花言葉とは、「お花にはそれぞれ神からのメッセージがある」と考えられてできた風習です。それぞれ各国の神話や言い伝え、植物の性質、イメージなどからつけられています。
今回は、「悲しい」の意味がある花言葉を、身近な植物を中心にピックアップしてみました。
悲しさを表す花言葉の多くは、切ない物語が由来となっています。
イメージに似合う花言葉もあれば、お花の印象とは異なるように感じる花言葉もあるでしょう。悲しい花言葉を知ると、いつも目にするお花もどこか悲しい表情をしているように見えるかもしれません。
また、「悲しい」に関する花言葉からは、各国の文化や時代の背景をうかがえるものもあります。花言葉の由来を知って、お花の世界に入り込んでみませんか。
花言葉の意味や、悲しい花言葉がつけられた背景を詳しくご紹介していきます。
「悲しみ」に関する花言葉
まずは「悲しみ」の意味を持つ花言葉をご紹介します。
- 紫のヒヤシンス|「悲しみ」
- 濃い赤のカーネーション|「私の心に哀しみを」
- アリウム|「無限の悲しみ」
- クジャクアスター|「悲しみ」
- イチイ|「哀しみ」
「悲しみ」に関する花言葉は、神話や色のイメージからついたものが多いようです。
美しいお花になぜ「悲しみ」の花言葉がついたのか、ひとつずつ解説していきます。
紫のヒヤシンス|「悲しみ」
ヒヤシンスの花言葉は、ギリシャ神話に登場するヒアキントスの悲しい逸話からきています。
スポーツ万能な美少年ヒアキントスは、太陽神アポロンと西風の神ゼピュロスに愛されていました。
ある時ヒアキントスとアポロンが2人で円盤投げを楽しんでいたところ、ゼピュロスが嫉妬して突風を吹かせます。突風に煽られたアポロンの円盤がヒアキントスの頭に当たり、ヒアキントスは大量の血を流して死んでしまいます。ヒアキントスの血から、紫のヒヤシンスが咲きました。
「悲しみ」「悲哀」「許してください」は、アポロンやゼピュロスの気持ちを表現してついた花言葉です。
なお、ヒヤシンス全般の花言葉は「スポーツ」「ゲーム」です。ヒアキントスがスポーツ万能だったことが由来と言われています。
濃い赤のカーネーション|「私の心に哀しみを」
濃い赤のカーネーションには「私の心に哀しみを」「欲望」の花言葉がついています。
濃い赤のカーネーションになぜ悲しい花言葉がついたのか、由来ははっきり分かっていません。品種によっては黒色に近いため、暗いイメージからつけられたのではないでしょうか。
花言葉は悲しい印象がありますが、濃い赤のカーネーションはシックで大人っぽい花束やアレンジメントによく似合います。コットンや松ぼっくりと合わせたクリスマスアレンジも素敵です。
プレゼントに選ぶ時は、カーネーション全般の花言葉「無垢で深い愛」を伝えるといいでしょう。メッセージカードに選んだ花言葉を書いて添えれば、誤解を招きにくくなります。
関連記事:カーネーションの花言葉|母の日や彼女へのプレゼントに添えて贈りたい花言葉と由来
アリウム|「無限の悲しみ」
アリウムの真っ直ぐな茎に咲くお花が、悲しみに暮れて呆然と佇んでいる人に見えたため「無限の悲しみ」の花言葉がついたそうです。
また、アリウムの紫色のお花が関係するという説もあります。
紫色は、西洋では悲しみを象徴する色と言われています。そのため紫色のお花には、悲しい意味の花言葉がつけられているケースが多いようです。
しかしアリウムにはほかに、「夫婦円満」「正しい主張」の花言葉もついています。
「夫婦円満」はアリウムのお花がふんわりと丸みを帯びていることから連想された花言葉です。また、茎がまっすぐに伸びて堂々としているように見えたため「正しい主張」の花言葉がつきました。
クジャクアスター|「悲しみ」
クジャクアスターは、紫色が美しいキク科の植物です。放射状に花びらが開く様子を孔雀の羽に例えて、クジャクアスターやクジャクソウと呼ばれています。
「悲しみ」の花言葉は、西洋では紫色が悲しみを表すことからつけられました。またお花が長持ちするため、仏花や墓花に使われることにも由来しているようです。
なお、かわいらしく清楚なお花のイメージから「一目惚れ」「可憐」「飾り家のない人」の花言葉もついています。
アスターの仲間は区分けが曖昧ですが、宿根アスターの中でも背が高い品種を特にクジャクアスターと呼びます。花苗や切り花でも人気のお花です。
そのため、プレゼントに利用する場合は、悲しい意味合いではなく、ポジティブな花言葉を伝えて贈ると良いでしょう。
イチイ|「哀しみ」
「哀しみ」の花言葉は、西洋のイチイのイメージからきています。
イチイは古代ローマではすでに有毒植物として知られており、イチイの木陰で眠ると死ぬと言い伝えられていました。
北欧では聖なる木であり、死と再生のシンボルでもあったようです。ヨーロッパ先住民のひとつであるケルトでは魔女から墓を守るために墓地に植えられ、やがてキリスト教会墓地にも植えられるようになったと言われています。
シェークスピアのいくつかの作品にも、イチイが毒殺の材料として登場します。死と結びついているイメージから、「哀しみ」の花言葉がついたのでしょう。
一方日本では、イチイは縁起の良い木として知られています。
木目の美しさから聖徳太子や仁徳天皇の笏(しゃく)に使われたと言われており、「高尚」の花言葉がついています。お庭に植える場合は、毒性に注意してください。
「悲しい別れ」に関する花言葉
次は悲しい意味の中でも、別れに関する花言葉をご紹介します。
- ヒガンバナ|「悲しい思い出」
- マリーゴールド|「「悲しみ」「別れの悲しみ」
- ポピー|「別れの悲しみ」
- パンジー|「ひとりにしないで」
- 黄色のバラ|「別れてください」
一見同じように見える悲しい別れの花言葉ですが、由来はさまざまです。
植物や色の持つ文化的背景など、昔の生活を垣間見ることができる花言葉もあります。
それぞれの花言葉を解説していきましょう。
ヒガンバナ|「悲しい思い出」
9月のお彼岸の頃にお花が咲くヒガンバナ。
墓地によく植えられていることから、故人との別れを悲しむ様子を表して「悲しき思い出」の花言葉がつきました。お彼岸のお墓参りにご先祖や故人を想う人たちの姿から、「再会」「転生」の花言葉もついています。
ヒガンバナは、アルカロイドを含む有毒植物です。土葬の時代にモグラやネズミから遺体を守るため、墓地にヒガンバナが植えられてきました。また、ヒガンバナには他の植物を寄せ付けない性質があり、雑草を生えにくくする効果があることも分かっています。
さらに真っ赤な炎のようなお花の印象から、「情熱」の花言葉もあります。残暑が残る9月に広がる真っ赤なヒガンバナの景色は見応えがあり、人々に秋の始まりを感じさせてくれるでしょう。
マリーゴールド|「悲しみ」「別れの悲しみ」
「悲しみ」「別れの悲しみ」の花言葉は、ギリシャ神話の太陽神アポロンと水の妖精クリュティエにまつわる話が由来です。
アポロンはクリュティエを寵愛していました。しかしある時、アポロンはペルシア王女レウコトエに恋をしてしまいます。嫉妬したクリュティエがレウコトエの父に二人の関係を密告したことにより、レウコトエは殺されてしまいます。
悲しんだアポロンはクリュティエを恨み、二度と近づこうとしませんでした。クリュティエは後悔し、マリーゴールドに姿を変えてしまったそうです。
嫉妬心や密告した行為から連想して「下品な心」の花言葉もつけられています。
クリュティエが姿を変えたお花は、キンセンカやヒマワリ、ヘリオトロープと言われることもあります。いずれもアポロンを象徴する太陽に向かってお花を咲かせるイメージがあるため、マリーゴールド以外の花でも紹介されるようです。
ポピー|「別れの悲しみ」
ポピーの「別れの悲しみ」の花言葉には、2つの由来があると言われています。
1つは、ギリシャ神話に登場する豊穣の女神デメテルにまつわる話です。
娘のペルセポネを冥王ハーデスに誘拐されてしまったデメテルは、悲しみのあまり眠れない日々が続きます。そこで見かねた眠りの神ヒュプノスが、よく眠れるようにポピーを贈りました。
デメテルの心境を表して、「別れの悲しみ」「眠り」「なぐさめ」「いたわり」の花言葉がつけられたそうです。
もう1つは、ポピーの別名・虞美人草(ぐびじんそう)の由来に関連する話です。
楚の武将であった項羽には、虞美人と呼ばれる愛人がいました。項羽が戦いに敗れた際、虞美人は項羽を想って自害してしまいます。のちに虞美人のお墓にポピーが咲いたため、虞美人の悲しい運命を表現して「別れの悲しみ」がついたそうです。
パンジー|「ひとりにしないで」
「ひとりにしないで」の花言葉は、パンジーが一度に多くのお花を咲かせる性質が由来です。
ほかにも、顔にも見える模様のお花がうつむきがちに咲く姿から、「私を思って」「もの思い」の花言葉もついています。パンジーの名前は、フランス語の「pansee(考える、想う)」からつけられました。
またパンジーは、右と左の花びらがキスをしているように見えることから、恋の草とも呼ばれています。
西洋では、パンジーの汁を惚れ薬に使っていた伝承があるそうです。シェイクスピアの「真夏の夜の夢」にも、パンジーの惚れ薬が登場します。
実際の効果は実証されていませんが、「ひとりにしないで」や「私を思って」の花言葉と合わせると、どこか怖さも感じられるかもしれません。
関連記事:パンジーの花言葉|色別の花言葉や誕生花、名前の由来
黄色のバラ|「別れてください」
「別れてください」の花言葉は、西洋の黄色のイメージからつけられています。
古代ヨーロッパでは黄色は光の色であり、高貴な色でした。
しかし中世になり色を作る技術が高くなると、光は金色で表されるようになります。金色に比べて黄色はくすんで見え、低俗で汚いイメージへと変化していきました。
やがて被差別者の目印に黄色が使われるようになり、キリスト教ではユダヤ人に黄色の服を着用させたと言われます。
中世以降の絵画で、黄色は異端者の色として描かれるようになります。そして有名なダヴィンチの絵画「最後の晩餐」でユダの服が黄色で描かれ、イメージが広がりました。
イエスを裏切ったユダの印象から、黄色のお花には「別れ」などネガティブな花言葉が多いようです。黄色のバラにはほかに「嫉妬」「拒絶」「不貞」がつけられています。
しかし近代では希望のイメージも広がったため、「希望」「友情」「美」の花言葉もあります。黄色のバラをプレゼントする場合は、ネガティブな意味で受け取られると、お互いに悲しい気持ちになるかもしれません。
ポジティブな花言葉を添えて贈ると安心です。
「愛の悲しみ」に関する花言葉
次は、恋愛に関する悲しみを表現した花言葉をご紹介していきます。
- ヤナギ|「愛の悲しみ」
- ミソハギ|「悲哀」「愛の悲しみ」
- アネモネ|「儚い希望」「恋の苦しみ」
- アサガオ|「はかない恋」「短い愛」
- ブラシノキ|「儚い恋」
切ない印象の花言葉は、神話や言い伝えが由来になっているものが多く見られます。ギリシャ神話だけでなく、日本や中国の言い伝えからついた花言葉もあります。
ではそれぞれの花言葉を見ていきましょう。
ヤナギ|「愛の悲しみ」
「愛の悲しみ」は、ヤナギの悲しいイメージからつけられた花言葉です。
ヤナギに悲しいイメージがついたのは、旧約聖書が由来です。バビロンの捕囚になったユダヤの女性たちがヤナギの木を見た時、故郷のシオンを思い出して涙したと書かれています。
また、英雄ナポレオンはヤナギに魅了され、ヤナギの下に埋葬されたと言われています。欧米ではナポレオン人気から、墓地にヤナギを植えたり、墓石にヤナギを描いたりするようになったそうです。
愛する人との悲しみのイメージは、墓地に植えられている姿から連想されたと考えられています。
18世紀にイギリスで流行したウィローパターンにも、ヤナギとともに中国の古い悲恋物語が描かれています。ウィローパターンとは中国式にヤナギの風景を描いた陶磁器の絵柄で、現在でもコレクターに人気です。
ヤナギの優雅な枝と佇まいは、各地で死や悲しい愛を連想させたのですね。英語では、失恋や悲しみを「wear the willow(ヤナギをまとう)」と表現する慣用句もあります。
ミソハギ|「悲哀」「愛の悲しみ」
お盆のお花としてよく知られるミソハギ。お盆に捧げるイメージから、「悲哀」「愛の悲しみ」「慈悲」などの花言葉がつけられています。
ミソハギは、お盆に飾る供物をミソハギの花にかけた水で清める風習から、盆花や精霊花とも呼ばれます。禊(みそぎ)に使うことから、禊萩(みそはぎ)の表記で知られるようになりました。
ミソハギがお盆の風習に使われるようになったのは、お盆の時期に花が咲くためと、ミソハギの名前が禊につながったためと考えられています。ミソハギはもともと、溝に咲く萩に似たお花の意味で溝萩(みぞはぎ)と呼ばれていたようです。
水辺に咲くことから水萩(みずはぎ)が語源の説もあります。
アネモネ|「儚い希望」「恋の苦しみ」
アネモネの花言葉は、ギリシャ神話の美少年アドニスの話が由来です。
アドニスは、アフロディーテとペルセポネから愛されていました。2人がアドニスを奪い合って争いを起こしたため、神々の裁判が行われます。そして「1年の1/3をアフロディーテと、1/3をペルセポネと過ごし、残りの1/3は自由に使ってよい」と判決が下りました。
やがてアドニスは自分の時間もアフロディーテと過ごすようになります。アドニスはアフロディーテを愛していたのです。しかし幸せな時間も束の間、アドニスは狩りの途中で命を失ってしまいます。
悲しんだアフロディーテの涙とアドニスの血が、アネモネになったと言われます。
やっと得た恋人との時間が儚く終わってしまったことを表して、「儚い希望」「恋の苦しみ」の花言葉がつけられました。
アネモネの語源は、ギリシャ語の「Anemos(風)」です。アネモネの風に揺れる姿や、花びらが儚く風に散る姿を表しているようです。人々は古代から、風に吹かれるお花に儚さを感じていたのかもしれませんね。
アサガオ|「はかない恋」「短い愛」
アサガオの「はかない恋」「短い愛」は、アサガオのお花がすぐにしぼんでしまう性質に由来しています。
またアサガオは、中国では牽牛花(けんぎゅうか)と呼ばれていたようです。当時アサガオの種は下剤に使われ、高価で珍しいものでした。種を牛と交換していたことから、牽牛花の名前がついたと考えられています。
やがて平安時代の日本にも、薬としてアサガオが伝わります。牽牛花と呼ばれていたこと、七夕の頃にお花を咲かせることから、七夕の縁起の良い植物として広まりました。アサガオのお花が咲くと、織姫と彦星が出会えた印と言われていたそうです。
アサガオにはほかに、「結束」「あなたに絡みつく」「絆」の花言葉もあります。ツル性の枝が絡みつく様子からつけられたと言われています。
ブラシノキ|「儚い恋」
ブラシのような形状の赤いお花を咲かせるブラシノキ。5月の空に映える赤い色合いが、燃える恋心のように見えたことが花言葉の由来です。
恋がやがて燃え尽きる様子を連想して「儚い恋」の花言葉がついたと考えられています。ほかにも「恋の炎」「恋の火」の花言葉もついています。
ブラシノキを金宝樹(きんぽうじゅ)の名前で聞いたことがある人も多いでしょう。たくさんのお花をつけた姿が、宝石のように輝いて見えたことが名前の由来です。縁起の良い木として、庭木によく使われています。
オーストラリア原産の植物で、日本でも暖地では大きくなります。丈夫で育てやすく、インパクトのある姿が人気の植物です。
ほかにも恋愛に関する花言葉が気になる方は、「一緒にいたい」の花言葉の記事で紹介しています。
「失恋」に関する花言葉
最後は、失恋に関する花言葉をご紹介します。
- 白のチューリップ|「失われた恋」
- スカビオサ|「私は全てを失った」
- ケマンソウ|「失恋」「冷めはじめた恋」
- 青のアジサイ|「あなたは冷たい」
- 紫のクロッカス|「愛したことを後悔する」
花言葉はかつて愛の告白やラブレターとして流行したため、愛に関する言葉が多くつけられました。素敵な愛の花言葉ばかりでなく、悲しい失恋の花言葉もたくさんあります。
切ない花言葉の由来は、お花によってさまざまです。ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
白のチューリップ|「失われた恋」
白いチューリップの花言葉は「失われた恋」「失恋」「思い出の恋」です。
失恋に関する花言葉は、白いチューリップの持つ儚げな印象からつけられたと言われます。また、白のまっさらなイメージから「新しい恋」「新しい愛」「純粋」の花言葉もついています。
チューリップ全般の花言葉は、「思いやり」や「博愛」です。
チューリップの花言葉は、オランダの言い伝えが由来とされています。ある美しい少女が、3人の騎士からプロポーズを受けます。3人はそれぞれ、冠、剣、黄金を少女にプレゼントしました。
1人を選べなかった少女は、花の女神に頼んで自分をお花に変えてもらったといいます。そして冠はお花に、剣は葉に、黄金は球根となって、チューリップが生まれたそうです。
悲しい失恋に関するチューリップ花言葉はほかにも、黄色の「報われぬ恋」「望みのない恋」があります。
関連記事:チューリップの花言葉|色別の花言葉や誕生花、名前の由来
スカビオサ|「私は全てを失った」
可憐な印象のスカビオサには、「私は全てを失った」「失恋」「失恋の痛手」「不幸な恋」「恵まれぬ恋」など失恋に関する花言葉がついています。
失恋に関する花言葉は、ギリシャ神話に登場する少女フィチアに由来するそうです。
ケンタロウスの娘フィチアはある羊飼いに恋をしますが、羊飼いはほかの女性と結婚してしまいます。あまりの悲しみで死んでしまったフィチアを、神がスカビオサに変えてあげました。
西洋ではスカビオサは未亡人に贈るお花と言われており、「mournful widow(悲しみに暮れる未亡人)」の英名もあります。
西洋において紫色は、悲しみや喪を表す色とされています。スカビオサの美しい青紫色が、悲しい気持ちを表現しているように思えたのでしょう。英名にちなんで「未亡人」「悲しみの花嫁」の花言葉もついています。
ケマンソウ|「失恋」「冷めはじめた恋」
ケマンソウは、ハート型のお花が特徴的な植物です。
開花が進むにつれてハートが裂けていく姿が、失恋を連想させたことから花言葉がつきました。また、お花が終わると赤いハートの色が色褪せるため、「冷めはじめた恋」とつけられたようです。
ケマンソウの名前は、仏堂を飾る華鬘(けまん)に似ていることが由来です。枝にいくつもお花がぶら下がっている様子が、釣竿に鯛がかかっているように見えることからタイツリソウの別名もあります。
ケマンソウにはほかにも、「恋心」や「従順」「あなたについていきます」の花言葉があります。ハート型のお花が枝に連なっている様子から連想してついたようです。
青のアジサイ|「あなたは冷たい」
青のアジサイが雨の中でも気にせずに咲いているように見えたことから「あなたは冷たい」「あなたは美しいが冷淡だ」「冷酷」の花言葉がつけられました。日本の梅雨とアジサイのイメージが反映された花言葉ですね。
青のアジサイにはほかにも「知的」「神秘的」の花言葉がついています。青色の知的なイメージからつけられたようです。
アジサイ全般の花言葉は「家族団らん」「和気あいあい」「移り気」などもあります。
「家族団らん」「和気あいあい」は、小さなお花が集まっている様子が由来です。「移り気」は、アジサイが土壌の酸性度によってお花の色を変える性質からついたとされています。
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紫のクロッカス|「愛したことを後悔する」
クロッカスの花言葉は、ギリシャ神話が由来になっています。
美少年クロカスは、羊飼いの娘スミラックスと惹かれ合い、恋人同士になります。しかし神々に結婚を反対されてしまい、クロカスは絶望して自ら死を選んでしまいました。
クロカスの死を知ったスミラックスも、後を追って死んでしまいます。2人をかわいそうに思った神が、クロカスをクロッカスのお花に変えました。
2人の悲しい恋愛エピソードから「愛したことを後悔する」「愛の懺悔」の花言葉がついたと言われています。
また、スミラックスの気持ちを表現して「私を信じて」「あなたを待っています」の花言葉もついています。
まとめ
悲しい意味の花言葉は、神話や言い伝えが由来になったもの、お花の性質から連想したもの、色のイメージからつけられたものなどさまざまでした。
悲しい花言葉を知ると、悲しみを呼び込む不吉なお花のように思えてくるかもしれません。
しかしほとんどのお花には、悲しい意味の花言葉と同時にポジティブな花言葉もついています。またどんな花言葉がついていても、お花の美しさは変わらないでしょう。
言葉に囚われすぎず、自然の物語を読むような気持ちで花言葉を楽しんでみてはいかがでしょうか。
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