植物名 | ビカクシダ・ネザーランド |
学名 | Platycerium bifurcatum ‘Netherlands’ |
英名 | Common staghorn fern |
科目/属性 | ウラボシ科ビカクシダ属 |
原産地 | アフリカ、アジア、オーストラリアの熱帯地域 |
ビカクシダ・ネザーランドの特徴
ネザーランドは、耐寒性や耐陰性に優れた強健なビカクシダです。さらに、胞子葉の横幅が広く、上向きに立ち上がりやすい特徴を持っています。
ビカクシダは株元に張り付くように広がる「貯水葉」、鹿の角のように前に伸びる「胞子葉」から成り立っています。貯水葉は水分や養分を蓄える性質、胞子葉はシダ植物としての胞子を作る性質です。
鹿の角のように伸びる葉の姿がビカクシダの名前の由来ですが、広がる葉がコウモリの羽にも似ているから「コウモリラン」とも呼ばれています。ビカクシダ・ネザーランドはビカクシダの中でも育てやすい品種なので、観葉植物を初めて育てる方にもおすすめの植物です。
おしゃれな姿をしているため、グリーンインテリアとして育ててみてはいかがでしょうか。
ビカクシダ・ネザーランドの花言葉
花言葉は「信頼」「助け合う」「魔法」です。裸子植物であるビカクシダ・ネザーランドには花は咲きませんが、特徴的な生育環境や姿から花言葉が付けられています。
原産地では樹木に着生して育つため、木がなければうまく成長できません。手を伸ばすかのように育つ姿も、花言葉をイメージするきっかけになっています。
「信頼」や「助け合い」という花言葉は、親しい関係にある家族や友人へのお祝いにぴったりです。おしゃれなビカクシダ・ネザーランドを誕生日祝いや新築祝いなどとして贈ってみてはいかがでしょうか。
ビカクシダ・ネザーランドの風水
ビカクシダ・ネザーランドには「対人運」を上げる風水効果があります。長く伸びる葉には人を引き寄せる力があるため、葉が長く広くなるほど新たな出会いに恵まれるでしょう。
胞子葉は下向きに伸びるので、気を調和する風水効果も期待できます。リビングや寝室などリラックスできる部屋に置くと効果的です。
ただし、ビカクシダ・ネザーランドを置くだけでは、十分な効果を得られません。置く場所を整理したりきちんと手入れしたりすることで、よい風水効果に恵まれます。
関連記事:コウモリラン(ビカクシダ)の風水/花言葉|置き場所と方角について
ビカクシダ・ネザーランドの育て方
日当たり | 日当たりのよい置き場所 |
温度 | 最低10℃以上をキープする |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | 強い |
水やり | 春夏:土や水苔の表面が乾いてから 秋冬:土や水苔が乾いてから2~3日後 |
肥料 | 緩効性肥料、液体肥料 |
剪定時期 | 5~10月 |
置き場所と日当たり
ビカクシダ・ネザーランドは日当たりと風通しのよい環境を好みます。ただし、夏の直射日光に当たると葉焼けすることもあるため注意が必要です。
耐陰性を持つため、室内でも十分に育ちます。しかし、暗すぎる場所では生育が悪くなり枯れる恐れもあるので、明るい窓際で育ててください。
屋外と室内に出したり入れたりすると紫外線量が変化して、植物の生育に悪影響です。一つの場所に固定して育てましょう。
屋外で育てる場合は、気温が下がり始める秋以降に室内へ入れることが重要です。
温度
ビカクシダ・ネザーランドは、他の品種よりも耐寒性があるとはいえ、寒さに弱い植物です。最低10℃以上をキープして育ててください。
品種によって耐寒性に違いがありますが、最低10℃以上をキープすることが美しく育てるポイントです。屋外の明るい日陰で育てている場合は、気温の下がる秋に室内の明るい窓際に移動させましょう。
ただし、冬の窓際は屋外と変わらないくらいに冷え込みます。冷え込む夜から朝は窓から離した明るい場所に置き、暖房の風が当たらないように管理してください。
水やりの頻度
- 春夏:土や水苔の表面が乾いてから
- 秋冬:土や水苔の表面が乾いてから2~3日後
鉢植えの場合、春夏の生育期には、土や水苔の表面が乾いたら鉢底から水が流れるくらいに水やりしてください。貯水葉に水がしっかりかかるように水やりします。ただし、水のやりすぎや受け皿の溜め水は根腐れの原因になります。
水苔は完全に乾燥すると水をはじくので、水やりには注意が必要です。完全に乾燥している場合は、バケツなどに水を溜めて腰水で鉢底からじっくり吸水させましょう。
コルクなど木の板に着生させ育てている場合は、大きなバケツなどに水を溜めて、そのまま浸水させます。バケツに入らない大きなビカクシダは、屋外に出してシャワーで優しく水苔と株全体を湿らせることがポイント。
冬は土や水苔の表面が乾いてから2~3日後に水やりしてください。乾燥気味に管理すると根腐れ防止だけでなく、植物体内の水分含量を減らし凍傷を防ぐことができます。
肥料
ビカクシダ・ネザーランドには、植え替えの時に長期間ゆっくり効く緩効性肥料を、土に混ぜ込んでおくだけで十分です。土に肥料を混ぜ込んでいない場合は、置き肥や液肥を与えます。
ビカクシダ・ネザーランドは、本来あまり肥料を必要としません。しかし、肥料を与えると生育が早くなるので、大きくしたい方は肥料を与えてみると良いでしょう。
生育期の5~10月に2か月に1度置き肥を置くか、水に薄めた液肥を2週間に1度のペースで水やり代わりに与えてください。コルクなどの木の板に着生させている場合は、薄めた液肥を与えます。
生育が緩慢な冬に肥料を与えると根傷みで枯れる恐れがあるので、注意してください。
剪定方法
剪定時期は生育期の5~10月ですが、基本的にはビカクシダ・ネザーランドに剪定は必要ありません。古くなって枯れた胞子葉を切り取る程度で十分です。
株元に張り付くように出る貯水葉は水分や養分を蓄えるスポンジの役割があるため、枯れても切り取らないでください。また、コルクなどの木に着生させている場合は、体を支えるための役割も担っています。
これらのことから、ビカクシダの剪定作業は枯れた胞子葉を切り取る程度です。ほかの観葉植物と比べると剪定作業が簡単なので、初心者の方も悩むことは少ないでしょう。
ビカクシダ・ネザーランドのよくあるトラブルと対処法
幅広い胞子葉が上向く姿がワイルドなビカクシダ・ネザーランドですが、トラブルも存在します。
ここではトラブルが起きたときの対処法を解説していきます。あらかじめ対処法を知っておけば、いざ何かあっても安心です。
根腐れ
根腐れでは、以下の症状が見られます。
- 水をあげても元気にならない
- 土がなかなか乾かない
- 葉が落ちやすい
- 葉が茶色・黄色に変色している
- 幹や幹の根元が柔らかい
- 土から腐敗臭がする
- 土の表面にカビが生えている
- 根黒く変色している
根腐れは、土の中の酸素濃度が低下して土中の細菌叢が変化し、有機物の腐敗が進むことで有害なアンモニアが発生し、土壌環境が悪くなることで発症します。
また、常に土が湿っている状況では根が呼吸することができず、細胞が死んでしまいます。これが原因で、根から水を吸い上げることができなくなり、植物体に水を供給することができなくなることで死んでしまう現象です。
根腐れの対処法は以下。
- 鉢から植物を抜き、悪い土(水苔)を落として水はけのよい土に交換する
- 根の傷んでいる部分、腐っている部分をカットする
- 少量の水を与え、風通しがよく明るい日陰で管理する
※1週間を目安に水が乾くコンディションで管理する - 発根剤を与えてみる
- 傷んだ葉を取り除く
- 枯れた枝を切り取る
根腐れが起こった場合は、鉢を入れ替えて土の環境を変えることが大切です。傷んでしまった根は取り除き、健康な状態が取り戻せるような環境を与えてあげましょう。赤玉土・ゼオライトなどを用土に混ぜ込むことで、水はけと根腐れを防止することができます。
枝先がダメになっている場合は、生きている部分までカットし、新しい葉を出すことで回復させます。
根腐れが起こると、新芽を残すように古い葉を落とす現象が見られます。重度の根腐れの場合は、新芽や枝の先から枯れることがあるので注意が必要です。
葉焼け
葉焼けでは、以下の症状が起きます。
- 葉の色素が抜けて白くなっている
- 葉の一部が茶色く枯れている
強い日差しを浴びすぎると葉が傷んで「葉焼け」というトラブルが発生します。
葉焼けの症状に気がついたら、早めに置き場所を検討し直すことが必要です。
対処法は以下。
- 直射日光が当たっている場合はカーテンなどで遮光する
- 葉焼けした部分はカットする
葉焼けが起こるということは、日光が当たりすぎている可能性が高いため、直射日光に当てないような措置を取りましょう。
また、一度焼けてしまった葉は二度と元に戻りません。傷んだ葉はカットし、新しい健康な葉が生えてくるのを待ちましょう。
ハダニ
ハダニの症状は以下。
- 葉にクモの巣のような糸がついている
- 葉の裏に小さな虫がついている
- 葉に斑点や傷がある
- 葉の色が薄くなり枯れている
ハダニは繁殖力の強さと、薬剤耐性を持つとても厄介な害虫です。
放っておくと糸を張って大量発生する危険性もあるので、早めに対処を行いましょう。
対処法は以下。
- 傷んだ葉はカットする
- 葉の表裏、付け根や茎も水で洗浄する
- ハダニに効果のある液体を噴霧する(2倍に薄めた牛乳、重曹と水を混ぜたもの、濃いコーヒー、10倍に薄めた酢、殺虫剤)
ハダニが湧いてしまったら、市販の殺虫剤(ベニカファインスプレー・オルトラン)を使用するのが効果的です。2倍に薄めた牛乳などの液体を噴霧する対処法もありますが、匂いが気になる方には水で洗い流す方法もおすすめです。
そもそもハダニは、こまめな霧吹き・葉をふき取りきれいにすることを怠らなければ発生しません。
常にきれいな状態を保つために、霧吹きの購入は必須といえます。月に一度はシャワーで洗い流すなどの管理も必要です。
ビカクシダ・ネザーランドのよくある質問
最後にビカクシダのよくある質問とその答えを以下にまとめました。
- ビカクシダ・ネザーランドの板付方法は?
- ビカクシダ・ネザーランドの冬の管理方法は?
- ビカクシダ・ネザーランドの成長は速い?どのくらいの大きさになる?
- ビカクシダ・ネザーランドとビフルカツムの違いは?
- ビカクシダ・ネザーランドの適切な増やし方は?
- ビカクシダ・ネザーランドの植え替え時期/植え替え方法は?
- ビカクシダ・ネザーランドは苔玉で育てられる?
それでは具体的に見ていきましょう。
ビカクシダ・ネザーランドの板付方法は?
ビカクシダ・ネザーランドの板付け方法には、複数の張り付け方があります。しかし、基本的な手順は同じです。
以下が基本的な手順になります。
- ビカクシダ・ネザーランドの苗の根鉢をほぐし、土や水苔を取り外す
- 張り付ける板の上に置く
- 貯水葉の下と周囲に湿らせた水苔を円形に巻いていく
- 水苔がこぼれ落ちないように、テグスやタコ糸などで固定する
立てかけた時にビカクシダ・ネザーランドが安定して、水苔が落ちなければ完成です。その後は、明るい日陰で管理して適切な場所で育ててください。
テグスやタコ糸などで固定する方法は様々ありますが、ビカクシダ・ネザーランドが安定して水苔が落ちなければ問題ありません。
ビカクシダ・ネザーランドの冬の管理方法は?
ビカクシダ・ネザーランドの冬の管理方法は、最低10℃以上をキープして管理することです。寒さに弱い植物なので、屋外で管理している場合は気温の下がる秋には室内に移動させます。
室内の窓際は屋外と変わらないくらいに冷え込むため、窓から離れた明るい場所に置いてください。また、暖房の風が直接当たると急激な乾燥によって葉が傷むので、直風が当たらないように管理しましょう。
冬に水やりや葉水をし過ぎると根腐れするため、控えめに水やりをします。水やりや葉水は、室温が十分に上がった時に行ってください。
ビカクシダ・ネザーランドの成長は速い?どのくらいの大きさになるの?
ビカクシダ・ネザーランドの成長は速いです。環境によりますが、1ヶ月で1枚の新芽が出て展開し、伸びきるまで成長します。
大きさは、2mを超えることもあるほど。育てやすいことが特徴のネザーランドは、初心者におすすめのビカクシダです。
お部屋のインテリアとして育てるだけでなく、開店祝いでお店のグリーンインテリアとしてプレゼントしても喜ばれます。ぜひ、素敵なビカクシダ・ネザーランドに育ててみてください。
ビカクシダ・ネザーランドとビフルカツムの違いは?
ビカクシダ・ネザーランドとビフルカツムの違いは、葉の特徴にあります。ネザーランドは、ビフルカツムより胞子葉の先端の幅が広く丸みを帯びています。胞子葉は上向きに伸びて垂れにくいです。
そもそも、ビカクシダ・ネザーランドは、ビフルカツムを品種改良して生まれたビカクシダです。そのため、ネザーランドとビフルカツムは葉姿が似ており、違いが分かりにくいのかもしれません。
また、ネザーランドは「ビカクシダ・ビフルカツム・ネザーランド」と表記されることもあります。ネザーランドの育てやすさは、ビフルカツム由来なので、どちらのビカクシダも初心者におすすめです。
ビカクシダ・ネザーランドの適切な増やし方は?
ビカクシダの適切な増やし方は「株分け」です。親株の胞子葉の下から出てきた子株の葉が3枚以上に育ったら安心して株分けすることができます。
子株を優しく切り取って、水苔に包んで板付けしたり鉢に植え替えたりしましょう。株分け後は、1か月間ほど明るい日陰で様子を見ながら育ててください。
その後、貯水葉や胞子葉が出てきたら、明るい室内や屋外の日陰に移動します。胞子葉の裏に付く胞子から育てることも可能ですが、株分けの方が増やしやすいです。
胞子から増やす場合は、タッパーなど密閉できる容器に入れた湿らせた水苔の上に撒きます。その後は植物LEDで補光しながら温度を20~25℃に維持。
1~2か月ほどで発芽して増やすことができます。胞子葉が大きくなって容器内が手狭になったら、より大きな容器に移し変えて育てていきましょう。
ビカクシダ・ネザーランドの植え替え時期/植え替え方法は?
ビカクシダ・ネザーランドの植え替え時期は5月~9月です。成長具合にも寄りますが、2~3年おきに植え替えます。
鉢や板付けにしているビカクシダ・ネザーランドを優しく取り外します。古い水苔や用土を外し新しいものに付け替えて植え替えしてください。
植え替える際には胞子葉や貯水葉が取れないように気を付けます。貯水葉は枯れていても身体を支えたり栄養を貯めたりする効果があるので外さないでください。
ビカクシダの大きさに合った鉢や板を準備しておくことが重要です。小さい場合は、ビカクシダの重さに耐えられず倒れることもあるので注意しましょう。
ビカクシダ・ネザーランドは苔玉で育てられる?
ビカクシダ・ネザーランドは苔玉でも育てられます。ただし、鉢植えと違い苔玉は乾燥が早いので、生育期の春~秋の水切れに注意します。
苔玉は、ビカクシダ・ネザーランドの根に水苔を巻いている状態です。内部まで完全に乾燥すると、水やりをしてもなかなか吸水しません。
その場合は、バケツや深い受け皿に水を溜めて苔玉にじっくり吸水させてください。吸水して水苔がしっかり湿ったら、元の場所に戻して管理しましょう。
ビカクシダ・ネザーランドは苔玉に限らず、メリハリの効いた水やりを心がけることが重要です。
ビカクシダ・ネザーランドのまとめ
ビカクシダ・ネザーランドは明るい室内であれば、一年を通して簡単に育てることができます。幅広い葉がワイルドに立ち上がるネザーランドは、おしゃれなインテリアグリーンとして活躍するでしょう。
「信頼」「助け合う」という花言葉は、開店祝いや神秘く祝などのお祝いプレゼントにも最適です。「対人運」を上げる風水効果は、人間関係の改善や良い出会いを求めている方に喜んでもらえます。
木の板に着生したりプラントハンガーで吊るしたりして素敵なインテリアグリーンとして育ててみてはいかがですか。