パキラを育てていて、「幹がブヨブヨする」「土から異臭がする」などの問題に悩んでいませんか。もしかすると、根腐れしているのかもしれません。
パキラは育てやすい観葉植物として人気ですが、環境や育て方によっては根腐れすることもあります。今回は、パキラの根腐れについて詳しく解説します。
根腐れの見分け方や復活方法、原因、予防方法などについて紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
パキラに限らず、どの植物も根腐れをしてしまうと、大きなダメージを受けます。根の状態によっては枯れる危険もあるため、早めの対処を行いましょう。
症状別|パキラの根腐れの見分け方
パキラの根腐れの見分け方は、症状別に以下の4つに分けられます。
- 初期症状|土が乾かない
- 中期症状|異臭がする
- 後期症状|幹の根元がブヨブヨする
- 末期症状|葉がすべて落ちて枯れる
それぞれの症状を詳しく見ていきましょう。
初期症状|土が乾かない
パキラの根腐れの初期症状は「土が乾かない」です。
根腐れによって根の先端が傷み始めると、土の水分を吸収しにくくなります。根からの水分吸収量が減少すれば、土は徐々に乾かなくなるためです。
そのため、水やりの量を変えていないにも関わらず、土が乾かない状態が続く場合は、根腐れし始めているかもしれません。
土を確認せずに「3日に1回」「週に1回」などの決まったペースで水をやり続けると、土が乾いていないことに気づきにくいので、初期症状を見逃さないように注意しましょう。
中期症状|異臭がする
パキラの根腐れの中期症状は「異臭がする」です。土が乾かない状態が長く続くと、傷んでいた根の先端は枯死して腐ります。
異臭は腐った根が原因で、生ものが腐ったような臭い(腐敗臭)です。土の中でカビの菌が増えて、カビ臭くなることもあります。
土から異臭がしてくると、葉がしおれ始めたり幹にしわが寄ったり、コバエが発生したりもします。土からの異臭に気づいたら、急いで対処しましょう。
一度腐った根は元に戻ることはなく、徐々に太い根へと広がりながら、周囲の有機質に悪影響を与えます。結果的に、土全体の環境が悪化して根腐れの進行が早まるので注意してください。
根腐れでパキラを枯らさないためには、土から異臭がするタイミングまでに気づいて対処することが重要です。
後期症状|幹の根元がブヨブヨする
パキラの根腐れの後期症状は「幹の根元がブヨブヨする」です。幹の色が黒ずみ、水っぽくなります。
幹の根元がブヨブヨしている場合、土の中の根はすべて腐っている可能性が高いです。根腐れは、土が湿った状態が長く続きやすい鉢底から鉢の表面に広がる根に向かって進行します。
そのため、地上部の幹の根元までブヨブヨになっている場合、地下部の根の多くはすでに腐っていると考えられるためです。幹の根元がブヨブヨしている場合は、植え替えしても復活は難しいでしょう。
末期症状|葉がすべて落ちて枯れる
パキラの根腐れの末期症状は「葉がすべて落ちて枯れる」です。末期症状まで根腐れが進むと、幹の水っぽさはなくなり、乾いた根元はフカフカとした感触になります。
フカフカした根元には白いカビが生えることもあります。根腐れの末期症状は、根元が枯死した状態であるため、葉に栄養や水分が供給されません。
そのため、葉が一斉に落ち始めます。幹や枝も枯れかかっている状態なので、挿し木で増やすことも難しいでしょう。
症状別|根腐れしたパキラの復活方法
根腐れしたパキラの復活方法を、症状別に紹介します。
- 初期症状|水を控えて土を乾かす
- 中期症状|植え替えする
- 後期症状|元気な枝を挿し木する
- 末期症状での復活は難しい
それぞれの復活方法について、詳しく見ていきましょう。
初期症状|水を控えて土を乾かす
根腐れの初期症状からの復活方法は、「水を控えて土を乾かす」です。土が乾いていないにも関わらず、水やりを続けると根腐れが悪化してしまうためです。
まず土が乾くように、日当たりや風通しの良い場所に移動させてください。根腐れの初期症状の段階で、対処しておくことが重要です。
傷んだ根の先端は枯れますが、すぐに新しい細根が伸び始めます。パキラもすぐに調子を取り戻して元気に復活するでしょう。
その後は、再び土が湿り続けることがないように、水やりのペースや置き場所、受け皿の溜め水に注意して育ててください。
中期症状|植え替えする
根腐れの中期症状からの復活方法は、「植え替え」です。土から異臭がする状況は、根腐れが進行しており、土の環境も悪くなっています。
土から根を取り出し、黒く溶けたような根や状態の悪い根は取り除いてください。その後、新しい観葉植物の土で新しい鉢に植え替えましょう。
元気な根が多い場合は、元の大きさと同じサイズの鉢に植えます。しかし、元気な根が少ない場合は、地上部の枝葉も剪定して、鉢の大きさを1~2回りサイズダウンさせてください。
根が少ない状態で、枝葉が多いと根に負担がかかります。また、根の量に対して土が多いと、水やり後に土が乾かず再び根腐れするかもしれません。
中期症状のパキラを復活させるためには、植え替え後の土の乾湿サイクルも重要なポイントです。再び根腐れさせないように、パキラを復活させてください。
パキラの植え替えについては、「パキラの植え替え方法」の記事で詳しく紹介しています。
後期症状|元気な枝を挿し木する
パキラの後期症状からの復活方法は「元気な枝を挿し木する」です。幹の根元がブヨブヨしている状態は、根の多くが腐っている状態なので、植え替えても復活は難しいです。
幹の根元がブヨブヨし始めたくらいの時期であれば、まだパキラの枝先には元気があります。枝先が元気なうちに剪定して、挿し木してください。
パキラは挿し木で増やせるので、小さな姿から復活させましょう。挿し穂は多めに確保して挿し木しておくと、安心して増やせます。
増やしたパキラを再び大きくなるように育ててください。パキラの挿し木方法については、「パキラの挿し木」の記事で詳しく紹介しています。
末期症状での復活は難しい
パキラの後期症状が進むと、幹の根元がフカフカになったり葉が一斉に落ちたりします。末期症状のパキラは復活が難しいです。
幹の根元が枯死しているため、幹や枝は枯れかかっています。元気のない枝を挿し木しても、発根して復活する可能性は低いです。
根腐れしたパキラを復活させたい場合は、初期~中期症状で対処することが重要です。遅くとも、後期症状までの間に元気な枝を挿し木しておきましょう。
パキラが根腐れする原因
パキラが根腐れする原因は、以下の5つです。
- 水やり
- 日当たり
- 風通し
- 肥料
- 土
基本的なパキラの育て方が守られていない場合に、根腐れは発生しやすいとされています。そのため、置き場所や育て方を改めて見直していきましょう。
①水やり
パキラの根腐れの多くは、水やりに原因があります。パキラは肥大する幹の根元に水を溜め込む性質を持つため、土は乾燥気味で十分です。
水をやりすぎたり、受け皿に水を溜めていたりすると、根腐れしやすくなります。また、極端な水切れを繰り返すことも根腐れに繋がります。
枝葉が枝垂れるほどの水切れでも、水やりすると枝葉は元に戻りますが、根にダメージは残ったままです。その状態で、再び水切れを繰り返すと、根が枯れていきます。
結果的に、根の吸水力が落ちて根腐れしやすくなるので、極端な水切れにも注意してください。
②日当たり
パキラが根腐れする原因の1つに、「日当たりの悪さ」があります。パキラは日当たりを好む植物なので、日差しが入らないほど暗い場所では生育が良くありません。
根の生育も悪く、吸水力も劣るため、水やり後に土が乾きにくいです。そのため、根腐れしてしまいます。
また、日当たりの悪い場所は、日光が土に当たらないので、より土が乾燥しにくい環境です。
③風通し
パキラの根腐れは、風通しとも関係しています。風通しが悪い場所では、土が乾きにくいためです。
窓を開けられなかったり、お部屋の隅に置いていたりすると空気が滞留します。水やり後に湿った表土に風が当たらないと、周囲の湿度が維持され続けて乾燥が進みません。そのため、根腐れの原因になります。
パキラを育てる際には、水やりや日当たりだけでなく、風通しにも気を付けましょう。
④肥料
パキラの根腐れは、「肥料の与えすぎ」によっても生じます。肥料を与えすぎると、根傷みに繋がるためです。
根傷みが進むと、根が枯れてしまいます。枯れた根は土が湿った状態が長く続くと腐りやすいです。腐った根は、周囲の元気な根にも悪影響を与えて、根腐れを進行させるので、注意してください。
固形や液体などの種類にかかわらず、肥料はそれぞれ与える量とペースを守りましょう。
⑤土
パキラが根腐れする原因の1つに、土の状態があります。水持ちが良過ぎる土は、水分を保持し続けるため、根腐れしやすいです。
観葉植物の土は、水はけが良いように作られているため安心して使用できます。しかし、植え替えない場合は、土が劣化して水はけが悪くなるので、注意が必要です。
また、オリジナルで観葉植物の土を作る場合、水持ちが良い赤玉土を入れすぎると根腐れしやすくなる傾向があります。オリジナルで土作りをする場合は、ご自身の水やりペースや生活サイクルに合わせて作ることが重要です。
パキラの根腐れを防ぐ予防方法
パキラの根腐れを防ぐための予防方法は、以下の5つです。
- 季節に応じた水やりをする
- 適切な環境で育てる
- マルチングは定期的に外す
- 適切な大きさの鉢に植える
- 水はけのよい土で植える
根腐れをすると根が傷むため、生育が悪くなります。根腐れをさせずに、元気に育てるためにも、しっかりと予防をして育てましょう。
①季節に応じた水やりをする
パキラの根腐れを予防するためには、以下のような季節に応じた水やりが重要です。
- 春夏:手で土を触って水分を感じなくなったら(鉢の中央部分までしっかり乾いてから)
- 秋冬:手で土を触って水分を感じなくなって(鉢の中央部分までしっかり乾いてから)1週間程度あけた後
パキラは乾燥に強いですが、水をやりすぎると根腐れしやすい性質を持っています。水やりは、スパルタでも問題ないと考えておくと管理がしやすいです。
生育期の春夏であっても、手で土を触って水分が感じられないくらい乾いてから、たっぷり水やりしましょう。ただし、受け皿に水を溜めると土が乾かない原因になるので、注意してください。
気温が下がり始める秋から水やりのペースを落として、冬は土が乾いてから1週間後に水やりします。土の乾燥具合が分からない場合は、水やりチェッカーを使うのもおすすめです。
②適切な環境で育てる
パキラの根腐れを防ぐためには、適切な環境で育てることも重要です。根腐れする原因に、日当たりと風通しの悪さがあるためです。
日当たりと風通しの良い場所で、パキラを育てると自然と根腐れを予防できます。日当たりを確保できない場合は、植物用LEDや蛍光灯で補光すると良いでしょう。
風通しを確保できない場合は、サーキュレーターやエアコンを付けて空気を動かしてあげると良いです。ただし、直風が当たり続けると、乾燥によってパキラが傷むので注意してください。
③マルチングは定期的に外す
パキラの鉢植えにマルチングをしている場合は、定期的にマルチングを外してください。1週間に1度程度で大丈夫です。
砂利やバークチップ、ヤシ繊維などで表土が覆われていると、水やり後に乾きにくくなります。定期的にマルチングを外して、表土に光と風を当てると根腐れを予防できるでしょう。
プレゼントでいただくパキラには、バークチップやヤシ繊維がセットでマルチングされていることが多いです。水やりをしすぎた場合、根腐れを促進させるので注意してください。
④適切な大きさの鉢に植える
パキラは適切な大きさの鉢に植えてください。パキラの株に対して、鉢が大きすぎると、水やり後に土が水分を含み過ぎて根腐れの原因になるためです。
植え替え前の鉢と比べて、1回り大きいくらいの鉢に植えましょう。ただし、根腐れの中期症状で、元気な根が少ない場合は鉢をサイズダウンさせます。
土が常に湿っている状態にならないように、鉢の大きさにも気を付けてください。
パキラの鉢については、「パキラに合う鉢」の記事で紹介しています。鉢選びに悩んでいる場合は、ぜひ参考にしてみてください。
⑤水はけのよい土に植える
パキラの根腐れを予防するためには、水はけのよい土に植えるのもポイントです。水やり後、土から水がスッと抜けるような状態だと根腐れしにくいでしょう。
AND PLANTSでは、オリジナルソイルとして「AND PLANTS SOIL 観葉植物の土」を取り扱っています。観葉植物の生育に適した乾きやすさと、育てやすい保湿性を両立しているため、根腐れしにくいです。
水もスッと抜けるため、パキラもより健康的に育てられます。
パキラの水耕栽培も根腐れに要注意
パキラの根腐れは、土栽培だけに限った問題ではありません。ハイドロボールやセラミスなどの無機物資材を使用した水耕栽培でも、根腐れは起こります。
水耕栽培は鉢底に穴が開いていないので、鉢いっぱいに水やりをすると根が呼吸できない状態になります。根が呼吸できない状態が続くと根腐れするので、注意してください。
無機物資材を使った水耕栽培の場合は、鉢に対して1/5くらいの水量を与えます。水を入れていない場合と入れた場合の重さを測っておくと、水やりがしやすいかもしれません。
無機物資材も使わない水挿し状態で育てる場合は、根が水に浸っていても問題ありません。水だけの環境に適した根が伸びるためです。
そのため、ハイドロボールやセラミスを使った水耕栽培は、土栽培同様に水のやりすぎに注意しましょう。
パキラの根腐れによくある質問
最後にパキラの根腐れによくある質問とその答えを以下にまとめました。
- ねじりパキラの1本だけが根腐れした時はどうする?
- パキラの根元の幹に白いカビのような粉が付いていたら根腐れですか?
それでは具体的に見ていきましょう。
ねじりパキラの1本だけが根腐れした時はどうする?
幹を編み込んだねじりパキラの1本だけが根腐れした時は、根腐れした1本だけを取り除く必要があります。そのままにしておくと、残りのパキラに悪影響を及ぼしてしまうためです。
そもそもねじりパキラは、それぞれの株に大きなストレスが加わっているので、根腐れしたり枯れやすかったりします。幹の根元が太くなるパキラを、ぴったりくっつけて編み込んでいるため、生育が弱い株から調子を崩すためです。
1本だけが根腐れしている場合は、パキラの編み込まれた幹の先端部分をほぐしながら、根腐れした幹を徐々に切り落とします。根元に近づくほど、ほぐしにくくなるため、最後は鉢から根鉢を取り出して土に埋まった部分から引き抜くと良いでしょう。
根腐れした株を引き抜いた編み込みのねじりパキラは、そのまま新しい土で植え替えたり、バラバラにして1本ずつで育てたりします。
パキラの根元の幹に白いカビのような粉が付いていたら根腐れですか?
パキラの根元の幹に白いカビのような粉が付いている場合は、根腐れの後期~末期症状です。すでに幹の根元は腐って枯れているかもしれません。
触ってみて、幹が水っぽかったりフカフカしていたりする場合は、助かる可能性は低いでしょう。もし幹の根元が硬い場合は、白いカビのような粉を綺麗に取り除き、生育に適した場所に移動させ、乾燥気味に育ててください。
パキラには、カイガラムシと呼ばれる白い小さな虫が付くこともあります。もしかすると、白いカビのような粉はカイガラムシかもしれません。
柔らかい布やブラシで触って確認してみましょう。カイガラムシについては、「観葉植物の白い綿はコナカイガラムシ」の記事を参考にして対処してみてください。
まとめ
パキラの根腐れについて紹介させていただきました。パキラは育てやすい植物として、初めて観葉植物をお部屋に迎える方にも人気があります。
しかし、「大きく育てたい」「とりあえず水さえやっておけば大丈夫」といった思いがあって、水のやりすぎで根腐れさせてしまう方も少なくありません。1度、根腐れするとパキラに大きなダメージが残ります。
復活しても、生育が良くならないかもしれません。日頃から適切な場所で育てて根腐れの予防をしましょう。
また、日頃の観察をしっかり行う癖を付けておくと、根腐れに気づきやすいです。初期症状のうちに対処できれば復活しやすいので、なるべくパキラの小さな異変に気付いてあげてください。