ぷっくりした幹や根元が特徴的なガジュマル。その可愛らしさから、ガジュマルを観葉植物として育ててみたいと思ったことがあるのではないでしょうか。
ガジュマルをお部屋に迎えるにあたって、育て方に悩んでいませんか。特に、植え替えについて「いつするのか」「植え替え方法」などがわからず、そのまま育てる方も多いと思います。
今回は、ガジュマルの植え替えについて解説します。植え替えは、鉢植えで植物を健康に育てるためにも大事な作業です。
植え替え後の育て方やハイドロカルチャーへの植え替えにも触れているので、ぜひ参考にしてください。
ガジュマルの特徴
ガジュマルは、膨らんだ幹や根元から「気根」と呼ばれる根を出す植物です。この気根には、空気中の水分を吸収する役割があります。
自生地では気根が地中に降り立つと、土の中に潜り次第に太くなって幹を支える役割を持ちます。日本の環境でも気根は伸びるので、切らずにそのまま育てるのも面白いでしょう。
気根を伸ばして育てる場合は、通常の根以外に気根も鉢の中で成長します。そのため、鉢の中で、根詰まりしやすい状態に。
ガジュマルを上手に育てるためには、定期的な植え替えが必要です。上手に植え替えつつ、元気に育ててください。
[https://andplants.jp/collections/chinesebanyan]ガジュマルは植え替えが必要|2~3年に一度
ガジュマルを元気に育てるためには、2~3年に一度植え替えが必要です。ガジュマルを植えっぱなしにしていると、鉢の中で根詰まりを起こして水分や養分を吸収できなくなるので注意してください。
また、ガジュマルを植え替えるサインは、年数だけではありません。以下の3つのサインに気を付けましょう。
- 鉢底から根が出ている
- 水やり後に土の吸水が悪い
- 葉が黄色くなる
植え替えサイン①|鉢底から根が出ている
鉢底からガジュマルの根が出ている場合も、植え替えが必要です。鉢の底から根が出てきている状況は、生育が順調で土の中で根を伸ばすスペースが減っていることを表しています。
ガジュマルの生育状況によっては、植え付けて2年経たずと鉢底から根が出てくることも。一回り大きな鉢に植え替えることで、根がのびのびと成長して、さらに元気に育ちます。
私が園芸店に勤めていた時は、お客様から「鉢底から根が出てきてどうすればよいのか」悩んでいる方が多くいらっしゃいました。「そのままにしておいたら、葉が落ちてきた」との声もありましたので、植え替えをしてください。
植え替えサイン②|水やり後に土の吸水が悪い
ガジュマルの植え替えは、水やり後に土の吸水が悪い場合も行います。吸水が悪いとは鉢の表面に水が溜まっていたり、鉢底から水が流れたりする時間が長い状態です。
同じ土で長年育てていると、鉢の中で土の団粒構造が崩れてしまいます。結果的に、泥のようになり、空気の隙間が無くなるので、水が流れず吸水が悪くなるので注意が必要です。
また、鉢底で崩れた土が詰まると排水が悪くなり、根腐れの原因になります。そのため、水やり後に水が土の表面に溜まっていたり、鉢底から流れる時間が遅くなったりしたときは、植え替えをしてください。
植え替えサイン③|葉が黄色くなる
ガジュマルの葉が黄色くなる時も、植え替えのサインです。葉が黄色くなる原因には、根が傷んでいる可能性が考えられます。
もちろん、病害虫や寒さの影響でも葉は黄色くなりますが、どちらも当てはまらない場合は根傷みの可能性が高いです。暖かい生育期に鉢から取り出して、根をチェックしてください。
スカスカな根や黒ずんでいる根を取り除き、新しい土に植え替えることで綺麗な葉が出てくるでしょう。黄色くなった葉は、一緒に取り外しておくと見た目や風通しがよくなります。
根腐れした場合も植え替えが必要
ガジュマルは土が常に湿っていたり、受け皿に水を溜めていたりすると根腐れする植物です。根腐れすると、水分や養分を吸収することができずに、次第に葉が黄色くなってぽろぽろと落ちてきます。
また、鉢底から異臭が漂うこともあるので気を付けてください。そのままでは根腐れの症状は止まらないため、新しい土に植え替えます。
その際に、溶けたような根や黒ずんだ根はすべて取り除きましょう。植え替え後は、発根剤を薄めた水で水やりをしながら様子を見てください。
ガジュマルの植え替え時期|5月~9月
ガジュマルの植え替え時期は、5月~9月です。早春の3月は気温が安定していないので、植え替え後に低い温度に当たると傷む可能性があります。
しっかりと気温が上がった時期に植え替えると安心です。気温が下がり始める11月以降は植え替えないようにしてください。
室内の暖房で暖かいとはいえ、冬に植え替えると暖房を切った後に急に冷え込みます。気温の低い時期は生育が緩慢なので、ガジュマルは傷みやすく回復しにくいです。
そのため、ガジュマルの植え替えは暖かい5月~9月に行いましょう。
ガジュマルの植え替えに必要な道具
ここでは、植え替えに必要な道具を紹介します。
今まで植えていた鉢より一回り大きな鉢を準備してください。4号鉢であれば、5号鉢を準備します。
葉や根を切るハサミは清潔で切れ味のよいものを準備しましょう。不清潔で切れ味の悪いハサミは病原菌が入ったり、切り口の組織が潰れたりしてガジュマルが傷む可能性があります。
新しい土は、市販の観葉植物の土がおすすめです。オリジナルで作る場合は、赤玉土(小粒):腐葉土=7:3の割合で混ぜた土を基本として、小粒の軽石やパーライトを1割ほど混ぜ込み水はけをよくしてください。
植え替え時に床が汚れないように、園芸用シートがあると作業がしやすいです。園芸用シートの代わりに新聞紙やビニールシートでも代用できます。
植え替え手順
植え替えに必要な道具を準備したら、実際にガジュマルを植え替えましょう。植え替えの手順は以下の5つです。
- 鉢底網を敷いて鉢底石を入れる
- 新しい土を入れる
- ガジュマルを鉢から取り出す
- 根鉢をほぐす
- 準備した鉢にガジュマルを植える
それぞれの手順を解説します。
①鉢底網を敷いて鉢底石を入れる
作業前に園芸シートを敷いておきましょう。その上に植え替える鉢を準備し、鉢底網を敷きます。
その上から、鉢底網が見えなくなる程度に鉢底石を入れてください。鉢の大きさにもよりますが、鉢の高さの1/5~1/4の量を入れるとちょうどよいです。
②新しい土を入れる
鉢底網と鉢底石を入れた鉢に、新しい観葉植物の土を鉢の半分ほど入れてください。
③ガジュマルを鉢から取り出す
植え替えるガジュマルを、鉢から優しく取り出します。この時に、強く幹を引っ張ると根が切れて傷んでしまうので、気を付けてください。
鉢を逆さまに向けるように持って、ガジュマルの根鉢が落ちてくるように優しく取り出します。根が張って取り出せない場合は、鉢の縁をトントンと叩いたり、鉢底穴に棒を差し込んで押し出すように取り出したりしてください。
④根鉢をほぐす
根鉢が固まっている場合は、土と一緒にほぐします。根がスカスカに枯れていたり、根腐れしていたりするときは、ハサミやピンセットを使って取り除いてください。
一緒に枝葉も剪定する場合は、白い樹液に触れないように手袋を作業前からしておくと安心です。ガジュマルの樹液には、ラテックスと呼ばれるゴムの成分が含まれており、ゴムアレルギーの方や肌が弱い方はかぶれる恐れがあるので気を付けてください。
⑤準備した鉢にガジュマルを植える
鉢底網、鉢底石、新しい土が入った植木鉢に、根を整理したガジュマルを入れます。植木鉢のサイズは、現状より一回り大きいものを選ぶといいでしょう。
また、植え替えの際は、鉢の真ん中にガジュマルを設置すると見た目が良いです。場所が決まったら、スコップで観葉植物の土を入れてください。
ただし、鉢の縁いっぱいまで入れると、水やり時に土がこぼれてしまいます。そのため、鉢の縁が1~2㎝程開くようにウォータースペースを取っておきましょう。
土をスコップで入れた後は、細い棒で土を突いて狭い隙間にも土が入るようにします。その後、鉢の縁をトントンと叩いて土をならせば植え替えが完了です。
ガジュマルを植え替えた直後は、鉢底から水が流れるようにたっぷりと水やりしてください。
[https://andplants.jp/products/evo-soil-2l]植え替え後の育て方
ガジュマルの植え替え直後は、土に根が張っていません。そのため、置き場所や日当たり、温度などの育て方に注意してください。
上手に植え替えができても、その後の育て方によっては枯れる恐れがあるためです。以下の3つのポイントに絞って解説します。
- 置き場所と日当たり
- 温度
- 水やりの頻度
関連記事:ガジュマル(多幸の木)の育て方
置き場所と日当たり
ガジュマルを植え替えた後は、直射日光の当たらない明るい日陰や室内で2週間ほど管理してください。植え替え直後に、直射日光に当てると葉焼けする恐れがあるため注意が必要です。
室内の窓際に置くと、植え替え直後に日差しが当たる場合があるので、窓際から離しておくとよいでしょう。2週間ほど管理すると新芽が出てきます。
新芽が出てくると、土の中で新しい根が伸びてきている証拠です。このタイミングで、元々ガジュマルを育てていた場所に置くと、順調に育ちます。
温度
ガジュマルの植え替え時期は、生育期の5月~9月です。そのため、気温が低いことはないので心配はいりませんが、植え替え直後は15℃以上を保ってください。
ガジュマルは5℃以上をキープして育てる植物ですが、植え替え直後は植え傷みによって弱っています。このタイミングで低温に当たると枯れる恐れがあるので、暖かい環境で育てることが重要です。
特に、秋以降は気温が下がり始めるので、植え替えには注意してください。暖房が入っていても、冬に植え替えると調子を崩しやすいため、植え替え時期は守りましょう。
水やりの頻度
植え替え後のガジュマルの水やりは、土の表面が乾燥したらたっぷり水やりしてください。この時に、発根剤を水に薄めて水やりすると、発根が促進されて生育がよくなります。
特に、根腐れや根傷みが原因で植え替えている場合は、発根剤を与えながら水やりすると効果的です。ただし、受け皿に水を溜めたり土が乾いていないにもかかわらず水やりしたりしないでください。
発根したばかりの根が腐ってしまいます。また発根したばかりの根は、乾燥に弱いので水切れの状態が長く続かないように注意しましょう。
そのため植え替え後は、今まで通り適切に水やりすることが重要です。
水耕栽培(ハイドロカルチャー)の植え替えもアリ
ガジュマルは、水耕栽培(ハイドロカルチャー)でも育てることができます。そのため、植え替えのタイミングで水耕栽培として育て方を変えても問題はありません。
水耕栽培には、水だけで育てる方法とハイドロボールのような無機質素材を使用して育てる方法の2通りがあります。どちらも土の環境と異なるため、植え替えの際に根を短く整理して植え替えてください。
土の環境で育った根では、水耕栽培に順応しないためです。新しく水耕栽培用の根を伸ばしてあげましょう。植え替え方法は基本的には、上記で説明した植え替え方法と同様で、土が水や無機質素材になったと考えてください。
ガジュマルの植え替えによくある質問
最後にガジュマルの植え替えによくある質問とその答えを以下にまとめました。
- ガジュマルの植え替えで鉢を大きくしたくない場合はどうすればいい?
- ガジュマルの植え替えは買ってすぐしてもいい?
- ガジュマルの植え替えに失敗した時はやり直してもいい?
それでは具体的に見ていきましょう。
ガジュマルの植え替えで鉢を大きくしたくない場合はどうすればいい?
ガジュマルの植え替えで鉢を大きくしたくない場合は、枝葉や根を切り戻して同じ鉢に植えます。根を短く切ることによって同じ大きさの鉢でも、新たに根が伸びるスペースを確保できるためです。
また、枝葉も根の量とバランスがとれるように剪定することで、ガジュマルの負担にならないようにします。根が少ないにも関わらず、枝葉が多いと水分や養分を補うことができないので気を付けましょう。
同じ鉢に植えるためには根を短く切りますが、太い根を切ると株に傷みが蓄積されて枯れる恐れがあります。なるべく細い根だけを切り戻してください。
ガジュマルの植え替えは買ってすぐしてもいい?
生育期の5月~9月であれば、ガジュマルの植え替えは買ってすぐにしてもよいです。特に、苗として小さなポリポットに植えられているガジュマルは、すぐに植え替えてください。
小さなポリポットで育てられているガジュマルは、水の乾きも早く根詰まりもしている可能性があるためです。また、100円均一のように専門店でない場所で購入した場合は、管理状態や土が悪いこともあるので、すぐに植え替えたほうがよいでしょう。
気温が下がる冬以降に購入したガジュマルの場合は、植え替えは暖かくなる春まで待った方が安全です。寒い冬に植え替えると枯れる恐れがあるので、気を付けてください。
ガジュマルの植え替えに失敗した時はやり直してもいい?
ガジュマルの植え替えに失敗した時はやり直しても大丈夫です。ただし、速やかにやり直してください。
イメージ通りに植え付けられない場合もあると思います。その場合は、植え付け直後の水やり前に、鉢から優しく掘り上げて最初から植え付けてください。
植え替えのやり直しに時間がかかると、根が乾燥して傷んでしまいます。私が園芸店で働いていた時のお客様は、「イメージ通りにかっこよく植え付けられなくて、何度も植え替えしたことで根が傷んで枯れた」と話されている方もいらっしゃいました。
植え替えに失敗した時はやり直してもよいですが、素早く植えて水やりをしてください。また、植え替えるときにあらかじめ、高さや向き、植える位置は土を入れる前に確認しておきましょう。
まとめ
ガジュマルは、ぷっくりした幹姿と可愛らしい葉が人気の観葉植物です。上手に育てるためにも、ガジュマルの植え替えを適切に行いましょう。
ガジュマルは2~3年に一度、植え替えます。また、鉢底から根が出てきたり土の吸水が悪かったり、葉が黄色になったりしたときも植え替えが必要です。
これらのサインを見逃さずに植え替えて育てることで、一生を共にするパートナーになるかもしれません。ぜひ、素敵なガジュマルに育ってください。
AND PLANTSでは、初めての方でも簡単に植え替えができるように植え替えセットがあります。安心して植え替えられるように、手順イラストのケアカードも入っているので、ぜひチェックしてみてください。
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