植物をあまり育てたことがない初心者にとって、室内の観葉植物選びは難しく感じることもあると思います。
たくさんの種類が出回っていて手軽に購入できますが、どれが育てやすくて、さらにおしゃれなインテリアになるのかわかりにくいです。
まずは、どんな観葉植物が「管理の手間がかからないのか」を知っておくといいです。室内ですぐに枯れてしまうことも少なく、美しい葉や樹形を長く観賞できます。
この記事では室内で育てやすい観葉植物の種類について紹介します。さらに、選び方・飾り方・育て方についても詳しく解説します。
記事内では複数紹介しているのでもし迷ったら、筆者個人的にはフィカス・バーガンディがおすすめです。生長スピードが早くも遅くもないため、管理の手間がかからず、変化していく姿も楽しめます。
室内におすすめの小さい観葉植物
さっそく初心者でも室内で育てやすい観葉植物を見ていきましょう。
ここでは、比較的樹高・草丈が高くなり過ぎず、3号鉢(直径9cm)程度で育てられる小さい観葉植物を3つ紹介します。
①ガジュマル|手乗りサイズの樹木

日当たり | 日当たりのよい置き場所 |
温度 | 最低5℃以上をキープする |
耐寒性 | やや弱い |
耐暑性 | 強い |
水やり | 春夏:土の表面が乾いたら 秋冬:土の表面が乾いてから2〜3日後 |
観葉植物の中でも代表的なガジュマルは、地面から伸びる幹がユニークで、個性を感じる樹木です。ボコボコと膨れ上がった幹は個体によって違い、好みの樹形を選べる魅力もあります。
比較的手乗りサイズから販売されているところが多く、生長スピードがゆっくりなので水やりが少なくて初心者でも育てやすいです。
東南アジアをはじめ、品種によっては日本でも沖縄や屋久島などに自生しているガジュマルは、風通しが良く涼しい環境でよく育ちます。直射日光にもよく耐え、葉焼けを起こしにくいです。
また、太い幹にたくさんの水分をたくわえているので、水切れで枯れることがあまりありません。幹にしわが寄っていたり、やわらかくなっていたりするときは、水をたっぷりと与えましょう。
[https://andplants.jp/collections/chinesebanyan] ガジュマルの育て方はこちら②モンステラ・デリシオーサ|希望の光を導く

日当たり | 日当たりのよい置き場所 |
温度 | 最低5℃以上をキープする |
耐寒性 | やや弱い |
耐暑性 | 強い |
水やり | 春夏:土の表面が乾いてから 秋冬:土の中が乾いてから2〜3日後 |
モンステラ・デリシオーサは、葉っぱに切り込みが入った個性的な観葉植物です。ハワイでは「希望の光を導く」と言われていて、新しい門出を迎える方などへの贈り物として適しています。
耐陰性も程よくあり乾燥にも強いので、お世話が楽です。これからグリーンライフを送りたい方にいかがでしょうか。
葉っぱの形が珍しいので、インテリアグリーンとして採用するお店もあります。お好きな家具や雑貨と合わせるのもよいかもしれません。暮らしが一段と素敵になるでしょう。
また、風水では恋愛運や家庭運などに効果があるとされています。人間関係の気をよりよい方向に導きたい時に一つあると心強い存在です。
[https://andplants.jp/collections/monsteraadansonii] モンステラの育て方はこちら③カラテア・マコヤナ|部屋のアイポイントにおすすめ

日当たり | 日当たりのよい置き場所(直射日光は避ける) |
温度 | 最低10℃以上をキープする |
耐寒性 | やや弱い |
耐暑性 | 強い |
水やり | 春夏:土の表面が乾いたら 秋冬:土の表面が乾いてから2〜3日後 |
大きな固い葉の中に、植物のシルエットに似た模様が入るカラテア・マコヤナ。ラテアートのようなかわいい模様が入る葉は、個性的でインテリア性が高く、部屋のアイポイントにもなります。日陰に耐性があるので、日当たりがあまり良くない場所でも生長します。
ブラジルを原産とするカラテア・マコヤナは、多湿な環境を好むので、定期的な水やりがかかせません。春夏は水切れに注意をし、土を極端に乾かさないようにしましょう。一方で秋冬は、気温が低い場所で管理していると生長が緩やかになるので、土を乾かし気味にします。
また、生長が鈍くなったり止まったりすると、水やりや肥料やりの頻度が変わって難しくなってしまう場合もあります。できるだけ15℃以上の一定の暖かい環境をつくって管理するといいです。
[https://andplants.jp/collections/calatheamakoyana] カラテア・マコヤナの育て方はこちら室内におすすめの大きい観葉植物
次に、比較的7号鉢(直径21cm)以上まで生長するような大きい観葉植物を3つ紹介します。
店舗によっては、3号鉢で売っているとこも多いですが、3〜5年以上過ぎると1m以上になる場合もあります。買ったばかりは小さくても、大きくなったときのことを踏まえて購入しましょう。
①フィカス・バーガンディー|上品さのあるゴムの木

日当たり | 日当たりのよい置き場所(直射日光は避ける) |
温度 | 最低8℃以上をキープする |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | 強い |
水やり | 春夏:土の表面が乾いてから 秋冬:土の表面が乾いてから2〜3日後 |
地面からゆるやかな曲線を描くように幹が伸び、先端から赤い新葉が出たあと、ワインカラーの厚みのある葉を広げるフィカス・バーガンディ。バーガンディーカラーと呼ばれる濃い赤紫色の葉は、大人の雰囲気があり上品さがあります。
インドやミャンマーなどに自生するインドゴムノキの突然変異で生まれたフィカス・バーガンディー。高温多湿な環境を好み、毎日の葉水と定期的な水やりによって美しい葉をよく出すようになります。
直射日光が当たる場所では、葉に穴があく場合もあるので、カーテンやブランイドで遮光した日当たりの良い場所で育てましょう。
[https://andplants.jp/collections/ficusburgundy] フィカス・バーガンディの育て方はこちら②パキラ|乾燥や害虫に強い

日当たり | 日当たりのよい置き場所(直射日光は避ける) |
温度 | 最低10℃以上をキープする |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | 強い |
水やり | 春夏:土の表面が乾いてから 秋冬:土の表面が乾いてから2〜3日後 |
透き通るような薄くて鮮やかな緑の葉を、てんぐのうちわのように複葉で広げるパキラ。幹が太くて真っ直ぐに伸びるものや、ねじれて仕立てられたものなど、樹形のバリエーションが豊富です。
英語圏では「Monney tree」の名前で親しまれ、風水では金運効果が高いようです。一般的に5〜6枚ほどの複葉で展開しますが、7枚以上あると幸運が訪れるといわれることも。
日陰に耐性があるパキラは、午前中は日が差し込み、午後は日陰になるような半日陰で育てるのが最適です。乾燥や害虫の被害が少なく、管理の手間があまりかかりません。
直射日光が当たると葉焼けを起こしてしまうこともあるので、陰になるような場所に置きましょう。
[https://andplants.jp/collections/pachira] パキラの育て方はこちら③サンスベリア・ゼラニカ|直射日光にも負けない

日当たり | 明るい日陰 |
温度 | 最低10℃以上をキープする |
耐寒性 | やや強い |
耐暑性 | 強い |
水やり | 春夏:土の表面が乾いてから2〜3日後 秋冬:葉の表面にしわが寄ってから(10月以降はほぼ断水) |
地面からしゅっと長く伸びる剣(つるぎ)のような濃緑葉に、白い斑がしま模様に入るサンスベリア・ゼラニカ。複数で伸びるスリムな葉は特徴的なシルエットで、クールでスタイリッシュです。
熱帯アフリカやマダガスカルなどに自生するサンスベリア・ゼラニカは、観葉植物の中でも特に枯れにくい植物といわれています。初心者でも枯らすことがあまりないので、植物を育てたことが1度もない人や、管理に自信がない人にもおすすめです。
厚みのある葉にはたくさんの水分を含んでいるため、暑さや乾燥にはとても強く、水切れを起こしにくいです。季節や置く場所によって違いますが、水やりは1〜2ヶ月に1回のペースで、乾燥気味に育てるのがポイント。
直射日光が当たる場所でも育ちますが、土が湿った状態では蒸れやすく根腐れを起こしやすいので、水やりから数日後に陽の当たる場所に移動させましょう。
ただし、長期的な水不足が続くと葉の先端が茶色く変色する場合も。環境や季節によって違いますが、水やりは1〜2ヶ月に1回のペースで乾燥気味に育てるようにしましょう。
[https://andplants.jp/collections/sansevieriazeylanica] サンスベリア・ゼラニカの育て方はこちら室内で育てやすい観葉植物の選び方
室内で観葉植物を育てるときは、部屋の環境を確認してから選びましょう。日当たりや風通し具合、さらに湿気がこもりやすい、または乾燥しやすい場所なのかを確認します。
環境にあった植物を選ぶことで、枯れにくくいつまでも長く観賞ができます。
育てる植物に適さない環境であれば、ライト・サーキュレーター・加湿器などの道具を使って環境を変えることも大事です。
ここでは、室内で育てやすい観葉植物の選び方についてポイントを3つ紹介します。
日陰に耐性がある植物を選ぶ
観葉植物は種類や品種によって、日陰に耐えられる度合いが違います。窓から日が差し込みにくく、暗くなりがちな部屋の場合は、日陰に耐性がある種類を選びましょう。
「観葉植物」と呼ばれる植物は、熱帯や乾燥地域などに自生しています。その中でもジャングルに自生するような熱帯植物は、日陰に強い特性がほとんどです。ポトスやモンステラ、アグラオネマなどは、東南アジアや南アメリカのジャングルに自生していて、わずかな光さえあれば元気よく育ちますよ。
窓やドアが少なくて、日当たりが悪いと感じる部屋には、グローライトを設置して観葉植物を育てるといいです。
強い光に耐性がある植物を選ぶ
窓やドアから直射日光が差し込む場合は、強い光に耐性がある植物を選びます。
オーストラリアやニュージーランド、アフリカやアメリカのサバンナなどに自生する植物は、直射日光に強い傾向があります。特にクロトンやコルジリネ、バオバブなどが直射日光にも負けない植物といえます。それに加え、日本にも自生し庭木として使われるシマトネリコやソヨゴも直射日光に強く、葉焼けや水切れを起こしにくいです。
ただし、直射日光が苦手ではない一部の観葉植物は、販売している店舗の明るさによって、強い光に慣れていないこともあります。日陰に耐性ができてしまい、強い日差しが当たる場所へ突然移動させると、葉焼けを起こす場合もあります。
1ヶ月程度の期間を使い、暗い場所から明るい場所へ徐々に移動させ、日光に慣らしてあげるといいです。なお、住宅の庇(ひさし)や屋根で影になる場合は、直射日光に強くなくてもあまり問題はありません。
乾燥や過湿に耐性がある植物を選ぶ
夏場は気温が高過ぎるため、窓際に置いてある鉢の土はすぐに乾燥します。観葉植物によっては水切れを起こし、水分不足によって枯れる場合もあります。
水やりを定期的に行うことも大事ですが、乾燥に強い植物をあらかじめ選んで窓際に置くことが大事です。
特に水分を体内に多く含むサボテン類や多肉植物類などが、乾燥した環境に強く、水切れを起こしにくいです。
室内での観葉植物の育て方
ここでは、室内での観葉植物の育て方を紹介します。最低限押さえておきたいポイント5つなので、ぜひ実践してみてください。
日当たり|半日陰になる場所に置く
観葉植物は、午前中に陽の光が当たって、午後は日陰になるような半日陰な場所に置きましょう。植物は午前中に光合成を活発に行い、午後になるにつれ鈍くなります。
また、日中に直射日光に当たり過ぎてしまうと、葉焼けや水切れを起こしたり、鉢の中が蒸れて根腐れをおこしたりする場合も。特に夏の西日の当たり過ぎは、観葉植物を弱らせて枯らしてしまうこともあります。
室内に直射日光が差し込む場合は、鉢を移動させるか、カーテン・ブラインド・すだれなどで日陰をつくりましょう。
温度|最低10℃以上をキープする
熱帯や乾燥地域に自生する観葉植物は、20〜25℃の一定の環境で育ちます。地域によっては夜や冬の時期に10℃以下になる場合もあるので、寒さに耐性をもつものもあります。
室内で元気よく観葉植物を育てる場合は、できるだけ20℃以上の環境を保ち、冬場でも寒さで弱らせないように暖かくしてあげることがポイント。5℃程度の温度では植物は育ちにくく、生長が止まってしまう場合もあります。
ただし、植物は高温に弱いので35℃を超える環境で、長時間直射日光にさらすのはやめましょう。
関連記事:観葉植物の温度|適温や調節方法について
風通し|空気の流れをつくる
風通しが悪い場所では、気温が極端に高くなり過ぎたり低くなり過ぎたりするため、植物が育ちにくくなります。さらに病害虫の被害にもあいやすくなり、株が枯れてしまう場合もあります。
空気が常に流れるように窓やドアをあけ、その通り道に観葉植物を置きましょう。扇風機やサーキュレーターなどを使って、空気の流れをつくるのもいいです。
ただし、強風にさらしたり直に風を当て続けたりすると、葉から水分が抜けて枯れてしまう場合も。できるだけ、壁や天井に跳ね返った風を使って、植物に当てるようにしましょう。
関連記事:観葉植物の風通し|大切な理由と悪いときの対策について
水やり|土を十分に乾かしてから与える
水やりがうまくできていないと、観葉植物は乾燥して水切れを起こしたり、過湿になって根腐れを起こしたりして枯れてしまいます。水を与える前に、一度、土の中の乾燥具合を確かめてから水やりしましょう。
春から夏の暖かい時期は、観葉植物の生育が旺盛になり、水をたくさん必要とします。春は1〜2週間に1度、夏は3〜5日に1度のペースで水をあたえるのがベスト。秋や冬は気温が低くなり、観葉植物の生育が落ち着くので、月に1〜2度のペースで土の乾燥具合を確認しながら水を与えましょう。
ただし、環境や観葉植物の種類や品種によっては水を吸収する量が違うので、あらかじめ温度や育て方をチェックしておくといいですよ。
植え替え|2年に1回のペースで行う
鉢植えで育てる観葉植物は、基本的に2年に1回のペースで植え替えをします。根鉢がパンパンに固くなってしまうと、土中の酸素濃度が薄くなるため、植物の根が窒息状態に陥りやすくなります。
根詰まりを起こして枯れてしまう場合もあるので、鉢底・土の表面から根が出たときにも植え替えをしましょう。
ただし、植物によって生長スピードが違うので、生育にあわせて植え替えの頻度を変えてくださいね。
インテリア例|室内に観葉植物をおしゃれに飾るコツ
せっかく室内に観葉植物を置くなら、インテリアにもこだわって飾ってみましょう。見た目が良くなるだけでなく、インテリア性が高くなり気分も良くなります。
ここでは、室内に観葉植物を飾るコツについて3つ紹介します。
お気に入りの鉢をはかせて飾る
観葉植物はプラスチックポットのまま飾るのではなく、お気に入りの鉢や鉢カバーをはかせて飾ってみましょう。
観葉植物の葉の色・形や樹形が、より美しく見えるような鉢を選んでください。鉢の形や色、さらに素材にも注目して、部屋になじむようなおしゃれな鉢を飾ります。
セラミックやテラコッタ、セメントや樹脂などデザイン性の高いものがおすすめです。部屋のテイストにあうものを選んでくださいね。
鉢スタンドをセットして飾る
部屋のスペースが小さい場合は、観葉植物を床に直接置かず、鉢スタンドを設置してレイアウトしましょう。
床を見せることで、目の錯覚によって部屋が広く見えます。圧迫感も感じにくく、スリムでスタイリッシュな部屋を演出できます。
鉢スタンドは、ステンレス製や木製のものなどがあるので、部屋のテイストにあわせてコーディネートできるかもしれません。
支柱を立てて植物を仕立てる
モンステラやポトスなどつるがよく伸びる観葉植物は、だらんと垂らすよりも支柱(ポトスタワー)を使って上に伸ばすのがおすすめです。スタイリッシュなおしゃれな部屋を演出できるだけでなく、植物の生育にも良いです。
大きな葉が次々と展開し、本来の自然的な姿を楽しめます。
インテリア的にもスペースをあまり取らず、スリムでコンパクトに仕立てられます。
まとめ
観葉植物の中には、初心者でも管理がしやすい種類がたくさんあり、室内で枯らさずに育てられます。住まいの環境を確認した上で選んで購入することで、より元気な植物を観賞できます。
また、初めて室内で観葉植物を育てるときは、できるだけ3鉢ほどいっぺんに購入することをおすすめします。1鉢だけだと、もしも枯れてしまったときに、その枯れた原因がわかりにくく、さらに今後植物を育てる意欲もなくなりやすいです。
1度の失敗によって「自分には植物は育てられない」と思いやすく、植物への関心がなくなってしまう場合もあります。
複数の鉢があれば、枯れた原因を突き止めやすく育て方を見直せます。さらに落ち込むことも少なく、育てる意欲も向上するでしょう。
初心者のうちは、植物を枯らしてみないとわからないこともたくさんあると、筆者は思います。