花言葉がつけられた植物の中には、ギョッとするような怖い花言葉がついているお花があります。
「美しいお花なのに、なぜこんな花言葉が?」と疑問に思ったことがある人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、怖い意味の花言葉をニュアンス別に集めてみました。
植物の特徴をよく捉えた花言葉もあれば、お花そのものにはあまり関係がないような花言葉も見られます。由来や謂れを知れば、意外と怖くないと感じるかもしれません。
中には、プレゼントには避けたい花言葉もあります。花言葉が気になる人はぜひ参考にしてみてください。
怖い意味の花言葉一覧
怖いニュアンスを持つ花言葉 | 代表的なお花 |
「嫉妬」「裏切り」 | 黄色のカーネーション、黄色のバラ、ダリア、ゲッケイジュ、赤のシクラメン |
「死」や「復讐」 | 黒のバラ、スノードロップ、クロユリ、ベラドンナ・スイレン |
恋愛に関する怖い花言葉 | 黄色のチューリップ、ニゲラ、スカビオサ、白いゼラニウム、ラッパスイセン |
「執着」 | テッセン、スグリ、クロッカス |
「危険」 | キョウチクトウ、アセビ、アザミ |
花言葉には、ギリシャ神話のエピソードを由来とするものが多いです。
エピソードの中には、神々による愛憎劇がたくさん盛り込まれています。そのため「愛」に関する花言葉が多いと同時に、「憎しみ」や「嫉妬」などの怖い花言葉も多いです。
また、怖い花言葉には、植物の持つ危険性を警告する意味合いが込められているの特徴もあります。
ニュアンス別に怖い花言葉の由来やプレゼントについて、ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
「嫉妬」や「裏切り」の意味を持つ花言葉
まずは「嫉妬」や「裏切り」の花言葉がついたお花を5つご紹介します。
- 黄色のカーネーション|「嫉妬」「侮蔑」「軽視」
- 黄色のバラ|「嫉妬」「愛情の薄らぎ」
- ダリア|「裏切り」
- ゲッケイジュ|「裏切り」
- 赤のシクラメン|「嫉妬」
「嫉妬」や「裏切り」の花言葉は意外と多く、神話や宗教が由来になっているものが多く見られます。日本の感覚ではあまりピンとこない花言葉も多いかもしれません。
ではひとつずつ見ていきましょう。
黄色のカーネーション|「嫉妬」「侮蔑」「軽視」
黄色のカーネーションの花言葉は、「嫉妬」「侮蔑」「軽視」です。
カーネーションに限らず黄色のお花には、「嫉妬」や「裏切り」に関する花言葉がしばしば見られます。
黄色が「嫉妬」「裏切り」と言われるのは、キリストを裏切ったユダの服が黄色だったことが由来です。中世の西洋では異端者に黄色の服を着せたり、罪人の家を黄色く塗ったりと、黄色は差別を表す色として使われました。
またカーネーションは、キリストが十字架にかけられた時にマリアが流した涙から生まれたと言い伝えられるお花です。キリスト教と縁の深いお花だったため、黄色のカーネーションの花言葉にもキリスト教の影響が強く出ているのでしょう。
現在は西洋でも黄色のネガティブな意味合いは薄れ、幸福など明るいイメージで使われることが多いようです。気にしない人も増えていると言われますが、キリスト教圏の方へのプレゼントには控えた方がいいかもしれません。
黄色のバラ|「嫉妬」「愛情の薄らぎ」
黄色のバラの花言葉は、「嫉妬」「愛情の薄らぎ」などです。
黄色のカーネーションと同じように宗教に関連して「嫉妬」に関する花言葉がつけられていますが、黄色のバラは恋愛の要素が強めです。
時代を経ると宗教的な意味から派生して黄色は、不倫や浮気者を象徴する色になりました。
特にバラは愛の象徴であったため、黄色のバラには「嫉妬」だけでなく「愛情の薄らぎ」「不貞」「不誠実」の花言葉がつけられたと考えられます。
しかし黄色を希望の色、明るい色と捉える文化も多く、黄色のバラには「友情」「平和」「可憐」「美」のようなポジティブな花言葉もあります。
日本でも、黄色を明るい色と捉える人が多いのではないでしょうか。黄色のバラは笑顔が素敵な人や、男性へのプレゼントによく選ばれるお花のひとつです。
ただ、黄色のバラを贈る際は、文化的背景を頭の隅に入れておくといいかもしれません。
ダリア|「裏切り」
ダリアには、「華麗」「優雅」「気品」のような美しいお花にぴったりの花言葉がつけられています。
しかし一方で、「裏切り」「移り気」といった花言葉もあります。ネガティブな花言葉は、ナポレオンの最初の妻ジョセフィーヌの話が由来です。
ジョセフィーヌはダリアが大好きで、庭にたくさんのダリアを咲かせていました。ある時彼女のダリアを羨ましく思っていた貴族が、ジョセフィーヌの庭からダリアの球根を盗んでしまいます。
貴族の庭に咲いたダリアを見たジョセフィーヌは大変憤ったと同時に、自分だけのものではなくなってしまったダリアに興味を失ってしまったそう。そのため「移り気」の花言葉がついたと言われます。
ジョセフィーヌを知らない人にとっては、「華麗」のような花言葉のほうがしっくり来るかもしれませんね。
関連記事:ダリアの花言葉|色別や誕生花、名前の由来
ゲッケイジュ|「裏切り」
ゲッケイジュの「裏切り」の花言葉は、黄色のお花が咲くことが由来と言われています。黄色はキリストを裏切ったユダの色で、ヨーロッパでは「裏切り」を象徴する色です。
しかしゲッケイジュのお花は小さくて目立たず、一般的に黄色のイメージはあまりありません。お花よりも、香りのある葉がよく知られています。ゲッケイジュはローリエとも呼ばれ、現代でも定番のスパイスです。
ヨーロッパにおいてゲッケイジュは、太陽神アポロンの聖樹と言われています。
古代ギリシャでは、英雄や勝者にゲッケイジュの葉で作った冠を授けたため、「栄光」「勝利」「名誉」の花言葉がついています。現代のオリンピックで、ゲッケイジュの冠を見たことがある人も多いのではないでしょうか。
ゲッケイジュは丈夫な性質で、人気の庭木です。花言葉の由来を知ると「勝利」の意味合いが強く、家の繁栄を願う木としてふさわしいと言えるでしょう。
赤のシクラメン|「嫉妬」
赤のシクラメンが持つ「嫉妬」の花言葉は赤色のお花が、嫉妬に燃える炎のように見えたことが由来です。
日本でも、シクラメンのお花の形が炎に似ているため「篝火花(かがりびばな)」の名前がつけられています。暗い冬にお花を咲かせる姿は、たしかに夜にゆらめく炎を思わせます。
しかし火を連想させることから、新居祝いのようなお祝いごとには不向きとされてきました。また赤色が血を、シクラメンの名前が「死」や「苦」を連想するとして、病人へ贈ってはいけないと言われます。
なおシクラメン全般の花言葉は「はにかみ」「遠慮」「内気」で、白には「清純」「思いやり」、ピンクには「憧れ」などのかわいらしい花言葉がついています。花言葉のイメージ通り控えめで美しく、一鉢あると冬を彩ってくれるお花です。
「死」や「復讐」の意味を持つ花言葉
次に、「死」や「復讐」に関する花言葉をご紹介します。
- 黒のバラ|「あなたを呪う」「永遠の死」
- スノードロップ|「あなたの死を望みます」
- クロユリ|「呪い」「復讐」
- ベラドンナ|「男への死の贈り物」「人を騙す物の魅力」
- スイレン|「滅亡」
「死」を連想させる花言葉には、色のイメージや言い伝え、植物の性質などさまざまな由来があります。
しかし5つの植物には、良い意味の花言葉もついています。怖い意味の由来を踏まえつつ、良い意味の花言葉とお花の魅力にも注目してみてください。
黒のバラ|「あなたを呪う」「永遠の死」
黒いバラの花言葉は、「あなたを呪う」「永遠の死」「恨み」「憎しみ」です。
バラは愛の象徴であり、恋愛に関する花言葉が多い傾向があります。また非常にたくさんの花の色があるため、それぞれに色のイメージに合った花言葉がついています。
中でも、黒は暗闇や孤独のような怖いイメージを連想させることから、ネガティブな花言葉が多くつけられました。
しかし黒いバラとは実際は黒赤色、深紅色とも言われるような濃い赤色で、完璧な黒ではありません。黒いバラの高級感と美しさは一定の人気があり、さまざまな品種が作出されています。
落ち着いた印象が好まれてプロポーズに使われることがあるため、「永遠の愛」「あなたは私のもの」という花言葉もついています。
スノードロップ|「あなたの死を望みます」
可憐な印象とは裏腹に、スノードロップには「あなたの死を望みます」といった怖い花言葉がつけられています。
「死」の花言葉は、イギリスの農村に伝わるケルマの伝説が由来です。
ある村に住む少女ケルマは、最愛の恋人を亡くしてしまいます。悲しんだケルマが、採ってきたスノードロップを恋人の胸にのせると、恋人の体は雪の雫となってしまいました。
イギリスの一部においてスノードロップは、家に持ち込むと不幸が訪れる、不吉な花とされていたようです。
一方で、旧約聖書が由来となった「希望」や「慰め」の花言葉も有名です。
アダムとイブが寒さで凍えそうな時、天使が現れ、舞い落ちる雪をスノードロップのお花に変えて慰めます。雪の溶け始めた早春に咲くスノードロップは、希望を象徴するお花として愛されてもいるのです。
クロユリ|「呪い」「復讐」
クロユリはユリ科バイモ属の高山植物で、網目模様が入った黒色の花びらが美しいお花です。
クロユリの怖い花言葉は、戦国時代の武将・佐々成政にまつわる話が由来です。
成政には、早百合という名の美しい側室がいました。しかし早百合が解任した際に成政の子ではないと吹聴され、早百合を疑った成政は、早百合とお腹の子どもを殺してしまいます。
早百合は最期に「立山にクロユリが咲いたら、佐々家は滅びる」と呪いの言葉を残したため、「呪い」や「復讐」の花言葉がつけられました。
クロユリにはほかに、アイヌに伝わる素敵な言い伝えもあります。
アイヌの女性は愛する人の家のそばにそっとクロユリを置いて、相手が気付くかどうか恋占いとしたそうです。相手がクロユリを手に取れば思いは届き、ふたりは結ばれると言われました。
この言い伝えから、クロユリには「恋」の花言葉もついています。
ベラドンナ|「男への死の贈り物」「人を騙す物の魅力」
ベラドンナとはヨーロッパやアジアに分布するナス科の植物です。全草に有毒成分を含み、特に根と根茎は猛毒で知られています。過剰摂取すると、めまいや幻覚を引き起こします。
ベラドンナはかつて魔女によって栽培され、人を殺すための毒や、空を飛ぶ薬の材料として使っていたと言い伝えられています。
さらにイタリアでは、女性がベラドンナの汁を点眼して瞳孔を大きく見せ、男を魅了していたと言われています。現代でいうカラーコンタクトのような役割です。
女性が使っていた有毒の植物といったイメージから、「男への死の贈り物」「人を騙す物の魅力」の花言葉になったのですね。
しかしベラドンナの毒は用法を守れば有用で、現代でも薬に使われています。ワイン色のお花は美しく、ベラドンナはイタリア語で「美しい女性」の意味があります。
スイレン|「滅亡」
水面に浮かぶ葉っぱと、美しいお花が神秘的なスイレン。スイレンは古代ギリシャやエジプトをはじめとする古代の文化と深く関わりがあります。
ギリシャ神話の英雄ヘラクレスに恋をした水の妖精ニンフは、晴れて恋人同士になれたものの、身分の違いを理由にヘラクレスにひどく捨てられてしまいます。
悲しんだニンフはナイル川に身を投げ、そこからスイレンが咲きました。ニンフの悲しみから、「滅亡」の花言葉がつけられたと言われています。
ほかに、スイレンを太陽のシンボルとしていた古代エジプトが、やがて滅んでしまったことが由来とする説もあります。
スイレンはマヤ文明や仏教にも登場し、さまざまな信仰の対象となってきました。そのため「信仰」や「清浄」など神聖さを感じる花言葉もつけられています。
恋愛に関する怖い花言葉
次は、恋愛に関する怖い花言葉を見てみましょう。
- 黄色のチューリップ|「失恋」「希望のない恋」
- ニゲラ|「叶わぬ恋」
- スカビオサ|「私はすべてを失った」「不幸な愛」
- 白いゼラニウム|「私はあなたの愛を信じない」
- ラッパスイセン|「もう一度愛して」「報われぬ恋」
もともと花言葉は、恋文のように贈り合う習慣から生まれた文化です。そのため、恋愛に関する花言葉がたくさんつけられています。
怖さよりも、切なく悲しい花言葉が多めです。良い意味の花言葉がある植物もありますが、誤解を招かないためにも、恋人のプレゼントには避けた方がいいかもしれません。
ではひとつずつ順番に見ていきましょう。
黄色のチューリップ|「失恋」「希望のない恋」
黄色のチューリップの花言葉は「失恋」「希望のない恋」です。
中世ヨーロッパにおける黄色のイメージが由来です。黄色はキリストを裏切ったユダの服の色で、「嫉妬」や「裏切り」を象徴する色と言われています。
古くから栽培されていたチューリップにも、中世ヨーロッパの黄色のイメージが反映されたのでしょう。チューリップ全般の花言葉「愛の告白」と、黄色のネガティブなイメージが合わさって「失恋」や「希望のない恋」となったと考えられます。
なお黄色のチューリップには「正直」や「名声」「日光」の花言葉もついています。
太陽のように明るい黄色が、誠実さを表すことからつけられました。春の黄色いチューリップは、希望に溢れ、前向きな気持ちにさせてくれます。
関連記事:チューリップの花言葉|色別の花言葉や誕生花、名前の由来
ニゲラ|「叶わぬ恋」「とまどい」
ニゲラには、「叶わぬ恋」「とまどい」などの花言葉がつけられています。
レースのような葉が霧のように見えることから、英名では「Love-in-a-mist(霧の中の恋)」と呼ばれます。
美しいお花が霧の中で咲いている様子をネガティブに捉えて、「叶わぬ恋」や「とまどい」がつけられました。
ほかにも「夢の中の恋」「夢で逢いましょう」「夢を抱く」など、霧のような葉を幻想的に表現した花言葉があります。また別の花言葉「本当の私」「不屈の精神」では、霧の中で凛と咲くお花の姿をポジティブに捉えています。
ニゲラの不思議な花姿は、さまざまなイメージを連想させたのですね。
スカビオサ|「私はすべてを失った」「不幸な愛」
スカビオサの花言葉は「私は全てを失った」「不幸な愛」「未亡人」です。
もの悲しい花言葉の由来は、スカビオサのお花そのものではなく、スカビオサの紫色からきています。
西洋において紫色は生から死へ向かう色とされており、悲しみや負を象徴する色でした。喪に服す時に身につける色とされ、一部の地域では伴侶を亡くした未亡人に紫色のお花を贈る風習があったと言われています。
日本でも紫は高貴なイメージがある一方で、お供えのお花に使われますね。
かつては紫色のお花が主流だったスカビオサには、紫色のイメージがそのまま花言葉になったようです。
なお現在では紫色の他にも、ピンクや赤、白の園芸品種があります。かわいらしく繊細な印象から、「魅力」「風情」の花言葉もつけられています。
白いゼラニウム|「私はあなたの愛を信じない」
ゼラニウムには「真実の愛情」「真の友情」「尊敬」「信頼」など温かみのある良い意味の花言葉が並びます。
しかし、なぜか白いゼラニウムにのみ、「私はあなたの愛を信じない」「優柔不断」といったネガティブな花言葉がつけられています。
海外では、白いゼラニウムは嫌いな人に贈るお花として知られているようです。理由は、ゼラニウムに虫除けのイメージが強いからだそう。しかしなぜ白のゼラニウムだけにネガティブな意味がつけられたのか、はっきりとした理由は見当たりませんでした。
一方でゼラニウムは虫除け効果のある良い香りとお花の美しさから、世界で広く愛されるお花です。特にヨーロッパでは赤いゼラニウムに厄除け効果があるとして、窓辺や玄関によく飾られています。
ラッパスイセン|「もう一度愛して」「報われぬ恋」
ラッパスイセンには、「もう一度愛して」「報われぬ恋」の花言葉がついています。
由来となったのは、ギリシャ神話に登場する冥界の王ハーデスの話です。
ある時ハーデスは、豊作の女神デメテルの娘ペルセポネに一目惚れし、ペルセポネをラッパスイセンの甘い香りで誘い込んで冥界へさらってしまいました。娘に会えなくなったデメテルの悲しみを表して、ネガティブな花言葉がついたそうです。
また黄色のスイセン全般にも同様に、「もう一度愛して」「報われぬ恋」の花言葉がついています。
なお日本では、スイセンは春の訪れを告げる良い香りのお花として、縁起が良いとされています。中心部の濃い黄色が鮮やかで、華やかさのあるラッパスイセンは人気の種類です。
「執着」に関する花言葉
次は、「執着」に関する花言葉を集めてみました。
- テッセン|「縛り付ける」
- スグリ|「あなたに嫌われたら私は死にます」
- クロッカス|「私を裏切らないで」「あなたを待っています」
「執着」や「束縛」に感じる花言葉は、捉え方や人によって印象が変わるかもしれません。中には、もらう相手によって怖く感じる人もいるでしょう。
ではひとつずつ解説していきます。
テッセン|「縛り付ける」
テッセンとはクレマチスの原種のひとつで、中国原産です。日本では茶花として愛されてきたお花です。また、クレマチス全体をテッセンと呼ぶこともあります。
テッセンの名前は、ツルが鉄線のように硬いことからつけられました。
花言葉も、硬いツルが巻きつく様子が由来です。硬いツルに美しいお花をつけることから、「甘い束縛」「高潔」の花言葉もつけられています。
またクレマチスには、「精神の美」「旅人の喜び」といった明るい花言葉がある一方で、「策略」の花言葉があります。
フランスのある物乞いが、クレマチスの茎や葉から出る液体をわざと皮膚に塗って肌をかぶれさせ、周囲の同情をひいた話が由来です。
スグリ|「あなたに嫌われたら私は死にます」
透き通った美しい実が特徴のスグリ。
アカスグリはレッドカラントと呼ばれ、赤い果実はジャムや果実酒にします。またスグリの仲間のクロスグリは、カシスの名前でも有名です。
果実が美味しく食用になるため古くから愛され、「あなたは私を喜ばせる」の花言葉がつけられています。
しかし同時に、「あなたに嫌われたら私は死にます」「あなたの不機嫌が私を苦しめる」といった真反対の怖い花言葉がついています。これは、スグリの枝についている鋭いトゲが由来です。
美味しいのに収穫するのが大変なことから、「あなたに嫌われたら私は死にます」「あなたの不機嫌が私を苦しめる」とつけられたと言われています。
クロッカス|「私を裏切らないで」「あなたを待っています」
クロッカスの「私を裏切らないで」は、ギリシャ神話が由来の花言葉です。
美しい青年クロッカスと美少女スミラクスは愛し合っていましたが、神々に結婚を許されませんでした。悲観したクロッカスは自ら命を絶ってしまい、やがてスミラクスも後を追って亡くなってしまいます。
花の女神フローラはかわいそうに思い、ふたりをクロッカスのお花に変えました。「私を裏切らないで」は、愛する人に先に絶たれたスミラクスの心情が花言葉になったのでしょう。
ヨーロッパにおいて悲しみの色である紫色のお花には、悲しい由来が多い傾向がるようです。
なおクロッカス全般には、早春に咲く姿からつけられた「青春の喜び」「切望」の花言葉もあります。
「危険」の意味を持つ花言葉
最後は、「危険」に関する花言葉を3つご紹介します。
- キョウチクトウ|「危険な愛」
- アセビ|「危険」
- アザミ|「触れないで」「人間嫌い」
「危険」の花言葉がある植物は、毒やトゲなど植物の特徴から花言葉がつけられている傾向があります。贈る際は花言葉の怖さだけではなく、植物の性質も一度調べてみるといいかもしれません。
花言葉の由来と植物の性質について、順に解説していきます。
キョウチクトウ|「危険な愛」
キョウチクトウは、桃に似たかわいらしいお花を咲かせる夏の花木です。
しかし、夏の空に映える鮮やかなピンクや白のお花からは想像できないほどの、強い毒性を持っています。「危険な恋」の花言葉は、かわいい見た目と強い毒とのギャップからつけられました。
キョウチクトウは葉や枝、根だけでなく、植えた周りの土壌や、燃やした際の煙にも毒性があります。かつて枝を箸やバーベキュー串の代わりに使用して、死亡者が出たことでも有名です。
しかし大気汚染に強く燃えにくい性質から、現在でも街路樹や高速道路の植栽によく使われています。過酷な環境でもたくさんのお花をつけ、暑い夏を彩ってくれる貴重な植物でもあります。
毒性のある危険な植物と分かっていながら植えたくなる魅力が多い点も、「危険な恋」の花言葉がぴったりですね。
アセビ|「危険」
ツツジ科の植物で、有毒成分アセトポキシンを含むアセビ。アセビの名前は漢字で「馬酔木」と書き、食べると馬がふらふら酔ってしまうと言われたことが由来です。
「危険」の花言葉は、アセビの有毒性からつけられました。
アセビにはほかにも「犠牲」や「献身」、「いつもあなたと一緒に」の花言葉がついています。
アセビは同じツツジ科のアンドロメダにお花に似ていたため、英語名で「Japanese Andromeda(ジャパニーズ・アンドロメダ)」と名付けられています。
アンドロメダとは、ギリシャ神話に登場する女性の名前です。アンドロメダは、国を化け物から守るために生贄として差し出されていたところを、通りがかったペルセウスに助けられます。ふたりはその後結婚し、幸せに暮らしました。
生贄になった様子から「犠牲」や「献身」の言葉が、ペルセウスと結ばれたことから「いつもあなたと一緒に」の花言葉がつけられたようです。
アザミ|「触れないで」「人間嫌い」
アザミは日本を含め北半球各地に分布する、キク科の植物です。250種以上あり、日本にも70種以上あるとされています。
葉や茎、苞(ほう)にまでも鋭いトゲがあることが花言葉の由来です。赤紫色が美しいお花もどこかトゲトゲとしたフォルムで、「触れないで」や「人間嫌い」の花言葉がぴったりだと感じる人も多いでしょう。
アザミにはほかにも「独立」「安心」の花言葉があります。
スコットランドがノルウェー軍に侵攻されそうになった時、城周辺に生えていたヤリアザミの鋭いトゲがノルウェー軍を撤退させた逸話からつけられた花言葉です。アザミは今でもスコットランドの国花となっています。
怖い意味の花言葉に関するよくある質問
ここからは、怖い意味の花言葉に関するよくある質問をご紹介してみたいと思います。
- 怖い意味の花言葉を持つお花を贈ってはいけない?
- 花言葉を知らずに贈ってしまった時はどうする?
お花をプレゼントする際の参考にしてみてください。
怖い意味の花言葉を持つお花を贈ってはいけない?
花言葉だけに注目するなら、怖い花言葉を持つお花はプレゼントにふさわしくないかもしれません。
しかし、実際はそこまで花言葉を気にする必要はないと筆者は思います。
多くの人は、まずはお花の美しさに目がいきます。すぐに花言葉を思い浮かべる人は、あまり多くないでしょう。
また、なにかプレゼントをもらう時、自分のイメージや好みに合うものを選んできてくれたことに喜びを感じる人が多いのではないでしょうか。もらったお花がとても素敵で好みだったら、花言葉が気にならないこともあるかもしれません。
「見た目が素敵だったので選んだ」というように、なぜそのお花を選んだのかをはっきり伝えれば誤解を生みにくくなります。
もし怖い花言葉が気になるようなら、良い意味の花言葉を持つお花をメインにした花束やアレンジメントにするのがおすすめです。
ただし、怖い意味の花言葉がついている植物の中には、有毒成分を含むものがあります。万が一の事態を避けるためにも、小さい子供やペットのいる家へのプレゼントは避けたほうがいいでしょう。
花言葉を知らずに贈ってしまった時はどうする?
怖い意味の花言葉のお花を贈ってしまったことに後から気付いた経験がある人もいるのではないでしょうか。
怖い意味の花言葉がついているからといって、お花そのものが不吉なわけではありません。花言葉がどんなものでも、お花の美しさは変わらないでしょう。
ただ文化によっては忌み嫌われているお花や、シーンによってふさわしくないとされるお花はあります。
例えば日本では、「死」と「苦」を連想するシクラメンを病人に贈ってはいけないと言われています。贈る側にとっては些細に思えても、相手は闘病中で神経質になっているかもしれません。
花言葉ばかりに縛られる必要はありませんが、TPOをわきまえ、相手に配慮してお花を選ぶことはとても大切です。
もし大切な人へプレゼントしてしまったことが気になる場合は、後からでも「意味を知らなかった」「花言葉を気にしていなかった」と伝えるのがいいでしょう。次回お花を贈る時には、素敵な花言葉を探して選んでみるのもいいですね。
まとめ
怖い花言葉だけ見ればおそろしく感じるお花もありますが、由来を知ってみると興味深いものです。
中には、植物と人がどのように関わってきたのかよく分かる花言葉もあります。どんな花言葉がつけられたかによって、時代や国、文化の背景を知ることができます。
一方で、似ているお花の花言葉をそのままつけたり、色のイメージのみでつけられていたりと、お花そのものとはあまり関係のない花言葉もありましたね。花言葉を見ていくと、由来が曖昧なものは意外と多く見られます。
たいていの花言葉は悪い意味と同時に、良い意味の花言葉もついています。お花の印象は、見る人によって感じ方が違うのではないでしょうか。同じお花でも好みと感じる人もいれば、苦手と感じる人もいるでしょう。
あまり怖い意味の花言葉に囚われすぎず、気軽に楽しんでみてください。
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