨が降らなくても水やりはしないようにしてください。凍結の恐れがあります。雪や霜が当たる場合は、ビニールや不識布を被せておくと安心です。
地植えできる多肉植物でも寒さに弱いタイプがいます。1年を通して地植えしたい場合は、耐寒性が強い多肉植物を選んでお庭や花壇に植えましょう。
多肉植物に水やりする時の注意点
多肉植物に水やりする時の注意点は、以下の5つです。
- 株の頭上から水やりしない
- 霧吹きで水やりしない
- 「何日に一回」で与えない
- 受け皿に水を溜めない
- 冬に冷たい水道水で水やりしない
それぞれ詳しく解説します。
株の頭上から水やりしない
多肉植物に水やりするときは、株の頭上から与えないでください。葉や茎の隙間に水が溜まり、蒸れや病気の原因になるためです。
エケベリアやカランコエなどのように細かな葉が茂っているタイプは、特に気を付けます。水やりは多肉植物にかからないように、鉢土をまんべんなく湿らせるように与えてください。
もし葉や茎の隙間に水が溜まったり水滴が付いたりした場合は、ブロアーで吹き飛ばすと安心です。筆者は精密機器に使う電動ブロアーで、たまった水や水滴を吹き飛ばすようにしています。
霧吹きで水やりしない
多肉植物に水やりするときの注意点は、「霧吹きで水やりしない」です。水やりの基本は、鉢底から水が流れるようにたっぷり与えること。
霧吹きで土の表面を湿らせるように与えても、水が鉢底まで浸透しにくいです。表土ばかりが湿って、鉢底は水切れ状態になりやすいので、注意してください。
霧吹きは葉水をする際に使用して、水やりは細い口のジョウロで優しく水やりしましょう。
[https://andplants.jp/products/wateringcankeinnsmall]「何日に一回」で与えない
多肉植物の水やりは、「何日に一回」といった目安では行わないでください。季節による温度や日当たり、風通しなどの環境変化によって、吸水量や土の乾燥スピードが異なるためです。
多肉植物は、品種によって生育型が異なります。季節によって生育期がはっきりと分かれるため、「何日に一回」と決まった間隔で水やりし続けると、水のやりすぎや水不足になりやすいです。
そのため、水やりは土の乾燥具合を確認して行ってください。土を触ったり、鉢の重さを確認したりして水やりすると安心です。
受け皿に水を溜めない
多肉植物は多湿環境を嫌います。そのため、基本的に受け皿に水を溜めないようにしてください。
水やり後に受け皿に水を溜めたままにしていると、土が乾きにくいため根腐れしやすいです。特に夏の時期に受け皿に水を溜めていると、蒸れの原因にもなります。
水やり後は、こまめに受け座に溜まった水は捨ててください。
冬に冷たい水道水で水やりしない
冬に多肉植物に水やりする場合、冷たい水道水を与えないように気を付けます。
冷たい水を与えてしまうと根傷みを引き起こしやすいためです。特に、気温が下がる夕方以降に冷たい水道水を与えると、凍結する可能性もあります。
冬に水やりする機会は少ないですが、与える場合は常温の水や30~35℃程度の温い水を与えると、根にストレスがかかりません。水温を気にすることなく、水やりすることは多いと思いますが、冬は注意してください。
多肉植物の水やりに関してよくある質問
最後に多肉植物の水やりに関してよくある質問とその答えを以下にまとめました。
- 多肉植物の水やり方法は室内と屋外で違う?
- 多肉植物の植え替え後はすぐに水やりしてもいい?
- ボール型の器に植えている多肉植物の水やり方法は?
- 多肉植物の水やりに便利な道具は?
それでは具体的に見ていきましょう。
多肉植物の水やり方法は室内と屋外で違う?
多肉植物の水やり方法は室内と屋外で変わりません。
どちらであっても、鉢土の中心部が乾いたら水やりが基本です。また、鉢底から水が流れるように水やりすることも同様です。
注意点としては、室内と屋外では日当たりや風通し、温度に違いがあるため、土が乾くスピードが異なります。そのため、室内と屋外の多肉植物に同じタイミングで、水やりすることがないように気を付けてください。
多肉植物の植え替え後はすぐに水やりしてもいい?
多肉植物の植え替え後はすぐに水やりしてください。水やりすることで、土が根の隙間に入って、株も安定します。
水やり後は、土の乾燥具合を見て、再度水やりしましょう。ただし、根付きの多肉植物に限ります。
挿し木として土に挿す場合は、根が出るまで水は与えません。挿し木状態で植え替えている場合は、根が出てくるまで待ちましょう。
ボール型の器に植えている多肉植物の水やり方法は?
鉢底穴がある器であれば、通常通りに水やりしてください。しかし、鉢底穴がないガラスのボール型容器であれば、鉢底穴のある容器に植え替えることをおすすめします。
鉢底穴のない容器に植え付けている多肉植物は、その時は状態が良いですが、水やりしても水が溜まってしまいます。水量を少なくしても、蒸れたり徒長の原因になったりして、いずれ枯れる可能性が高いです。
そのため、基本的に穴の開いていないボール型の器に植えている多肉植物への水やり方法はありません。霧吹きで表面を湿らせるだけでは水不足になりますし、全体的に湿らせると根腐れしやすいです。
鉢底穴のあるボール型の器に植え替えて水やりしましょう。
多肉植物の水やりに便利な道具は?
多肉植物の水やりに便利な道具は、「口が細いジョウロ」「水やりチェッカー」などです。水やりはペットボトルやコップでも問題ありませんが、どうしても葉や茎に水がかかりやすくなります。
口が細いじょうろであれば、葉や茎が茂っている多肉植物であっても、株元の土だけを湿らせるように水やりできます。蒸れや病気が心配な方は、口の細いじょうろで優しく水やりしましょう。
水やり前に、土の乾燥具合が分からない場合は、水やりチェッカーを使うと水やりのサインが掴みやすいです。多肉植物の場合は葉の状態を把握することが大事ですが、1つの目安として使ってみてはいかがでしょうか。
[https://andplants.jp/products/watering_checker_sustee_large_single]まとめ
多肉植物の水やり方法の基本は、「鉢土の中心部まで乾いてから水やりする」「鉢底から水が流れるくらいに与える」「季節によって水やりタイミングを変える」です。
多肉植物にはさまざまな品種があるので、育てている品種がどの生育型に当てはまるのかを知ることもポイント。「どの季節によく育つのか」を知るだけでも、グッと水やりが簡単になるでしょう。
「多肉植物は水やりが少なくて育つ」とよく見たり聞いたりします。間違いではありませんが、水やりが少なすぎても元気に育ちません。
この記事で紹介した水やり方法や水やりサイン、注意点を参考にして、多肉植物の水やりを上手に行ってください。
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