手のひらを広げたような葉と膨らんだ根元が特徴的なパキラ。育てやすい観葉植物で人気があります。
ここではパキラの水やりについて解説します。季節ごとの水やり加減や水耕栽培での水やり方法、水やりの注意点などが気になる方も多いと思います。
水やりは、パキラを元気に育てるためにも大事な作業です。水やりに悩んでいる方や不安に思っている方は、ぜひ参考にしてください。
[https://andplants.jp/collections/pachira]パキラの特徴
パキラは、一年を通して光沢のある瑞々しい5枚1組の葉を広げる植物です。手のひらを広げたような葉に美しい葉脈が入る姿は、ユニークで人気があります。
乾燥や病害虫に強く育てやすい特徴もあり、観葉植物を初めて育てる方にもぴったり。ナチュラルな雰囲気を持つので、オフィスやリビングなどに自然と馴染むインテリアグリーンでもあります。
パキラは土栽培だけでなく、水だけでの水栽培や無機物資材を用いた水耕栽培(ハイドロカルチャー)でも育てられます。
パキラを元気に育て続けるためには、季節や用土に応じた水やりが重要です。適切な水やりを心がけて、パキラを大事に育ててください。
季節別|パキラの水やり方法
パキラを元気に育て続けるためには、季節に応じた水やりが重要です。一年を通して、「1週間に1回」と同じ水やり方法だと、季節によって水が少なかったり多かったりします。
天候や温度は季節によって大きく異なるため、パキラや土の状態を日々観察しながら水やりすることが重要です。ここでは、季節別の水やり方法について解説します。
- 春|新芽が出てきたらたっぷり与える
- 夏|土の乾燥に注意して与える
- 秋|徐々に頻度を下げて与える
- 冬|気温に注意して与える
春|新芽が出てきたらたっぷり与える
春は、パキラの新芽が出てくる季節です。新芽が出てきたら、たっぷりと水やりしてください。
パキラから新芽が出てくるのは、土の中で根が伸びている証拠です。根が伸びているタイミングで水切れさせると、せっかくの新芽は枯れる恐れがあります。
しかし、土が湿っているのにも関わらず水やりすると根腐れの原因になるので気を付けてください。春は手で土を触って水分を感じなくなってから(鉢の中央部分までしっかり乾いてから)、水やりを行います。
夏|土の乾燥に注意して与える
夏は、強い日差しや高温によって土が乾きやすい季節です。土の乾燥に注意して水やりしてください。
土が乾きやすいからと言って、常に土が湿っているような状態だと、根腐れや蒸れによってパキラの生育に悪影響を及ぼします。
夏も手で土を触って水分を感じなくなってから(鉢の中央部分までしっかり乾いてから)、涼しい時間帯に水やりを行ってください。冷房がかかっていない暑い午後の時間帯に水やりすると、土の中で根が煮えて枯れる恐れがあるためです。
また、鉢の大きさや置き場所、水はけの良さによっては、1日に2回水やりが必要な場合もあります。1日で土が乾燥する場合は、朝晩の2回水やりするとよいでしょう。
秋|徐々に頻度を下げて与える
秋は気温が下がり続ける季節です。夏の高温に比べるとパキラにとっても過ごしやすい気温になりますが、10月中旬には最低温度が10~15℃程度になることも。
気温が下がるにつれて、パキラの生育は衰えるので、土が乾きにくくなっていきます。そのため、徐々に水やりの頻度を下げてください。
晩秋の水やりは、土が乾いてから1週間程度あけて水やりする程度がちょうどよいくらいです。夏と同じように水やりをすると根腐れの原因となります。
土の乾燥具合を確認して、徐々に水やりの頻度を下げていきましょう。
冬|気温に注意して与える
冬はパキラにとって、生育が難しい季節です。最低10℃以下の気温に当たり続けると、枯れる恐れがあります。
冬の水やりは土が乾いてから1週間程度あけて、暖房によって気温が15℃以上としっかり上がったタイミングで与えてください。
気温が低い朝晩に水やりすると、寒さで根痛みする可能性があります。また、鉢の大きさや土の水持ちの良さによっては、土が全く乾かない場合もあるかもしれません。
「土が乾かないけど大丈夫かな」と心配になりますが、日差しの入る窓辺で土が乾燥するまで待つことが重要です。土が乾燥していないにもかかわらず、水やりすると根腐れして枯れる恐れがあるので注意してください。
用土別|パキラの水やり方法
パキラは土環境でなくても、水栽培や水耕栽培(ハイドロカルチャー)でも育ちます。水栽培は水のみで育て、水耕栽培はハイドロボールやセラミスなどの無機物を土の代用として育てる方法です。
いずれも根の環境が異なるため、水やり方法にも違いがあります。用土別にパキラの水やり方法を見ていきましょう。
- 土栽培|土が乾いたら
- 水栽培|2~3日おきに
- 水耕栽培|容器の2/5程度の水を
土栽培|土が乾いたら
パキラを土栽培している場合は、手で土を触って水分を感じなくなってから(鉢の中央部分までしっかり乾いてから)、水やりします。気温が下がる秋から冬は、土が乾いて1週間程度あけてから水やりしましょう。
土の水はけによって乾燥具合は異なりますが、観葉植物用の土でパキラを育てている場合は、土が乾いたら水やりすることを基本としてください。
水栽培|2~3日おきに
パキラは土を用いずに、水だけでも育てられます。パキラの枝を切って水に浸けておくと、切り口部分から根が伸びるためです。
土と水では、根を取り巻く環境が異なります。水中には根から出る腐敗物を分解する微生物がいないため、2~3日おきの水替えが必要です。
夏は強い日差しや高温によって、水の蒸発や吸収が早く水も腐りやすいため、毎日交換することをおすすめします。
水耕栽培(ハイドロカルチャー)|容器の2/5程度の水を
パキラは、ハイドロボールやセラミスなどの無機物素材を土代わりとして、水耕栽培(ハイドロカルチャー)が可能です。有機物を含まないため、虫や菌が発生する可能性が低い特徴があります。
穴の開いていない容器を使用するため、水は容器の2/5程度の量を入れてください。入れすぎた場合は、根腐れする可能性があるので注意します。
透明なガラス容器であれば、水量が確認できて安心です。透明の容器でない場合は、重さを確認して軽いなら、新たに水やりします。
与えすぎた時は、傾けて水量を調節してください。
関連記事:観葉植物の水耕栽培|種類と育て方
手入れ別|パキラの水やり方法
手入れ別のパキラの水やり方法を解説します。
- 剪定後|枝葉にかからないように
- 植え替え後|鉢底からたっぷり水が流れるくらい
剪定後|枝葉にかからないように
パキラを剪定した後の水やりは、枝葉に水がかからないように与えてください。剪定した枝葉に水がかかると、切り口から病原菌が侵入する可能性があるためです。
剪定直後は霧吹きでの葉水はもちろん、ホースシャワーで頭から水をかけないように気を付けましょう。剪定後に葉水をする場合は、切り口がしっかり乾いた後に行います。
切り口から病原菌の侵入を防ぐ癒合剤を塗っていても、乾いていなければ水で流れ落ちるので注意してください。
植え替え後|鉢底からたっぷり水が流れるくらい
パキラを植え替えた後は、鉢底からたっぷりと水が流れるくらい水やりします。植え替えたばかりなので、根と土を馴染ませるためです。
また、植え替えたばかりの新しい土には、土の粒が崩れた粉塵も含まれています。粉塵が鉢の底に溜まると、水はけが悪くなる可能性が高いです。
土全体にたっぷりと水を与えて、鉢底から粉塵を押し流してください。鉢底から水が流れない程度の水やりでは、鉢底に粉塵が溜まり根腐れしやすくなるので注意しましょう。
水やりの注意点
パキラへの水やりで気を付けたい注意点は以下の5つです。
- 鉢底から水が流れるくらい与える
- 受け皿に水を溜めない
- 土の乾燥具合を確認する
- 水やりは同時間帯に行う
- 常温の水を与える
それぞれ見ていきましょう。
①鉢底から水が流れるくらい与える
水やりは、どの季節でも鉢底から水が流れるくらいに与えてください。植木鉢が大きいほど、コップ一杯の水や鉢底から流れない程度の水では、水やりは不十分です。
与える量が少ないと、土の表層しか水は行き渡りません。結果的に、根が最も伸びている鉢底に水が行き渡らず、水やりしているのに水切れで枯れる状態になります。
また、鉢底から水が流れるほどの水やりは、土の状態をリセットしてくれます。新鮮な酸素を土に取り込ませて、腐敗物を押し流すことができるためです。
パキラを元気に育てるためにも、鉢底から水が流れるくらいに水やりしてください。
②受け皿に水を溜めない
パキラの水やりでは、受け皿に水を溜めないようにしましょう。受け皿に水が溜まっていると、土がいつまでも乾燥せず、根腐れの原因になります。
また、病害虫の発生にもつながるので注意してください。受け皿に溜まった水は、こまめに取り除くことが重要です。
屋外や浴室で水やりをして鉢底から水が流れなくなったら、元の位置に戻す管理方法だと受け皿に水を溜める心配はありません。
③土の乾燥具合を確認する
パキラの水やりは、土の乾燥具合を確認してから行いましょう。天候や気温、鉢の大きさ、成長具合によって土が乾くスピードは異なります。
一つ一つの鉢の土が乾いているかどうかを確認して、水やりすれば水の与えすぎや水不足になることは少ないです。もし、土の乾燥具合がわからない場合は、下記の水やりチェッカーを使用すると簡単に確認ができます。
[https://andplants.jp/products/watering_checker_sustee_large_single]④水やりは同時間帯に行う
水やりは、なるべく同じ時間帯に行ってください。朝に水やりをしたら、次の水やりも朝にします。
同じサイクルでの水管理は、土の乾湿状態が一定にするためパキラの生育に好影響です。また、水やりする側にとっても、同じ時間帯であれば水やりを忘れる心配も少なくなると思います。
ただし、夏は朝や夜の涼しい時間帯に、冬はお昼の暖かい時間帯に水やりしてください。季節に合った水やりの時間帯を守って管理しましょう。
⑤常温の水を与える
パキラの水やりは、常温の水を与えてください。冷蔵庫でキンキンに冷えた水や高温になった水を与えると、根が傷んで枯れる恐れがあるためです。
夏であれば、屋外に溜めていた水が太陽光や熱でお湯になることがあります。お湯を与えると、根が茹ってしまい枯れる可能性が高いです。
または、「暑くてかわいそうだから」と、極端に冷たい水を与えると、温度差によって根が傷みます。冬も同様に、お湯を与えないようにしてください。
筆者が園芸店に勤めていた時のお客様は、「寒い冬に植物がかわいそう」と思い、お湯を与えていたそうです。その結果、「根が傷んで枯れてしまった」とのことだったので気を付けましょう。
水やり以外|パキラの育て方
パキラのお手入れは、水やりだけではありません。水やり以外で重要な育て方について以下の5つのポイントに絞って解説します。
- 置き場所と日当たり
- 温度
- 肥料
- 剪定
- 葉水
詳しい育て方を知りたい方は「パキラの育て方」を参考にしてください。
置き場所と日当たり
パキラは日当たりのよい環境を好みます。ただし、夏の直射日光や西日の強い光に当たると葉焼けしやすいので、注意が必要です。
新芽に直射日光が当たると、葉焼けする可能性があるので気を付けます。また、暗い場所から直射日光の当たる窓際に移動した場合も、葉焼けしやすいので注意しましょう。
直射日光の当たらない明るい室内や、窓際であればレースカーテン越しの柔らかい光に当てて育ててください。
温度
パキラは寒さに弱い観葉植物です。最低10℃以上をキープして育てましょう。
もし屋外の明るい日陰で育てている場合は、気温の下がる秋には暖かい室内に移動させます。室内であっても窓際は、屋外と変わらないくらいに冷え込むので、窓から離しておくと管理が簡単です。
また、冷暖房がパキラに直接当たると急激な乾燥によって、葉が枯れてしまいます。そのため、冷暖房の風が当たらない明るい場所に置くことが重要です。
肥料
パキラを元気に育てたい場合は、土に混ぜている緩効性肥料とは別に速効性のある液体肥料を水に薄めて水やり代わりに与えてください。また、速効性のある置き肥も効果的です。
生育が順調であれば、根の成長に伴って枝葉が茂ります。このタイミングで、速効性肥料を与えると、根に素早く栄養分を届けることができ、効率的に吸収してパキラが大きくなるでしょう。
置き肥は2か月に1度。液肥は2週間に1度のペースで与えてください。肥料は与えすぎると根痛みの原因になるので、適切な量を与えます。
冬はパキラの生育が緩慢になるので、肥料は与えません。置き肥も取り除いてください。
剪定
パキラの剪定は、生育期の5月~9月に行います。剪定後、枝の節から新芽が出てくるので、風通しがよくなるように剪定するとよいでしょう。
手のひらのように広がった葉のうち1枚を取り除く場合は、葉の付け根を折り取ると綺麗に取り除けます。また、葉柄を含めた葉を取り除く場合は、葉柄の根元を下に引っ張ると綺麗に取り除くことが可能です。
剪定は、病害虫発生の予防になります。そのため、混みあった枝葉は剪定して風通しをよくしたり、まんべんなく光が当たるように整えたりしてください。
葉水
パキラに水やりをする際には、一緒に霧吹きで葉水を行いましょう。葉水は葉の乾燥を防ぎ、イキイキとした葉を維持してくれます。
さらに、葉に付着した埃を落としたり、害虫発生を予防したりする効果もあります。空気が乾燥しやすい冬は、暖房で室温が暖かくなったタイミングで与えてください。
パキラの水やりでよくある質問
最後にパキラの水やりでよくある質問とその答えを以下にまとめました。
- パキラが水不足になった時の症状は?
- パキラに葉水を与えすぎたら危険?
- パキラの水やりは1か月に1回でもいい?
それでは具体的に見ていきましょう。
パキラが水不足になった時の症状は?
パキラが水不足になった時によく見られる症状は、「葉が垂れる」「葉が黄色くなる」「葉が落ちる」です。
水不足のパキラは、葉に張りがなくなって下に垂れる姿になります。早くに水不足に気づいて水やりを行えば、すぐに元気なパキラに戻るので安心してください。
水不足に気づかずにそのままだと、葉色が次第に薄くなり、黄色に変化します。葉がボロボロと落ち始めるので注意してください。
パキラに葉水をやりすぎたら危険?
パキラに葉水をやりすぎても危険ではありません。空気中の湿度も維持されるので、葉はイキイキした姿になるでしょう。
ただし、剪定直後に葉水をすると、切り口から病原菌が侵入しやすいので注意が必要です。また、冬に葉水をする場合は、暖房で室温がしっかりと上がったタイミングで行ってください。
気温の低い早朝や夜に葉水をすると、冷やされて葉が黒く傷む恐れがあります。
パキラの水やりは1か月に1回でもいい?
パキラの水やりは、土の状態を確認してから行ってください。
土が乾きにくい冬であれば、1か月に1回の水やりも問題ないかもしれませんが、お部屋の空調によって頻度は異なります。暖房を頻繁に使用するお部屋に飾っているなら、土が乾いてから行うのがいいでしょう。
また、春~夏の生育期に1か月に1回の水やりは少なすぎるため、土が乾いていたらすぐに与えてください。
季節によって気温や天候、成長具合が異なるため、土の乾き方は日々変化します。「〇日に1回」と決めて水やりを行うと、与えすぎたり水不足になったりするので要注意です。
水やりの手間をなくしたい場合は、土の乾燥具合がパッと見てわかる水やりチェッカーを使うことをおすすめします。
まとめ
パキラは育てやすく可愛らしいため、人気の観葉植物です。しかし、水やり方法によっては枯れることもあります。
パキラを育てるには、水やりは必須のお手入れです。必ず行うお世話だからこそ、適切な水やりであれば、上手に育てることができるでしょう。
水やりは植物を育てるための基本ですが、非常に難しいお手入れの一つです。ここで紹介した水やり方法を試して、ぜひ元気なパキラを育ててください。
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