薬局では、清潔感のある空間づくりが求められますが、観葉植物を使って温かみを表現することで、お客さんはお店に入りやすくなり、気軽に商品を見ることができます。
観葉植物が数鉢置いてあるだけで店内は明るく見え、より清潔感のある空間を演出できるでしょう。
今回は薬局に置くおすすめの観葉植物の種類を詳しく紹介します。観葉植物の選び方も解説するので、どういうものが薬局になじむのか悩んでいる方も、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
どの観葉植物が薬局に良いのか迷ってしまったときは、筆者個人的にはフランスゴムの木をおすすめします。ほかの植物よりもナチュラル感が強く、温かみがあり薬局にも置きやすいです。
[https://andplants.jp/collections/plants-pharmacy]↑薬局におすすめの観葉植物はこちらでも併せてご紹介しています。
AND PLANTSでは、オフィス・店舗に大型の観葉植物の導入を検討されている方におすすめのXLサイズも取り揃えています。大型の観葉植物を飾りたい方は、ぜひご覧ください。
[/collections/plants-xl]薬局に置く観葉植物の選び方
薬局では、お客さんがゆっくりと商品を見れ、気軽に店員や駐在する薬剤師・医師の方に相談できるような店内づくりが大切です。
ここでは、薬局に置く観葉植物の選び方について詳しく解説します。
- 虫が寄り付きにくいもの
- 葉が落ちにくいもの
- 色味の落ち着いた葉が出るもの
虫が寄り付きにくいもの
清潔感を意識した薬局では、できるだけ虫が寄り付きにくい観葉植物を選び、きれいな店内を維持しましょう。
観葉植物の中でも、比較的葉に厚みがあるゴムの木などの植物や、サンスベリアなどの多肉植物には虫が寄り付きにくいです。さらに葉に香りがあるユーカリも忌避効果があるとされています。
薄い葉を細かくたくさん出す植物は、日当たりや風通しの悪さによって発生しやすいので、なるべく避けるといいかもしれません。
ただし、コバエは土の匂いで寄り付きやすく、土の中に卵を産みつけて繁殖することも。植物の種類とはあまり関係がないので、鉢の表面にココナッツファイバーやウッドチップを被せたり、赤玉土などの無機質な土を敷き詰めたりして、土の匂いをカバーしましょう。
葉が落ちにくいもの
薬局に枯葉やゴミが散らかっていたら、不衛生と感じる人もいます。店内に置く観葉植物は葉が落ちにくい、または落ちても拾いやすい観葉植物を選びましょう。
基本的に観葉植物は、冬に葉を一斉に落とさない常緑性の多年草や樹木です。生理現象や生長の流れによって春から夏頃にかけて葉が入れ替わる特徴があり、植物によって葉が入れ替わる量が違います。
大きい葉が出る植物と比べると、小さな葉がたくさん出るものは落葉しやすく、ゴミがたくさん出やすいです。
全ての植物が該当するわけではありませんが、大きな葉・長細い葉・硬い葉を出す植物は、落葉しにくいので薬局にもおすすめです。
色味の落ち着いた葉が出るもの
葉の色のトーンが落ち着いた観葉植物は、温かみのある薬局を演出できます。
濃い緑色の葉を出す観葉植物は、人の気持ちを落ち着かせ、ゆったりとした空間をつくってくれるはず。より自然的な緑の色合いであれば、温かみのあるナチュラル感を感じる薬局になり、お客さんは落ち着いて店内を見てくれるかもしれません。
あまり主張の強すぎるものがたくさん置いてあると、商品よりも目がいってしまうこともあるので、できるだけ避けてください。
薬局におすすめの観葉植物
ここでは、薬局におすすめの観葉植物を5つ紹介します。
- フランスゴムの木
- フィカス・バーガンディ
- サンスベリア・ゼラニカ
- フィカス・アルテシーマ
- 雲南シュロチク
①フランスゴムの木|モダンな上品さ
日当たり | 日当たりのよい置き場所 |
温度 | 最低10℃以上をキープする |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 強い |
水やり | 春夏:土の表面が乾いてから 秋冬:土の中が乾いてから2〜3日後 |
鮮やかな緑の小さな葉をたくさん出し、こんもりとした姿になるフランスゴムの木。地面からなめらかな曲線を描くように伸びた幹が美しく、その先に展開した濃緑の小さな葉がひかえめな姿なので、薬局店でもなじみやすくて、モダンで上品なインテリアアイテムになります。
オーストラリア東部の沿岸部に自生するフランスゴムの木は、暑さや乾燥、さらに塩害に強い樹木です。日陰にも耐性があるため、窓際から離れた場所でも元気に育ちます。
ただし、エアコンなどの風が直接当たるような場所で管理すると、葉が乾燥しやすく、ハダニやカイガラムシなどの害虫が付きやすくなるので注意しましょう。
[https://andplants.jp/collections/ficusrubiginosa]②フィカス・バーガンディ|葉が落ちにくい
日当たり | 日当たりのよい置き場所(直射日光は避ける) |
温度 | 最低8℃以上をキープする |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | 強い |
水やり | 春夏:土の表面が乾いてから 秋冬:土の表面が乾いてから2〜3日後 |
地面からざらざらした茶色の幹が真っ直ぐに伸び、先端から赤い新葉が出たあと、ワインカラーの厚みのある葉を広げるフィカス・バーガンディ。
バーガンディーカラーと呼ばれる光沢のある濃い赤紫色の葉には、大人感あふれる雰囲気があります。
インドやミャンマーなどに広く分布するインドゴムノキの仲間であるフィカス・バーガンディーは、高温多湿な環境を好む樹木です。定期的に葉水と水やりを行い、日当たりと風通しを良くすることで落葉しにくくなり、より大きな葉を出すようになります。
ただし、直射日光が当たる場所では、葉に穴があく場合もあるので、カーテンやブランイドで遮光した日当たりの良い場所で育てましょう。
[https://andplants.jp/collections/ficusburgundy]③サンスベリア・ゼラニカ|虫が寄り付きにくい
日当たり | 明るい日陰 |
温度 | 最低10℃以上をキープする |
耐寒性 | やや強い |
耐暑性 | 強い |
水やり | 春夏:土の表面が乾いてから2〜3日後 秋冬:葉の表面にしわが寄ってから(10月以降はほぼ断水) |
地面からしゅっと長く伸びる剣(つるぎ)のような濃緑の葉に、白い斑がしま模様に入るサンスベリア・ゼラニカ。厚みのある長い葉は茶色く枯れたり、葉焼けを起こしたりすることがなくて丈夫です。害虫が寄り付くこともなく、汚く見えてしまうことがあまりありません。
また、観葉植物の中でも特に枯れにくいといわれ、植物を育てたことが1度もない人や、管理に自信がない人にもおすすめです。忙しくてケアがあまりできない薬局店でも育てやすく、長い間新鮮な緑の葉を観賞できます。
熱帯アフリカやマダガスカルなどの温かい場所に自生するサンスベリア・ゼラニカは、暑さや乾燥にとても強く水切れを起こしにくい観葉植物です。
厚みのある多肉質な葉にたくさんの水分を貯えているので、水やりは季節や置く場所によって違いますが、1ヶ月に1〜2回のペースで乾燥気味にすると良いです。ただし、極端に土を乾かしすぎると葉が内側に丸まり、黄色く変色することもあるので、忘れないように水やりをしてくださいね。
[https://andplants.jp/collections/sansevieriazeylanica]④ザミオクルカス・ザミフォーリア|冬の寒さにも強い
日当たり | 日当たりのよい置き場所(直射日光は避ける) |
温度 | 最低10℃以上をキープする(15℃を切ってきたら屋内に取り入れる) |
耐寒性 | やや弱い |
耐暑性 | やや強い |
水やり | 春夏:土の表面が乾いたら 秋冬:土の表面が乾いてから3〜4日後 |
冬の夜間、営業が終了したあとは店内が寒くなることもあります。気温が5℃近くになる場合は、寒さにやや耐性があるザミオクルカス・ザミフォーリアがおすすめ。植物学上では、氷点下6.7℃程度までなら枯れることがなく、比較的観葉植物の中でも丈夫です。
ただし、暖かいところで管理する方が生育が良いので、できるだけ10℃以上になる場所で管理しましょう。
地面から伸びる茎や葉はスタイリッシュで、小さくても目をひくような魅力があり、店内の印象づくりにも役立ちます。新芽が長く伸びると、下から上に向かって無数の葉が開くので、ユニークに生長する姿も楽しめます。
土の中が乾燥しているときや新芽が伸びているときは、水をたっぷりと与えてくださいね。
[https://andplants.jp/collections/zamioculcas]⑤雲南シュロチク|日陰と寒さに耐性がある
日当たり | 室内の半日陰(直射日光は避ける) |
温度 | 最低5℃以上 |
耐寒性 | やや弱い |
耐暑性 | やや弱い |
水やり | 春夏:土の表面が乾いてから 秋冬:土の表面が乾いてから2〜3日後 |
ササのように細くて固い緑の幹が真っ直ぐと伸び、手のひらを広げたような切れ込みの入った葉が互い違いに展開する雲南シュロチク。幹から伸びる葉は細く、涼しげで優雅な印象があります。
中国に自生する雲南シュロチクは、ヤシ科の植物の中でも寒さに強くて、関東地方ぐらいまでの気温なら冬でも枯れにくいです。
また、日陰に耐性があるので、日光を確保できない薬局店でも管理がしやすくておすすめです。反対に強い日差しが苦手なので、半日陰になる場所で育てましょう。
葉が乾燥しやすい雲南シュロチクは、葉水を定期的に行い湿度をキープすると健康に育ちます。
[https://andplants.jp/collections/fingerpalm]薬局に観葉植物を置くときに考えるべきこと
薬局に観葉植物を置くときは、以下3つのポイントについて考えてみてください。
- 観葉植物を育てられる環境であるか
- 導線やスペースがあるか
- 観葉植物に機能性を持たせられるか
観葉植物を育てられる環境であるか
薬局に観葉植物を飾る場合は、日当たりや風通し、温度や湿度など、植物が育ちやすい環境を整えてから配置することが大切です。
育てる植物に適した環境ではないと、葉が変色したり落ちたりして、清潔感のないお店に見えてしまう場合もあります。店内の雰囲気が悪くなってしまうこともあるので、植物が健康に育つ環境かどうかを確認してからコーディネートしましょう。
また、世話ができる時間があるか、世話ができる人がいるかなど条件にも着目して適切な数の観葉植物を購入するといいです。
導線やスペースがあるか
限られた広さで、お客さんや店員さんが店内を行き交う薬局では、観葉植物や商品棚のゾーニング(配置)計画が大切です。どこに植物やものを置くか決めて配置することで、人がスムーズに歩く導線も決められ、店内をゆったりと見て回れる空間が実現します。
導線がしっかりと決まればものが邪魔になりにくく、お客さんは商品を取りやすくなり、店員さんは商品を陳列しやすくなります。さらに、無駄なスペースを減らすことができ、有効的に余ったスペースを使うことも可能です。
また、歩くスペースが広くなれば、観葉植物が腰や肩に当たらなくなるので、株や人を傷付けることも少なくなります。
観葉植物に機能性を持たせられるか
観葉植物は、それぞれの形態によって防音や目隠し効果などの役割を持たせることができます。種類と置く位置を考慮すれば、見栄えや雰囲気づくりに役立つアイテムだけでなく、機能性のある画期的なアイテムにすることも可能です。
樹高が高くて、幹が太い・葉がたくさん出る植物は、窓際に置くと外からの雑音を遮断する効果があり、お客さんは店内をリラックスしながら見て回れるでしょう。
細かい・細い葉がたくさん出て密集する植物は、透け感のある目隠し効果があります。パーテーションとして使えば、お客さんは店員さん・薬剤師の方と気軽に相談しやすくなります。
薬局に置く観葉植物の育て方
最後に、薬局に置く観葉植物の育て方について、基本的なポイントを4つ紹介します。
- 葉水を定期的に行う
- 水やりをする週を決める
- 日当たりや光を調整する
- 大きくなったら植え替えと剪定を行う
関連記事:観葉植物の育て方|コツや管理法について
葉水を定期的に行う
薬局で育てる観葉植物には、チリやホコリが積もりやすく、見た目が悪くなることもあります。店内で商品を見ているお客さんにとって、気分を害してしまうこともあるので、毎日霧吹き器で葉にたっぷりと水をかけ、きれいな状態を維持しましょう。
水がたっぷりとかかれば、葉がみずみずしくなり、鮮やかな緑を観賞できます。一方、汚れが葉に付いていると光合成を阻害し生長不良を起こすことも。
定期的に葉水を行えば、極端に乾燥しにくくなるので、葉焼けや水切れを起こすことも少なくなります。ただし、夜は気温が低く寒さで株が弱る場合もあるので、植物の活動が盛んになる午前中に行いましょう。
水やりをする週を決める
水やりがうまくできていないと、観葉植物は乾燥して水切れを起こしたり、過湿になって根腐れを起こしたりして枯れてしまいます。
水を与える前に一度、土の中の乾燥具合を確かめてから水やりしましょう。また、薬局の場合は、水やりをする週を決めておくのもおすすめです。忙しい日が続いてしまうと、誰が行ったのか、何回水を与えたのか、わからなくなってしまうこともあります。
例えば春から夏の暖かい時期は、観葉植物の生育が旺盛になるため、水をたくさん必要とします。春は1〜2週間に1度、夏は1週間に1〜2度のペースで水をあたえましょう。
秋や冬は気温が低くなり、観葉植物の生育の流れが落ち着くので、月に1〜2度のペースで土の乾燥具合を確認しながら水を与えます。
ただし、環境や観葉植物の種類や品種によっては水を吸収する量が違うので、あらかじめ温度や育て方をチェックしておくといいですよ。また、水やりの面倒な手間を省きたい場合は、下記のお水やりチェッカーもおすすめします。
[https://andplants.jp/products/watering_checker_sustee_small_single]日当たりや光を調整する
観葉植物は、午前中に陽の光が当たって、午後は日陰になるような半日陰な場所に置きましょう。植物は午前中に光合成を活発に行い、午後になるにつれ生育活動が鈍くなります。
また、日中に直射日光に当たり過ぎてしまうと、葉焼けや水切れを起こしたり、鉢の中が蒸れて根腐れをおこしたりする場合も。特に夏の西日の当たり過ぎは、観葉植物を弱らせて枯らしてしまうこともあります。
店内に直射日光が差し込む場合は、鉢を移動させるか、カーテン・ブラインド・すだれなどで日陰をつくりましょう。また日陰で暗過ぎる場合は、園芸用のグローライトを設置して、光を当てて管理してあげてください。
大きくなったら植え替えと剪定を行う
鉢植えで観葉植物を育てるときは、基本的に2年に1回のペースで植え替えや剪定をしましょう。
植え替えをせずにそのまま放置してしまうと、植物は根詰まりを起こして枯れてしまうこともあります。根鉢がパンパンに固くなると土中の酸素濃度が薄くなるため、植物の根が窒息状態に陥りやすくなりやすいです。鉢底・土の表面から根が出たときにも植え替えするといいです。
また、枝葉がたくさん伸びて大きくなり過ぎたときや、株の内側に光や風が当たりにくくなったときには剪定をします。植物の生長をコントロールするし、育てる環境を良くするために行います。
ただし、植物によって生長スピードが違うので、生育にあわせて植え替えと剪定の頻度を変えてくださいね。
まとめ
清潔感があって、温かみも感じられる薬局は、お客さんが落ち着いてゆっくりと店内を見て回れ、気軽に店員さんに相談もできます。そういった明るい空間を実現するには観葉植物が欠かせません。
薬局店だから観葉植物はなくても良いと思いがちですが、あるお店とないお店では、お客さんの印象の受け取り方が違います。温かみが感じられるからこそ、店内に入りやすくなり、リピーターになる可能性もぐっと高まります。
特に個人経営で薬局を開業した方は、観葉植物を置いて大手のドラッグストアチェーン店では感じられない居心地の良い空間づくりを意識し、地域の方に親しまれるような温かみのあるお店を築いてください。
もし今回紹介した観葉植物で、どれが良いか迷ってしまったときは、モダンで上品なフランスゴムの木を選んでみましょう。濃緑の小さな葉と、なめらかな曲線を描くように伸びる幹が相まった姿は美しく、ナチュラル感がたっぷりで温かみを感じられます。